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亜鉛–銅カップル - Wikipedia

亜鉛あえんどうカップル(あえん-どうカップル、亜鉛あえんどうえい: Zinc–copper couple)は、有機ゆうき合成ごうせいにおいて試薬しやくとして使用しようされるどう亜鉛あえん合金ごうきんである。この「カップル」は、アルケンシクロプロパン反応はんのうにおいて有機ゆうき亜鉛あえん試薬しやく形成けいせい必要ひつよう亜鉛あえん活性かっせいされた供給きょうきゅうげんとしての応用おうよう報告ほうこくしたシモンズとスミスの1959ねん論文ろんぶん発表はっぴょうされたのちひろまった[1]亜鉛あえんどうカップルは活性かっせいされた亜鉛あえん金属きんぞく必要ひつようとするその反応はんのうにおける試薬しやくとしてもひろ使用しようされてきた。亜鉛あえんどうカップルは厳密げんみつ規定きていされた化学かがく構造こうぞうまたは合金ごうきん組成そせいさない。亜鉛あえんどうカップルはどう亜鉛あえんをいろいろな割合わりあいふくむ。亜鉛あえん含量は典型てんけいてきに90%をえるが、亜鉛あえんどうちか割合わりあいふく合金ごうきん使つかわれる場合ばあいもある。カップルは暗色あんしょく粉末ふんまつとしてしばしば調製ちょうせいされ、基質きしつたいしてわずかに過剰かじょうもちいられるまえにエーテル溶媒ようばいかかにごえきとされる。どうによる亜鉛あえん活性かっせいはカップルがはたらくために必須ひっすであるが、この効果こうか起源きげんはしっかりと実証じっしょうされていない。どう合金ごうきん表面ひょうめんにおいて亜鉛あえん反応はんのうせいたかめていると推測すいそくされている[2]

亜鉛あえんどうカップル
識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう 53801-63-1, 12019-27-1
PubChem 10290809
特性とくせい
化学かがくしき Zn
外観がいかん あか茶色ちゃいろまたはくら灰色はいいろ粉末ふんまつ
みずへの溶解ようかい 不溶ふよう
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・つねあつ (100 kPa) におけるものである。

合成ごうせい

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亜鉛あえんどうカップルは数々かずかず手法しゅほうによって調製ちょうせいされてきた。これらはおもどう供給きょうきゅうげんちがいがあるが、どう亜鉛あえん亜鉛あえん物理ぶつりてき状態じょうたいたとえば粉末ふんまつ顆粒かりゅうじょうか)、プロトンさんやその添加てんかざい使用しよう調製ちょうせい温度おんどことなっている。ほとんどの場合ばあい、カップルは使用しようまえ生成せいせいたんはなされるが、貯蔵ちょぞう形態けいたい合金ごうきん調製ちょうせいほう記述きじゅつされている。ほとんどの手法しゅほう酸化さんかどうしゅの(過剰かじょうな)亜鉛あえんもちいた還元かんげんふくむ。

亜鉛あえんどうカップルの初期しょき合成ごうせいほうは、500 °Cにおける亜鉛あえんまつ酸化さんかどう(II)混合こんごうぶつ水素すいそガス処理しょりともなった[1]。より便利べんり安価あんか手法しゅほう亜鉛あえん粉末ふんまつ塩酸えんさんおよび硫酸りゅうさんどう(II) 処理しょりによって進行しんこうする[3]ねつ酢酸さくさんなかでの亜鉛あえん粉末ふんまつ酢酸さくさんどう(II)いちみず和物あえものによる処理しょり再現さいげんせいたかいと報告ほうこくされている[4]。カップルは、還流かんりゅうエーテルなかでの1とうりょう亜鉛あえんまつと1等量とうりょう塩化えんかどう(I)(またはどう粉末ふんまつ)との反応はんのうによってin situ生成せいせいすることもできる[5]

手法しゅほう選択せんたくおも応用おうようによって決定けっていされる。よりあたらしい手法しゅほう開発かいはつ再現さいげん可能かのう挙動きょどうしめ亜鉛あえんどうカップルの必要ひつようせい動機どうきとなっている。

応用おうよう

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亜鉛あえんどうカップルは有機ゆうき合成ごうせいとくにアルケンのシモンズ–スミスシクロプロパン反応はんのうにおいてひろ使つかわれている。この工程こうていにおいて、カップル(通常つうじょうエーテル溶媒ようばいかかにごえき)はヨウメチレン反応はんのうしてヨウ(ヨードメチル)亜鉛あえん英語えいごばん生成せいせいし、これがシクロプロパン必要ひつようなかあいだたいとしてはたらく。

 
 

カップルは共役きょうやく付加ふかのためのアルキル亜鉛あえん試薬しやく生成せいせいするためにももちいられてきた。ここでカップルはだつハロゲン試薬しやくとしてやカルボニル化合かごうぶつ還元かんげんてきカップリングの促進そくしんざいとして、電子でんし不足ふそくアルケンおよびアルキン還元かんげんするために使つかわれる。ちょう音波おんぱ処理しょり英語えいごばんは、亜鉛あえんどうカップルが介在かいざいする1,3-ジエンへのαあるふぁ,αあるふぁ’-ジブロモケトンたまき付加ふか反応はんのう速度そくど向上こうじょうするためにももちいられた[6]

 

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b Howard H. Simmons, Ronald D. Smith (1959). “A New Synthesis of Cyclopropanes”. J. Am. Chem. Soc. 81 (16): 4256–4264. doi:10.1021/ja01525a036. 
  2. ^ Scott D. Rychnovsky, Jay P. Powers (2001). “Zinc/Copper Couple”. Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis. doi:10.1002/047084289X.rz011. ISBN 0-471-93623-5 
  3. ^ Howard H. Simmons, Ronald D. Smith (1973). "Norcarane". Organic Syntheses (英語えいご).; Collective Volume, vol. 5, p. 855
  4. ^ Eugene LeGoff (1964). “Cyclopropanes from an Easily Prepared, Highly Active Zinc-Copper Couple, Dibromomethane, and Olefins”. J. Org. Chem. 29 (7): 2048. doi:10.1021/jo01030a529. 
  5. ^ Robert J. Rawson, Ian T. Harrison (1970). “A Convenient Procedure for the Methylenation of Olefins to Cyclopropanes”. J. Org. Chem. 35 (6): 2057–2058. doi:10.1021/jo00831a091. 
  6. ^ Navalkishore N. Joshi, H. Martin R. Hoffmann (1986). “Ultrasonics in the Metal Promoted Cycloaddition of αあるふぁ,αあるふぁ’-dibromo ketones to 1,3-dienes”. Tetrahedron Lett. 27 (6): 687–690. doi:10.1016/S0040-4039(00)84073-3. 

関連かんれん項目こうもく

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