亜鉛 あえん –銅 どう カップル (あえん-どうカップル、亜鉛 あえん 銅 どう 偶 、英 えい : Zinc–copper couple )は、有機 ゆうき 合成 ごうせい において試薬 しやく として使用 しよう される銅 どう と亜鉛 あえん の合金 ごうきん である。この「カップル」は、アルケン のシクロプロパン化 か 反応 はんのう において有機 ゆうき 亜鉛 あえん 試薬 しやく の形成 けいせい に必要 ひつよう な亜鉛 あえん の活性 かっせい 化 か された供給 きょうきゅう 源 げん としての応用 おうよう を報告 ほうこく したシモンズとスミスの1959年 ねん の論文 ろんぶん が発表 はっぴょう された後 のち に広 ひろ まった[1] 。亜鉛 あえん –銅 どう カップルは活性 かっせい 化 か された亜鉛 あえん 金属 きんぞく を必要 ひつよう とするその他 た の反応 はんのう における試薬 しやく としても広 ひろ く使用 しよう されてきた。亜鉛 あえん –銅 どう カップルは厳密 げんみつ に規定 きてい された化学 かがく 構造 こうぞう または合金 ごうきん 組成 そせい を指 さ さない。亜鉛 あえん –銅 どう カップルは銅 どう と亜鉛 あえん をいろいろな割合 わりあい で含 ふく む。亜鉛 あえん 含量は典型 てんけい 的 てき に90%を超 こ えるが、亜鉛 あえん と銅 どう を近 ちか い割合 わりあい で含 ふく む合金 ごうきん が使 つか われる場合 ばあい もある。カップルは暗色 あんしょく の粉末 ふんまつ としてしばしば調製 ちょうせい され、基質 きしつ に対 たい してわずかに過剰 かじょう に用 もち いられる前 まえ にエーテル溶媒 ようばい の懸 かか 濁 にご 液 えき とされる。銅 どう による亜鉛 あえん の活性 かっせい 化 か はカップルが働 はたら くために必須 ひっす であるが、この効果 こうか の起源 きげん はしっかりと実証 じっしょう されていない。銅 どう は合金 ごうきん の表面 ひょうめん において亜鉛 あえん の反応 はんのう 性 せい を高 たか めていると推測 すいそく されている[2] 。
亜鉛 あえん –銅 どう カップルは数々 かずかず の手法 しゅほう によって調製 ちょうせい されてきた。これらは主 おも に銅 どう の供給 きょうきゅう 源 げん に違 ちが いがあるが、銅 どう と亜鉛 あえん の比 ひ 、亜鉛 あえん の物理 ぶつり 的 てき 状態 じょうたい (例 たと えば粉末 ふんまつ か顆粒 かりゅう 状 じょう か)、プロトン酸 さん やその他 た の添加 てんか 剤 ざい の使用 しよう 、調製 ちょうせい 温度 おんど も異 こと なっている。ほとんどの場合 ばあい 、カップルは使用 しよう の前 まえ に生成 せいせい 、単 たん 離 はな されるが、貯蔵 ちょぞう の利 き く形態 けいたい の合金 ごうきん の調製 ちょうせい 法 ほう も記述 きじゅつ されている。ほとんどの手法 しゅほう は酸化 さんか 銅 どう 種 しゅ の(過剰 かじょう な)亜鉛 あえん を用 もち いた還元 かんげん を含 ふく む。
亜鉛 あえん –銅 どう カップルの初期 しょき の合成 ごうせい 法 ほう は、500 °Cにおける亜鉛 あえん 末 まつ と酸化 さんか 銅 どう (II) の混合 こんごう 物 ぶつ の水素 すいそ ガス処理 しょり を伴 ともな った[1] 。より便利 べんり で安価 あんか な手法 しゅほう は亜鉛 あえん 粉末 ふんまつ の塩酸 えんさん および硫酸 りゅうさん 銅 どう (II) 処理 しょり によって進行 しんこう する[3] 。熱 ねつ 酢酸 さくさん 中 なか での亜鉛 あえん 粉末 ふんまつ の酢酸 さくさん 銅 どう (II)一 いち 水 みず 和物 あえもの による処理 しょり は再現 さいげん 性 せい が高 たか いと報告 ほうこく されている[4] 。カップルは、還流 かんりゅう エーテル 中 なか での1当 とう 量 りょう の亜鉛 あえん 末 まつ と1等量 とうりょう の塩化 えんか 銅 どう (I) (または銅 どう 粉末 ふんまつ )との反応 はんのう によってin situ で生成 せいせい することもできる[5] 。
