社債しゃさい

社債しゃさい（しゃさい、英えい: corporate bond）は、会社かいしゃが資金しきん調達ちょうたつを目的もくてきとして、投資とうし家かからの金銭きんせんの払込はらいこみと引ひき替かえに発行はっこう（起債きさい）する債券さいけんである。狭義きょうぎには、会社かいしゃ法ほうの規定きていするものをいう。

概要がいよう

社債しゃさいは、基本きほん的てきには資本しほんである株式かぶしきと異ことなり、発行はっこう企業きぎょうから見みると負債ふさい（借入かりいれ、借金しゃっきん）となる。ただし、転換てんかん社債しゃさいは株式かぶしきに転換てんかんされると負債ふさいから資本しほんに組くみ入いれられて増資ぞうしになる。銀行ぎんこうなどからの単たんなる融資ゆうしと異ことなって、社債しゃさいは流動りゅうどう性せいがある。つまり社債しゃさいを購入こうにゅうする投資とうし家かは、それを市場いちばで売うっていつでも現金げんきん化かできる。銀行ぎんこうによる融資ゆうしは借入金かりいれきんと書かかれて社債しゃさいと区別くべつされる。

社債しゃさいはしばしば機関きかん投資とうし家か向むけに募集ぼしゅうされる。バブル景気けいきのときは住宅じゅうたく金融きんゆう専門せんもん会社かいしゃなどノンバンクも引受ひきうけた。

募集ぼしゅうの方法ほうほうは公募こうぼと私募しぼがある。公募こうぼ債さいについては、主おもに投資とうし適格てきかくの格付かくづけを得えた大手おおて企業きぎょうが行おこなう設備せつび投資とうしや企業きぎょう買収ばいしゅうなどのM&Aなど、多額たがくの資金しきんが必要ひつようとなる場合ばあい発行はっこうされることが多おおい。私わたし募債ぼさいについては、発行はっこう会社かいしゃの財務ざいむ内容ないよう・発行はっこう目的もくてきとも、より多様たようである。

日本にっぽん法ほうの社債しゃさい

• この節ふしで、会社かいしゃ法ほうは条じょう数すうのみ記載きさいする。

歴史れきし

1899年ねんに商法しょうほうが制定せいていされた。173条じょうおよび199条じょうから207条じょうまでが社債しゃさい規定きていであった。1905年ねんに担保たんぽ付づけ社債しゃさい信託しんたく法ほうが、1922年ねんに信託しんたく法ほうと信託しんたく業法ぎょうほうがそれぞれ制定せいていされた。これらも社債しゃさいを規制きせいした。やがて昭和しょうわ金融きんゆう恐慌きょうこうで社債しゃさいのデフォルトが相次あいついだ。そこで1933年ねんに担保たんぽ付づけ社債しゃさい信託しんたく法ほうが改正かいせいされ、担保たんぽ付づけ社債しゃさいを分割ぶんかつ発行はっこうする制度せいどが導入どうにゅうされた。1938年ねんに商法しょうほう改正かいせいを経へて、募集ぼしゅうの受託じゅたく会社かいしゃおよび社債しゃさい権けん者しゃ集会しゅうかいが制度せいど化かされた。1942年ねんに社債しゃさい等とう登録とうろく法ほうが、1948年ねんに証券しょうけん取引とりひき法ほうが社債しゃさいを規制きせいするようになった。1950年ねんの商法しょうほう改正かいせいは授権資本しほん制度せいどと共ともに転換てんかん社債しゃさいを導入どうにゅうした。1962年ねんにも改正かいせいされ、これにより普通ふつう社債しゃさいの登記とうき制度せいどが廃止はいしとなった。

