バルデナス・レアレス

バルデナス・レアレス(スペイン語ご: Bardenas Reales)は、スペイン・ナバーラ州しゅうとアラゴン州しゅうにまたがる半はん乾燥かんそう自然しぜん地域ちいきもしくは不毛ふもう地帯ちたいである。41,845ヘクタールの面積めんせきを持もつ。

バルデナス・レアレス

スペインにおける位置いち

地理ちり

粘土ねんど、チョーク、砂岩さがんから成なる土壌どじょうは水みずと風ふうによって浸食しんしょくされたことで、驚おどろくべき形態けいたいの峡谷きょうこく、台地だいち、平たいらな構造こうぞう、カベサとも呼よばれる孤立こりつ丘おかを形成けいせいしている。バルデナスは居住きょじゅう地域ちいきを欠かいており、植生しょくせいは乏とぼしく、領域りょういきを横断おうだんする多おおくの小川おがわは際立きわだって季き節ぶし的てきな差異さいが激はげしく、年間ねんかんの大だい部分ぶぶんは乾燥かんそうしている。土壌どじょうに塩分えんぶんが多おおく、アラル海あらるかい・カスピ海かすぴかい一帯いったいの低地ていちにも生はえる塩生しょうぶ植物しょくぶつはここの優ゆう占うらない種しゅである。また、黒くろバルデナ地区ちくにはアレッポマツの森林しんりんがある。一帯いったいにはシロエリハゲワシ、エジプトハゲワシ、イヌワシ、ハヤブサなどの猛禽もうきん類るいおよびノガン、ヒメノガン、イシチドリ、クロハラサケイ、デュボンヒバリ（英語えいご版ばん）などの鳥類ちょうるいが生息せいそくしている^[1]。

バルデナスの大だい部分ぶぶんはアラゴン州しゅう・サラゴサ県けんとの境界きょうかいに近ちかいナバーラ州しゅう南東なんとう部ぶにあり、エブロ川がわが形成けいせいする窪地くぼちの中央ちゅうおう部ぶに位置いちしている。南北なんぼくには45km、東西とうざいには24kmであり、標高ひょうこうは280mから659mの範囲はんいにある。面積めんせきは41,845ヘクタールである。行政ぎょうせい区分くぶんとしては16の自治体じちたいに分わけられ、うち13自治体じちたいがナバーラ州しゅうに、3自治体じちたいがサラゴサ県けんにある。ナバーラ州しゅうの自治体じちたいはバルティエラ（スペイン語ご版ばん）、アルゲダス（スペイン語ご版ばん）、カルカスティーリョ（スペイン語ご版ばん）、サンタカラ（スペイン語ご版ばん）、メリダ（スペイン語ご版ばん）、ラダ（スペイン語ご版ばん）、カパロッソ（スペイン語ご版ばん）、ビリャフランカ（スペイン語ご版ばん）、カドレイタ（スペイン語ご版ばん）、トゥデラ、カバニリャス（スペイン語ご版ばん）、フスティニャーナ（スペイン語ご版ばん）、ブニュエル（スペイン語ご版ばん）であり、サラゴサ県けんの自治体じちたいはタウステ（スペイン語ご版ばん）、エヘア・デ・ロス・カバリェロス（スペイン語ご版ばん）、サダバ（スペイン語ご版ばん）である。バルデナスはいくつかの区域くいきに分わけることができ、主おもに白しろバルデナ（Bardena Blanca）と黒くろバルデナ（Bardena Negra）に分わけられるが、大おおきな特色とくしょくを持もつ他ほかの小しょう地域ちいきに分わけることもある。

1999年ねん公開こうかいの映画えいが『007 ワールド・イズ・ノット・イナフ』に登場とうじょうする「カザフスタンの原子力げんしりょく施設しせつ」の外観がいかんはバルデナス・レアレスで撮影さつえいされた。1999年ねん、主要しゅよう部分ぶぶん（39,274ヘクタール）が自然しぜん公園こうえんに認定にんていされた。2000年ねん11月7日にち、ユネスコの生物せいぶつ圏けん保護ほご区く（ユネスコエコパーク）に登録とうろくされた^[1]。2000年ねん9月がつには映画えいが『ドンキホーテを殺ころした男おとこ』の一部いちぶがバルデナス・レアレスで撮影さつえいされたが、NATOの航空こうくう基地きちが近ちかいため軍用ぐんよう機きの騒音そうおんに悩なやまされたり、鉄砲水てっぽうみずでセットが破壊はかいされるなどのトラブルで撮影さつえい中ちゅうに製作せいさくが中止ちゅうしされた。この様子ようすはロスト・イン・ラ・マンチャとして公開こうかいされた。

