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熱気球 - Wikipedia

ねつ気球ききゅう

気密きみつせいふくろなか下方かほうからねっした空気くうきおくりこみその浮力ふりょく浮揚ふよう飛行ひこうする気球ききゅう一種いっしゅ

ねつ気球ききゅう(ねつききゅう、英語えいご: hot air balloon, フランス語ふらんすご: Montgolfière)とは、気球ききゅう一種いっしゅで、気密きみつせいふくろなか下方かほうからねっした空気くうきおくりこみ、その浮力ふりょく浮揚ふようして飛行ひこうするもの。

ねつ気球ききゅう

概要がいよう

編集へんしゅう

ねつ気球ききゅうは、たまがわ(エンベロープ)ばれるふくろなか空気くうき下部かぶけたバーナーとうねっし、外気がいきくらべて比重ひじゅうかるくなることでしょうじる浮力ふりょく浮揚ふようする。乗員じょういん通常つうじょうたまがわしたけられたゴンドラ(バスケット)る。一部いちぶハーネスとうパラグライダーのようにった状態じょうたい飛行ひこうするものもある。

バーナーの火力かりょく調整ちょうせいによる上昇じょうしょう下降かこうのみが可能かのうであり、水平すいへい方向ほうこう移動いどう基本きほんてきには「ふうまかせ」である。飛行船ひこうせんのような自前じまえ推進すいしんりょく水平すいへい方向ほうこう進行しんこう方向ほうこうえらぶことは基本きほんてきにはできない。だが、ふうきとつよさは高度こうどによってことなるため、すすみたい方向ほうこうかぜ想定そうていし(ある程度ていど熟練じゅくれんしたパイロットは、飛行ひこう区域くいきにおける高度こうどべつ風向ふうこうなどは、ぶし時間じかんたいによる定常ていじょうふう、および飛行ひこうまえのブリーフィングとう提示ていじされた天候てんこうとうから、把握はあくしている)それにるべく高度こうど調節ちょうせつすることで、どの方角ほうがくすすむかある程度ていどえらぶこともできる。ねつ気球ききゅう上部じょうぶ(クラウンとばれることがおおい)にはっきゅうかわない空気くうきくためのべんがある。べんには各種かくしゅ構造こうぞうがあるが、一般いっぱんてきなものではパラシュートとばれる円形えんけい縫製ほうせいされたぬのによって内圧ないあつふさがれている。排気はいきおこな場合ばあい排気はいきべん通常つうじょうリップラインとばれるひもことによってパラシュートをげ、排気はいきする。排気はいきべんには本来ほんらいおおきくけて2種類しゅるい名称めいしょうがある。ダンプとリップである。ダンプは上空じょうくう飛行ひこうちゅう使用しようすることを目的もくてきとし、リップは最終さいしゅう排気はいきおこなうためのものである。前述ぜんじゅつのパラシュート形式けいしきべん場合ばあい、この両方りょうほう機能きのうあわっているために操作そうささくはリップラインとばれる。

熱源ねつげんとなるバーナーの燃料ねんりょうLPG使用しようしており、飛行ひこう時間じかんにもよるが、いちのフライトで一般いっぱん家庭かてい使用しようするやく1~2ヶ月かげつぶんのLPGを消費しょうひする。そのにも特殊とくしゅフライトをする機体きたいではべつ燃料ねんりょう使用しようする事例じれいもある。

ねつ気球ききゅう飛行ひこうは、その地域ちいき管轄かんかつする空港くうこうとの調整ちょうせい必要ひつようである。航空こうくうや、管制かんせいけんとうけたエリアにたいして飛行ひこう可能かのうであるエリアや高度こうどめられる。飛行ひこう可能かのうとなるエリアはノータムとして申請しんせいし、一般いっぱんほか航空機こうくうきたいしても公示こうじされる。一部いちぶ空港くうこう近接きんせつした地域ちいきでは、離陸りりくまえおよび着陸ちゃくりく空港くうこう連絡れんらくする必要ひつようがある場合ばあいもある。

 
てんとう
 
モンゴルフィエ兄弟きょうだい実験じっけん1783ねん
 
モンゴルフィエのねつ気球ききゅう飛行ひこう様子ようす

ふるくはしょかずらあきらてんとうというねつ気球ききゅう発明はつめいしていたという俗説ぞくせつがある。また有人ゆうじん飛行ひこうかぎらなければポルトガルひとバルトロメウ・デ・グスマンがモンゴルフィエ兄弟きょうだいよりもはやく(1709ねんに)、ねつ気球ききゅう実用じつよう模型もけいばしていた(この実験じっけん教会きょうかいから異端いたんとして告発こくはつされ、以降いこう実験じっけん中止ちゅうしされることとなった)が、これらはいずれも小型こがたで、気球ききゅうというより風船ふうせんちか存在そんざいであった。

