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漁 - Wikipedia

りょう

人間にんげんがさまざまな漁具ぎょぐもちいて、水産すいさん資源しげん捕獲ほかくする行為こうい

りょう(いさり、りょう)とは、人間にんげんがさまざまな漁具ぎょぐもちいて、水産すいさん資源しげん捕獲ほかくする行為こういのことである。また、さまざまな漁具ぎょぐ種類しゅるい用法ようほうによって類別るいべつされるりょう方法ほうほうのことを漁法ぎょほうという。

なお、りょうをおこなう行為こういのうち、その労働ろうどうてき側面そくめん着目ちゃくもくする場合ばあい漁撈ぎょろうといって区別くべつするのが一般いっぱんてきである。また、趣味しゅみ娯楽ごらくとしてたのしむりょう場合ばあいは、とくに遊漁ゆうぎょといって区別くべつする。

概要がいよう

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ぜん世界せかい水産物すいさんぶつ生産せいさんりょう推移すいい。(あお)天然てんねん、(みどり)養殖ようしょく」。たてじく単位たんい:100まんトン[1]

りょう歴史れきしてき起源きげんふるく、捕獲ほかく対象たいしょうとなる生物せいぶつ生態せいたいにあわせて、また、時代じだい技術ぎじゅつてき制約せいやくのもとで、さまざまな漁具ぎょぐ漁法ぎょほうもちいられてきた。

伝統でんとうてきりょうでは、漁具ぎょぐ材料ざいりょう基本きほんてき天然てんねん素材そざいのもので、その生産せいさんせいひくかったが、りょう規模きぼ水産すいさん資源しげん生態せいたい調和ちょうわし、水域すいいき水産すいさん資源しげんさい生産せいさんされていた。

りょう規模きぼおおきくなると、すうにん共同きょうどうしてりょうをおこなったり、とくに近世きんせい以降いこうは、あみぬしだい人数にんずうやとってりょうをおこなうようなれい地引じびあみもうなど)もあらわれた。

20世紀せいきはいったころから漁船ぎょせん動力どうりょく機関きかん、エンジンの導入どうにゅう)がすすみ、また合成ごうせい繊維せんいあみ普及ふきゅうりょう生産せいさんせい向上こうじょう世界せかい人口じんこう急速きゅうそく増加ぞうか漁場ぎょじょう広域こういきなどのしょいんかさなり、20世紀せいき後半こうはんころから世界せかい各地かくち水産すいさん資源しげん減少げんしょう傾向けいこうはいることがえ、20世紀せいきまつでは枯渇こかつしてしまう懸念けねん現実味げんじつみしている。かりやすくうと「さかなのとりすぎ」により、さかながってしまう海域かいいきえてきており、りょうをしてもさかなが以前いぜんほどれないことが世界せかい各地かくちえてきている。わかりやすいれいげると日本にっぽんでは北海道ほっかいどうとく石狩湾いしかりわんあたり)でニシン大量たいりょうにとれたが、漁師りょうしが(当時とうじはまだ、水産すいさん資源しげん保護ほごという概念がいねんすらっていなかったので、目先めさき金儲かねもうけにばかり意識いしきけ、調子ちょうしって)乱獲らんかく明治めいじすえから大正たいしょう(1910年代ねんだい)にかけてつづけた結果けっか、ニシンのかずってしまい収穫しゅうかくりょう激減げきげんし、やがてニシンがまったくとれなくなる事態じたいおちいり、ニシンりょう自体じたい途絶とだえてしまう悲惨ひさん事態じたいをまねいた。ニシンがようやく北海道ほっかいどう石狩いしかりもどってくるようになり普通ふつうりょうおこなえるようになったのは2010年代ねんだいであり、つまり一旦いったん水産すいさん資源しげん枯渇こかつさせてしまうと、その復旧ふっきゅうひゃくねんもの年月としつきがかかってしまった。水産すいさん資源しげんのとりすぎを抑止よくしするなどして水産すいさん資源しげんまもることを水産すいさん資源しげん保護ほごという。

各国かっこくにより水産すいさん資源しげん保護ほご進展しんてん状態じょうたいことなっているが、りょう場所ばしょ海域かいいき)、捕獲ほかく対象たいしょう魚介ぎょかい種類しゅるい)、時期じき具体ぐたいてき月日つきひ何月なんがつなんにちから何月なんがつなんにちまで)、漁具ぎょぐなどにかんして法令ほうれい規制きせいされているくにえている。日本にっぽんでは水産すいさん資源しげん保護ほごほうが1952ねんから施行しこうされている。あくまで水産すいさん資源しげん保護ほご目的もくてきであるので、たとえプロの漁師りょうしであっても規制きせい対象たいしょうである(というより、プロの漁師りょうしこそが商業しょうぎょう主義しゅぎで、プロよう巨大きょだい道具どうぐ使つかいしばしば乱獲らんかくおこなうため)。

