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知恵 - Wikipedia

知恵ちえ

道理どうり判断はんだん処理しょりしていくしんはたら

知恵ちえ(ちえ、まれ: σοφία ソピアー, : prudentia, sapientia, えい: prudence, wisdom, : ज्ञान , jñāna)は、道理どうり判断はんだん処理しょりしていくしんはたら[1]筋道すじみちて、計画けいかくし、まさしく処理しょりしていく能力のうりょく[1]知慮ちりょ(ちりょ)、思慮しりょ(しりょ)とも。

かく分野ぶんやにおける知恵ちえ

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古代こだいギリシャ哲学てつがく

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古代こだいギリシャ哲学てつがくにおいて、知恵ちえもひとつの重要じゅうようなテーマとしてろんじられた。たとえば「とく」と日本語にほんごではやくされているもののなかに、これに合致がっちする部分ぶぶんおおい。

プラトンは、『国家こっかだい4かんにおいて、プロネーシス(知慮ちりょ知恵ちえ)を、アンドレイア勇気ゆうき)、ソープロシュネー節制せっせい)、ディカイオシュネー正義まさよし)とともに、国家こっかにも個人こじんにも共通きょうつうしてもとめられる徳性とくせいとして言及げんきゅうしている(枢要すうようとく四元よつもといさお)。

アリストテレスは、『ニコマコス倫理りんりがくだい6かんだい7しょうべられているように、実践じっせんてき知慮ちりょ知恵ちえを「プロネーシス」(phronesis, フロネシス)、完成かんせい完結かんけつした智慧ちえを「ソピア」(sophia, ソフィア)として、両者りょうしゃ区別くべつしている。

道教どうきょう

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老子ろうしだいじゅうはちしょうには「知恵ちえでてだいにせあり」という表現ひょうげんられ、かつて人々ひとびと素朴そぼくであった時代じだいには、人々ひとびと自然しぜんしたがってきており平和へいわだったが、のち人間にんげん知恵ちえすすんで、不自然ふしぜんなこと人為じんいてきなことがおこなわれたので、おおきないつわり(だいにせ)がしょうじ、なかみだれてしまった、とべられている。

旧約きゅうやく聖書せいしょ

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旧約きゅうやく聖書せいしょには、アダムイブが、「知恵ちえ」(知識ちしき)をべて性的せいてき羞恥心しゅうちしん芽生めばえた、との描写びょうしゃられる。その一方いっぽうでその「知恵ちえ」が原因げんいんでアダムとイブは楽園らくえんわれた、という描写びょうしゃられる。

仏教ぶっきょう

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仏教ぶっきょう用語ようごにおける智慧ちえは、物事ものごとをありのままに把握はあくし、真理しんり見極みきわめる認識にんしきりょく[1]。「さとし」は相対そうたい世界せかいかうはたらき、「とし」はさとみちび精神せいしん作用さよう[1]

大乗だいじょう仏教ぶっきょうでは、「ろんしょ」(アビダルマ)に表現ひょうげんされているような分析ぶんせきてき議論ぎろんれるせつ一切いっさいゆう中心ちゅうしんとする仏教ぶっきょう批判ひはんするかたちで、『般若はんにゃけい』やりゅういつきちゅうかんによって、分別ふんべつてき知恵ちえジュニャーナ, jñāna, わか, さとし)をえた分別ふんべつ智慧ちえプラジュニャー, prajñā, 般若はんにゃ, とし)が釈迦しゃかさと境地きょうちとして賞揚しょうようされ、普及ふきゅうされた。したがって、大乗だいじょう仏教ぶっきょうでは両者りょうしゃ区別くべつするのが一般いっぱんてきである[2]

心理しんりがく

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ポール・バルテス英語えいごばんは、知識ちしき教養きょうよう論理ろんりてき思考しこう判断はんだんといった認知にんちてき側面そくめんから知恵ちえのモデルおこない、知恵ちえを「重大じゅうだい、かつ、人生じんせい根本こんぽん影響えいきょうあたえるような実践じっせん場面ばめんにおける熟達じゅくたつした知識ちしき」と定義ていぎした[3]おなじく実践じっせん場面ばめんでの問題もんだい解決かいけつ関連かんれんする能力のうりょく日常にちじょう知能ちのうがあるが、知恵ちえ対人たいじんてき社会しゃかいてき歴史れきしてき要素ようそふくむ、より長期ちょうき能力のうりょくとして区別くべつされる。バルテスはモデルにあたり、知恵ちえ必要ひつような5つの知識ちしきとして、(1)宣言せんげんてき知識ちしき人生じんせいかかわるふかひろ知識ちしき)、(2)手続てつづてき知識ちしき問題もんだい解決かいけつのための情報じょうほう収集しゅうしゅう分析ぶんせき知識ちしき)、(3)文脈ぶんみゃく理解りかい問題もんだい背後はいごにある文脈ぶんみゃく理解りかい)、(4)価値かち相対そうたいせい理解りかい価値かちかん目標もくひょうによって解決かいけつ方向ほうこうせいわることの理解りかい)、(5)確実かくじつせい理解りかい人生じんせい予測よそく不可能ふかのうせい確実かくじつせい理解りかい)を仮定かていしている[3]

また、ロバート・スタンバーグ英語えいごばん知能ちのうとの比較ひかくにおいて、洞察どうさつりょく判断はんだんりょく・アドバイスする能力のうりょくふくみ、経験けいけん年齢ねんれいかさねたことで人生じんせい問題もんだいおおきな文脈ぶんみゃくなか把握はあくできる能力のうりょくが、知恵ちえのもつ特有とくゆう能力のうりょくであるとろんじている[3]

知恵ちえ」のかたりふくまれる表現ひょうげん事物じぶつ

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  • たがいに知恵ちえきそうことを、「知恵ちえきおい(くら)べ」(けん(かしこ)あらそい)という[4]
  • 知恵ちえねつ乳幼児にゅうようじ知恵ちえはじめるころに突然とつぜんきる発熱はつねつ俗称ぞくしょう母親ははおや由来ゆらい免疫めんえき減少げんしょうすることによってきる発熱はつねつで、「知恵ちえ」は時期じきをあらわすだけで直接ちょくせつ関係かんけいいとされる。英語えいごではteething fever。はじめることから。)
  • 知恵ちえ
  • 知恵歯ちえば
  • 知恵ちえこま正方形せいほうけいわくなかに16こま配置はいちいちこまだけとりのぞき、その利用りようし、1~15のこま番号ばんごうじゅんならべるゲーム)
  • 悪知恵わるぢえ - 猿知恵さるぢえ - 知恵袋ちえぶくろ

脚注きゃくちゅう

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出典しゅってん

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  1. ^ a b c d 知恵ちえ(ちえ)とは - コトバンク”. 朝日新聞社あさひしんぶんしゃ. 2017ねん10がつ16にち閲覧えつらん
  2. ^ プラジュニャーとは - コトバンク/世界せかいだい百科ひゃっか事典じてん
  3. ^ a b c 稲垣いながき宏樹ひろき 佐藤さとう眞一しんいち権藤ごんどう恭之きょうすけへん)「知恵ちえ」『よくわかる高齢こうれいしゃ心理しんりがくミネルみねるァ書房ぁしょぼう <やわらかアカデミズム<わかる>シリーズ> 2016ねんISBN 978-4-623-07655-0 pp.88-89.
  4. ^ 広辞苑こうじえんだいろくはん 岩波いわなみ新書しんしょ 一部いちぶ参考さんこう[疑問ぎもんてん]

関連かんれん項目こうもく

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