管理かんり官かん

管理かんり官かん（かんりかん）は、日本にっぽんの中央ちゅうおう省庁しょうちょう及および警察けいさつにおける官職かんしょくの一ひとつである。

警察けいさつにおける「管理かんり官かん」

警視庁けいしちょう

警視庁けいしちょう本部ほんぶの管理かんり官かんは各課かくかの管理かんり職しょくとして、課長かちょう・理事りじ官かんに次つぐナンバー3の複数ふくすうのポストである^[1]。主しゅとして、複数ふくすうの係かかりの統括とうかつ役やくを務つとめる立場たちばであり、重大じゅうだい事件じけんにおいて捜査そうさ指揮しきを行おこなう。管理かんり官かんの捜査そうさ指揮しき・管理かんり能力のうりょくなどは、事件じけん解決かいけつに直結ちょっけつするため、非常ひじょうに重要じゅうようなポストといえる。

刑事けいじ部ぶ捜査そうさ第だい一いち課かの場合ばあい、課長かちょうと2人ふたりの理事りじ官かんの下したに13名めい置おかれている。捜査そうさ第だい一いち課か管理かんり官かんは、重大じゅうだいな強行きょうこう事件じけんが発生はっせいすると現場げんばに臨場りんじょうし、所轄しょかつ（その事件じけんが起おきた場所ばしょを管轄かんかつしている）警察けいさつ署しょに設置せっちされた捜査そうさ本部ほんぶで陣頭じんとう指揮しきを執とる。管理かんり官かんひとりで3〜4の係かかりを統括とうかつするため、同時どうじに数すう件けんの捜査そうさ本部ほんぶを指揮しきすることがある。

捜査そうさ第だい一いち課かなどの管理かんり官かんは公用こうよう車しゃが与あたえられる。この場合ばあい、通常つうじょうは覆面ふくめんパトカーを移動いどう用ようの公用こうよう車しゃとして使つかう。これは事件じけん事故じこなどに臨場りんじょうする必要ひつようもあるので、そのほうが都合つごうが良よいためでもある。

道府県どうふけん警察けいさつ本部ほんぶ

道府県どうふけん警察けいさつ本部ほんぶの管理かんり官かんは、原則げんそくとして課長かちょうに次つぐナンバー2のポストである。主要しゅよう課かには複数ふくすう配置はいちされる。かつては、道府県どうふけん警察けいさつ本部ほんぶの課長かちょう（警視けいし）に次つぐポストは次席じせき（警部けいぶ）であった。ところが、警視けいしの増加ぞうかにより、それぞれの課かに管理かんり官かんポストを設もうけ彼かれらを配置はいちした結果けっか、次席じせきより上位じょういとなった経緯けいいがある。そのため正式せいしきな肩書かたがきが「管理かんり官かん次席じせき事務じむ取扱とりあつかい」となっているところもある。また道府県どうふけん警察けいさつ本部ほんぶによっては、調査官ちょうさかん・指導しどう官かんなどと称しょうしたり、名称めいしょうだけでなく位置付いちづけも大おおきく異ことなるので注意ちゅういを要ようする。

警察けいさつ署しょ

大だい規模きぼ警察けいさつ署しょにおいても管理かんり官かんポストが配置はいちされているケースがある。警察けいさつ署しょにおいては、主おもに同一どういつの系統けいとうで複数ふくすうの課かが存在そんざいする（○○一いち課か、○○二に課かなど）所掌しょしょう事務じむを統括とうかつする役割やくわりを担になう。警察けいさつ署しょの場合ばあい、警視けいしよりも格下かくしたの警部けいぶが課長かちょう職しょくを担当たんとうするため、警察けいさつ署しょにおける管理かんり官かんポストは課長かちょうよりも上役うわやくとなり、原則げんそく的てきに副ふく署長しょちょうと課長かちょうの間あいだに置おかれている。このため、警視庁けいしちょうや警察けいさつ本部ほんぶのケースとは異ことなり、課長かちょうと管理かんり官かんの格付かくづけが逆転ぎゃくてんしている。「管理かんり官かん」の名称めいしょうではなく「○○（「刑事けいじ」「地域ちいき」など担当たんとう部門ぶもん名めい）官かん」「○○管理かんり官かん」「○○担当たんとう次長じちょう」の名称めいしょうを用もちいる警察けいさつ本部ほんぶもある。

警視庁けいしちょうの警察けいさつ署しょでは、署しょの規模きぼの大小だいしょうに関かかわらず課長かちょう職しょくに警視けいしが就任しゅうにんする場合ばあいが多おおく、警部けいぶは「管理かんり職しょく警部けいぶ」に存そんする者もの以外いがいは「課長かちょう心得こころえ」「課長かちょう代理だいり」というポストに就つく。

階級かいきゅう

警視庁けいしちょうにおける管理かんり官かんは警視けいしをもって充あてられる。道府県どうふけん警察けいさつ本部ほんぶでも概おおむね警視けいしが管理かんり官かんに就つく。