日本にっぽんでは19世紀せいき末まつごろから社債しゃさいの発行はっこうが行おこなわれてきたが、第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん中ちゅうおよび戦後せんごは発行はっこうが厳きびしく統制とうせいされ、一部いちぶの大手おおて優良ゆうりょう企業きぎょうしか社債しゃさいの発行はっこうができなかった。戦中せんちゅうは上述じょうじゅつの法律ほうりつに規制きせいされたが、戦後せんごは日銀にちぎんも干渉かんしょうした。すなわち1949年ねんに電力でんりょく債さい等とうをA格かく、私鉄してつ債さい等とうをB格かく、その他たをC格かくとする審査しんさ制度せいどが設もうけられた。これは1955年ねんに廃止はいしされた。しかし、1959年ねんに格付かくづけ基準きじゅんが、1977年ねんには適てき債さい基準きじゅんがそれぞれ設もうけられた。

情報じょうほう革命かくめいの進展しんてんに伴ともない、制度せいど改革かいかくがしばしば行おこなわれるようになった。緩和かんわ策さくの第一歩だいいっぽとして1977年ねんに社債しゃさい発行はっこう限度げんど暫定ざんてい措置そち法ほうが制定せいていされ、「特別とくべつの社債しゃさい」について相当そうとう期間きかん、発行はっこう限度げんど額がくを2倍ばいに増ふやした。1979年ねん、松下電器まつしたでんきが完全かんぜん無む担保たんぽ転換てんかん社債しゃさいを発行はっこうした。1981年ねんに商法しょうほうを改正かいせい、新株しんかぶ予約よやく権けん付づけ社債しゃさい（ワラント債さい）を導入どうにゅうした。日銀にちぎんの『主要しゅよう企業きぎょう経営けいえい分析ぶんせき』によると1982-1983年ねんの間あいだに主要しゅよう企業きぎょうの外部がいぶ資金しきん調達ちょうたつの総額そうがくに占しめる割合わりあいは、借入金かりいれきんが55.8％から14.4％に落おち込こみ、転換てんかん社債しゃさいが7.2％から35.1％に急増きゅうぞうした。ワラント債さいはゼロから8.4％になった。転換てんかん社債しゃさいとワラント債さいは普通ふつう社債しゃさいの資金しきんを食くって、普通ふつう社債しゃさいは14.2％から一時いちじ的てきに-0.3％へ落おち込こんだ。普通ふつう・転換てんかん・ワラント債さいを合あわせた社債しゃさい全体ぜんたいは21.4％だったものが43.2％にまで膨ふくれた。1984年ねん、借入金かりいれきんは9.1％になり、普通ふつう社債しゃさいは15.8％にまで反発はんぱつした。社債しゃさい全体ぜんたいに占しめる外債がいさいの割合わりあいは90.6％であった。1985年ねん、借入金かりいれきんは2.1％になり、転換てんかん社債しゃさいが14.0％に落おち込こむ一方いっぽう、ワラント債さいは20.8％に跳はね上あがった。また、この年としにはTDKが戦後せんご初はじめて完全かんぜん無む担保たんぽ普通ふつう社債しゃさいを発行はっこうした。1982-1986年ねんの間あいだ、財閥ざいばつ系けいの銀行ぎんこうがそれぞれの傘下さんか企業きぎょうを贔屓目ひいきめに外債がいさい発行はっこうを補助ほじょ・推進すいしんした。

1987年ねん、無む担保たんぽの適てき債さい基準きじゅんが数値すうち基準きじゅんと債権さいけん格付かくづけ基準きじゅんに分わかれた。これにより、自己じこ資本しほん比率ひりつ等ひとしの数値すうち基準きじゅんを満みたさなくても格付かくづけ基準きじゅんに合あえば発行はっこうできるようになった。翌年よくねんに有ゆう担保たんぽ債さいも同様どうようとなった。1990年ねんに商法しょうほう等ひとしならびに商法しょうほう等とうの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつの施行しこうに伴ともなう関係かんけい法律ほうりつの整備せいび等とうに関かんする法律ほうりつを改正かいせい、これにより適てき債さい基準きじゅんを純資産じゅんしさん基準きじゅんに一元化いちげんかした他ほか、暫定ざんてい措置そち法ほうが適用てきようされる「特別とくべつの社債しゃさい」へ新株しんかぶ引受ひきうけ権けん付づけ社債しゃさいを追加ついかした。1992年ねん、金融きんゆう制度せいどおよび証券しょうけん取引とりひき制度せいどの改革かいかくのための関係かんけい法律ほうりつの整備せいび等とうに関かんする法律ほうりつができた。翌年よくねんに商法しょうほう等ひとしならびに整備せいび法ほうを改正かいせい、これにより社債しゃさい発行はっこう限度げんど規制きせいと募集ぼしゅう受託じゅたく会社かいしゃ制度せいどを廃止はいし、また社債しゃさい管理かんり会社かいしゃ制度せいどを導入どうにゅうした他ほか、各かく法律ほうりつ間あいだの調整ちょうせいをした。1996年ねんに金融きんゆうビッグバンの一環いっかんとして、債券さいけん格付かくづけ基準きじゅんにおける適てき債さい基準きじゅんと無む担保たんぽ債さい発行はっこう時じの財務ざいむ制限せいげん条項じょうこうが撤廃てっぱいされるに及および、社債しゃさいは完全かんぜん自由じゆう化かを果はたした。

