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猛禽類 - Wikipedia

猛禽もうきんるい(もうきんるい)は、するどつめくちばしち、動物どうぶつ捕食ほしょく(または腐肉ふにくしょく)する習性しゅうせいのある鳥類ちょうるい総称そうしょう[1]獲物えものつかまえるためのするどつめつかちからつよ(あしゆび)、かぎがたがったくちばしつことが共通きょうつう特徴とくちょうである。 一般いっぱんてき生態せいたいけい頂点ちょうてん位置いちするれいおおいことから、つよさ・はやさ・権力けんりょく高貴こうきさの象徴しょうちょうとして、猛獣もうじゅうなどとともに戦闘せんとうやスポーツカー、シンボルマーク特撮とくさつやアニメのヒーローのモチーフになることがおおい。

ハクトウワシ
フクロウ

定義ていぎ変遷へんせん

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ワシタカハゲワシハヤブサコンドルフクロウ代表だいひょうてきである。これらの猛禽もうきんるいリンネ前後ぜんご時代じだい(17~18世紀せいき)にはわしるいたかるいはやぶさるいおよふくろうるい分類ぶんるいされた。ちなみにリンネはりをするとり単一たんいつ(もく)にまとめ、vulturコンドルハゲワシ)、falcoワシタカハヤブサなど)、strixフクロウ)、laniusモズ)の4ぞくふくめている。このうちまえ2しゃのワシタカるいひるぎょうせい猛禽もうきんるい、フクロウるい夜行やこうせい猛禽もうきんるいともんだ。

上記じょうきのようにこれらはするどつめとくちばしなど共通きょうつう特徴とくちょうつが、形態けいたいてき解剖かいぼうがくてき研究けんきゅうすすむと、これらの外見がいけんじょう類似るいじ表面ひょうめんてきなものであることがあきらかとなり、りという習性しゅうせいもとづく収斂しゅうれん進化しんか結果けっかとみなされるようになった。ワシタカるいとフクロウるいタカフクロウとにけられた。

近年きんねんのDNA分析ぶんせき結果けっかからハヤブサはワシタカるいよりもスズメ+インコ系統けいとうきんえんなことがわかり、タカから分離ぶんりされハヤブサというカテゴリーの猛禽もうきんるいとなった[2]。また、ワシタカるいからだ構造こうぞうではフクロウるいよりもむしろコウノトリるいちか構造こうぞうをもつとされ、1990年代ねんだいDNA分析ぶんせき当初とうしょこれを支持しじするとされたが、2010年代ねんだい以降いこうおこなわれたDNA分析ぶんせきではいずれもコウノトリるいよりもフクロウるいきんえんであることがしめされている。

系統けいとう分類ぶんるい

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以下いかは、猛禽もうきんるいふくむグループであるりく鳥類ちょうるいen:Telluraves)の分子ぶんし系統けいとうじゅ[3]。なお、パーカー(2020)[4]ではタカコンドル系統けいとうのみを「猛禽もうきんるい」としている。

りく鳥類ちょうるい[4]
狭義きょうぎの)猛禽もうきんるい[4]

コンドル Cathartiformes  

タカ Accipitriformes  

Accipitrimorphae

フクロウ Strigiformes  

ブッポウソウ上目うわめ[4]

ネズミドリ Coliiformes

鳥類ちょうるい[4]

オオブッポウソウ Leptosomiformes

キヌバネドリ Trogoniformes

ゲラ・ブッポウソウるい[4]

サイチョウ Bucerotiformes

つよカゲラるい[4]

ブッポウソウ Coraciiformes

キツツキ Piciformes

Picodynastornithes
Picocoraciae
Cavitaves
Coraciimorphae
オーストラリア鳥類ちょうるい[4]

ノガンモドキ Cariamiformes

ハヤブサがたるい[4]

ハヤブサ Falconiformes  

オウム・スズメるい[4]