ねつ気球ききゅうによるはつ有人ゆうじん飛行ひこう成功せいこうさせたのはフランスモンゴルフィエ兄弟きょうだい(ジョセフ・ミシェル、ジャック・エティエンヌ)である。二人ふたり煙突えんとつからのぼけむりから、あたためた気体きたいふくろそらぶというアイデアを着想ちゃくそうしたとわれる。最初さいしょ暖炉だんろけむり紙袋かみぶくろめて実験じっけんし、自分じぶんたちの理論りろんただしいことをたしかめると、よりおおきなふくろ風船ふうせん)を作成さくせいする。1783ねん6月5にち無人むじんでの飛行ひこう成功せいこう同年どうねん9月19にちにはベルサイユ宮殿きゅうでんルイ16せいマリー・アントワネットまえ動物どうぶつせたデモンストレーション飛行ひこう成功せいこう同年どうねん11月21にちピラトール・ド・ロジェフランソワ・ダルランド侯爵こうしゃく二人ふたりをのせた気球ききゅうがブローニュのもりからち90 mのたかさで25分間ふんかんやく8.8 kmを飛行ひこうした。発明はつめいしゃたちのってフランス語ふらんすごなどでは「モンゴルフィエール」がねつ気球ききゅう意味いみする一般いっぱん名詞めいしとなってもいる。

モンゴルフィエによる有人ゆうじん飛行ひこう10日とおかにはジャック・シャルルによる水素すいそめたガス気球ききゅう有人ゆうじん飛行ひこう成功せいこうする。

人類じんるいはじめて気球ききゅうった飛行ひこうしゃのロジェは、翌々年よくよくねん1785ねん6月15にちみずからが考案こうあんしたねつ気球ききゅう水素すいそ気球ききゅう結合けつごうした新型しんがた気球ききゅうドーバー海峡かいきょう飛行ひこう試験しけんちゅう水素すいそ引火いんかした爆発ばくはつ同乗どうじょうしゃのジュール・ロマンとともに墜落ついらくし、人類じんるいはつ気球ききゅうによる死者ししゃとなった(この新型しんがた気球ききゅうは20世紀せいきさい実用じつようされ、「ロジェ気球ききゅう(ロジェール)」とばれている)。

気球ききゅう一時期いちじきブームとなったものの、ふうまかせであるため旅客りょかく物資ぶっし輸送ゆそうとうにはてきさず冒険ぼうけんによる長距離ちょうきょり飛行ひこう記録きろくなど金持かねもちの趣味しゅみいきえるものではなかった。また、空中くうちゅうでの火力かりょく維持いじ燃料ねんりょう供給きょうきゅうむずかしさから、ねつ気球ききゅうよりもガス気球ききゅう主流しゅりゅうとなった。

その気球ききゅう飛行船ひこうせん飛行機ひこうき発明はつめいにより衰退すいたいするが、だい世界せかい大戦たいせん以後いごスカイスポーツとして復活ふっかつした。 1959ねんアメリカでNASAなどとの共同きょうどう作業さぎょうRAVENしゃ技術ぎじゅつしゃエドヨーストらによって近代きんだいてきねつ気球ききゅうつくられ飛行ひこうおこなわれた。近代きんだいてきねつ気球ききゅうとはナイロンなどの化学かがく繊維せんいたまがわ(エンベロープ)とし、プロパンガス燃料ねんりょうとして飛行ひこうするものす。この飛行ひこう成功せいこうからすうねんはつのスポーツようねつ気球ききゅうがRAVENしゃによって市場いちば販売はんばい開始かいしされる[1]。そのイギリス、フランスなどにも気球ききゅうメーカーが出来できる。ガス気球ききゅう世界せかいられたピカールもいち時期じきねつ気球ききゅう製造せいぞうしていた。

