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航空学生 - Wikipedia

航空こうくう学生がくせい(こうくうがくせい 英語えいご: Aviation Cadet)とは、日本にっぽん航空こうくう自衛隊じえいたいにおける操縦そうじゅう海上かいじょう自衛隊じえいたい航空機こうくうき操縦そうじゅうならびに戦術せんじゅつ航空こうくう養成ようせい制度せいど、および課程かてい在学ざいがくちゅう自衛じえいかんであるもの呼称こしょう略称りゃくしょうは『こうがく』。

べいぐん管制かんせいかん質疑しつぎ応答おうとうする航空こうくう自衛隊じえいたい航空こうくう学生がくせい岩国いわくに基地きち

海上かいじょう自衛隊じえいたい採用さいようしゃは『海上かいじょう要員よういん』、航空こうくう自衛隊じえいたい採用さいようしゃは『航空こうくう要員よういん』ともばれる。

概要がいよう

編集へんしゅう
 
保安ほあんたい航空こうくう学校がっこう航空こうくう操縦そうじゅう学生がくせい(1954ねん2がつ

航空機こうくうき発明はつめいされるとあいだかず軍隊ぐんたい偵察ていさつとして利用りようはじめた。当時とうじ必要ひつようとされる能力のうりょくたかさから操縦そうじゅう訓練くんれん少年しょうねんから開始かいしするべきというかんがえが提唱ていしょうされ、イギリスぐん1919ねん設置せっちしたRoyal Air Force College Cranwellから優秀ゆうしゅう操縦そうじゅう誕生たんじょうした。これを航空機こうくうき利用りようはじめた他国たこくぐんでも同等どうとう早期そうき育成いくせい制度せいど創設そうせつした。アメリカでは1907ねんから操縦そうじゅう航空こうくう機関きかん航法こうほうばくげきしゅ早期そうき育成いくせいするFlight cadet開始かいしした。きゅう日本にっぽんぐんでも航空機こうくうき操縦そうじゅう専念せんねんする年少ねんしょうしゃ採用さいよう専門せんもん教育きょういく修了しゅうりょう下士官かしかんとしてあつか陸軍りくぐん少年しょうねん飛行ひこうへいしょう)と海軍かいぐん飛行ひこう練習れんしゅうせい予科練よかれん)からなる少年しょうねん航空こうくうへい制度せいど運用うんようし、陸海りくかいぐん航空こうくう部隊ぶたいにおいてはこれら課程かてい出身しゅっしん操縦そうじゅう人員じんいんめんでの中核ちゅうかくとなった。

だい世界せかい大戦たいせん前後ぜんごには航空こうくうたい増強ぞうきょうするため各国かっこく定員ていいんやし、戦時せんじちゅうにはパイロットの主力しゅりょくとなったが、大戦たいせん後期こうきには航空機こうくうき進歩しんぽわせ利用りようほう単純たんじゅん空戦くうせん敵情てきじょう視察しさつだけでなく、戦略せんりゃく爆撃ばくげき戦術せんじゅつ偵察ていさつたいせん哨戒しょうかい捜索そうさく救難きゅうなんなど高度こうど判断はんだんりょく権限けんげんもとめられる任務にんむ増加ぞうかアビオニクス高度こうどにより複雑ふくざつ機器きき操作そうさ要求ようきゅうされるようになったため、早期そうき育成いくせいによる簡略かんりゃくされた課程かていではがくりないとかんがえられるようになった。さらに、だい大戦たいせん終結しゅうけつすると操縦そうじゅう需要じゅよういたことでおおくのくに早期そうき教育きょういく制度せいど廃止はいしされ、航空機こうくうき操縦そうじゅう士官しかん学校がっこうにおいて航空機こうくうき運用うんよう全般ぜんぱん戦術せんじゅつ理論りろんまなんだ士官しかん将校しょうこう)にかぎられるようになった。