また、かつては社債しゃさいがデフォルトに陥おちいりそうになると銀行ぎんこうが社債しゃさいを買かい取とるという慣行かんこうがあった。公募こうぼ債さいのデフォルトによる損失そんしつを投資とうし家かが負担ふたんした戦後せんご初はつの事例じれいは、1997年ねんのヤオハン転換てんかん社債しゃさいの事例じれいである。2001年ねんにはマイカル債さいのデフォルトにより多数たすうの個人こじん投資とうし家かも影響えいきょうを受うけた。その後ご7年間ねんかん、日本にっぽんにおいて社債しゃさいのデフォルトは発生はっせいしていなかったが、2008年ねんにスルガコーポレーションの社債しゃさいのデフォルトが発生はっせいした。

定義ていぎ

会社かいしゃ法ほう上じょうは、「この法律ほうりつ（注ちゅう：会社かいしゃ法ほう）の規定きていにより会社かいしゃが行おこなう割当わりあてにより発生はっせいする当該とうがい会社かいしゃを債務さいむ者しゃとする金銭きんせん債権さいけんであって、第だい676条じょう各号かくごうに掲かかげる事項じこうについての定さだめに従したがい償還しょうかんされるものをいう。」と定義ていぎされる（2条じょう23号ごう）。

会社かいしゃ法ほうの渉外しょうがい的てき適用てきよう範囲はんい

日本にっぽんの会社かいしゃが、日本にっぽんの法律ほうりつに準拠じゅんきょした発行はっこう手続てつづきに基もとづいて発行はっこうした社債しゃさいについては、発行はっこう地ちの内外ないがいを問とわず、日本にっぽんの会社かいしゃ法ほうの社債しゃさい権けん者しゃ集会しゅうかいや社債しゃさい管理かんり者しゃの規定きていの適用てきようを受うける（属地ぞくち的てきな適用てきようを主張しゅちょうして限定げんていする見解けんかいもある）。日本にっぽんの会社かいしゃが発行はっこうする（広義こうぎの）社債しゃさいであっても、外国がいこくの法律ほうりつに準拠じゅんきょした発行はっこう手続てつづきに基もとづいて発行はっこうされた社債しゃさいについては、会社かいしゃ法ほうの規定きていする社債しゃさいではないため、かかる規定きていは適用てきようされないとされる。また、外国がいこく会社かいしゃが発行はっこうする広義こうぎの社債しゃさいについても、同様どうように会社かいしゃ法ほうの規定きていする社債しゃさいではないため、かかる規定きていは適用てきようされないとされる（ただし、属地ぞくち的てきな適用てきようを主張しゅちょうする見解けんかいからは一部いちぶ肯定こうていされる。）。

発行はっこうに際さいして

社債しゃさいは有価ゆうか証券しょうけんであるため、株式かぶしきなどと同おなじく金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほうの規制きせい下かに置おかれる。

公募こうぼ債さいを発行はっこうする会社かいしゃは金融きんゆう商品しょうひん取引とりひき法ほう上じょうの有価ゆうか証券しょうけん報告ほうこく書しょの提出ていしゅつ義務ぎむが生しょうじる。 社債しゃさいの取引とりひき方法ほうほうとしては相対そうたい取引とりひきと市場いちば取引とりひきがある。