日本にっぽんで、日本人にっぽんじんによる最初さいしょ有人ゆうじん飛行ひこうねつ気球ききゅうおこなったのは、京都大学きょうとだいがく立命館大学りつめいかんだいがく中心ちゅうしんとする京都きょうと学生がくせいたちからなるイカロス昇天しょうてんグループと北海道大学ほっかいどうだいがく探検たんけん協同きょうどうして作成さくせいしたねつ気球ききゅうである[2]。このねつ気球ききゅうにははつ飛行ひこうには名前なまえがついておらず、取材しゅざいたテレビ会社かいしゃ記者きしゃんだ“そら坊主ぼうず”というかり名前なまえ使つかわれていた。はつ飛行ひこうは1969ねん北海道ほっかいどう羊蹄山ようていざんのぞ真狩まっかりむらにおいておこなわれた。ねつ気球ききゅう分担ぶんたん内容ないようはイカロス昇天しょうてんグループがたまがわとゴンドラを、北大ほくだい探検たんけんねつ気球ききゅうはんがバーナーを、それぞれ独自どくじ作成さくせいひとつのねつ気球ききゅうとして完成かんせいさせている。なおこのねつ気球ききゅうたまがわかたち決定けっていには京大きょうだいせい嶋本しまもと伸雄のぶお電子でんし計算けいさんもちいて精密せいみつ形状けいじょう決定けっていおこなった。飛行ひこう仮名かめいそら坊主ぼうず”はのちにイカロス昇天しょうてんグループによりイカロス5ごうあらためられたので、現在げんざいはイカロス5ごう正式せいしき名称めいしょうとされている。なおはつ飛行ひこう担当たんとうしたイカロス昇天しょうてんグループの梅棹うめさおエリオは、文化ぶんか人類じんるい学者がくしゃである梅棹うめさお忠夫ただお息子むすこにあたる。これ以降いこう北大ほくだい探検たんけんアフリカはん未知みちかい慶大けいだい探検たんけん広大こうだいねつ気球ききゅうなど次々つぎつぎねつ気球ききゅう活動かつどうおこな団体だんたい設立せつりつされ、スカイスポーツとしてのねつ気球ききゅう競技きょうぎさかんになってく。

2014ねんにはブラジルで開催かいさいされたねつ気球ききゅう世界せかい選手権せんしゅけん藤田ふじた雄大たけひろ選手せんしゅ日本人にっぽんじんとしてはつ優勝ゆうしょうした。

日本にっぽんねつ気球ききゅう活動かつどうはイカロス5ごう触発しょくはつされ、大学だいがく探検たんけんなどによる自作じさくした気球ききゅうにより飛行ひこうする活動かつどうからはじまった。おおくの大学だいがくにクラブが創立そうりつされ気球ききゅう製作せいさくしフライトをおこなった。飛行ひこうするためには試行錯誤しこうさくごなが製作せいさく時間じかんようした。

その欧米おうべい気球ききゅうメーカーせい機体きたい輸入ゆにゅうされるようになり、一般いっぱんする。大学だいがくクラブの衰退すいたいもあり、現在げんざいでは自作じさく気球ききゅうはほとんどつくられず、ほとんどのねつ気球ききゅうがメーカーせいである。

アメリカ同時どうじ多発たはつテロ事件じけん以降いこう航空機こうくうきである気球ききゅう製造せいぞうかかわるメーカーがわける生産せいさんぶつ賠償ばいしょう責任せきにん保険ほけんと、ユーザーがける賠償ばいしょう責任せきにん保険ほけんすうばい高騰こうとうし、気球ききゅう活動かつどうそのものがとてもおおきく影響えいきょうけていて、気球ききゅうメーカーの販売はんばいがくはテロ以前いぜんの25%以下いかにまで撤退てったいするメーカーがている[1]

構造こうぞう装備そうび

編集へんしゅう

ねつ気球ききゅうは、おおきく分類ぶんるいして「たまがわ」(熱気ねっきたくわえるためのふくろ)とばれる部分ぶぶんと、乗員じょういん搭乗とうじょうし、燃料ねんりょう搭載とうさい熱源ねつげんとなるバーナーなどが搭載とうさいされた「下回したまわり」とばれる部分ぶぶんによって構成こうせいされる。たまがわ部分ぶぶん下回したまわりは、3 mmから5 mmのステンレスやケブラー繊維せんいのサスペンションケーブルで接続せつぞくされる。下回したまわりは、ゴンドラ、リジットポール、バーナー、ロードフレーム、シリンダー(LPGタンク)、計器けいきなどから構成こうせいされる。

たまがわ(エンベロープ)

編集へんしゅう
 
バーナー(みぎ)とふくらまされるたまがわ
 
たまがわ内部ないぶ中心ちゅうしんにみえる円形えんけい部分ぶぶん(パラシュート)の開閉かいへいによる熱気ねっき大気たいき開放かいほうとバーナーによるたまかわない空気くうき加熱かねつによって、気球ききゅう高度こうど調整ちょうせいする。
 
サーモグラフィーによるねつ分布ぶんぷ画像がぞう

飛行ひこう状態じょうたいねつ気球ききゅうにおいてもっと巨大きょだい部分ぶぶん収納しゅうのうすべての空気くうきかれ、ゴンドラにおさまるくらいにコンパクトになる。材質ざいしつおもにポリウレタン気密きみつコーティングされたナイロンポリエステル出来できており、荷重かじゅうける部分ぶぶんはナイロンやポリエステルせいのロードテープにより補強ほきょうされている。これらはおもにポリエステルとういと縫製ほうせいされている。たい熱性ねっせいようする場所ばしょノーメックスひとしいと縫製ほうせいされる。

