内閣ないかく府ふ特命とくめい担当たんとう大臣だいじん

内閣ないかく府ふ特命とくめい担当たんとう大臣だいじん（ないかくふとくめいたんとうだいじん、英えい: Minister of State for Special Missions）は、中央ちゅうおう省庁しょうちょう再編さいへんに伴ともなう内閣ないかく府ふ設置せっち法ほうの施行しこうにより2001年ねん（平成へいせい13年ねん）1月がつ6日にちに法制ほうせい化かされた職位しょくい。

概要がいよう

国務大臣こくむだいじんをもって充あてられ、内閣ないかく府ふに置おかれる。職名しょくめいは「内閣ないかく府ふ特命とくめい担当たんとう大臣だいじん（○○担当たんとう）」のように括弧かっこ付つきで表記ひょうきされる。

英名えいめいは「Minister of State for Missions」だが、大臣だいじん名めいの英訳えいやくにおいて用もちいられることはなく、実際じっさいには「Minister of State for ○○」と表記ひょうきされる（例たとえば「内閣ないかく府ふ特命とくめい担当たんとう大臣だいじん（規制きせい改革かいかく担当たんとう）」の場合ばあい、「Minister of State for Regulatory Reform^[1]」となる）。

内閣ないかく府ふ設置せっち法ほう2条じょうに基もとづき自みずからの所掌しょしょう事務じむについて関係かんけいする行政ぎょうせい機関きかんに資料しりょう提出ていしゅつや説明せつめいを求もとめ、勧告かんこくを行おこなう権限けんげんを有ゆうする。

定数ていすうについては特とくに定さだめられていないが、防災ぼうさい担当たんとう、沖縄おきなわ及および北方ほっぽう対策たいさく担当たんとう、金融きんゆう担当たんとう、消費しょうひ者しゃ及および食品しょくひん安全あんぜん担当たんとう、こども政策せいさく担当たんとう、少子化しょうしか対策たいさく担当たんとう、若者わかもの活躍かつやく担当たんとうの7つは必置とされている（内閣ないかく府ふ設置せっち法ほう9条じょうの2、10条じょう、11条じょう、11条じょうの2、11条じょうの3）。近年きんねんは内閣ないかく府ふ特命とくめい担当たんとう大臣だいじんが多おおく置おかれており、兼務けんむも多おおく見みられる。

職名しょくめいは簡略かんりゃく化かされているものが多おおく、実際じっさいの担務は職名しょくめいを上回うわまわることが多おおい。具体ぐたい例れいとして地方ちほう創そう生せい担当たんとう^{[注釈ちゅうしゃく 1]}が挙あげられる。また、公正こうせい取引とりひき委員いいん会かいや公文書こうぶんしょ管理かんりなど、職名しょくめいにない官庁かんちょう・部局ぶきょく等とうを担務している場合ばあいもある^[2]。2023年ねん9月がつ、個人こじん情報じょうほう保護ほご委員いいん会かいがデジタル庁ちょうに対たいして行政ぎょうせい指導しどうを行おこなったが、デジタル庁ちょうの事務じむを統括とうかつする河野こうのデジタル大臣だいじんが、独立どくりつ性せいが担保たんぽされるべき個人こじん情報じょうほう保護ほご委員いいん会かいも担当たんとうしていることから、野党やとう議員ぎいんから「調査ちょうさに忖度そんたくが交まじるのではないか」との指摘してきがあった^[3]。

内閣ないかく府ふ特命とくめい担当たんとう大臣だいじんとは別べつに、内閣ないかく総理そうり大臣だいじんの判断はんだんで任命にんめいできる「内閣ないかくの担当たんとう大臣だいじん」という職位しょくいもある^[4]。これは内閣ないかくとして緊急きんきゅうに対応たいおうする必要ひつようがある政策せいさくについて、法ほう改正かいせい手続てつづきを経へずに、政策せいさく立案りつあんを急いそぐ場合ばあいに内閣ないかく官房かんぼうに設もうけられる。「内閣ないかく府ふ特命とくめい担当たんとう大臣だいじん（○○担当たんとう）」のような正式せいしきの呼称こしょうはなく、内閣ないかくの担当たんとう大臣だいじんは通称つうしょうである。郵政ゆうせい民営みんえい化か、拉致らち問題もんだい、道どう州しゅう制せい、地方ちほう創そう生せい、安全あんぜん保障ほしょう法制ほうせいなどが該当がいとうする。時ときの政権せいけんは担当たんとう大臣だいじんポストの新設しんせつや起用きよう人事じんじを、政権せいけん発足ほっそく時じや内閣ないかく改造かいぞう時じの目玉めだまにすることが多おおい^[5]。