漁法ぎょほう種類しゅるい

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りょうにはさまざまな漁法ぎょほうがある。もっとも素朴そぼくなものは、徒手としゅヌードリングばれる漁具ぎょぐもちいずに人間にんげん直接ちょくせつ素手すで魚類ぎょるいなどをつか方法ほうほうである。

漁具ぎょぐもちいる漁法ぎょほうでは、漁獲ぎょかく対象たいしょうとなる水生すいせい生物せいぶつ生態せいたいや、漁場ぎょじょう環境かんきょう漁期ぎょきなどを考慮こうりょして、その漁撈ぎょろう活動かつどう最適さいてき漁具ぎょぐもちいて、もっとも効率こうりつのよい漁法ぎょほう選択せんたくされる。以下いかに、代表だいひょうてき漁法ぎょほう紹介しょうかいする。

あみ漁業ぎょぎょう

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かわ魚網ぎょもうもちいている様子ようす
 
トロールもうでのりょう概念がいねん

漁具ぎょぐとしてあみ漁網ぎょもう)をもちいる漁法ぎょほうである。おもあみ漁業ぎょぎょうには以下いかのようなものがある。あみりょう種類しゅるいなど詳細しょうさいについては漁網ぎょもう参照さんしょう

つり漁業ぎょぎょう

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一般いっぱんにはもちいる漁法ぎょほうであるが、竿ざおもちいないりょうや、延縄はえなわりょうもこれにふくまれる。おもつり漁業ぎょぎょうには以下いかのようなものがある。詳細しょうさいりょう参照さんしょう

  • 延縄はえなわ(はえなわ) - まぐろ延縄はえなわ、さけ・ます延縄はえなわなど
  • 手釣てづりょう
  • 竿釣さおづりょう - 遠洋えんようかつお一本いっぽんつりなど
  • 機械きかいりょう - 遠洋えんよういかつりなど
  • 曳縄りょう
  • たてなわりょう

ぎょう船上せんじょうから突具・かぎもちいて、移動いどうする魚類ぎょるいなどを直接ちょくせつとげ突する漁法ぎょほうである。とっりょうきんぼうりょうばれる岸辺きしべ船上せんじょうからしてとげ突する方法ほうほう[2]潜水せんすいして移動いどうちゅうさかなを「追突ついとつ」(おいづき)するれいなどがある。以下いかのようなとげ突具がある。

モリ(
モリはクジラ海洋かいよう大型おおがたぎょとげ突にもちいられたゆうげきとげ突具。
ヤス(簎・矠)
なが先端せんたんに、すうほんとがった鉄製てつせいけられている。
カギ(かぎ
なが先端せんたんに、先端せんたんがったかぎじょう金属きんぞくけられている。
むつかけ
有明海ありあけかい干潟ひかた生息せいそくするムツゴロウ捕獲ほかくする漁法ぎょほう

陥穽かんせい漁法ぎょほう

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タコ習性しゅうせい利用りようしただこつぼ

陥穽かんせい漁法ぎょほうとは、魚類ぎょるい習性しゅうせい遡上そじょう降下こうかせい)を利用りようする、えさ誘導ゆうどうする、水流すいりゅう利用りようするなど、さまざまな工夫くふうによってさかなさそみ、なんらかのしかけ・わなによってさかなげられないようにする漁法ぎょほうである。以下いかのようなしかけ、漁具ぎょぐがある。

潜水せんすい漁法ぎょほう潜水せんすい漁業ぎょぎょう

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もぐまたは潜水せんすい器具きぐ着用ちゃくようして、素手すでまたはとげ突具など道具どうぐもちいて水生すいせい動物どうぶつ捕獲ほかくする。

  • 拘引こういん漁業ぎょぎょう - ウナギかいなどの目的もくてきぶつっかける拘引こういんもちいる漁業ぎょぎょう
  • 掻剥漁業ぎょぎょう - 水底みなそこまわかいイワムシるいなどの目的もくてきぶつる掻剥もちいる漁業ぎょぎょう
  • はさみもじ漁業ぎょぎょう - かい海藻かいそうるいなどの目的もくてきぶつをはさみる、からませて漁業ぎょぎょう
  • 石打いしうちりょう - 水中すいちゅういしべついしやハンマーなどでち、その衝撃しょうげきさかな麻痺まひさせいてきたところをひろ原始げんしてき漁法ぎょほう日本にっぽんでは河川かせんによっては禁止きんしされている。
  • 動物どうぶつ漁法ぎょほう - らした動物どうぶつ使役しえきする漁法ぎょほうさかならせる鵜飼うかカワウソもうむなど伝統でんとう漁法ぎょほうとしてのこっている。