日本にっぽんでは1951ねん警察けいさつ予備よびたいがアメリカ陸軍りくぐんL-5導入どうにゅう決定けってい準備じゅんび開始かいししたが、敗戦はいせんによる陸海りくかいぐん解体かいたいから操縦そうじゅう教官きょうかん育成いくせい停止ていししていたため、だい1かいL操縦そうじゅう学生がくせいきゅうりく海軍かいぐんパイロットで構成こうせいされ教官きょうかん要員よういんでもあった。保安ほあんたい開設かいせつされた航空こうくう学校がっこうでは1955ねん航空こうくう操縦そうじゅう学生がくせい制度せいど創設そうせつ隊員たいいんからだい1操縦そうじゅう学生がくせい募集ぼしゅう、6月2にちから207めいたい[1]T-6練習れんしゅうもちいての操縦そうじゅう教育きょういくはじまった。初期しょき教官きょうかんおおくはしょう予科練よかれん出身しゅっしんであり、現場げんばでの教育きょういく方針ほうしんきゅうぐん踏襲とうしゅうしていたため、実質じっしつてき制度せいどいでのさい出発しゅっぱつであった。海上かいじょう自衛隊じえいたいでも操縦そうじゅう戦術せんじゅつ航空こうくう養成ようせい急務きゅうむであり、予科練よかれん出身しゅっしんしゃ教官きょうかんつとめる操縦そうじゅう学生がくせい制度せいど創設そうせつした。航空こうくう操縦そうじゅう学生がくせいのち航空こうくう学生がくせい改称かいしょうした。

民間みんかんでも操縦そうじゅう不足ふそくしていたため1954ねん航空大学校こうくうだいがっこう創設そうせつされたが、航空機こうくうき乗員じょういん養成ようせいしょとはことなり軍事ぐんじしょくくなり、自衛隊じえいたいへの人材じんざい供給きょうきゅうおこなわれていない。

現在げんざいでは操縦そうじゅう戦術せんじゅつ航空こうくうとも主要しゅよう供給きょうきゅうげんであり、とく操縦そうじゅうやく70%が航空こうくう学生がくせい出身しゅっしんである[2]

海上かいじょう自衛隊じえいたい小月教育航空群おづききょういくこうくうぐん小月おづき教育きょういく航空こうくうたい小月おづき航空こうくう基地きち)、航空こうくう自衛隊じえいたいだい12飛行ひこう教育きょういくだん航空こうくう学生がくせい教育きょういくぐん防府ほうふきた基地きち)にて、がくおよ実技じつぎ教育きょういく訓練くんれんおこなわれる。

航空こうくう学生がくせいとして入隊にゅうたいすると2任用にんようされ半年はんとしに1、1ねん士長しちょう、2年間ねんかん航空こうくう学生がくせい課程かてい修了しゅうりょう同時どうじ3曹昇任しょうにん。その飛行ひこう幹部かんぶ候補こうほせいとして航空機こうくうき搭乗とうじょうして訓練くんれんおこなう。海上かいじょう自衛隊じえいたいでは平成へいせい29年度ねんどより試行しこうとして航空こうくう学生がくせい課程かていを1ねん4かげつ短縮たんしゅくしている。

海上かいじょう要員よういん基礎きそ課程かてい合格ごうかく固定こていつばさ回転かいてんつばさ戦術せんじゅつ航空こうくうけられ、機種きしゅ職種しょくしゅごとにかれたやく2ねん訓練くんれん課程かていすすむ。ぜん課程かてい修了しゅうりょう事業じぎょうよう操縦そうじゅう取得しゅとくするとウイングマーク(航空機こうくうき搭乗とうじょういん徽章きしょう)を授与じゅよされ、正式せいしき操縦そうじゅうとなる。ウイングマーク授与じゅよふく操縦そうじゅうとしてやく2年間ねんかん部隊ぶたい勤務きんむ経験けいけんする。

航空こうくう要員よういん地上ちじょう準備じゅんび課程かてい終了しゅうりょう、T-7による操縦そうじゅう訓練くんれん終了しゅうりょう学生がくせい適性てきせいわせ戦闘せんとう救難きゅうなん輸送ゆそう回転かいてんつばさかれた課程かてい修了しゅうりょうして、部隊ぶたい勤務きんむ経験けいけんする。

うみ空自くうじども入隊にゅうたいからやく5ねんはん幹部候補生学校かんぶこうほせいがっこう入校にゅうこう飛行ひこう幹部かんぶ候補こうほせい課程かてい)し、やく半年はんとしあいだ幹部かんぶ教育きょういくける。卒業そつぎょう3じょう任官にんかんし、編隊へんたいちょう機長きちょうとなる資格しかくるための訓練くんれんおこなう。

