千葉銀行ちばぎんこうレインボー事件じけん

千葉銀行ちばぎんこうレインボー事件じけん（ちばぎんこうレインボーじけん）とは、1958年ねん（昭和しょうわ33年ねん）に東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶが摘発てきはつした不正ふせい融資ゆうし事件じけんの総称そうしょう。

事件じけん概要がいよう

古こ荘そう四よん郎ろう彦（1955年ねん）

東京とうきょう・銀座ぎんざでレストラン「レインボー」を営いとなむ女おんな社長しゃちょうである坂内ばんないミノブが、千葉銀行ちばぎんこうの頭取とうどりを務つとめていた古こ荘そう四よん郎ろう彦と知遇ちぐうを得えたことをきっかけとして、古こ荘そうが1950年ねん（昭和しょうわ25年ねん）頃ごろより、坂内ばんないの頼たのみによりレインボーなど坂内ばんない関連かんれん企業きぎょうに対たいして、1955年ねん（昭和しょうわ30年ねん）初頭しょとう頃ごろまでに、総額そうがく6億おく1千せん万まん円えんに達たっする融資ゆうしを行おこない、大蔵省おおくらしょうより警告けいこくを受うけたにも拘かかわらず、不当ふとうに低ひくい担保たんぽで4億おく4千せん万まん円えんの融資ゆうしを焦こげ付つかせた。

さらに、坂内ばんないが関係かんけいした会社かいしゃの資本しほん金きんを5千せん万まん円えんから、1億おく円えんに増資ぞうしする際さいに、古こ荘そうと共謀きょうぼうし5千せん万まん円えんの払はらい込こみがあったかのようにみせかけるため、千葉銀行ちばぎんこう東京とうきょう支店してん（現げん・東京とうきょう営業えいぎょう部ぶ）から保管ほかん金きん証明しょうめいをもらい、1956年ねん（昭和しょうわ31年ねん）5月がつ法務局ほうむきょくに対たいし虚偽きょぎの登記とうきを行おこなったことが、商法しょうほう違反いはん（特別とくべつ背任はいにん）と公正こうせい証書しょうしょ原本げんぽん不実ふじつ記載きさいに問とわれ古こ荘そう、坂内さかうちらが東京とうきょう地検ちけん特捜とくそう部ぶから逮捕たいほ、起訴きそされた。

裁判さいばん

第だい一いち審しんである東京とうきょう地裁ちさいは1961年ねん（昭和しょうわ36年ねん）4月がつ、古こ荘そうに対たいし懲役ちょうえき3年ねん、執行しっこう猶予ゆうよ3年ねん。坂内ばんないに対たいし、懲役ちょうえき3年ねんの実刑じっけい判決はんけつを下くだした。この判決はんけつに対たいして、坂内ばんないのみが不服ふふくとして控訴こうそしたため、古こ荘そうの判決はんけつは確定かくていした。

第だい二に審しんである東京とうきょう高裁こうさいは、1963年ねん（昭和しょうわ38年ねん）11月、坂内ばんないに対たいして一いち審しん判決はんけつを破棄はきし、無罪むざいをい渡いわたした。これに対たいして、検察けんさつ側がわが二に審しん判決はんけつは、共犯きょうはん理論りろんについて特異とくいな見解けんかいを示しめしており、大審院だいしんいん判例はんれい等ひとしにも反はんしているとして最高裁さいこうさいに上告じょうこくした。

最高さいこう裁判所さいばんしょは、1965年ねん（昭和しょうわ40年ねん）3月16日にち、検察けんさつ側がわの上告じょうこくを棄却ききゃくする判決はんけつを下くだしたため、坂内ばんないの無罪むざいが確定かくていした。