手法 しゅほう の選択 せんたく は主 おも に応用 おうよう によって決定 けってい される。より新 あたら しい手法 しゅほう の開発 かいはつ は再現 さいげん 可能 かのう な挙動 きょどう を示 しめ す亜鉛 あえん –銅 どう カップルの必要 ひつよう 性 せい が動機 どうき となっている。
亜鉛 あえん –銅 どう カップルは有機 ゆうき 合成 ごうせい 、特 とく にアルケンのシモンズ–スミスシクロプロパン化 か 反応 はんのう において広 ひろ く使 つか われている。この工程 こうてい において、カップル(通常 つうじょう エーテル溶媒 ようばい 懸 かか 濁 にご 液 えき )はヨウ化 か メチレン と反応 はんのう してヨウ化 か (ヨードメチル)亜鉛 あえん (英語 えいご 版 ばん ) を生成 せいせい し、これがシクロプロパン化 か に必要 ひつよう な中 なか 間 あいだ 体 たい として働 はたら く。
Zn
n
(
Cu
)
+
CH
2
I
2
⟶
IZnCH
2
I
+
Zn
n
−
1
(
Cu
)
{\displaystyle {\ce {{Zn_{\mathit {n}}(Cu)}+CH2I2->{IZnCH2I}+Zn_{{\mathit {n}}-1}(Cu)}}}
カップルは共役 きょうやく 付加 ふか のためのアルキル亜鉛 あえん 試薬 しやく を生成 せいせい するためにも用 もち いられてきた。ここでカップルは脱 だつ ハロゲン化 か 試薬 しやく としてやカルボニル化合 かごう 物 ぶつ の還元 かんげん 的 てき カップリングの促進 そくしん 剤 ざい として、電子 でんし 不足 ふそく アルケン およびアルキン を還元 かんげん するために使 つか われる。超 ちょう 音波 おんぱ 処理 しょり (英語 えいご 版 ばん ) は、亜鉛 あえん –銅 どう カップルが介在 かいざい する1,3-ジエンへのα あるふぁ ,α あるふぁ ’-ジブロモケトン の環 たまき 化 か 付加 ふか の反応 はんのう 速度 そくど を向上 こうじょう するためにも用 もち いられた[6] 。
^ a b Howard H. Simmons, Ronald D. Smith (1959). “A New Synthesis of Cyclopropanes”. J. Am. Chem. Soc. 81 (16): 4256–4264. doi :10.1021/ja01525a036 .
^ Scott D. Rychnovsky, Jay P. Powers (2001). “Zinc/Copper Couple”. Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis . doi :10.1002/047084289X.rz011 . ISBN 0-471-93623-5
^ Howard H. Simmons, Ronald D. Smith (1973). "Norcarane" . Organic Syntheses (英語 えいご ). ; Collective Volume , vol. 5, p. 855
^ Eugene LeGoff (1964). “Cyclopropanes from an Easily Prepared, Highly Active Zinc-Copper Couple, Dibromomethane, and Olefins”. J. Org. Chem. 29 (7): 2048. doi :10.1021/jo01030a529 .
^ Robert J. Rawson, Ian T. Harrison (1970). “A Convenient Procedure for the Methylenation of Olefins to Cyclopropanes”. J. Org. Chem. 35 (6): 2057–2058. doi :10.1021/jo00831a091 .
^ Navalkishore N. Joshi, H. Martin R. Hoffmann (1986). “Ultrasonics in the Metal Promoted Cycloaddition of α あるふぁ ,α あるふぁ ’-dibromo ketones to 1,3-dienes”. Tetrahedron Lett. 27 (6): 687–690. doi :10.1016/S0040-4039(00)84073-3 .