また、バーナーのちかく(開口かいこう周辺しゅうへん)はたい熱性ねっせいたかめるためにアラミド繊維せんいのノーメックスやコーネックス、ノボロイド繊維せんいのカイノールなどでたい熱性ねっせいたかめたものもある。飛行ひこうするごとに気密きみつコーティングや素材そざい強度きょうど劣化れっかしていく。素材そざいによりことなるが通算つうさんやく200~600あいだ飛行ひこうすることができる。

形状けいじょうおおきさ、配色はいしょくは、用途ようと購入こうにゅうしゃ趣向しゅこうによって多種たしゅ多様たようである。シェイプ気球ききゅうばれるものをかたどった特殊とくしゅ気球ききゅう存在そんざいする。

 
ねつ気球ききゅうのバーナー

たまかわない熱気ねっきれるための器具きぐ近代きんだいてきねつ気球ききゅうバーナーはバーナーにそなえたねつ交換こうかんコイルで液体えきたいプロパンを加熱かねつし、一気いっき蒸気じょうきえて爆発ばくはつてき燃焼ねんしょうさせたか出力しゅつりょくられるような構造こうぞう採用さいようしている。家庭かていようコンロのように気化きかされたガスを直接ちょくせつ使用しようするものではない。燃焼ねんしょうにはおおきなおとともおおきなほのお放出ほうしゅつされる。基本きほんてきにバーナーには2系統けいとうのシステムがあり、1系統けいとう上空じょうくう故障こしょうしても安全あんぜん飛行ひこうできるように設計せっけいされている。

バーナーの出力しゅつりょくは、近代きんだいてきねつ気球ききゅうてきてから徐々じょじょ増加ぞうかする傾向けいこうであったが、20世紀せいきわりには十分じゅうぶん出力しゅつりょくられるようになり、その技術ぎじゅつ変革へんかく気化きかガスを使用しようしていたパイロットバルブを液体えきたいからのもの変更へんこうすることや、ていノイズのシステムを模索もさくし、さら人間にんげん工学こうがくてき操作性そうさせいわる追求ついきゅうへといたっている。

初期しょきには燃焼ねんしょうによっておおきな爆発ばくはつてき騒音そうおんはっせられるバーナーがおおかったが、地上ちじょう動物どうぶつひとへの騒音そうおん問題もんだい徐々じょじょてい騒音そうおんされるようになった。現在げんざいでは空気くうきとの混合こんごう方法ほうほう改良かいりょうした様々さまざまなノズルがメーカーから販売はんばいされており、以前いぜんくらてい騒音そうおんものになっている。これらが普及ふきゅうするまでは、バックアップシステムでもあった、液体えきたい直接ちょくせつ放出ほうしゅつ着火ちゃっかするシステムが、てい騒音そうおんおこなうために使用しようされることもあった。

初期しょきのヨーロッパけいシステムはガス気球ききゅうからの発想はっそうで、バーナーとゴンドラとのあいだをワイヤーのみで接続せつぞくしていた。そのためバーナーが着陸ちゃくりく衝撃しょうげきにより落下らっかする危険きけんせいがあり、搭乗とうじょうしゃにヘルメットの着用ちゃくようもとめられていた。しかし現在げんざいでは、ロードフレームとナイロン樹脂じゅしポリカーボネートせいのリジッドポールによってバーナーがささえられているため、バーナー部分ぶぶん搭乗とうじょうしゃうえちてくることはなくなりヘルメットを着用ちゃくようするかどうかは任意にんいとなっている。アメリカけいのシステムではバスケットとバーナーはアップライトとばれるアルミやとうなどでつくられた上部じょうぶ構造こうぞうささえられるもの近代きんだいねつ気球ききゅう初期しょきから使用しようされている。

シリンダー(タンク)

編集へんしゅう
 
シリンダー

一般いっぱん家庭かてい使用しようされるLPGボンベとほぼ同等どうとうのものであり、燃料ねんりょう容器ようき形状けいじょうからシリンダーと気球ききゅうかいではばれることがおおい。一般いっぱんてきねつ気球ききゅうようのシリンダーには気体きたい供給きょうきゅうよう液体えきたい供給きょうきゅうようのバルブ2つと、ざんりょうけいがついている。日本にっぽん国内こくない使用しようされるねつ気球ききゅうでは容量ようりょう20 kgのアルミせいものがおお使用しようされている。欧米おうべいでは強度きょうどたい熱性ねっせいでより安全あんぜんせいたかステンレス主流しゅりゅうとなっており、容量ようりょうは30 kgのものが一般いっぱんてきである。実験じっけんてきカーボンや、チタン燃料ねんりょう容器ようきつくられたこともあるが普及ふきゅうはしていない。 ねつ気球ききゅう使用しようされる燃料ねんりょう液化えきか石油せきゆガスのなかプロパンおも使つかわれる。市場いちばにはプロパンとブタン流通りゅうつうしているが、常温じょうおんでの蒸気じょうきあつたかいプロパンが使用しようしやすいためである。くにによってはブタン混合こんごう燃料ねんりょう使つかわれるが、その場合ばあい窒素ちっそガスなどで加圧かあつして使用しようされる。