キャリア組ぐみの管理かんり官かん

国家こっか公務員こうむいんI種たねのキャリア警察けいさつ官僚かんりょうが管理かんり官かんに就任しゅうにんすることがある。しかしながらこれは稀まれであり、警視庁けいしちょうでも公安こうあん部ぶ外事がいじ第だい一いち課か、刑事けいじ部ぶ捜査そうさ第だい一いち課か、刑事けいじ部ぶ捜査そうさ第だい二に課か、組織そしき犯罪はんざい対策たいさく部ぶ組織そしき犯罪はんざい対策たいさく総務そうむ課かなどに限かぎられている。警視庁けいしちょう刑事けいじ部ぶでは捜査そうさ第だい二に課かは贈収賄ぞうしゅうわいや談合だんごうなど政治せいじ的てきな側面そくめんをもつ経済けいざい犯罪はんざいや知能犯ちのうはん罪ざいを扱あつかうこともある関係かんけいでキャリア色しょくが強つよく、歴代れきだい課長かちょうはキャリア組ぐみで独占どくせんされており、管理かんり官かんも以前いぜんからキャリア組ぐみが就任しゅうにんすることが珍めずらしくない。捜査そうさ第だい一いち課かにおいてはキャリアの管理かんり官かんは全まったくいない時期じきが長ながかったが、1990年代ねんだい以降いこうの人事じんじではキャリアにも積極せっきょく的てきに現場げんばを歩あゆませる動うごきが出でており、捜査そうさ第だい一いち課かの10数すう名めいの管理かんり官かんのうち1名めいは常つねにキャリアの者ものが就つく体制たいせいである。とはいえ捜査そうさ第だい一いち課か400名めい以上いじょうの刑事けいじの中なかでキャリアの管理かんり官かんはたった1名めいである。

役職やくしょくとしては、キャリアにとっては警視けいし昇任しょうにん直後ちょくごに就つく若手わかて時代じだいのポストである。

総務そうむ省しょう行政ぎょうせい管理かんり局きょくにおける「管理かんり官かん」

総務そうむ省しょう行政ぎょうせい管理かんり局きょくの管理かんり官かんは課長かちょう級きゅう分掌ぶんしょう官かんの一ひとつであり、国家こっか行政ぎょうせい組織そしき法ほう、総定員法そうていいんほう等ひとしに基もとづく行政ぎょうせい組織そしきの定員ていいん・編成へんせい管理かんりを行おこなっている。

各かく省庁しょうちょうがその設置せっち法ほう、組織そしき令れい（政令せいれい）、組織そしき規則きそく（省令しょうれい）を改正かいせいするとき、定員ていいんの増減ぞうげんを行おこなうときは必かならずこの管理かんり官かんと協議きょうぎしなければならず、内閣ないかく法制ほうせい局きょく参事官さんじかん、財務省ざいむしょう主計しゅけい局きょく主計しゅけい官かん、また行政ぎょうせい管理かんり局きょく管理かんり官かん同様どうように財務ざいむ官僚かんりょうの指定してい席せきたる人事院じんじいん給与きゅうよ局きょく給与きゅうよ第だい二に課長かちょう等ひとしと並ならんで官僚かんりょう組織そしき内ないでは大おおきな権限けんげんを持もつものとされている。

他たの管理かんり官かん

課長かちょう級きゅう分掌ぶんしょう官かんとして原子力げんしりょく規制きせい庁ちょうの安全あんぜん規制きせい管理かんり官かん、安全あんぜん技術ぎじゅつ管理かんり官かんがある。

内閣ないかく府ふに厚生こうせい管理かんり官かんがある。

宮内庁くないちょうに宮殿きゅうでん管理かんり官かんがある。

総務そうむ省しょうに行政ぎょうせい相談そうだん管理かんり官かん、統計とうけい情報じょうほうシステム管理かんり官かん、統計とうけい企画きかく管理かんり官かん、国際こくさい統計とうけい管理かんり官かん、恩給おんきゅう管理かんり官かんがある。

法務省ほうむしょうに厚生こうせい管理かんり官かん、民事みんじ法制ほうせい管理かんり官かん、刑事けいじ法制ほうせい管理かんり官かん、国際こくさい刑事けいじ管理かんり官かん、更生こうせい支援しえん管理かんり官かん、矯正きょうせい医療いりょう管理かんり官かんがある。

出入国しゅつにゅうこく在留ざいりゅう管理庁かんりちょうに地方ちほう出入国しゅつにゅうこく在留ざいりゅう管理かんり官かんが。

財務省ざいむしょう大臣だいじん官房かんぼうに厚生こうせい管理かんり官かんが、財務局ざいむきょくに総務そうむ管理かんり官かん、合同庁舎ごうどうちょうしゃ管理かんり官かん、上席じょうせき業務ぎょうむ管理かんり官かん、業務ぎょうむ管理かんり官かん、情報じょうほう管理かんり官かん、統括とうかつ国有こくゆう財産ざいさん管理かんり官かん、上席じょうせき国有こくゆう財産ざいさん管理かんり官かん、国有こくゆう財産ざいさん管理かんり官かんがある。