社債しゃさいの発行はっこうには取締役とりしまりやく会かいの決議けつぎが必要ひつようである（362条じょう4項こう5号ごう）。取締役とりしまりやく会かい設置せっち会社かいしゃでない会社かいしゃでは、取締役とりしまりやくの過半数かはんすうによる決定けっていが必要ひつようである（348条じょう2項こう）。

• 募集ぼしゅう社債しゃさい

  募集ぼしゅう社債しゃさいに関かんする事項じこうの決定けってい(676条じょう)

  募集ぼしゅう社債しゃさいの申込もうしこみ（677条じょう）

• 社債しゃさい原簿げんぼ（681条じょう）
• 社債しゃさい券けん

  社債しゃさい券けんの発行はっこう(696条じょう)

  社債しゃさい券けんの記載きさい事項じこう(697条じょう)

  社債しゃさい券けんには、利札りさつを付ふすることができる。

• 償還しょうかん

  利札りさつが欠かけている場合ばあいにおける社債しゃさいの償還しょうかん（700条じょう）

  社債しゃさいの償還しょうかん請求せいきゅう権けん等とうの消滅しょうめつ時効じこう(701条じょう)

  償還しょうかん請求せいきゅう権けんは、十じゅう年間ねんかん行使こうししないときは、時効じこうによって消滅しょうめつする。

• 社債しゃさい管理かんり者しゃ

  社債しゃさい管理かんり者しゃの設置せっち(702条じょう)

• 社債しゃさい権けん者しゃ集会しゅうかい

  社債しゃさい権けん者しゃ集会しゅうかいの権限けんげん(716条じょう)

  社債しゃさい権けん者しゃ集会しゅうかいの招集しょうしゅう（717条じょう）

  社債しゃさい権けん者しゃによる招集しょうしゅうの請求せいきゅう(718条じょう)

  ある種類しゅるいの社債しゃさいの総額そうがくの十じゅう分ぶんの一いち以上いじょうに当あたる社債しゃさいを有ゆうする社債しゃさい権けん者しゃは、社債しゃさい発行はっこう会社かいしゃ又または社債しゃさい管理かんり者しゃに対たいし、社債しゃさい権けん者しゃ集会しゅうかいの目的もくてきである事項じこう及および招集しょうしゅうの理由りゆうを示しめして、社債しゃさい権けん者しゃ集会しゅうかいの招集しょうしゅうを請求せいきゅうすることができる。

  議決ぎけつ権けんの額がく等とう(723条じょう)

  社債しゃさい発行はっこう会社かいしゃは、その有ゆうする自己じこの社債しゃさいについては、議決ぎけつ権けんを有ゆうしない。

  議決ぎけつ権けんの不ふ統一とういつ行使こうし(728条じょう)

  社債しゃさい権けん者しゃは、その有ゆうする議決ぎけつ権けんを統一とういつしないで行使こうしすることができる。

  社債しゃさい権けん者しゃ集会しゅうかいの決議けつぎの効力こうりょく(734条じょう)

  裁判所さいばんしょの認可にんかを受うけなければ、その効力こうりょくを生しょうじない。

会社かいしゃ法ほうによる変化へんか

平成へいせい17年ねん（2005年ねん）に制定せいていされた会社かいしゃ法ほうにおいては、株式会社かぶしきがいしゃのほか、特例とくれい有限ゆうげん会社かいしゃ(旧きゅう有限ゆうげん会社かいしゃ)、持分もちぶん会社かいしゃも発行はっこうすることが出来できるようになった(旧きゅう有限ゆうげん会社かいしゃ法ほうにおいて、法ほう解釈かいしゃく上じょう、有限ゆうげん会社かいしゃについては社債しゃさいの発行はっこうを認みとめていないと認識にんしきされ、持分もちぶん会社かいしゃについては社債しゃさいの発行はっこうについての規定きていがなかったが会社かいしゃ法ほうにより明文化めいぶんかされた)。また、発行はっこう会社かいしゃが特とくにその定さだめを置おいた場合ばあいを除のぞき、債券さいけんを発行はっこうすることを要ようしないものとされる（676条じょう6号ごう参照さんしょう）。