坂内ばんないミノブ

1910年ねんに新潟にいがたの資産しさん家かの末すえ娘むすめとして生うまれ、前橋まえばし高等こうとう女学校じょがっこうを卒業そつぎょう後ご、群馬ぐんま県けん伊勢崎いせざき市しの吉田よしだ印刷いんさつ経営けいえい者しゃ・吉田よしだ庄蔵しょうぞうと21歳さいで結婚けっこんして二男じなん一いち女じょを儲もうけたが、1941年ねんごろ子こを連つれて別居べっきょ（1950年ねん離婚りこん）、吉田よしだ印刷いんさつを引ひき継つぎ、軍需ぐんじゅで大儲おおもうけし、のちに三信さんしん印刷いんさつと改称かいしょうして東京とうきょう都と文京ぶんきょう区く真砂まさご町まちで経営けいえいした。1946年ねんに長男ちょうなん名義めいぎで子爵ししゃく牧野まきの貞さだ亮あきらから芝しば伊い皿さら子こ町まちの豪邸ごうていを購入こうにゅうして移うつり住すみ、情夫じょうふと同棲どうせい、また、雑誌ざっし『女性じょせい線せん』（1946年ねん1月がつ創刊そうかん）、『潮流ちょうりゅう』を6年ねんほど刊行かんこうした。1948年ねん、中央ちゅうおう区く銀座ぎんざ西にし六ろく丁目ちょうめに、婦人ふじん子供こども服ふくの仕立したて、装身具そうしんぐ、食料しょくりょう品ひん、美術びじゅつ工芸こうげい品ひんの販売はんばい、喫茶きっさ（のちレストラン）など7種しゅを業務ぎょうむ内容ないようとする株式会社かぶしきがいしゃレインボーを設立せつりつ、1949年ねん、同所どうしょ（のち真砂まさご町まちに移転いてん）に東京とうきょう三信さんしん物産ぶっさん株式会社かぶしきがいしゃを設立せつりつ（三信さんしんは自身じしんの名な・ミノブに因ちなむ）、1950年ねんには銀座ぎんざ四よん丁目ちょうめに三信さんしん繊維せんい株式会社かぶしきがいしゃを設立せつりつ、1952年ねん、同所どうしょに東ひがし信しん貿易ぼうえき株式会社かぶしきがいしゃと株式会社かぶしきがいしゃ三信さんしん会館かいかんを設立せつりつ、1955年ねん、千代田ちよだ区く平河ひらかわ町まち二に丁目ちょうめに東京とうきょう証券しょうけん金融きんゆう株式会社かぶしきがいしゃを設立せつりつし、全ぜん会社かいしゃの業務ぎょうむを統轄とうかつ経営けいえいしていた（東あずま信しん貿易ぼうえきと東京とうきょう証券しょうけん金融きんゆうのみ代表だいひょうに斉藤さいとう太郎たろう）。1955年ねんにはわかもと製薬せいやく創業そうぎょう者しゃの長尾ながおよねから桜新さくらしん町まちの豪邸ごうていを購入こうにゅうしていた。

事件じけん後ごの千葉銀行ちばぎんこう

この事件じけんの発覚はっかく後ご、「千葉銀行ちばぎんこう問題もんだい」として国会こっかいでも取とり上あげられ、古こ荘そうが参考さんこう人じんとして招致しょうちされるなどしたため、千葉銀行ちばぎんこうの信用しんようは大おおきく失墜しっつい。20億おく円えん（当時とうじの総そう預金よきん残高ざんだかの5％に相当そうとう）の預金よきん流出りゅうしゅつを招まねき、事件じけん前まえ地方銀行ちほうぎんこう預金よきん量りょう順位じゅんいで65行ぎょう中ちゅう11位いだったのが事件じけん後ご21位いにまで転落てんらくした他ほか、大蔵省おおくらしょうから決算けっさん承認しょうにん銀行ぎんこうに指定していされるなど、1960年ねん（昭和しょうわ35年ねん）代だい半なかばまで業績ぎょうせきは低迷ていめいした。更さらに参考さんこう人じん招致しょうちと前後ぜんごして古こ荘そうが頭取とうどりを辞任じにん、1958年ねん（昭和しょうわ33年ねん）5月がつの株主かぶぬし総会そうかいで大半たいはんの役員やくいんも退任たいにんする事態じたいとなり、大蔵省おおくらしょうや日本銀行にっぽんぎんこうから頭取とうどりや取締役とりしまりやくを迎むかえざる得えなくなった。特とくに第だい二に代だいから第だい五ご代だいまでの頭取とうどりは、実じつに約やく50年間ねんかんにわたって日銀にちぎん出身しゅっしん者しゃが頭取とうどりを歴任れきにんするも、1997年ねん（平成へいせい9年ねん）にプロパーである早川はやかわ恒雄つねおが就任しゅうにんして以来いらい、今日きょうまで内部ないぶ出身しゅっしん者しゃが頭取とうどりに昇格しょうかくしている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 朝日新聞あさひしんぶん 1958年ねん3月がつ24日にち、3月26日にち、4月がつ13日にち、4月がつ16日にち、1965年ねん3月がつ16日にち
• 千葉銀行ちばぎんこう史し 1975年ねん　

関連かんれん書しょ

• 『金権きんけん魔ま者しゃ』森脇もりわき将すすむ光こう、森脇もりわき文庫ぶんこ、1958年ねん

外部がいぶリンク

• 国会こっかい会議かいぎ録ろく　第だい28回かい国会こっかい 大蔵おおくら委員いいん会かい 第だい33号ごう 昭和しょうわ33年ねん4月がつ15日にち - 森脇もりわき将すすむ光こう証言しょうげん　
• 国会こっかい会議かいぎ録ろく　第だい28回かい国会こっかい 大蔵おおくら委員いいん会かい 第だい34号ごう 昭和しょうわ33年ねん4月がつ16日にち - 横よこ銭せん重吉しげよし、古こ荘そう四よん郎ろう彦発言はつげん