国税庁こくぜいちょうに厚生こうせい管理かんり官かん、国際こくさい調査ちょうさ管理かんり官かんが、国税局こくぜいきょくに国税こくぜい管理かんり官かんがある。

金融きんゆう庁ちょうに総括そうかつ管理かんり官かん、国際こくさい政策せいさく管理かんり官かん、企業きぎょう統治とうち改革かいかく推進すいしん管理かんり官かん、監督かんとく管理かんり官かん、市場いちば監視かんし管理かんり官かん、特別とくべつ調査ちょうさ管理かんり官かんがある。

外務省がいむしょうに国会こっかい対策たいさく管理かんり官かん、営繕えいぜん管理かんり官かん、現地げんち職員しょくいん管理かんり官かんがある。

経済けいざい産業さんぎょう省しょうに業務ぎょうむ管理かんり官かん、文書ぶんしょ管理かんり官かん、予算よさん管理かんり官かん、鉱山こうざん・火薬かやく類るい管理かんり官かん、鉱業こうぎょう管理かんり官かん、小売こうり取引とりひき検査けんさ管理かんり官かん、厚生こうせい管理かんり官かんがある。

国土こくど交通省こうつうしょう総合そうごう政策せいさく局きょくに国際こくさい建設けんせつ管理かんり官かんが、大臣だいじん官房かんぼうに危機きき管理かんり官かんが、下水道げすいどう部ぶに流域りゅういき管理かんり官かんが、地方ちほう整備せいび局きょくに技術ぎじゅつ調整ちょうせい管理かんり官かん、契約けいやく管理かんり官かん、用地ようち補償ほしょう・土地とち調整ちょうせい管理かんり官かん、適正てきせい業務ぎょうむ管理かんり官かん、建設けんせつ管理かんり官かん、工事こうじ品質ひんしつ管理かんり官かん、営繕えいぜん品質ひんしつ管理かんり官かん、営繕えいぜん特別とくべつ事業じぎょう管理かんり官かん、広域こういき水すい管理かんり官かん、流域りゅういき管理かんり官かん、河川かせん情報じょうほう管理かんり官かん、道路どうろ設計せっけい管理かんり官かん、道路どうろ情報じょうほう管理かんり官かん、官庁かんちょう施設しせつ管理かんり官かん、港湾こうわん計画けいかく管理かんり官かん、港湾こうわん保安ほあん管理かんり官かん、防災ぼうさい管理かんり官かん、占うらない用よう調整ちょうせい管理かんり官かんが、国土こくど技術ぎじゅつ政策せいさく総合そうごう研究所けんきゅうじょに土砂どしゃ災害さいがい情報じょうほう管理かんり官かん、契約けいやく財産ざいさん管理かんり官かん、総務そうむ管理かんり官かんがある。

気象庁きしょうちょうに経理けいり管理かんり官かん、国際こくさい・航空こうくう気象きしょう管理かんり官かん、衛星えいせい運用うんよう事業じぎょう管理かんり官かん、観測かんそく船せん運用うんよう管理かんり官かんがある。

海上保安庁かいじょうほあんちょうに教育きょういく訓練くんれん管理かんり官かん、主計しゅけい管理かんり官かん、危機きき管理かんり官かんがある。

厚生こうせい労働省ろうどうしょうに会計かいけい管理かんり官かん、水道すいどう水質すいしつ管理かんり官かん、歯科しか医療いりょう管理かんり官かん、薬剤やくざい管理かんり官かん、数理すうり調整ちょうせい管理かんり官かん、統計とうけい管理かんり官かん、情報じょうほうシステム管理かんり官かんがある。

農林水産省のうりんすいさんしょうに漁業ぎょぎょう保険ほけん管理かんり官かん、統計とうけい企画きかく管理かんり官かんがある。

水産庁すいさんちょうに漁業ぎょぎょう保険ほけん管理かんり官かんがある。

環境省かんきょうしょうの国立こくりつ公園こうえん管理かんり事務所じむしょに国立こくりつ公園こうえん管理かんり官かんがある。

防衛ぼうえい省しょうに施設しせつ技術ぎじゅつ管理かんり官かん、服務ふくむ管理かんり官かん、訟務管理かんり官かんがある。

公正こうせい取引とりひき委員いいん会かい事務じむ総局そうきょくに審査しんさ管理かんり官かん、課徴かちょう金きん減免げんめん管理かんり官かん、総務そうむ管理かんり官かんがある。

会計検査院かいけいけんさいん事務じむ総局そうきょくに厚生こうせい管理かんり官かんがある。

脚注きゃくちゅう

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ 警視庁けいしちょう本部ほんぶ処務しょむ規程きてい（昭和しょうわ47年ねん警視庁けいしちょう訓令くんれい甲かぶと第だい5号ごう）。「警視庁けいしちょう組織そしき規則きそく等とうの運用うんようについて」（昭和しょうわ48年ねん8月がつ30日にち付づけ副ふく総監そうかん名めい通達つうたつ甲きのえ（副ふく監かん.総そう.企くわだて.組くみ）第だい13号ごう）。