ゴンドラ(バスケット)

編集へんしゅう
 
ゴンドラ(横倒よこだお状態じょうたい

ひとり、燃料ねんりょう搭載とうさいする部分ぶぶんである。ゴンドラとバーナーはステンレスせいのワイヤーによって接続せつぞくされたり、アルミやステンレスのロードフレームとリジッドポールおよびワイヤーにより接続せつぞくされたりする。ゴンドラがとうんでつくられているのでバスケットとばれることおおい。補強ほきょうのためにワイヤー、アルミパイプなどがまれていて、ロードフレームを経由けいゆしてたまがわ連結れんけつされている。底部ていぶとう構造こうぞうものとマリングレードのプライウッドなどを使用しようするものがある。構造こうぞう主体しゅたいとう素材そざい使用しようするのは、フレキシブルな構造こうぞうなので着陸ちゃくりく衝撃しょうげき吸収きゅうしゅうできるためである。バスケットの上部じょうぶヘリなどは乗員じょういんやさしいようにパットやかわ素材そざいなどで保護ほごされている場合ばあいおおい。 そのサイズは平面へいめんで1 m四方しほう程度ていどから2 m × 3 mぐらいのおおきなものなど、搭乗とうじょう人員じんいんにあわせて様々さまざまなサイズがあるが、3にんぐらい搭乗とうじょうするものは1 m × 1.2 mぐらいのサイズのものがおおい。四角しかくものおおいが、三角形さんかっけいのバスケットを製造せいぞうするメーカーもある。 一人ひとりりのちいさな機体きたいではハーネスで乗員じょういん機材きざいっただけのものもある。 また、特殊とくしゅ飛行ひこう高々たかだかまたは長距離ちょうきょりおよ場合ばあいFRPせいなどのカプセルがゴンドラとして使つかわれる場合ばあいもある。

ねつ気球ききゅう通常つうじょう搭載とうさいされる飛行ひこう計器けいき高度こうどけい昇降しょうこうけい温度おんどけいまれたものである。高度こうどけい現在げんざい高度こうどしめすための器具きぐ昇降しょうこうけい気球ききゅう上昇じょうしょうしているか下降かこうしているかをしめし、その速度そくど表示ひょうじする。温度おんどけい気球ききゅう上部じょうぶけられたセンサーの温度おんどをケーブルもしくはトランスミッターで計器けいきつたえて表示ひょうじされる。 構造こうぞうてきには旧来きゅうらいのアナログ方式ほうしきものアネロイド気圧きあつけい同等どうとうで、しゅとして長針ちょうしん短針たんしんとで表示ひょうじされる型式けいしきものがつかわれる。最近さいきんではかんあつセンサーとコンピューターをんだデジタル構造こうぞう温度おんどけいトランスミッターを搭載とうさいしたもの主流しゅりゅうである。フライトの記録きろくをデジタルで記憶きおくさせられるものなど高機能こうきのうすすんでいる。またGPS連動れんどうしてフライト記録きろくのこせるバログラフてき機能きのうった器機きき存在そんざいしている。

携帯けいたいがたGPS

編集へんしゅう

最近さいきんでは、携帯けいたいがたGPS搭載とうさいされることがおおくなっている。ふうって飛行ひこうするため、正確せいかく対地たいち速度そくど飛行ひこう方向ほうこうとう表示ひょうじさせられるGPSは高度こうどけいなどにつづ重要じゅうよう計器けいきとなっている。とくに、ねつ気球ききゅう競技きょうぎにおいては必需ひつじゅひんとなっており、飛行ひこう航跡こうせき大会たいかいがわ管理かんりするためにロガーとしての搭載とうさい強制きょうせいとなっている競技きょうぎもある。さらに、GPSとパソコン接続せつぞくすることによって、飛行ひこう航跡こうせき高度こうど時間じかんとうのログを管理かんりすることができるソフトウェア活用かつようされている。ガーミンせいのものがおお使用しようされている。