社債しゃさいの種類しゅるい

• 性質せいしつによる分類ぶんるい
  • 普通ふつう社債しゃさい
  • 転換てんかん社債しゃさい型がた新株しんかぶ予約よやく権けん付づけ社債しゃさい（転換てんかん社債しゃさい、取得しゅとく請求せいきゅう権けん付づけ株式かぶしき）
  • 新株しんかぶ予約よやく権けん付づけ社債しゃさい（ワラント債さい、新株しんかぶ予約よやく権けんを付ふした社債しゃさい）
  • 劣後債れつごさい
• 債権さいけん者しゃ名義めいぎの管理かんりの有無うむによる区別くべつ
  • 記名きめい社債しゃさい
  • 無む記名きめい社債しゃさい
• 募集ぼしゅうの仕方しかたによる分類ぶんるい
  • 公募こうぼ社債しゃさい
  • 私募しぼ社債しゃさい
• 担保たんぽの有無うむによる分類ぶんるい
  • 担保たんぽ付づけ社債しゃさい：担保たんぽ付づけ社債しゃさい信託しんたく法ほうの適用てきようを受うける。
  • 無む担保たんぽ社債しゃさい
• 利り払はらい方式ほうしきによる分類ぶんるい
  • 利付りつき債さい
    • 固定こてい利付りつき債さい
    • 変動へんどう利付りつき債さい
  • 割引わりびき債さい
• 発行はっこう価格かかくによる分類ぶんるい
  • 額面がくめん発行はっこう…発行はっこうする金額きんがくと満期まんき時じに償還しょうかんされる金額きんがくが同額どうがくの社債しゃさい。
  • 割引わりびき発行はっこう…発行はっこうする金額きんがくより満期まんき時じに償還しょうかんされる金額きんがくが高たかい社債しゃさい。
  • 打歩うちぶ(うちぶ)発行はっこう…発行はっこうする金額きんがくより満期まんき時じに償還しょうかんされる金額きんがくが安やすい社債しゃさい。
    • 打歩うちぶ発行はっこうでは償還しょうかんされる金額きんがくと償還しょうかん期限きげんを迎むかえるまでの間あいだに支払しはらわれる利息りそくの合計ごうけいが発行はっこう額がくを上回うわまわるようになっている。

会社かいしゃ法ほう上じょうの社債しゃさいと類似るいじするものとして、特定とくてい目的もくてき会社かいしゃが発行はっこうするものを、特定とくてい社債しゃさいといい、資産しさんの流動りゅうどう化かに関かんする法律ほうりつの適用てきようを受うける。投資とうし法人ほうじんが発行はっこうするものは投資とうし法人ほうじん債さいといい、投信とうしん法ほうの適用てきようを受うける。その他たにも、業種ぎょうしゅによっては、社債しゃさい発行はっこうに当あたり、各かく業法ぎょうほう規制きせいの影響えいきょうを受うけることがある。 また、非ひ居住きょじゅう者しゃである外国がいこくの発行はっこう体たいが日本にっぽん国内こくないで円建えんだてで発行はっこうする債券さいけんをサムライ債さい、外貨がいか建だてで発行はっこうする債券さいけんをショーグン債さいという。

格付かくづけとの関係かんけい

R&I、S&P、ムーディーズなどの格付かくづけ会社かいしゃよって信用しんよう格付かくづけが付与ふよされた会社かいしゃの社債しゃさいは、一般いっぱんに低ひくい金利きんりで社債しゃさいの発行はっこうが可能かのうとなる。

