政令せいれい

プロジェクト日本にっぽんの法令ほうれい

政令せいれい（せいれい）とは、日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい73条じょう第だい6号ごうに基もとづいて内閣ないかくが制定せいていする命令めいれいである。法ほう源げんの一種いっしゅ。

政令せいれいは、行政ぎょうせい機関きかんが制定せいていする命令めいれいの中なかでは最もっとも優先ゆうせん的てきな効力こうりょくを有ゆうする。

種別しゅべつ

憲法けんぽう・法律ほうりつの規定きていを実施じっしするために制定せいていされた執行しっこう命令めいれいに分類ぶんるいされる政令せいれいと、法律ほうりつの委任いにんに基もとづいて制定せいていされる委任いにん命令めいれいに分類ぶんるいされる政令せいれい（日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい73条じょう第だい6号ごうただし書しょ、内閣ないかく法ほう第だい11条じょう参照さんしょう）がある。独立どくりつ命令めいれいは認みとめられない。

題名だいめい

政令せいれいには特定とくていの法律ほうりつから委任いにんされた規定きてい及および特定とくていの法律ほうりつを施行しこうするのに必要ひつような規定きていをまとめて制定せいていしたものが多おおくあり、そのような政令せいれいはその法律ほうりつの題名だいめいを用もちいて「○○法ほう施行しこう令れい」のように命名めいめいされることが多おおい。国くにの機関きかんの設置せっち法ほうの施行しこう令れいは「○○省しょう組織そしき令れい」のような名称めいしょうを持もつことが多おおい。

効力こうりょく

効力こうりょくの優劣ゆうれつ関係かんけい

政令せいれいと他たの法ほう形式けいしきの優劣ゆうれつ関係かんけいは次つぎの通とおりである。

法律ほうりつ > 政令せいれい > 内閣ないかく官房かんぼう令れい・内閣ないかく府ふ令れい・復興ふっこう庁ちょう令れい・省令しょうれい・外局がいきょくの規則きそく（規則きそく・庁ちょう令れい）

最高さいこう裁判所さいばんしょ規則きそく・議院ぎいん規則きそく・条例じょうれいは概おおむね政令せいれいと同等どうとうの優劣ゆうれつ関係かんけいにあるとされるが、争あらそいもある。

例れい

効力こうりょくの制限せいげん

日本国にっぽんこく憲法けんぽうは、国会こっかいを唯一ゆいいつの立法りっぽう機関きかんとすることを建前たてまえとしているため、大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽう下かの独立どくりつ命令めいれいのような政令せいれいの制定せいていは認みとめられない（憲法けんぽう第だい41条じょう）。なお、位階いかい令れい（大正たいしょう15年ねん勅みことのり令れい第だい325号ごう）、勲章くんしょう制定せいていノ件けん（明治めいじ8年ねん太政官だじょうかん布告ふこく第だい54号ごう）のように、旧きゅう憲法けんぽう下かの独立どくりつ命令めいれいがそのまま有効ゆうこうなものとして政令せいれいとしての効力こうりょくを与あたえられている例れいはある。これについては、日本国にっぽんこく憲法けんぽうのもとで、憲法けんぽうの施行しこうのための政令せいれいであるとしている。
特とくに法律ほうりつの委任いにんがある場合ばあいを除のぞいては、罰則ばっそくを設もうけることができない。（憲法けんぽう第だい73条じょう第だい6号ごうただし書しょ）。この実例じつれいとして河川かせん法ほう（昭和しょうわ39年ねん7月がつ10日とおか法律ほうりつ第だい167号ごう）第だい109条じょうの委任いにんにより河川かせん法ほう施行しこう令れい（昭和しょうわ40年ねん2月がつ11日にち政令せいれい第だい14号ごう）第だい58条じょうから第だい63条じょうに罰則ばっそくの規定きていがある。
法律ほうりつの委任いにんがなければ、義務ぎむを課かし、又または権利けんりを制限せいげんする規定きていを設もうけることができない（内閣ないかく法ほう第だい11条じょう）
ポツダム命令めいれいの1つである「出入国しゅつにゅうこく管理かんり令れい」は、占領せんりょう解除かいじょの際さいにポツダム宣言せんげんの受諾じゅだくに伴ともない発はっする命令めいれいに関かんする件けんに基もとづく外務省がいむしょう関係かんけい諸しょ命令めいれいの措置そちに関かんする法律ほうりつ（昭和しょうわ27年ねん4月がつ28日にち法律ほうりつ第だい126号ごう）でそのまま法律ほうりつとしての効力こうりょくを持もつとされ、現在げんざいに至いたった出入国しゅつにゅうこく管理かんり及および難民なんみん認定にんてい法ほうのような例れいもある。なお法律ほうりつとして効力こうりょくを有ゆうするとされた後のちは、政令せいれいでは改廃かいはいできず、法律ほうりつにより改廃かいはいしなければならない。

制定せいてい手続てつづき

政令せいれいは以下いかの手続てつづきによって制定せいていされる。

各かく国務大臣こくむだいじんより、制定せいていの閣議かくぎを求もとめる（内閣ないかく法ほう第だい4条じょう第だい3項こう）。
閣議かくぎにおいて決定けっていされる（内閣ないかく法ほう第だい4条じょう第だい1項こう）。
主任しゅにんの国務大臣こくむだいじんが署名しょめいし、内閣ないかく総理そうり大臣だいじんが連署れんしょする（憲法けんぽう第だい74条じょう）。
天皇てんのうが公布こうふする（憲法けんぽう第だい7条じょう第だい1号ごう）
官報かんぽうに掲載けいさいされる。

勅みことのり令れいとの関係かんけい

大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽう第だい9条じょうに基もとづき発はっせられた勅みことのり令れいで、日本国にっぽんこく憲法けんぽうの下したでなお有効ゆうこうなもの（日本国にっぽんこく憲法けんぽうの規定きていに抵触ていしょくしないもの）は、政令せいれいとしての効力こうりょくをもつものとされている（日本国にっぽんこく憲法けんぽう施行しこうの際さい現げんに効力こうりょくを有ゆうする勅みことのり令れいの規定きていの効力こうりょく等とうに関かんする政令せいれい（昭和しょうわ22年ねん政令せいれい第だい14号ごう））。