1993年度ねんどから女性じょせい採用さいよう航空こうくう自衛隊じえいたい戦闘せんとう偵察ていさつ以外いがい)を開始かいし[3]、2015ねん11月に性別せいべつによる機種きしゅ制限せいげん撤廃てっぱいした[4]

陸上りくじょう自衛隊じえいたい航空こうくう学生がくせい制度せいど採用さいようせず、隊員たいいんなかから飛行ひこう要員よういん選抜せんばつおこなりく航空こうくう操縦そうじゅう学生がくせい制度せいど運用うんようしている(きゅう陸軍りくぐんにおける下士官かしかん操縦そうじゅう学生がくせい類似るいじ)。

陸上りくじょう自衛隊じえいたい海上保安庁かいじょうほあんちょう固定こていつばさ操縦そうじゅう訓練くんれん海上かいじょう自衛隊じえいたい委託いたくしているため、海上かいじょう要員よういんとも操縦そうじゅう訓練くんれんける。

アメリカぐんではcadets(士官しかん候補こうほせい)となしている。

航空こうくう学生がくせい課程かてい

編集へんしゅう
 
アメリカ海兵かいへいたいから説明せつめいける航空こうくう要員よういん岩国いわくに基地きち
 
航空こうくう要員よういん初等しょとう練習れんしゅう搭乗とうじょうするT-7
 
海上かいじょう要員よういん初等しょとう練習れんしゅう搭乗とうじょうするT-5

入隊にゅうたいさき

編集へんしゅう
  • 海上かいじょう自衛隊じえいたい航空こうくう学生がくせい海上かいじょう要員よういん
    • 山口やまぐちけん下関しものせき海上かいじょう自衛隊じえいたい小月教育航空群おづききょういくこうくうぐん小月おづき教育きょういく航空こうくうたい小月おづき航空こうくう基地きち
  • 航空こうくう自衛隊じえいたい航空こうくう学生がくせい航空こうくう要員よういん
    • 山口やまぐちけん防府ほうふ航空こうくう自衛隊じえいたいだい12飛行ひこう教育きょういくだん航空こうくう学生がくせい教育きょういくぐん防府ほうふきた基地きち

課程かてい概要がいよう

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  • 1ねん
基礎きそ教育きょういくとして自衛じえいかん必須ひっす服務ふくむ[5]警備けいび戦闘せんとう訓練くんれんなどもおこな[6]
がく航空機こうくうき操縦そうじゅう必須ひっすとなる英語えいご数学すうがく物理ぶつり中心ちゅうしんであるが、幹部かんぶ自衛じえいかん必要ひつよう防衛ぼうえいがく一部いちぶ)と教養きょうようとして哲学てつがく心理しんりがくなどもまな[7]
  • 2ねん
航空こうくう力学りきがく電子でんし理論りろん航空こうくう英語えいご航空こうくう生理せいりなど、操縦そうじゅう必要ひつよう専門せんもん教育きょういく[8]くわえ、操縦そうじゅう訓練くんれんそな落下傘らっかさんによる降下こうか訓練くんれんなどをおこな[5]

昇任しょうにん

編集へんしゅう
  • 航空こうくう学生がくせい(曹候補者こうほしゃ)の課程かてい
    • 採用さいよう:2とう海士あままたは2とうそら(2
    • 採用さいようからやく6かげつ:1とう海士あままたは1とうそら(1
    • 採用さいようからやく1ねん海士あもうちょうまたはそら士長しちょう士長しちょう
    • 採用さいようからやく2ねん:3とう海曹かいそうまたは3とうそら曹(3曹
  • 飛行ひこう幹部かんぶ候補こうほせい課程かてい
    • その順次じゅんじ:2とう海曹かいそうまたは2とうそら曹(2曹)、1とう海曹かいそうまたは1とうそら曹(1曹)、海曹かいそうちょうまたはそら曹長そうちょう曹長そうちょう
  • 採用さいようからやく6ねん:3とううみじょうまたは3とうそらじょう3じょう

ただし、げん自衛じえいかんであるもの航空こうくう学生がくせいとして採用さいようされた場合ばあいは、そのものげん階級かいきゅうあるいはこれと同位どうい階級かいきゅう海上かいじょう自衛じえいかんしくは航空こうくう自衛じえいかん異動いどうさせて航空こうくう学生がくせいめいぜられる。

