スタンダード・モーター・カンパニー

スタンダード・モーター・カンパニー（Standard Motor Company ）は、1903年ねんに設立せつりつされたイギリスの自動車じどうしゃ製造せいぞう会社かいしゃである。

スタンダード・テン（1933年ねん）

歴史れきし

1903-1914年ねん

レジナルド・ウォルター・モーズレー（Reginald Walter Maudslay 、1871-1934年ねん）により、小規模しょうきぼな会社かいしゃとして、既すでに英国えいこく自動車じどうしゃ産業さんぎょうの中心ちゅうしん地ちとなり始はじめていたコヴェントリーのマッチ・パーク・ストリート（Much Park Street ）に設立せつりつ。当初とうしょ工員こういん7人にんを雇やとい入いれ、最初さいしょの自動車じどうしゃを製作せいさくした。これは単たん気筒きとうエンジンで、3速そくギアボックス、シャフトで後のち輪わを駆動くどうした。

発展はってんは速はやく、すぐに2気筒きとう・3気筒きとう・4気筒きとうの上位じょういモデルが開発かいはつされ、1905年ねんには当時とうじ最先端さいせんたんの6気筒きとうエンジンを開発かいはつしていた。完成かんせい車しゃを提供ていきょうするばかりでなく、他た車しゃにエンジンを提供ていきょうすることもいい商売しょうばいになった。これは主おもにオーナー自身じしんの希望きぼうでエンジンの載のせ換かえをおこなったのである。

1905年ねん、クリスタルパレスで開催かいさいされたロンドンモーターショーでチャールズ・フリスウェル（Charles Friswell 、後のちSir ）が会社かいしゃを購入こうにゅうすることに合意ごうい。1907年ねん、フリスウェルは1907年ねんにはスタンダードの会長かいちょうとなり、会社かいしゃを盛もり立たてる。1911年ねんにはイギリス国王こくおうジョージ5世せいと随員ずいいん団だん用ようの車くるま70台だいを製造せいぞうするまでになった。

1912年ねん、フリスウェルは彼かれの持株もちかぶ分ぶんをC.J.バンドおよびジークフリート・ベットマンに売うった。彼かれらはトライアンフ・モーターサイクル・カンパニーの創業そうぎょう者しゃでもあった。これによりモーターサイクルの会社かいしゃはトライアンフ自動車じどうしゃとなる。

トライアンフは主力しゅりょくのモーターサイクルの他ほかに第だい一いち次じ大戦たいせん後ごには四よん輪りん自動車じどうしゃの生産せいさんも行おこなったが、これはスタンダードとは別べつ体たいで行おこなわれ、のち四よん輪りん車しゃ部門ぶもんの不ふ採算さいさんのため1936年ねんにトライアンフの二に輪りん部門ぶもんと四よん輪りん部門ぶもんが分社ぶんしゃ、戦後せんご経営けいえい不振ふしんのトライアンフ四よん輪りん車しゃ部門ぶもん（トライアンフ）がスタンダードに買収ばいしゅうされるという複雑ふくざつな系譜けいふを辿たどった。

1914年ねん、スタンダードは株式かぶしき公開こうかいした。

第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん

第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん中ちゅうは1,000機き以上いじょうの飛行機ひこうきを生産せいさん。ロイヤルエアクラフト「BE12」・「R.E.8」、ソッピース・パップ、ブリストル F.2戦闘せんとう機きが1916年ねん、カンレーに建設けんせつした新しん工場こうじょうで製作せいさくされた。ここはのちに本部ほんぶとなるところである。

1919-1939年ねん

一般いっぱん向むけ乗用車じょうようしゃの生産せいさんは1919年ねんに小型車こがたしゃから再開さいかい、1924年ねんには生産せいさん台数だいすうは1万まん台だいを超こえ、イギリスの市場いちばシェアではオースチンと肩かたを並ならべる会社かいしゃとなっていた。

しかし1920年代ねんだい後半こうはん、莫大ばくだいな投資とうしにもかかわらず海外かいがい輸出ゆしゅつの試こころみが失敗しっぱいに終おわり、大型おおがた車しゃの販売はんばいもうまく行いかず、利益りえきは極端きょくたんに落おち込こんだ。

1929年ねんヒルマンのジョン・ブラックが共同きょうどう社長しゃちょうとして経営けいえい陣じんに加くわわった。ブラックはジェンセン、エイボン、スワロー・サイドカー・カンパニー（のちSSカーズを経へてジャガー）のような外部がいぶコーチビルダーにシャーシ・エンジンを提供ていきょうすることを推おし進すすめた。レジナルド・モーズレーは1934年ねんに会社かいしゃを離はなれ、その後ごすぐに64歳さいで亡なくなった。