任命にんめい・補職ほしょくの変遷へんせん

制度せいど発足ほっそく後ご、第だい1次じ小泉こいずみ第だい1次じ改造かいぞう内ない閣かくまでは次つぎのような2段階だんかいの任命にんめい・補職ほしょくの形式けいしきがとられた。官報かんぽう掲載けいさいは縦たて書がき。

　　　　　　　　　　　　氏し　　　名な
　国務大臣こくむだいじんに任命にんめいする
　　　　　　　国務大臣こくむだいじん　氏し　　　名な
　金融きんゆう担当たんとう大臣だいじんを命めいずる

2003年ねん9月がつ22日にち発足ほっそくの第だい1次じ小泉こいずみ第だい2次じ改造かいぞう内ない閣かくからは次つぎのように3段階だんかいの形式けいしきとなっている。前ぜん同どう。

　　　　　　　　　　　　氏し　　　名な
　国務大臣こくむだいじんに任命にんめいする
　　　　　　　国務大臣こくむだいじん　氏し　　　名な
　内閣ないかく府ふ特命とくめい担当たんとう大臣だいじんを命めいずる
　　内閣ないかく府ふ特命とくめい担当たんとう大臣だいじん　氏し　　　名な
　金融きんゆうを担当たんとうさせる

このように「内閣ないかく府ふ特命とくめい担当たんとう大臣だいじん」の呼称こしょうに統一とういつ化かされる前まえには「○○担当たんとう大臣だいじん」が正式せいしき呼称こしょうであったこともあり、またそのほうが表示ひょうじ文字数もじすうが少すくなくて済すむため、現在げんざいでもテレビ・新聞しんぶんなどの報道ほうどうや国会こっかい審議しんぎ中継ちゅうけいなどでは正式せいしき表記ひょうきの「内閣ないかく府ふ特命とくめい担当たんとう大臣だいじん（○○担当たんとう）」よりも「○○担当たんとう大臣だいじん」と略記りゃっきされることが多おおい（例れい：内閣ないかく府ふ特命とくめい担当たんとう大臣だいじん（金融きんゆう担当たんとう）→金融きんゆう担当たんとう大臣だいじん）。さらに略りゃくして、「○○大臣だいじん」「○○相そう」と書かかれることもある（例れい：内閣ないかく府ふ特命とくめい担当たんとう大臣だいじん（行政ぎょうせい刷新さっしん担当たんとう）→行政ぎょうせい刷新さっしん大臣だいじん、行政ぎょうせい刷新さっしん相しょう）。なお、中央ちゅうおう省庁しょうちょう再編さいへん前まえにその指針ししんを定さだめた中央ちゅうおう省庁しょうちょう等とう改革かいかく基本きほん法ほう（第だい11条じょう及および別表べっぴょう第だい1）においては、内閣ないかく府ふ特命とくめい担当たんとう大臣だいじんを想定そうていした呼称こしょうとして「担当たんとう大臣だいじん」が用もちいられている。

法令ほうれいにおける職名しょくめいの略記りゃっきの採用さいよう

表現ひょうげんの簡素かんそ化かの観点かんてん等とうから、次つぎのように「○○担当たんとう大臣だいじん」の表記ひょうきがなされている例れいがあり、当該とうがい特命とくめい担当たんとう大臣だいじんついては、その法令ほうれいの適用てきよう範囲はんいにおいて「○○担当たんとう大臣だいじん」と呼称こしょうすることは単たんに略称りゃくしょうであるにとどまらず、正式せいしきな意味合いみあいを含ふくむものとされる。たとえば、政府せいふ広報こうほう（ポスター・記事きじ・番組ばんぐみ等とう）、各かく審議しんぎ会かいでの答申とうしん、各かく府ふ省しょう公式こうしきウェブサイトなどで「男女だんじょ共同きょうどう参画さんかく担当たんとう大臣だいじん」のように表記ひょうきすることは職務しょくむの範囲はんい内ないでの行為こういであり誤あやまりではない。一方いっぽう、辞令じれいにおける官職かんしょく表記ひょうきなど法的ほうてき地位ちいそのものを表記ひょうきする場合ばあいは内閣ないかく法ほうなど行政ぎょうせい組織そしき関連かんれん法規ほうきの根拠こんきょを要ようするため、そのような場ばで「男女だんじょ共同きょうどう参画さんかく担当たんとう大臣だいじん」のような表記ひょうきは用もちいられない。