受験じゅけん資格しかく

編集へんしゅう
  • 日本にっぽん国籍こくせきゆうし、うみ:18さい以上いじょう23さい未満みまんもの そら:18さい以上いじょう24さい未満みまんもので、つぎのいずれかに該当がいとうするもの
  1. 高等こうとう学校がっこう卒業そつぎょうしゃまたは中等ちゅうとう教育きょういく学校がっこう卒業そつぎょうしゃ(卒業そつぎょう見込みこみのものふくむ)
  2. 高等こうとう専門せんもん学校がっこう3ねん修了しゅうりょうしゃ(修了しゅうりょう見込みこみのものふくむ)
  3. 高等こうとう学校がっこう卒業そつぎょう同等どうとう以上いじょう学力がくりょくがあるとみとめられるしゃ

高等こうとう工科こうか学校がっこう生徒せいと条件じょうけんたしていれば現役げんえき自衛じえいかんでも受験じゅけん可能かのう陸上りくじょう自衛隊じえいたい在籍ざいせきするもの合格ごうかくした場合ばあい一度いちど陸上りくじょう退職たいしょくし、てんかんさき採用さいようされることとなる。かつては自衛隊じえいたい生徒せいとからも受験じゅけん可能かのうだった[9]

試験しけんだい1からだい3試験しけんまでおこなわれ、段階だんかいてき選抜せんばつされる。途中とちゅうでは独自どくじ基準きじゅん身体しんたい検査けんさおこなわれる。2試験しけんまでは共通きょうつうで、3試験しけん海自かいじ脳波のうは測定そくていなど航空こうくう身体しんたい検査けんさ一部いちぶ実施じっし空自くうじ医学いがく適性てきせい検査けんさ実際じっさいT-7操縦そうじゅうおこな操縦そうじゅう適性てきせい検査けんさ実施じっしする。

身体しんたい検査けんさ

編集へんしゅう

身体しんたい基準きじゅん自衛じえいかん候補こうほせいとはべつに『航空こうくう身体しんたい検査けんさかんする訓令くんれい』にさだめられた基準きじゅんしたがうため不定期ふていき改定かいていされている。なお自衛隊じえいたい操縦そうじゅうだけでなく海上保安庁かいじょうほあんちょうおな基準きじゅん使用しようしている。

検査けんさ項目こうもく民間みんかんのパイロットに適用てきようされる『航空こうくう身体しんたい検査けんさ[10]』とほぼ同等どうとうであるが、視力しりょく矯正きょうせい制限せいげんがありコンタクトレンズ不可ふか肺活量はいかつりょう%肺活量はいかつりょうではなく絶対ぜったい身長しんちょう上限じょうげん(190cm)がある。また自衛じえいかんであるため刺青しせい自殺じさつ企図きと既往きおうれきがチェックされるなどのちがいがある[5]。なお視力しりょく基準きじゅん年々ねんねん緩和かんわされており、近年きんねん平成へいせい28年度ねんど)では遠距離えんきょり裸眼らがん視力しりょく下限かげんが0.2から0.1に緩和かんわされた[11]視力しりょく以外いがい聴力ちょうりょく基準きじゅんたっしないものもいるという[12]

過去かこにはつよ加速度かそくどがかかったさい操縦そうじゅう桿をはなさないだけの握力あくりょく必要ひつようとされたため握力あくりょく検査けんさもあったが、トレーニングで対応たいおうできるため現在げんざい撤廃てっぱいされている[13]

採用さいよう内定ないていしていても入隊にゅうたい再度さいど航空こうくう身体しんたい検査けんさおこない、このさい合格ごうかくだった場合ばあい採用さいようとなる[14]

倍率ばいりつ

編集へんしゅう

海上かいじょう保安ほあん学校がっこう航空こうくう課程かていならびパイロットとして確実かくじつ就職しゅうしょくできる最短さいたんコース[15]であるため受験じゅけん倍率ばいりつ非常ひじょうたか状態じょうたいつづいており、航空こうくう要員よういんは2013ねん採用さいよう試験しけんでは受験じゅけんしゃ2823めいたい採用さいようしゃは39めい(72.4ばい)と非常ひじょう難関なんかん[16]であり、受験じゅけんしゃなかには日本航空にほんこうくう高等こうとう学校がっこうなどに在籍ざいせき受験じゅけんまえ海外かいがい操縦そうじゅう資格しかく取得しゅとくしているものもいる[17]一度いちど合格ごうかくになったが浪人ろうにん再度さいど受験じゅけんするもの防衛大学校ぼうえいだいがくこう航空大学校こうくうだいがっこう海上かいじょう保安ほあん学校がっこうなどと併願へいがんするものもいる。日本航空にほんこうくう高等こうとう学校がっこう石川いしかわ航空こうくう普通ふつうコースではグライダーでの訓練くんれんほか受験じゅけん対策たいさくとしてもとパイロットの職員しょくいん卒業生そつぎょうせい自衛じえいかん面接めんせつ指導しどうおこなうなどしている[12]

