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疑わしきは罰せず - Wikipedia

うたがわしきはばっせず

刑事けいじ裁判さいばんにおける原則げんそく

うたがわしきはばっせず」(うたがわしきはばっせず、ラテン語らてんご: in dubio pro reo)とは、刑事けいじ裁判さいばんにおいて、事実じじつ存否そんぴ明確めいかくにならないときには被告人ひこくにんにとって有利ゆうりあつかわなければならないとするほうことわざである[1]ラテン語らてんご直訳ちょくやくから「うたがわしきは被告人ひこくにん利益りえきうたがわしきは被告人ひこくにん利益りえきしたがう)」ともいう[2]

刑事けいじ裁判さいばんにおいては検察けんさつそく立証りっしょう責任せきにんうため被告人ひこくにんがわみずからの無罪むざい証明しょうめいする必要ひつようせいはないが、被告人ひこくにん不利ふり内容ないようについて被告人ひこくにんがわがそれをくつがえした(合理ごうりてきうたが提示ていじできた)場合ばあいには被告人ひこくにんたいして有利ゆうりに(=検察けんさつがわにとっては不利ふりに)事実じじつ認定にんていをする。

概要がいよう 編集へんしゅう

この言葉ことば事実じじつ認定にんてい過程かてい裁判官さいばんかんがわから表現ひょうげんしたものである。これを当事とうじしゃがわから表現ひょうげんした言葉ことば推定すいてい無罪むざいであり、ふたつの言葉ことば表裏一体ひょうりいったいをなしている。

検察官けんさつかん挙証きょしょう責任せきにん範囲はんいについては、構成こうせい要件ようけん該当がいとう事実じじつのほか、違法いほうせいゆうせめせい処罰しょばつ条件じょうけんけい加重かじゅう減免げんめん量刑りょうけい基礎きそける事実じじつふくむとほぐされ、以下いかのようなれいがある。

  • 殺人さつじんざい構成こうせい要件ようけん該当がいとう事実じじつについては合理ごうりてきうたがいをえる証明しょうめいがなされていたとしても、正当せいとう防衛ぼうえい否定ひてい合理ごうりてきうたがいがある場合ばあい無罪むざいとしなければならない。
  • 殺人さつじんざいについて外形がいけいてき事実じじつについて合理ごうりてきうたがいをえる証明しょうめいがなされていたとしても、殺意さついについて合理ごうりてきうたがいをえる証明しょうめいがなされていない場合ばあいは(公訴こうそ時効じこう成立せいりつしない場合ばあいは)傷害しょうがい致死ちしざいとうというかたち最高さいこうけいがる刑事けいじばつにしなければならない。

日本にっぽんにおける適用てきよう 編集へんしゅう

国内こくない法令ほうれいじょう根拠こんきょ条文じょうぶんとしては、刑事けいじ訴訟そしょうほう336じょうが「被告ひこく事件じけんつみとならないとき、また被告ひこく事件じけんについて犯罪はんざい証明しょうめいがないときは、判決はんけつ無罪むざい言渡いいわたしをしなければならない」とさだめている。

1975ねん最高裁判所さいこうさいばんしょ白鳥しらとり事件じけん再審さいしん請求せいきゅうかんする特別とくべつ抗告こうこく棄却ききゃくしたさい、この「うたがわしきは被告人ひこくにん利益りえきに」という原則げんそく再審さいしんにも適用てきようされることが判示はんじされた(通称つうしょう白鳥しらとり決定けってい」)。これにより、それまで「無罪むざいとすべき明白めいはくしん証拠しょうこ発見はっけんしたとき」というきびしい制約せいやくされていた再審さいしん開始かいし基準きじゅんたいし「しん証拠しょうこ証拠しょうこ総合そうごうてき評価ひょうかして、確定かくてい判決はんけつ事実じじつ認定にんてい合理ごうりてきうたがいをしょうじさせればりる」というあらたな基準きじゅんしめされた。この決定けってい以後いご、いわゆる冤罪えんざい事件じけんたいする再審さいしん請求せいきゅう活発かっぱつし、免田めんだ事件じけん梅田うめだ事件じけんなど再審さいしんにおいて無罪むざい判決はんけつ相次あいつながれがまれた。

脚注きゃくちゅう 編集へんしゅう

関連かんれん項目こうもく 編集へんしゅう