オウム Psittaciformes

スズメ Passeriformes

Psittacopasserae
Eufalconimorphae
Australaves
Telluraves

生態せいたいてき地位ちい

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猛禽もうきんるい空中くうちゅう生活せいかつとする生物せいぶつなか生態せいたいピラミッド頂点ちょうてんつものである。実際じっさいには獲物えものとして地上ちじょう動物どうぶつねらうこともおおいので、いわゆる肉食にくしょくじゅうともその地位ちいかさなっているが、いずれにせよ、大型おおがた高次こうじ消費しょうひしゃ地位ちいにある。

しかし、このことはかれらがおおくの個体こたいすう維持いじできないことを意味いみする。大型おおがたしゅおおくはひろ縄張なわばりをち、その内部ないぶりをおこなうが、このような生活せいかつ維持いじされるためには自然しぜん条件じょうけん維持いじされた環境かんきょうひろつづいている存在そんざい必要ひつようである。人間にんげん活動かつどう必然ひつぜんてきにこのような条件じょうけんこわし、世界中せかいじゅうおおくの地域ちいき大型おおがた猛禽もうきんるい絶滅ぜつめつ危惧きぐされている。一部いちぶ猛禽もうきん人間にんげん生活せいかつ順応じゅんのうし、なかには都市としりをするれいられている。

ひととのかかわり

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おおきさはしゅにより様々さまざまで、「脊椎動物せきついどうぶつ捕食ほしょくする」とはいえすべてのたね積極せっきょくてきひと家畜かちくおそうといったことはない。しかし一部いちぶでは家畜かちく家禽かきんなどが被害ひがいけ、害鳥がいちょうなされるれいがある。また先述せんじゅつのとおり飼育しいくにおいてひとじょうとうおこなうさいは、そのするどつめくちばしによって危害きがいけるかくりつたかい。

日本にっぽん国内こくないにおいては、動物どうぶつ愛護あいご管理かんりほうによりタカ一部いちぶ特定とくてい動物どうぶつ指定していされている。飼育しいくおこなうにあたってはかく都道府県とどうふけん動物どうぶつ愛護あいご担当たんとう部局ぶきょくからの許可きょか必要ひつようとなる。

鷹狩たかがり

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猛禽もうきんるいらして獲物えものつかまえるりを鷹狩たかがりという。または、鷹匠たかじょうともう。

猛禽もうきんるいは、そのすぐれた飛翔ひしょうりょくや、するどくちばしつめによる攻撃こうげきりょくなど、精悍せいかんなイメージのたれる動物どうぶつ代表だいひょうである。古来こらいよりつよさ・はやさ・権力けんりょく高貴こうきさの象徴しょうちょうとして、様々さまざま紋章もんしょう意匠いしょうとして使つかわれてきた。また、神話しんわ伝説でんせつにおいても重要じゅうよう地位ちいあたえられているれいおおい。

また、その飼育しいくそのものが貴族きぞく趣味しゅみとしてとらえられたこともある。剥製はくせい装飾そうしょくとするれいもある。これらを目的もくてきとした乱獲らんかくは、猛禽もうきんるい各地かくち絶滅ぜつめつ危機ききしきしている理由りゆうのひとつである。

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 鳥類ちょうるいほとんどが肉食にくしょくであることも注意ちゅういさかなかい水生すいせい動物どうぶつ昆虫こんちゅう幼虫ようちゅうとう捕食ほしょくする。むしろ、植物しょくぶつせい食物しょくもつしかとらないほう少数しょうすうである。
  2. ^ “ハヤブサはインコの仲間なかま 意外いがい間柄あいだがら、DNAで判明はんめい. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん. (2013ねん3がつ19にち). https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG19004_Z10C13A3CR0000/ 2022ねん6がつ17にち閲覧えつらん 
  3. ^ Braun, E. L.; Kimball, R. T. (2021). “Data types and the phylogeny of Neoaves”. Birds 2 (1): 1–22. doi:10.3390/birds2010001.
  4. ^ a b c d e f g h i j パーカー, スティーヴ『生物せいぶつ進化しんかだい事典じてん養老ようろう孟司たけし 日本語にほんごばん監修かんしゅう日暮ひぐらし雅道まさみち中川なかがわいずみやく三省堂さんせいどう、2020ねん6がつ9にち、371ぺーじISBN 978-4385162409