無線むせん

編集へんしゅう

飛行ひこうちゅうはもちろんのこと、とく着陸ちゃくりくまえおよび着陸ちゃくりく地上ちじょうのクルーに回収かいしゅう手伝てつだってもらうため、無線むせんによる機内きないのパイロットと地上ちじょうクルーとの交信こうしん不可欠ふかけつである(着陸ちゃくりく地点ちてん伝達でんたつなど)。

インフレーター

編集へんしゅう

気球ききゅうをふくらませる作業さぎょうおこなうとき最初さいしょ冷風れいふうおくむガソリンエンジンで稼働かどうする送風そうふう。エンジンは5hp~8hp程度ていどもの一般いっぱんてき、プロペラは24インチ~27インチ程度ていどものおおい。プロペラの素材そざい木材もくざいやアルミのキャストのものなどがある。

チェイスカー

編集へんしゅう

飛行ひこうする気球ききゅういかけ、飛行ひこうちゅう地上ちじょうからのサポートや着陸ちゃくりく回収かいしゅう作業さぎょうなどにあたるクルーが移動いどうするための自動車じどうしゃで、回収かいしゅうした気球ききゅう運搬うんぱんおこなうことがある。積載せきさい容積ようせきおおきいバン、小型こがたトラック、ピックアップなどが使用しようされる。国内こくないではしつ容量ようりょう定員ていいん観点かんてんからトヨタ・ハイエース日産にっさん・キャラバンおお使用しようされている。

[3] 日本にっぽん国内こくないねつ気球ききゅう操縦そうじゅうするためには、日本にっぽん気球ききゅう連盟れんめい発行はっこうするパイロット資格しかくもとめられている。しかし日本にっぽん航空こうくうほうではハンググライダーパラグライダー同様どうように、ねつ気球ききゅう航空機こうくうきとして分類ぶんるいされていないので国家こっか資格しかく存在そんざいせず、法律ほうりつじょう免許めんきょせいではない。 しかし欧米おうべいでは、気球ききゅうおよびねつ気球ききゅう通常つうじょう航空機こうくうきのカテゴリーに分類ぶんるいされており各国かっこくくに発行はっこうするライセンス必要ひつようになる(機体きたい航空こうくう無線むせん装置そうちすることおよびパイロットか同乗どうじょうしゃ航空こうくう無線むせん資格しかくもとめられる)。なお、パイロット以外いがい搭乗とうじょうしゃにはとく資格しかく必要ひつようない。

ねつ気球ききゅう操縦そうじゅう技能ぎのう証明しょうめい認定にんてい制度せいど(パイロット)

編集へんしゅう

ねつ気球ききゅう操縦そうじゅうおこなうための、いわゆるねつ気球ききゅうパイロット資格しかくである。取得しゅとくするためには以下いか条件じょうけん必要ひつよう

  • まん18さい以上いじょうであること
  • 日本にっぽん気球ききゅう連盟れんめい正会員せいかいいんであること
  • Pu/t(Pilot under Training:パイロット練習れんしゅうせい講習こうしゅうかい受講じゅこうすること
  • 適性てきせい試験しけん健康けんこう診断しんだん項目こうもく適合てきごうしていること
  • インストラクター同乗どうじょうによる訓練くんれん飛行ひこうを10かいかつ10時間じかん以上いじょうおこなうこと
  • インストラクター同乗どうじょうによる対地たいち高度こうど2000ft以上いじょう飛行ひこうすること
  • インストラクター地上ちじょう待機たいきによる、単独たんどく訓練くんれん飛行ひこう(ソロフライト)をおこなうこと
  • 筆記ひっき試験しけん合格ごうかくすること
  • インストラクターの推薦すいせんけ、イグザミナー(ねつ気球ききゅう試験しけんかん同乗どうじょうによる実技じつぎ試験しけん合格ごうかくすること

ねつ気球ききゅう指導しどう操縦そうじゅう(インストラクター)