1930年代ねんだいにはスタンダード・ナイン、スタンダード・テンなどの新しんモデルにより会社かいしゃの業績ぎょうせきは復調ふくちょうした。これらは低てい～中ちゅう程度ていどの価格かかく帯たいで1935年ねんのモーターショーに出品しゅっぴんされた。フライング・スタンダードの新しんシリーズは時流じりゅうに合あわせた半はん流線型りゅうせんけいで発表はっぴょうされた。

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中ちゅう会社かいしゃは乗用車じょうようしゃ生産せいさんを続つづけたが、今回こんかいはユーティリティボディが取とり付つけられた。

しかし、戦時せんじ中ちゅうのスタンダードにおける最さい重点じゅうてん製品せいひんはやはり軍用ぐんよう航空機こうくうきであった。汎用はんよう型がたの木製もくせい機きモスキートは、主おもに"FB VI"仕様しようとして1100機き以上いじょうが製作せいさくされた。ブリストル・マーキュリーVIIIエンジンを搭載とうさいしたエアスピード オックスフォードが750機き、またブリストル ボーファイターが3000機きそれぞれ製作せいさくされている。

戦時せんじ中ちゅうには他たに軽けい装甲車そうこうしゃも製作せいさくされた。これには4,000台だいほどのBeaveretteも含ふくまれる。さらに軽量けいりょうの"ジープ"タイプの車両しゃりょうも生産せいさんされた。

戦後せんごの数すう年間ねんかん

スタンダード・ヴァンガード（1951年ねん）

平和へいわの時代じだいが訪おとずれ、戦前せんぜんの乗用車じょうようしゃ、エイトとトゥエルブはすぐに生産せいさん再開さいかいされた。

特とくに注目ちゅうもくに値あたいするのが、1945年ねんにジョン・ブラックがおこなったトライアンフ自動車じどうしゃの買収ばいしゅうである。経営けいえい不振ふしんのトライアンフは管財かんざい人じんに引ひき渡わたされており、その価格かかくは75,000ポンドだった。トライアンフはスタンダード社しゃの完全かんぜん子会社こがいしゃとなり、"トライアンフ・モーター・カンパニー(1945)リミテッド"となった。スポーツカーや小型車こがたしゃを主力しゅりょくとしたブランドとなり、アメリカ市場いちばを中心ちゅうしんとした輸出ゆしゅつでの外貨がいか獲得かくとくで、親会社おやがいしゃのスタンダード以上いじょうの実績じっせきを挙あげることになった。

もうひとつの収益しゅうえき源げんとして役立やくだったのが、食糧しょくりょう増産ぞうさん体制たいせいに合致がっちした農業のうぎょう用ようトラクターを生産せいさんするファーガソン・トラクターの設立せつりつで、大だい工場こうじょうの戦時せんじ中ちゅう空あいたスペースが有効ゆうこう活用かつようできた。

1948年ねん、スタンダードはヴァンガードによるワンモデルポリシーを打うち出だした。ヴァンガードはウォルター・ベルグローブの手てになるアメリカン・スタイル路線ろせんの車くるまで、1953年ねんに新型しんがたエイトが準備じゅんびできるまで生産せいさんが続つづけられた。組立くみたて工場こうじょうは国外こくがいにも建設けんせつされ、オーストラリア、カナダ、インド、南みなみアフリカと続つづいた。

ジョン・ブラックは1954年ねん経営けいえいから退しりぞいた。その理由りゆうは、当時とうじの正式せいしき発表はっぴょうでは「体調たいちょうが病気びょうきがちになったため」とされたが、現在げんざいでは「役員やくいん会かいで退任たいにんを要請ようせいされたため」であったとされている。長ながらく彼かれを支ささえていたアリック・ディックが後こうを引ひき継ついだ。

この頃ころから経営けいえいの停滞ていたい傾向けいこうが生しょうじ始はじめた。会社かいしゃは継続けいぞく的てき成長せいちょうを目指めざし他社たしゃとの提携ていけいを模索もさくしクライスラー、マッセイ＝ハリス＝ファーガソン、ルーツ、ローバー、ルノーなどと話はなし合あいを持もったが、いずれともうまくいかなかった。スタンダード車しゃは当時とうじの典型てんけい的てきイギリス車しゃの枠わくを出でない保守ほしゅ的てきな設計せっけいで格別かくべつ秀ひいでた存在そんざいではなく、更さらに他たのメーカーが「スタンダードモデルとデラックスモデル」というモデルグレード分わけをおこなうようになっていた当時とうじ、社名しゃめいとブランド名めいそのものが「並なみ級きゅう」を示唆しさする「スタンダード」であることは、商品しょうひん戦略せんりゃく上じょう不利ふりに働はたらいた。モデル展開てんかいもむしろ子会社こがいしゃのトライアンフ・ブランドにおいて積極せっきょく的てきに行おこなわれていた。

