千石せんごく興きょう太郎たろう

千石せんごく興きょう太郎たろう（せんごくこうたろう、1874年ねん（明治めいじ7年ねん）2月がつ7日にち ‐ 1950年ねん（昭和しょうわ25年ねん）8月がつ22日にち）は日本にっぽんの政治せいじ家か、労働ろうどう運動うんどう家か。長ながきにわたり農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあい（農協のうきょう）運動うんどうの第だい一線いっせんで活動かつどうし、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん後ごの「農協のうきょう王国おうこく」の基礎きそを作つくり上あげた^[1]。

生涯しょうがい

東京とうきょう府ふ豊島としま郡ぐん日比谷ひびや（東京とうきょう都と千代田ちよだ区く日比谷ひびや）に生うまれた。1895年ねん（明治めいじ28年ねん）札幌さっぽろ農のう学校がっこう（現在げんざいの北海道大学ほっかいどうだいがく農学部のうがくぶ）を卒業そつぎょう^[1]。同期どうきに、北大ほくだい総長そうちょうの高岡たかおか熊くま雄ゆう、満まん鉄てつ副ふく総裁そうさいの大村おおむら卓たく一いちがいる。農のう学校がっこうの英語えいご教員きょういん^[1]、農のう商務省しょうむしょうの官僚かんりょう^[1]などを経へて、農のう会かい技師ぎしとして農村のうそんの指導しどうをおこなう一方いっぽう、島根しまね県けん農のう会かい技師ぎし・幹事かんじとして大だい日本にっぽん産業さんぎょう組合くみあい中央ちゅうおう会かい島根しまね支ささえ会かい理事りじを兼任けんにん、初はじめて協同きょうどう組合くみあい運動うんどうに携たずさわっている。島根しまねから南洋なんよう庁ちょうに転任てんにんする内務ないむ部長ぶちょうに自みずから志願しがんして同行どうこうし同庁どうちょうの技官ぎかんとなる^[2]。 1920年ねん（大正たいしょう9年ねん）、産業さんぎょう組合くみあい中央ちゅうおう会かい主事しゅじに就任しゅうにん^[1]し、農業のうぎょう協同きょうどう組合くみあいにつながる活動かつどうに参加さんかした（1939年ねん（昭和しょうわ14年ねん）、会頭かいとうに就任しゅうにん）。

1923年ねん（大正たいしょう12年ねん）に全国ぜんこく購買こうばい組合くみあい連合れんごう会かい（全ぜん購連）が創立そうりつされると専務せんむ理事りじに就任しゅうにん、自みずから運営うんえいに当あたり、1941年ねん（昭和しょうわ16年ねん）名誉めいよ会長かいちょうに推おされるまで会長かいちょう代理だいり・会長かいちょうとして指導しどう事業じぎょうと購買こうばい事業じぎょうの発展はってんに尽つくしたほか、産業さんぎょう組合くみあい中央金庫ちゅうおうきんこの設立せつりつにも尽力じんりょくした。1925年ねん（大正たいしょう14年ねん）、産業さんぎょう組合くみあい法ほう公布こうふ25周年しゅうねんの記念きねん事業じぎょうとして『家いえの光ひかり』を発刊はっかん^[1]。1927年ねん（昭和しょうわ2年ねん）、大だい日本にっぽん生糸きいと販売はんばい組合くみあい連合れんごう会かいの設立せつりつに際さいし常任じょうにん相談役そうだんやく（のち会長かいちょう）に就任しゅうにんした。1931年ねん（昭和しょうわ6年ねん）、全国ぜんこく米穀べいこく販売はんばい購買こうばい組合くみあい連合れんごう会かい（全ぜん販連）の設立せつりつに努つとめ、常任じょうにん相談役そうだんやくとして経営けいえいに参画さんかくし、1937年ねん（昭和しょうわ12年ねん）に会長かいちょうに就任しゅうにんした。このほか、大だい日本にっぽん柑橘かんきつ販売はんばい組合くみあい連合れんごう会かい会長かいちょうに就任しゅうにんし、同どう会かいを全ぜん販連に合併がっぺいするなど販売はんばい事業じぎょうでも貢献こうけんし、信用しんよう部門ぶもんを除のぞくほとんど全すべての分野ぶんやで最高さいこう責任せきにん者しゃとして活動かつどうし、産さん組ぐみ独裁どくさい王おうと呼よばれ人気にんきを博はくした^[2]。同年どうねん、家いえの光ひかりに「暴戻ぼうれい極きわまる支ささえ那なを膺懲ようちょうすべし」という主張しゅちょうを寄稿きこうした。^[3]