編集へんしゅう

パイロット指導しどうおこなうための資格しかくである。取得しゅとくするためには以下いか条件じょうけん必要ひつよう

  • 日本にっぽん気球ききゅう連盟れんめい会員かいいんであること
  • まん20さい以上いじょうであること
  • ねつ気球ききゅう操縦そうじゅう技能ぎのうしょう保持ほじしていちねん以上いじょうであること
  • 機長きちょうとして50時間じかん以上いじょうのフライトをおこなうこと
  • 1時間じかん以上いじょうのフライトを2かいおこなうこと
  • 15ふん以上いじょうのソロフライトを2かいおこなうこと
  • インストラクター2めい推薦すいせんがあること
  • 過去かこいちねん以内いないに、機長きちょうとして飛行ひこうしていること
  • 過去かこねん以内いないに、指導しどうしゃ講習こうしゅうかい受講じゅこうしていること
  • パイロットログブック、トレーニングログブック、機体きたいログブックの意味いみただしく理解りかいし、これらをただしく作成さくせい保管ほかんしていること
  • 日常にちじょう航空こうくうほう日本にっぽん気球ききゅう連盟れんめい自由じゆう安全あんぜん飛行ひこう規定きてい係留けいりゅう飛行ひこう安全あんぜん規定きてい理解りかいし、順守じゅんしゅして飛行ひこうしているもの
  • 指導しどうシステムを理解りかいしていること
  • 日本にっぽん気球ききゅう連盟れんめいのシステムを熟知じゅくち理解りかいしていること
  • 安全あんぜん委員いいんかいがインストラクターとしてふさわしいとみとめること

ねつ気球ききゅう試験しけんかん(イグザミナー)

編集へんしゅう

試験しけんかん資格しかくである。取得しゅとくするためには、以下いか条件じょうけん必要ひつよう

  • 過去かこよんねん以上いじょうつづ日本にっぽん気球ききゅう連盟れんめい会員かいいんであること
  • つづねん以上いじょうインストラクター資格しかく保持ほじしていること
  • 同乗どうじょう訓練くんれん飛行ひこう50かい以上いじょう
  • 単独たんどく訓練くんれん飛行ひこうい1かい以上いじょう
  • 実技じつぎ試験しけんへの推薦すいせん1かい以上いじょう
  • パイロット資格しかく取得しゅとく機長きちょうとしてことなった機体きたい10(AX-6以下いか、AX-7、AX-8以上いじょうふくむ)以上いじょう飛行ひこう経験けいけんゆうすること
  • パイロットログブック、トレーニングログブック、機体きたいログブックの意味いみただしく理解りかいし、これらをただしく作成さくせい保管ほかん実践じっせんしているもの
  • 日本にっぽん気球ききゅう連盟れんめい自由じゆう飛行ひこう安全あんぜん規定きてい係留けいりゅう飛行ひこう安全あんぜん規定きてい指導しどうシステム,航空こうくうほう順守じゅんしゅして飛行ひこうしているもの
  • インストラクター2めい推薦すいせんがあること
  • 日本にっぽん気球ききゅう連盟れんめいのシステムを熟知じゅくち理解りかいしていること
  • 安全あんぜん委員いいんかいがイグザミナーとしてふさわしいとみとめたもの

インスペクター

編集へんしゅう

新規しんき機体きたい登録とうろくおよび機体きたい登録とうろく更新こうしん気球ききゅう検査けんさおこなもの資格しかくである。取得しゅとくするためには、以下いか条件じょうけん必要ひつよう

  • 日本にっぽん気球ききゅう連盟れんめいねつ気球ききゅう操縦そうじゅう技能ぎのうしょう保持ほじしていること
  • 75時間じかん以上いじょう飛行ひこう
  • ことなった機体きたいで10以上いじょう飛行ひこう
  • インスペクター1めい推薦すいせんがあること
  • 気球ききゅう構造こうぞう設計せっけい製作せいさくかんして豊富ほうふ知識ちしきがあること
  • 有人ゆうじんねつ気球ききゅうたいそらせい審査しんさ基準きじゅん機体きたいログ、機体きたい登録とうろく制度せいどただしく理解りかいし、実践じっせんしていること
  • 日本にっぽん気球ききゅう連盟れんめいのシステムを熟知じゅくち理解りかいしていること
  • 安全あんぜん委員いいんかいがインスペクターとしてふさわしいとみとめたこと