結局けっきょく、1960年ねんにレイランドに2千せん万まんポンドで買収ばいしゅうされ、英国えいこくにおけるスタンダード車しゃは1963年ねんで生産せいさん終了しゅうりょうした。一方いっぽう、ブランドイメージに勝まさるトライアンフブランドの四よん輪りん車しゃ生産せいさんは、レイランドでも、そしてその後ごの1968年ねん、BMCとの大だい統合とうごうでBLMCとなっても継続けいぞくした。

インドにおけるスタンダード自動車じどうしゃ

トライアンフ・ヘラルド車しゃがスタンダード・ヘラルドとして生産せいさんされることで、スタンダードの名前なまえは1980年ねんまでインドで生いきながらえていた。これには英国えいこくにないモデルとして4ドアと5ドアのエステート仕様しようがあった。

1970年ねん、インド・スタンダードはブリティッシュ・レイランドのために分割ぶんかつされる。1971年ねん、スタンダード・ガゼールと名前なまえをつけられた4ドアのヘラルドが登場とうじょうする。エンジンは同おなじ948ccを搭載とうさいしていた。ガゼールの生産せいさん台数だいすうは少量しょうりょうだった。これは製造せいぞうライセンスを打うち切きられないようにすることが目的もくてきであったためといわれている。スタンダード車しゃの生産せいさんは1985年ねんにローバーSD1をベースとしたスタンダード2000の登場とうじょうで終了しゅうりょうした。1987年ねんに生産せいさん終了しゅうりょうしスタンダードの名前なまえもこれで途絶とだえた。

車種しゃしゅ一覧いちらん

英国えいこく乗用車じょうようしゃモデル

第だい一いち次じ世界せかい大戦たいせん以前いぜん

年とし	タイプ	エンジン	生産せいさん台数だいすう
1903年ねん	6hp	1006cc サイドバルブ単たん気筒きとう
1904-1905年ねん	12/15	1926cc サイドバルブ2気筒きとう
1905年ねん	16hp	3142cc サイドバルブ4気筒きとう
1905-1908年ねん	18/20	4714cc サイドバルブ6気筒きとう
1906年ねん	10hp	631cc サイドバルブ2気筒きとう
1906年ねん	16/20	3531cc サイドバルブ4気筒きとう
1906年ねん	24/30	5232cc サイドバルブ6気筒きとう
1906-1912年ねん	50hp	11734cc サイドバルブ6気筒きとう
1907年ねん	15hp	1593cc サイドバルブ6気筒きとう
1907-1908年ねん	30hp	5297cc サイドバルブ6気筒きとう
1908-1911年ねん	20hp	4032cc サイドバルブ6気筒きとう
1908-1911年ねん	40hp	6167cc サイドバルブ6気筒きとう
1909-1911年ねん	16hp	2688cc サイドバルブ4気筒きとう
1910-1911年ねん	12hp	1656cc サイドバルブ4気筒きとう
1911-1914年ねん	20hp	3620cc、1913年ねん以降いこう3336cc サイドバルブ6気筒きとう
1911-1912年ねん	15hp	2368cc サイドバルブ4気筒きとう
1912年ねん	25hp	4032cc サイドバルブ6気筒きとう
1913-1918年ねん	9.5hp モデルS	1087cc サイドバルブ4気筒きとう

