監かん軍部ぐんぶ

監かん軍部ぐんぶ（かんぐんぶ）は、日本にっぽん陸軍りくぐんの組織そしき。二ふたつの同どう名称めいしょうの組織そしきがあり、第だい一いち次じは師団しだん司令しれい部ぶの前身ぜんしんといえるもので、第だい二に次じは教育きょういく総監そうかん部ぶの前身ぜんしんである。

第だい一いち次じ

概要がいよう

1878年ねん（明治めいじ11年ねん）12月13日にち、監かん軍ぐん本部ほんぶ条例じょうれい（太政官だじょうかん第だい52号ごう達たち）により「監かん軍ぐん本部ほんぶ」が設立せつりつされた。監かん軍ぐん本部ほんぶは師団しだん司令しれい部ぶの前身ぜんしんといえるもので、本部ほんぶを東京とうきょうに置おき、監かん軍ぐん部長ぶちょう（中将ちゅうじょう）を東部とうぶ、中部ちゅうぶ、西部せいぶに置おいた。東部とうぶは第だい1軍ぐん管かん（東京とうきょう鎮台ちんだい）・第だい2軍ぐん管かん（仙台せんだい鎮台ちんだい）・北海道ほっかいどうを、中部ちゅうぶは第だい3軍ぐん管かん（名古屋なごや鎮台ちんだい）・第だい4軍ぐん管かん（大阪おおさか鎮台ちんだい）を、西部せいぶは第だい5軍ぐん管かん（広島ひろしま鎮台ちんだい）・第だい6軍ぐん管かん（熊本くまもと鎮台ちんだい）をそれぞれ管轄かんかつした。監かん軍ぐん部長ぶちょうの任務にんむは、平時へいじにおいて「軍令ぐんれいノ出納すいとう並なみ現役げんえき及ヒ第だい一いち後備こうびノ検閲けんえつ」を担当たんとうし、戦時せんじにおいて師団しだん司令しれい長官ちょうかんとして管轄かんかつの旅団りょだん（鎮台ちんだい）司令しれい長官ちょうかんを統率とうそつした。1885年ねん（明治めいじ18年ねん）5月がつ18日にち、監かん軍部ぐんぶ条例じょうれいの制定せいていにより監かん軍ぐん本部ほんぶを「監かん軍部ぐんぶ」と改称かいしょうし、1886年ねん（明治めいじ19年ねん）7月がつ24日にちに廃止はいしされた。

歴代れきだい監かん軍ぐん部長ぶちょう

東部とうぶ監かん軍ぐん部長ぶちょう

谷たに干城かんじょう中将ちゅうじょう：1878年ねん12月がつ10日とおか -
三好みよし重臣じゅうしん中将ちゅうじょう：1880年ねん4月がつ27日にち - 1885年ねん5月がつ18日にち

中部ちゅうぶ監かん軍ぐん部長ぶちょう

野津のつ鎮雄しずお中将ちゅうじょう：1878年ねん12月がつ10日とおか - 1880年ねん7月がつ22日にち
谷たに干城かんじょう中将ちゅうじょう：1880年ねん8月がつ9日にち -
曾我そが祐ゆう準じゅん中将ちゅうじょう：1881年ねん4月がつ29日にち -
（心得こころえ）黒川くろかわ通とおる軌少将しょうしょう：1882年ねん2月がつ6日にち - 1885年ねん5月がつ18日にち

西部せいぶ監かん軍ぐん部長ぶちょう

三浦みうら梧楼ごろう中将ちゅうじょう：1878年ねん12月がつ10日とおか -
（心得こころえ）高島たかしま鞆之助すけ少将しょうしょう：1882年ねん2月がつ6日にち -
高島たかしま鞆之助じょ中将ちゅうじょう：1883年ねん2月がつ1日にち - 1885年ねん5月がつ18日にち

第だい二に次じ

概要がいよう

1887年ねん（明治めいじ20年ねん）6月がつ2日にち、監かん軍部ぐんぶ条例じょうれい（勅みことのり令れい第だい18号ごう）が制定せいていされ、教育きょういく総監そうかん部ぶの前身ぜんしんである第だい二に次じ「監かん軍部ぐんぶ」が設置せっちされた。その任務にんむは「陸軍りくぐん軍隊ぐんたい練ねり成なりノ斉一せいいつヲ規ぶんまわし画が」する陸軍りくぐんの教育きょういくを担当たんとうした。長官ちょうかんは天皇てんのうに直ちょく隷する監かん軍ぐん（大将たいしょうまたは中将ちゅうじょう）で、以下いか、参謀さんぼう長ちょう（少将しょうしょうまたは大佐たいさ）、将校しょうこう学校がっこう監かん（少将しょうしょう）、騎兵きへい監かん（少将しょうしょうまたは騎兵きへい大佐たいさ）、砲兵ほうへい監かん（少将しょうしょうまたは砲兵ほうへい大佐たいさ）、工兵こうへい監かん（少将しょうしょうまたは工兵こうへい大佐たいさ）、輜重しちょう兵へい監かん（少将しょうしょうまたは輜重しちょう兵へい大佐たいさ）が置おかれた。