準備じゅんびから離陸りりくまでの要領ようりょう

編集へんしゅう

気球ききゅう準備じゅんびから飛行ひこう回収かいしゅうまでは、おおむね以下いか要領ようりょう実施じっしされる。

  •  使用しようするかく機材きざい点検てんけん確認かくにん
  •  運搬うんぱん車両しゃりょう(チェイスカー)への機材きざい積込つみこめ
  •  風船ふうせんはなち、風向ふうこう風速ふうそく確認かくにん位置いち方向ほうこう決定けっていする
  •  おろし
  •  ゴンドラとロードフレーム(バーナー)の連結れんけつ
  •  ゴンドラへのシリンダーの固定こていと、シリンダーとバーナーの連結れんけつおよびガスれの確認かくにん消火しょうか確認かくにん
  •  バーナーへ点火てんか動作どうさ確認かくにんおよびガスれの確認かくにんをしたのち消火しょうかし、ゴンドラを横転おうてんさせる
  •  たまがわ保護ほごのためグラウンドシートをき、そのうえたまがわ展開てんかいする
  •  たまがわとロードフレームの連結れんけつ
  •  計器けいきるいおよび無線むせん動作どうさ確認かくにん
  •  たまがわくちひろげインフレーターでおくする
    •  たま皮下ひか左右さゆうをクルーが開口かいこうするように保持ほじしている。 
  •  パラシュートの確認かくにん固定こてい
  •  いただき(クラウン)にあるクラウンリングからびるクラウン・ロープを保持ほじし、たまがわ方向ほうこう位置いち制御せいぎょする
  •  クイックリリースなどをもちいて、おもりと気球ききゅう連結れんけつしておく
  •  着火ちゃっかしバーナーで熱気ねっきおく
    •  バーナーによる熱気ねっき送出そうしゅつには、開口かいこう保持ほじしているクルーが熱気ねっき火傷かしょうをしたりたまがわやさないよう、細心さいしん注意ちゅういもとめられる。
  •  浮力ふりょく気球ききゅう自立じりつする
  •  安定あんていするまで離陸りりくしない程度ていど熱気ねっきおく
  •  計器けいきるいせきこみおこない、パイロット以外いがい搭乗とうじょうする
  •  風向かざむきと上方かみがた確認かくにんのち離陸りりくする
  •  バーナーとリップで高度こうど調整ちょうせいしながら飛行ひこうする
  •  地上ちじょうクルーはチェイスカーで気球ききゅうついはしする
  •  着陸ちゃくりく可能かのう場所ばしょ選定せんていし、高度こうど着陸ちゃくりくする
  •  必要ひつようであれば乗員じょういん交代こうたいやシリンダーの交換こうかんおこな再度さいど離陸りりくする
  •  飛行ひこう終了しゅうりょうする場合ばあい乗員じょういん機材きざい回収かいしゅうする
  •  使用しようしたシリンダーへのガスの充填じゅうてんおよび機材きざい点検てんけん修繕しゅうぜん

日本にっぽんでの大会たいかい

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わたりりょうカップ「12月のふう

ねつ気球ききゅう競技きょうぎ」を参照さんしょう

航空こうくうほう

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日本にっぽん国内こくないでは航空こうくうほうもとづき、気球ききゅう飛行ひこう浮遊ふゆうさせる空域くういきによっては、飛行ひこう浮遊ふゆうさせること禁止きんしされる場合ばあい、または飛行ひこう浮遊ふゆうさせる場合ばあい事前じぜん国土こくど交通こうつう大臣だいじんへの届出とどけで必要ひつよう場合ばあいがある。

事故じこ度々どど発生はっせいしている。原因げんいん様々さまざまであり、飛行ひこうちゅうだけではなく飛行ひこうまえ死亡しぼう事故じこほか着陸ちゃくりくふうによる事故じこ発生はっせいしている。

  • 1989ねんオーストラリアにて、ねつ気球ききゅう同士どうし衝突しょうとつ事故じこにより13にん死亡しぼう[4]
  • 1993ねんアメリカコロラドしゅうにて、飛行ひこうちゅう気球ききゅうのワイヤがれてゴンドラが落下らっかっていた6にん全員ぜんいん死亡しぼう
  • 2011ねんニュージーランドにて、着陸ちゃくりく送電そうでんせん接触せっしょく炎上えんじょう操縦そうじゅう1にんおよび乗客じょうきゃく10にん全員ぜんいん死亡しぼう
  • 2013ねん2がつ26にちエジプトにて、飛行ひこうちゅう火災かさいこり墜落ついらくし、19めい死亡しぼうルクソールねつ気球ききゅう墜落ついらく事故じこ)。
  • 2013ねん8がつ23にちスロベニアにて、強風きょうふう制御せいぎょうしなった気球ききゅうっかかり炎上えんじょう、6にん死亡しぼう
  • 2013ねん5がつ20日はつかトルコ、カッパドキア中部ちゅうぶにて、観光かんこうよう気球ききゅう気球ききゅう衝突しょうとつして墜落ついらく、25にん死傷ししょう

建造けんぞうぶつっかかったり衝突しょうとつしたりする事故じこなども発生はっせいしている。

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ a b エアロスターしゃねつ気球ききゅう製造せいぞう停止ていしかんするご案内あんない”. 2016ねん12月2にち閲覧えつらん
  2. ^ 梅棹うめさおエリオ『ねつ気球ききゅうイカロス5ごう』(中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ、1972ねん巻頭かんとう「はじめに」(樋口ひぐち敬二けいじ
  3. ^ http://www.jballoon.jp/jimu/kaisoku.html
  4. ^ International Business Times 島田しまだセレーナ2013ねん2がつ27にち0133ふん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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気球ききゅうかんする統括とうかつ団体だんたいなど

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おもねつ気球ききゅう関連かんれん団体だんたい

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