農業のうぎょう者しゃの政治せいじ力りょくを結集けっしゅうして国政こくせいに反映はんえいさせるため、全国ぜんこく農村のうそん産業さんぎょう組合くみあい協会きょうかいを設立せつりつ、産業さんぎょう組合くみあい青年せいねん連盟れんめいを組織そしきして、組合くみあい運動うんどうに新風しんぷうを送おくったことなどが注目ちゅうもくされ、1938年ねん（昭和しょうわ13年ねん）12月9日にち、貴族きぞく院いん議員ぎいんに勅みことのり選せんされ^[4]（1946年ねん2月がつ23日にちまで在任ざいにん^[5]）、1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）東ひがし久邇くに宮内くない閣かくの農のう商しょう大臣だいじん、次ついで農林のうりん大臣だいじんを短期間たんきかんつとめた。また、日本にっぽん協同きょうどう党とうの結成けっせいにも参加さんかしている^[1]。翌よく1946年ねん（昭和しょうわ21年ねん）公職こうしょく追放ついほうとなる^[6]。1950年ねん（昭和しょうわ25年ねん）8月がつ22日にち死去しきょ。

性格せいかくは生来せいらいの明朗めいろう快活かいかつで、関連かんれん誌しに執筆しっぴつ・講演こうえんなどが多おおく行いった。

著書ちょしょ

『産業さんぎょう組合くみあいの諸しょ問題もんだい』日本にっぽん評論ひょうろん社しゃ、1933年ねん
『産業さんぎょう組合くみあいの陣営じんえいより』高こう陽ひ書院しょいん、1935年ねん
- 新版しんぱん『協同きょうどう組合くみあいの名著めいちょ　第だい9巻かん』家かの光ひかり協会きょうかい、1971年ねん
『我わが農村のうそん建設けんせつ』産業さんぎょう組合くみあい実務じつむ研究けんきゅう会かい、1940年ねん。他たに冊子さっし多数たすう発行はっこう

伝記でんき

『千石せんごく興きょう太郎たろう』協同きょうどう組合くみあい懇話こんわ会かい千石興太郎編纂委員会編へん、1954年ねん
竹森たけもり一男かずお『千石せんごく興きょう太郎たろう―農協のうきょうの始祖しそ』都市とし問題もんだい調査ちょうさ会かい、1971年ねん。復刻ふっこく：大空おおぞら社しゃ、2000年ねん

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g 『昭和しょうわ史し事典じてん』毎日新聞社まいにちしんぶんしゃ〈別冊べっさつ1億おく人にんの昭和しょうわ史し〉、1980年ねん5月がつ、197頁ぺーじ。
^ ^a ^b 『産業さんぎょう組合くみあい独裁どくさい王おう千せん石せき興きょう太郎たろうを裸はだかにする』今日きょうの問題もんだい社しゃ、1937年ねん。
^ 『家いえの光ひかり』、産業さんぎょう組合くみあい中央ちゅうおう会かい、1937年ねん10月がつ1日にち、p42
^ 『貴族きぞく院いん要覧ようらん（丙へい）』昭和しょうわ21年ねん12月がつ増ぞう訂てい、46頁ぺーじ。
^ 『貴族きぞく院いん要覧ようらん（丙へい）』昭和しょうわ21年ねん12月がつ増ぞう訂てい、54頁ぺーじ。
^ 『朝日新聞あさひしんぶん』1946年ねん2月がつ10日とおか一いち面めん。