1919-1939年ねん

年とし	タイプ	エンジン	生産せいさん台数だいすう
1919-1921年ねん	9.5hp モデルSLS	1328cc サイドバルブ4気筒きとう
1921-1923年ねん	8hp	1087cc サイドバルブ4気筒きとう
1921-1923年ねん	11.6hp SLO	1598cc OHV4気筒きとう
1922-1926年ねん	13.9hp SLO-4	1307cc OHV4気筒きとう
1923-1927年ねん	11.4hp V3	1307cc OHV4気筒きとう
1926-1928年ねん	13.9hp V4	1944cc OHV4気筒きとう
1927-1928年ねん	18/36hp	2230cc OHV6気筒きとう
1927-1930年ねん	9hp	1153ccまたは1287cc サイドバルブ4気筒きとう
1929-1933年ねん	15hp	1930ccまたは2054cc サイドバルブ6気筒きとう
1930-1933年ねん	9.9hp ビッグ・ナイン	1287cc サイドバルブ4気筒きとう
1931-1935年ねん	20hp エンヴォイ	2552cc サイドバルブ6気筒きとう
1932-1933年ねん	リトル・ナイン	1006cc サイドバルブ4気筒きとう
1932-1933年ねん	リトル・トゥウェルブ	1337cc サイドバルブ6気筒きとう
1932-1933年ねん	ビッグ・トゥウェルブ	1497cc サイドバルブ6気筒きとう
1934年ねん	12/6	1497cc サイドバルブ6気筒きとう
1934-1935年ねん	10/12 スピードモデル	1608cc サイドバルブ4気筒きとう
1934-1936年ねん	ナイン	1052cc サイドバルブ4気筒きとう
1934-1936年ねん	テン	1343cc サイドバルブ4気筒きとう
1934-1936年ねん	トゥウェルブ	1608cc サイドバルブ4気筒きとう
1934-1936年ねん	シックスティーン	2143cc サイドバルブ6気筒きとう
1935-1936年ねん	トゥウェンティ	2664cc サイドバルブ6気筒きとう
1936-1937年ねん	20hp	2686cc サイドバルブV型がた8気筒きとう
1937-1938年ねん	フライング・テン	1267cc サイドバルブ4気筒きとう
1937-1940年ねん	フライング・トゥウェルブ	1608cc サイドバルブ4気筒きとう
1937-1940年ねん	フライング・ナイン	1131cc サイドバルブ4気筒きとう
1937-1940年ねん	フライング・ライト・トゥウェルブ	1343cc サイドバルブ4気筒きとう
1937-1940年ねん	フライング・フォーティーン	1608ccまたは1776cc サイドバルブ4気筒きとう
1937-1940年ねん	フライング・トゥウェンティ	2143cc サイドバルブ6気筒きとう
1938-1940年ねん	フライング・エイト	1021cc サイドバルブ4気筒きとう

1945-1963年ねん

年とし	タイプ	エンジン	生産せいさん台数だいすう
1945-1948年ねん	エイト	1021cc サイドバルブ4気筒きとう	383,139
1945-1948年ねん	トゥウェルブ	1608cc サイドバルブ4気筒きとう	9959
1945-1948年ねん	フォーティーン	1776cc サイドバルブ4気筒きとう	22,229
1947-1953年ねん	ヴァンガード・フェーズI	2088cc OHV4気筒きとう	184,799
1953-1955年ねん	ヴァンガード・フェーズII	2088cc OHV4気筒きとう 2092cc OHV4気筒きとうディーゼル	81,074 1,973
1953-1957年ねん	エイト	803cc OHV4気筒きとう	136,317
1954-1956年ねん	テン	948cc OHV4気筒きとう	172,500
1955-1958年ねん	ヴァンガード・フェーズIII	2088cc OHV4気筒きとう	37,194
1956-1957年ねん	スポーツマン	2088cc OHV4気筒きとう	901
1957-1961年ねん	エンサイン	1670cc OHV4気筒きとう 2092cc OHV4気筒きとうディーゼル	18,852
1957-1959年ねん	ペナント	948cc OHV4気筒きとう	42,910
1958-1961年ねん	ヴァンガード ヴィニャーレ	2088cc OHV4気筒きとう	26,276
1960-1963年ねん	ヴァンガード・シックス	1998cc OHV6気筒きとう	9953
1962-1963年ねん	エンサインII	2138cc OHV4気筒きとう	2318

軍用ぐんよう車しゃ/商用しょうよう車しゃ

年とし	タイプ	エンジン	生産せいさん台数だいすう
1940-1943年ねん	Beaverette	1,776 cc サイドバルブ4気筒きとう
1940-1944年ねん	12hp Light Utility	1,608cc サイドバルブ4気筒きとう
1943年ねん	Jeep	1,608cc サイドバルブ4気筒きとう
1947-1958年ねん	12cwt	2,088cc OHV4気筒きとう
1954-1962年ねん	6cwt	948cc OHV4気筒きとう
1958-1962年ねん	10hp Atlas	948cc OHV4気筒きとう
1962-1963年ねん	Atlas Major	1,670cc OHV4気筒きとう
1962-1965年ねん	7cwt	1,147cc OHV4気筒きとう

外部がいぶリンク

• Standard Cars of the mid-1930s
• Standard Motor Club
• https://web.archive.org/web/20060226195101/http://www.britishmm.co.uk/history.asp?id=842
• History of the Vanguard
• Unofficial Austin Rover Resource: Standards of India
• Hari's Motor World—Indian cars - ウェイバックマシン（1999年ねん10月がつ22日にちアーカイブ分ぶん）