区分くぶん

白しろバルデナ

白しろバルデナはバルデナスの中央ちゅうおう部ぶであり、より砂漠さばく化かが進行しんこうしている地域ちいきである。広大こうだいな平原へいげんや河川かせんの流ながれがある深ふかい峡谷きょうこくを特徴とくちょうとしている。白しろバルデナという名称めいしょうは、土壌どじょう中ちゅうの豊富ほうふな石膏せっこう分ぶんに起因きいんして大地だいちの表面ひょうめんに広ひろがる白しろ塩しおの存在そんざいに由来ゆらいする。白しろバルデナは下しも白しろと上白じょうはくの二ふたつの地域ちいきにわけることができる。下した白しろはバルデナス全体ぜんたいでもっとも窪くぼんだ地域ちいきであり、上白じょうはくはピスケーラやエグアラスからカルカスティーリョに伸のびている。

黒くろバルデナ

黒くろバルデナはバルデナスの南東なんとう部ぶであり、ナバーラ州しゅうとアラゴン州しゅうの境界きょうかい付近ふきんに位置いちしている。異ことなる高度こうどの台地だいちで構成こうせいされ、崖がけ下かを流ながれる河川かせんによって台地だいちが分断ぶんだんされている。黒くろバルデナは植生しょくせいで覆おおわれている。

中央ちゅうおう高地こうち

周辺しゅうへん地域ちいきよりも100mほど高たかい中央ちゅうおう高地こうちではトウモロコシが成長せいちょうする。中央ちゅうおう高地こうちは第だい三紀みきと第だい四よん紀きの土壌どじょうによって形成けいせいされ、ピレネー山脈さんみゃくやスペイン中央ちゅうおう部ぶの山脈さんみゃくの形成けいせいにも関連かんれんした圧あつ力りょくによって隆起りゅうきした。中央ちゅうおう高地こうちはエブロ平原へいげんの崩壊ほうかいを引ひき起おこし、カタラナ・コスタル山系さんけいによって囲かこまれた内海うつみを形成けいせいした。堆積たいせき物ぶつは始はじめ新しん世よ以降いこうに浸食しんしょくされ、これらは頂上ちょうじょうに残のこる砂利じゃりや砂岩さがんとなり、粘土ねんどと石灰岩せっかいがんは低ひくい斜面しゃめんを占しめた。また、粘土ねんどは中央ちゅうおう部ぶに残のこり、石灰岩せっかいがんと石膏せっこうが周縁しゅうえん部ぶを形成けいせいした。砂利じゃり、砂岩さがん、粘土ねんどはすべて沖積ちゅうせき堆積たいせき物ぶつとなり、砂岩さがんと粘土ねんどの混合こんごう物ぶつは、中心ちゅうしん部ぶと周縁しゅうえん部ぶの間あいだにふたつの山脈さんみゃくを形成けいせいした。堆積たいせき物ぶつの厚あつみは4mに達たっしている可能かのう性せいがある。1,000万まん年ねん前まえ、南部なんぶの境界きょうかいに沿そって水みずの浸食しんしょくを始はじめたエブロ川がわを残のこして、この盆地ぼんちは地中海ちちゅうかいとつながって水みずが排出はいしゅつされ、これによって比較的ひかくてき平たいらな土地とちが残のこった。浸食しんしょくの折おり畳たたみ効果こうかは柔やわらかい物質ぶっしつと硬かたい物質ぶっしつが交互こうごに重かさなることで引ひき起おこされた。地層ちそうが水平すいへいである場合ばあい、カベサと呼よばれる孤立こりつ丘おかが形成けいせいされる。