日本にっぽん禁止きんしされている漁法ぎょほう

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爆発ばくはつ漁法ぎょほう
爆発ばくはつぶつをもちいて、水中すいちゅうさかなぐん気絶きぜつさせ、または死亡しぼうさせて、漁獲ぎょかくする。海獣かいじゅう捕獲ほかく目的もくてきとする場合ばあいのぞき、水産すいさん資源しげん保護ほごほうだい5じょうにより禁止きんしされている。
どくながりょう
青酸せいさんしきみ椿つばき油粕あぶらかす山椒さんしょうなどの毒物どくぶつながしてさかなぐん浮上ふじょうさせる漁法ぎょほうどくもみ、どくながし、アメながし、ながしともばれる。調査ちょうさ研究けんきゅうのため農林のうりん水産すいさん大臣だいじん許可きょか場合ばあいのぞき、水産すいさん資源しげん保護ほごほうだい6じょうにより禁止きんしされている。
電気でんきショック漁法ぎょほう
電気でんきショッカー、エレクトロフィッシャー、なまり蓄電池ちくでんちなどによって電流でんりゅうながして、さかなぐん電気でんきてきショックをあたえて気絶きぜつさせ、浮上ふじょうさせる漁法ぎょほう。ビリともばれる。かくけん漁業ぎょぎょう調整ちょうせい規則きそくなどにより、有害ゆうがいぎょしゅ駆除くじょ目的もくてき許可きょかけた場合ばあい以外いがい原則げんそくてき禁止きんしされている。カジキきんぼうりょうでは先端せんたんから電流でんりゅうながす銛が使つかわれており、こちらは合法ごうほうである[3]
一本釣いっぽんづ
ぼうまたはロープに多数たすうスマルけた漁具ぎょぐ海底かいてい定置ていちさせるかふねき、ぎょけて採取さいしゅする漁法ぎょほう差別さべつ魚介ぎょかいるいきずつけることから、地域ちいきによって禁止きんし制限せいげんされている[4]

日本にっぽんでは免許めんきょたないひとヤスとげ突漁をおこなうのは問題もんだいないが、おなじことを水中すいちゅうメガネをけておこなうと漁業ぎょぎょうけん侵害しんがいしたことになる[5]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ The State of World Fisheries and Aquaculture 2016国際こくさい連合れんごう食糧しょくりょう農業のうぎょう機関きかん(国際こくさい連合れんごう食糧しょくりょう農業のうぎょう機関きかん)pdfファイル。P.3
  2. ^ とっりょう”. 日本にっぽん財団ざいだん. 2016ねん1がつ9にち閲覧えつらん
  3. ^ 一本釣いっぽんづり - マリン製品せいひん - ヤマハ発動機やまははつどうき
  4. ^ 金田かねだ 1995, pp. 140–147.
  5. ^ 亀井かめいまさのり『あぁ、そういうことか!漁業ぎょぎょうのしくみ』恒星こうせいしゃ厚生こうせいかく、2013ねんISBN 9784769912965 pp.57-58,114.

参考さんこう文献ぶんけん

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  • 桜田さくらだ勝徳かつのり漁撈ぎょろう伝統でんとう』、岩崎いわさき美術びじゅつしゃ民俗みんぞく民芸みんげい双書そうしょ>、1977ねん
  • もり浩一こういちへん日本にっぽん民俗みんぞく文化ぶんか体系たいけい13 技術ぎじゅつ民俗みんぞくうえうみやま生活せいかつ技術ぎじゅつ』、小学館しょうがくかん、1995ねん普及ふきゅうばん
  • 大林おおばやし太良たらへん日本にっぽん民俗みんぞく文化ぶんか体系たいけい5 やまみん海人あま 平地ひらちみん生活せいかつ伝承でんしょう』、小学館しょうがくかん1995ねん普及ふきゅうばん
  • 金田かねだただし和文わぶん英文えいぶん 日本にっぽん漁業ぎょぎょう漁法ぎょほう成山なりやまどう書店しょてん、1995ねんISBN 4425810910 
  • 田辺たなべさとるあみ』(ものと人間にんげん文化ぶんか 106)、法政大学ほうせいだいがく出版しゅっぱんきょく、2002ねん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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