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巨星 - Wikipedia

巨星きょせい[1](きょせい、giant star[1])とは、おな表面ひょうめん温度おんどしゅ系列けいれつぼしよりも半径はんけいおよびあかるさが非常ひじょうおおきい恒星こうせいのことである。[2] 典型てんけいてきには、巨星きょせい半径はんけい太陽たいようの10ばいから100ばいあかるさは10ばいから1000ばいである。巨星きょせいよりあかるい恒星こうせいは、ちょう巨星きょせいごくちょう巨星きょせいばれる[3][4]高温こうおんあかるいしゅ系列けいれつぼし巨星きょせいばれることがある[5]が、それをのぞけば、巨星きょせいヘルツシュプルング・ラッセル(HRじょうしゅ系列けいれつぼしスペクトル分類ぶんるいにおける光度こうど階級かいきゅうV)より上方かみがたおおきくあかるい)に存在そんざいし、その光度こうど階級かいきゅうIIあるいはIII相当そうとうする[6]

太陽たいようクラスのほしひだり)と赤色あかいろ巨星きょせい内部ないぶ構造こうぞうESO image.

形成けいせい

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恒星こうせいは、その中心ちゅうしん部分ぶぶんかく融合ゆうごう反応はんのう使つかえるすべての水素すいそ使つかいつくしたのちしゅ系列けいれつはなれ、巨星きょせいとなる[6]初期しょき質量しつりょう太陽たいよう質量しつりょうのおよそ0.25ばい以下いか恒星こうせい巨星きょせいには進化しんかしない。そのような低質ていしつりょう恒星こうせいは、その一生いっしょうのほとんどの期間きかんにおいて内部ないぶ対流たいりゅうでかきまぜられており、現在げんざい宇宙うちゅう年齢ねんれいよりもはるかにながい1ちょうねん以上いじょうわたって水素すいそかく融合ゆうごう反応はんのうつづけることができる。しかし最終さいしゅうてきには、恒星こうせい中心ちゅうしん対流たいりゅうよりも放射ほうしゃでエネルギーを輸送ゆそうするようになるため、中心ちゅうしんではかく融合ゆうごう原料げんりょうである水素すいそ使つかくし、中心ちゅうしんかくからじょう部分ぶぶん水素すいそかく融合ゆうごう反応はんのうつづく。(0.16太陽たいよう質量しつりょうよりもおも恒星こうせいであればこの段階だんかい膨張ぼうちょうはじめるが、それほどおおきくはならない。)その中心ちゅうしんへの水素すいそ供給きょうきゅう完全かんぜんたれ、その恒星こうせいヘリウム白色はくしょく矮星となる[7]

恒星こうせい質量しつりょう太陽たいよう質量しつりょうの0.25ばいよりもおおきい場合ばあい中心ちゅうしんでのかく融合ゆうごう使つかわれる水素すいそ使つかいつくしたのちには、中心ちゅうしん収縮しゅうしゅくはじめる。水素すいそかく融合ゆうごう反応はんのうはヘリウムに中心ちゅうしん周囲しゅういからのような部分ぶぶんすすつづけ、その外側そとがわ膨張ぼうちょう温度おんど低下ていかする。恒星こうせい進化しんかのこの段階だんかいは、HR図上ずじょうじゅん巨星きょせいばれるところにあたり、恒星こうせい光度こうど一定いっていのまま実効じっこう温度おんど低下ていかする。最終さいしゅうてきには恒星こうせいはHR図上ずじょう巨星きょせいぶんえだ沿ってのぼはじめる。このとき恒星こうせい赤色あかいろ巨星きょせいばれる段階だんかいであり、表面ひょうめん温度おんどはほぼ一定いっていであるものの光度こうど半径はんけい劇的げきてき増加ぞうかする。恒星こうせい中心ちゅうしん収縮しゅうしゅくつづけ、中心ちゅうしん温度おんど上昇じょうしょうする[8], § 5.9.

しゅ系列けいれつぼし段階だんかいでの恒星こうせい質量しつりょうがおよそ0.5太陽たいよう質量しつりょう以下いか場合ばあい中心ちゅうしん温度おんどはヘリウムのかく融合ゆうごう反応はんのう必要ひつよう温度おんどにはたっしないとかんがえられている[9], p. 169.。したがって、水素すいそかく融合ゆうごう反応はんのうきている赤色あかいろ巨星きょせいのまま進化しんかし、その白色はくしょく矮星となる[8], § 4.1, 6.1.