その中なかでも、一般いっぱんにBBB（トリプルB、一般いっぱん的てきなレベルとされる）以上いじょう（その上うえはA、AAと続つづき、最高さいこうはAAA）の格付かくづけが付与ふよされた社債しゃさいを慣習かんしゅう的てきに「投資とうし適格てきかく債券さいけん」（｢投資とうし適格てきかく」とは英語えいごInvestment Gradeを日本語にほんご訳やくした言葉ことば)と呼よび、BBB未満みまんの格付かくづけ、もしくは格付かくづけが付与ふよされていない社債しゃさいについては「投資とうし不ふ適格てきかく債券さいけん」(Non Investment Gradeの日本語にほんご訳やく)と通常つうじょう呼よんでいた。また格付かくづけがBBB未満みまんの社債しゃさいは俗ぞくにジャンク債さい（Junk Bond)とも呼よばれる。しかし現在げんざい海外かいがい金融きんゆう市場いちばではInvestment Grade,Non Investment Gradeという言葉ことばは、現実げんじつの投資とうし家かの多様たような期待きたいリターンやリスク許容きょよう度どを考かんがえた場合ばあい、言葉ことばとして曖昧あいまいでありミスリーディングであるとの考かんがえが強つよくなっている。事実じじつ海外かいがい金融きんゆう市場いちばには、ハイリスク・ハイリターンを前提ぜんていにジャンク債さいを扱あつかう市場いちばや機関きかん投資とうし家かも存在そんざいする。よって英語えいごではBBB格かく以上いじょうの社債しゃさいは単たんにHigh Grade「高こう格付かくづけ債さい」、それ未満みまんをLow Grade「低てい格付かくづけ債さい」と呼よぶ動うごきもある。また金融きんゆう業者ぎょうしゃがBBB格かく未満みまんのハイリスク・ハイイールド債さいを投資とうし家かに販売はんばいする場合ばあいに、敢あえて「ハイリスク」の部分ぶぶんを落おとして「ハイイールド債さい」とい替いかえることもある。

ジャンク債さいは米国べいこく金融きんゆう市場いちばで1980年代ねんだいにLBOなど企業きぎょう買収ばいしゅうで大量たいりょうに発行はっこうされ、一時いちじ的てきに市場いちばは収縮しゅうしゅくしたものの90年代ねんだい以降いこう投資とうし家かの認知にんちを得えるに至いたっている。ジャンク債さいには、もともと格付かくづけが高たかかった社債しゃさいが格下かくさげされてジャンクになるケースと最初さいしょから低てい格付かくづけで発行はっこうされるものがある。後者こうしゃの場合ばあいは、国債こくさい金利きんりに対たいする上乗うわのせ金利きんりであるクレジット･スプレッドが高たかいことはもちろんのこと、それ以外いがいにも投資とうし家かに対たいする契約けいやく内容ないようであるコベナンツの内容ないようを工夫くふうすることにより安全あんぜん性せいを高たかめる努力どりょくが行おこなわれる場合ばあいがある。しかしジャンク債さいのデフォルト率りつは当然とうぜんながら高たかく、投資とうし家かは高たかいリスクを相殺そうさいすべく高たかいクレジット･スプレッドを要求ようきゅうすることになる。 なお日本にっぽんにおいては、高こう格付かくづけ債さいがジャンク化かする例れいは多おおいし、実体じったい的てきなクレジット･リスクが高たかい会社かいしゃも多おおいが、発行はっこう時点じてんからBBB格かく未満みまんの格付かくづけを付つけてリスクを表示ひょうじして社債しゃさいを発行はっこうすることを嫌きらう傾向けいこうが強つよい。したがって日本にっぽんでは海外かいがいに存在そんざいするようなジャンク債さい市場いちばは存在そんざいしない。

脚注きゃくちゅう

関連かんれん項目こうもく

• 担保たんぽ付づけ社債しゃさい
• 少しょう人数にんずう私わたし募債ぼさい
• 抵当ていとう証券しょうけん
• 社債しゃさい、株式かぶしき等とうの振替ふりかえに関かんする法律ほうりつ
• カバードボンド
• BIS規制きせい

参考さんこう文献ぶんけん

• 日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ 『Q&A 株式かぶしき投資とうし100の常識じょうしき』（日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ）2001 ISBN 4-532-14944-4

外部がいぶリンク

• ムーディーズ・ジャパン - 社債しゃさいの格付かくづけ会社かいしゃ