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反水素 - Wikipedia

はん水素すいそ

原子げんし番号ばんごう−1の元素げんそ

はん水素すいそ(はんすいそ、Antihydrogen)は、はん物質ぶっしつ構成こうせいされる元素げんそ一種いっしゅ

はん水素すいそいちはん陽子ようしいち陽電子ようでんしによって構成こうせいされる

元素げんそ記号きごうH水素すいそ元素げんそ記号きごうHのうえせんく。みは「エイチ・バー」)。原子げんし番号ばんごうは-1。

1932ねん宇宙うちゅうせん研究けんきゅうをしていたカール・アンダーソンにより、せい電荷でんか電子でんし陽電子ようでんし発見はっけんされる。

1955ねんエミリオ・セグレオーウェン・チェンバレンにより、粒子りゅうし加速器かそくき「ベヴァトロン」をもちいてはん陽子ようしすなわはん水素すいそ原子核げんしかく発見はっけん。この実験じっけんでははん中性子ちゅうせいし発見はっけんされていた。

1995ねん欧州おうしゅう原子核げんしかく研究けんきゅう機構きこう (CERN) とドイツ研究けんきゅうチームにおいてはん陽子ようしまわりを陽電子ようでんしまわはん水素すいそ生成せいせいされたことかり、翌年よくねん1がつ発表はっぴょう

2002ねん東京大学とうきょうだいがく早野はやのりゅうふくむCERNの国際こくさい研究けんきゅうチームは、はん水素すいそ原子げんし大量たいりょう合成ごうせいやく20あいだで5まん原子げんし程度ていど)を報告ほうこくした[1]

2011ねん東京とうきょう大学だいがく理化学研究所りかがくけんきゅうしょ参加さんかした上記じょうき国際こくさい研究けんきゅうチームが、世界せかい最長さいちょうの16ふん40びょう以上いじょう(1000秒間びょうかん以上いじょう)にわたってはん水素すいそ原子げんしじこめることに成功せいこうした。[2]

2016ねん、CERNのAntihydrogen Laser Physics Apparatus (ALPHA) 実験じっけんは、はん水素すいそエネルギーじゅん1S-2Sあいだ分光ぶんこうスペクトル観測かんそく成功せいこうした。243ナノメートル (nm) のレーザーからの2つの光子こうしによってはん水素すいそ励起れいきのち放出ほうしゅつした蛍光けいこうスペクトルの結果けっかは、どう条件じょうけんでの水素すいそ同様どうようのスペクトルであることをしめした。この結果けっかCPT対称たいしょうせい原則げんそく裏付うらづける結果けっかとなっている[3]

2020ねん、CERNはALPHA実験じっけんによってさらにはん水素すいその1S-2Pあいだ分光ぶんこうスペクトルの観測かんそくにも成功せいこうした。厳密げんみつにはこの測定そくていで1Sc-2P、1Sd-2P、1Sc-2P、1Sd-2Pあいだ遷移せんい測定そくていしており、はん水素すいそしゅ量子りょうしすうn=2、ゼロ磁場じばにおける微細びさい構造こうぞうラムシフト検出けんしゅつ推測すいそく成功せいこうしている。この実験じっけん結果けっか水素すいそのスペクトルと一致いっちしており、CPT対称たいしょうせい確認かくにんされた。[4]

製法せいほう

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通常つうじょう水素すいそ電子でんし陽子ようしかく1個いっこから構成こうせいされるのにたいし、はん水素すいそ陽電子ようでんしはん陽子ようしかく1個いっこから構成こうせいされる。陽電子ようでんしはん陽子ようし通常つうじょう加速器かそくきもちいて比較的ひかくてきたかいエネルギーの粒子りゅうしとして生成せいせいされるので、それらを冷却れいきゃくする、すなわち、原子げんし冷却れいきゃく技術ぎじゅつなどをもちいて粒子りゅうし運動うんどうエネルギーをすうじゅうケルビンねつ運動うんどうレベル以下いかとす必要ひつようがある。

また、生成せいせいさい粒子りゅうし反応はんのうしてしまうため、こう真空しんくうちゅう磁気じきトラップ容器ようきうち陽電子ようでんしはん陽子ようし混合こんごうする。磁場じばにトラップされるのは陽電子ようでんしスピンへんごくした1Sc,1Sd状態じょうたいはん水素すいそ原子げんしのみである。[4]

はん水素すいそ同位どういたい

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はん水素すいそ (1H) 以外いがいには、はん重水素じゅうすいそDまた2H)とはんさん重水素じゅうすいそTまた3H)がそれぞれ合成ごうせいされている。ただし、これらは原子核げんしかくのみであり、陽電子ようでんし原子核げんしかくまわっている状態じょうたいではないので「はん原子げんし」とはえない。

参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ Amoretti, M. et al. (2002). “Production and detection of cold antihydrogen atoms.Nature 419: 456-459. doi:10.1038/nature01096.
  2. ^ はん物質ぶっしつ」16ふんめ、宇宙うちゅうなぞ解明かいめいいち”. YOMIURI ONLINE (2011ねん6がつ6にち). 2011ねん6がつ8にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2011ねん6がつ6にち閲覧えつらん
  3. ^ Observation of the 1S-2S transition in trapped antihydrogen (Nature)
  4. ^ a b Ahmadi, M.; Alves, B. X. R.; Baker, C. J.; Bertsche, W.; Capra, A.; Carruth, C.; Cesar, C. L.; Charlton, M. et al. (2020-02). “Investigation of the fine structure of antihydrogen” (英語えいご). Nature 578 (7795): 375-380. doi:10.1038/s41586-020-2006-5. ISSN 1476-4687. https://www.nature.com/articles/s41586-020-2006-5. 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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