恒星こうせいがそれよりおも場合ばあいには中心ちゅうしん温度おんどが1おくたっし、ヘリウムがかく融合ゆうごう反応はんのうこして炭素たんそ酸素さんそつくトリプルアルファ反応はんのう進行しんこうする[8],§ 5.9, chapter 6.。この反応はんのうによってしょうじるねつによって恒星こうせい中心ちゅうしんかく膨張ぼうちょうする。これにより、水素すいそかく融合ゆうごう反応はんのうきていた中心ちゅうしんかく外側そとがわでは圧力あつりょくがり、エネルギー生成せいせい効率こうりつ減少げんしょうする。これによって恒星こうせい光度こうど減少げんしょうするとともに恒星こうせい外側そとがわ収縮しゅうしゅくし、HR図上ずじょうでは巨星きょせいぶんえだはなれる[10]。その進化しんかは、恒星こうせい質量しつりょう依存いぞんする。非常ひじょうだい質量しつりょうほしでなければ、HR図上ずじょう水平すいへいぶんえだへと移行いこうする[8], chapter 6.。もし恒星こうせい太陽たいよう質量しつりょうの8ばいよりもかるければ、中心ちゅうしんのヘリウムを使つかづくしたのちはその中心ちゅうしんかく周囲しゅういでヘリウムのかく融合ゆうごう反応はんのうつづく。このときふたた恒星こうせい光度こうど上昇じょうしょうし、漸近ぜんきん巨星きょせいぶんえだぼしとなってHR図上ずじょう漸近ぜんきん巨星きょせいぶんえだのぼっていく。恒星こうせいがその質量しつりょうだい部分ぶぶん放出ほうしゅつしたのち、その中心ちゅうしん炭素たんそ酸素さんそからなる白色はくしょく矮星となる[8], § 7.1–7.4.

炭素たんそかく融合ゆうごう反応はんのう可能かのうになるほどおもほし場合ばあい(およそ太陽たいよう質量しつりょうの8ばい以上いじょう[8], p. 189、その進化しんか過程かていおおきくことなる。恒星こうせい光度こうどしゅ系列けいれつはなれたのちおおきくは増加ぞうかせず、いろあかくなる。これらのほし赤色あかいろちょう巨星きょせいとなるか、あるいは恒星こうせいふうによる質量しつりょう喪失そうしつによって青色あおいろちょう巨星きょせいとなる[11], pp. 33–35;  [3]最終さいしゅうてきに、これらのほし酸素さんそネオンからなる白色はくしょく矮星になるか、あるいは重力じゅうりょく崩壊ほうかいがた超新星ちょうしんせい中性子星ちゅうせいしせいブラックホールになる[8], § 7.4.4–7.8.

巨星きょせいれい

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よくられた巨星きょせいには以下いかのものがある。

てんじて、偉人いじん比喩ひゆとしてももちいられることがあり、そういった人物じんぶつ死亡しぼうを「巨星きょせい墜(お)つ」と表現ひょうげんすることがある。

出典しゅってん

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  1. ^ a b 『シリーズ現代げんだい天文学てんもんがく別巻べっかん 天文学てんもんがく辞典じてん』(だいIばんだいIすり日本にっぽん評論ひょうろんしゃ、88ぺーじぺーじISBN 978-4-535-60738-5 
  2. ^ Giant star, entry in Astronomy Encyclopedia, ed. Patrick Moore, New York: Oxford University Press, 2002. ISBN 0-19-521833-7.
  3. ^ a b supergiant, entry in The Encyclopedia of Astrobiology, Astronomy, and Spaceflight, David Darling, on line, accessed May 15, 2007.
  4. ^ hypergiant, entry in The Encyclopedia of Astrobiology, Astronomy, and Spaceflight, David Darling, on line, accessed May 15, 2007.
  5. ^ Giant star, entry in Cambridge Dictionary of Astronomy, Jacqueline Mitton, Cambridge: Cambridge University Press, 2001. ISBN 0-521-80045-5.
  6. ^ a b giant, entry in The Facts on File Dictionary of Astronomy, ed. John Daintith and William Gould, New York: Facts On File, Inc., 5th ed., 2006. ISBN 0-8160-5998-5.
  7. ^ The End of the Main Sequence, Gregory Laughlin, Peter Bodenheimer, and Fred C. Adams, The Astrophysical Journal, 482 (June 10, 1997), pp. 420–432. Bibcode1997ApJ...482..420L . doi:10.1086/304125.
  8. ^ a b c d e f g Evolution of Stars and Stellar Populations, Maurizio Salaris and Santi Cassisi, Chichester, UK: John Wiley & Sons, Ltd., 2005. ISBN 0-470-09219-X.
  9. ^ Structure and Evolution of White Dwarfs, S. O. Kepler and P. A. Bradley, Baltic Astronomy 4, pp. 166–220.
  10. ^ Giants and Post-Giants, class notes, Robin Ciardullo, Astronomy 534, Penn State University.
  11. ^ Blowing Bubbles in the Cosmos: Astronomical Winds, Jets, and Explosions, T. W. Hartquist, J. E. Dyson, and D. P. Ruffle, New York: Oxford University Press, 2004. ISBN 0-19-513054-5.
  12. ^ Alcyone, entry in SIMBAD, accessed May 16, 2007.
  13. ^ Alcyone at Jim Kaler's STARS, accessed on line May 16, 2007.
  14. ^ Thuban, entry in SIMBAD, accessed May 16, 2007.
  15. ^ Sigma Octantis, entry in SIMBAD, accessed May 16, 2007.
  16. ^ αあるふぁ Aurigae Aa, entry in SIMBAD, accessed May 16, 2007.
  17. ^ Pollux, entry in SIMBAD, accessed May 16, 2007.
  18. ^ Mira, entry in SIMBAD, accessed May 16, 2007.

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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