監かん軍ぐんは、勅命ちょくめいにより検閲けんえつ使しとして軍隊ぐんたいを検閲けんえつする役割やくわりも担になった。騎兵きへい監かんなどの各かく兵へい監かんは、それぞれの本科ほんかに関かんする調査ちょうさ、研究けんきゅう、審議しんぎ、立案りつあんを担になった。

1898年ねん（明治めいじ31年ねん）1月がつ22日にちに制定せいていされた教育きょういく総監そうかん部ぶ条例じょうれい（勅みことのり令れい第だい7号ごう）により、監かん軍部ぐんぶは教育きょういく総監そうかん部ぶに改編かいへんされた。（教育きょういく総監そうかん部ぶについては教育きょういく総監そうかんを参照さんしょう）

沿革えんかく

1887年ねん6月がつ2日にち監かん軍部ぐんぶ設置せっち
1888年ねん5月17日にち陸軍りくぐん乗馬じょうば学校がっこうを騎兵きへい監かんの管轄かんかつとする。
1890年ねん9月20日にち砲兵ほうへい監かんを「要塞ようさい砲兵ほうへい監かん」と「野戦やせん砲兵ほうへい監かん」に分わける。
1893年ねん12月16日にち将校しょうこう学校がっこう監かんを廃止はいしし、所管しょかん陸軍りくぐん諸しょ学校がっこうを監かん軍ぐん直轄ちょっかつとする。
1898年ねん1月がつ22日にち教育きょういく総監そうかん部ぶに改編かいへん。

歴代れきだい監かん軍ぐん

（兼けん）山縣やまがた有朋ありとも中将ちゅうじょう：1887年ねん5月がつ31日にち -
（兼けん）大山おおやま巌いわお中将ちゅうじょう：1888年ねん2月がつ3日にち -
（兼けん）山縣やまがた有朋ありとも中将ちゅうじょう：1889年ねん10月がつ3日にち -
（兼けん）大山おおやま巌いわお中将ちゅうじょう：1889年ねん12月24日にち -
三好みよし重臣じゅうしん中将ちゅうじょう：1890年ねん6月がつ7日にち -
山縣やまがた有朋ありとも大将たいしょう：1894年ねん12月18日にち -
（臨時りんじ）大山おおやま巌いわお大将たいしょう：1896年ねん3月がつ16日にち -
山縣やまがた有朋ありとも大将たいしょう：1896年ねん7月がつ31日にち - 1898年ねん1月がつ20日はつか

歴代れきだい参謀さんぼう長ちょう

児玉こだま源太郎げんたろう大佐たいさ：1887年ねん6月がつ3日にち - 1892年ねん8月がつ23日にち
大島おおしま久直ひさなお少将しょうしょう：1892年ねん9月がつ7日にち - 1893年ねん11月22日にち
岡沢おかざわ精きよし少将しょうしょう：1893年ねん11月22日にち - 1894年ねん8月がつ30日にち
（兼けん・事務じむ取扱とりあつかい）波多野はたの毅あつし歩兵ほへい大佐たいさ：1894年ねん9月がつ13日にち - 1895年ねん8月がつ10日とおか
井上いのうえ光ひかり少将しょうしょう：1895年ねん8月がつ20日はつか - 1898年ねん1月がつ20日はつか

将校しょうこう学校がっこう監かん

滋野しげの清彦きよひこ少将しょうしょう：1887年ねん6月がつ6日にち -
野崎のさき貞さだ澄きよし少将しょうしょう：1889年ねん8月がつ24日にち - 1890年ねん6月がつ7日にち
不明ふめい：1890年ねん6月がつ7日にち -
岡沢おかざわ精きよし少将しょうしょう：1892年ねん11月22日にち - 1893年ねん11月22日にち
（兼けん）岡沢おかざわ精きよし少将しょうしょう：1893年ねん11月22日にち -

砲兵ほうへい監かん

大築おおつき尚志ひさし少将しょうしょう：1887年ねん6月がつ4日にち - 1890年ねん9月がつ30日にち

歴代れきだい騎兵きへい監かん・要塞ようさい砲兵ほうへい監かん・野戦やせん砲兵ほうへい監かん・工兵こうへい監かん・輜重しちょう兵へい監かん

管轄かんかつ学校がっこう

監かん軍ぐん直轄ちょっかつ

将校しょうこう学校がっこう監かん管轄かんかつ

陸軍りくぐん士官しかん学校がっこう (日本にっぽん)
陸軍りくぐん幼年ようねん学校がっこう
他たの管轄かんかつ学校がっこうを除のぞく諸しょ将校しょうこう学校がっこう

騎兵きへい監かん管轄かんかつ（1888年ねん5月がつ17日にちより）

陸軍りくぐん乗馬じょうば学校がっこう（後ごの陸軍りくぐん騎兵きへい学校がっこう）

※陸軍りくぐん大だい学校がっこうは参謀さんぼう本部ほんぶの管轄かんかつ。

参考さんこう文献ぶんけん

秦はた郁いく彦編へん『日本にっぽん陸海りくかい軍ぐん総合そうごう事典じてん』第だい2版はん、東京大学とうきょうだいがく出版しゅっぱん会かい、2005年ねん。