海上かいじょう要員よういん女子じょしは2022(れい4)年度ねんど採用さいようが6にん倍率ばいりつは13.8ばい航空こうくう要員よういん女子じょしは2022(れい4)年度ねんど採用さいよう2人ふたり倍率ばいりつは79.0ばいとなっている[12]

近年きんねんでは少子しょうしにより自衛じえいかん志願しがんしゃすう減少げんしょうしており、航空こうくう学生がくせい志願しがんしゃすうなやんでいるという[18]。2022(れい4)年度ねんど採用さいよう試験しけんでは海上かいじょう要員よういん応募おうぼしゃすうが651にん(うち女性じょせい83にん)であり採用さいようしゃすうは70にん(うち女性じょせい6にん)、倍率ばいりつは9.3ばい(13.8ばい)、航空こうくう要員よういんにおいては応募おうぼしゃすうが1,216にん(うち女性じょせい159にん)であり採用さいようしゃすうは75にん(うち女性じょせい2にん)、倍率ばいりつは16.2ばい(79.5ばい)であり、航空こうくう学生がくせい全体ぜんたいとしては倍率ばいりつは12.9ばい(30.3ばい)となっている[19]

特色とくしょく

編集へんしゅう
 
海上かいじょう自衛隊じえいたい生徒せいとふゆふくむね生徒せいと識別しきべつしょうのぞいて海上かいじょう要員よういん同等どうとう
 
海上かいじょう要員よういんによるファンシードリル(岩国いわくに基地きち
  • 防衛大学校ぼうえいだいがくこうとはちがい、学位がくい授与じゅよ機構きこうによる「大学だいがく学部がくぶ大学院だいがくいん修士しゅうし課程かていまた博士はかせ課程かてい同等どうとう水準すいじゅんにある教育きょういく課程かてい」との認定にんていをされていないため、学位がくい取得しゅとくできない。
  • ぼうだいせいとはちがい、採用さいようされた時点じてん階級かいきゅう指定していされる自衛じえいかんである。おな2階級かいきゅうからスタートする自衛じえいかん候補こうほせいちがって、入隊にゅうたい直後ちょくごから任期にんきせい自衛じえいかん防衛ぼうえいしょう定員ていいんふくまれる。
  • ぼうだい一般いっぱんだいとう出身しゅっしん飛行ひこう要員よういん上級じょうきゅう指揮しきかんになることを前提ぜんていとして地上ちじょう勤務きんむなどにかせているが、航空こうくう学生がくせい入隊にゅうたい当初とうしょからパイロット・戦術せんじゅつ航空こうくうとなることを前提ぜんていとした教育きょういく訓練くんれんけ、飛行ひこう関連かんれん部隊ぶたい中堅ちゅうけん現場げんばレベル)の指揮しきかんとして育成いくせいされる。
  • 最短さいたんで20さいから操縦そうじゅう訓練くんれん開始かいしし、勤務きんむ期間きかんちゅう地上ちじょう勤務きんむたらせること比較的ひかくてきすくないためそう飛行ひこう時間じかんぼうだい一般いっぱんだいとう出身しゅっしん幹部かんぶよりも格段かくだんなが[20]ため技量ぎりょう向上こうじょうする。一方いっぽう地上ちじょうでの勤務きんむすくないため昇進しょうしんおそく、大半たいはんが3操縦そうじゅう教官きょうかん定年ていねんむかえる。2以上いじょうへの昇進しょうしん不可能ふかのうではなく、海上かいじょう自衛隊じえいたいでは下総しもうさ教育きょういく航空こうくうぐん司令しれい首席しゅせき幕僚ばくりょうだい201教育きょういく航空こうくうたい司令しれい経験けいけんした岡崎おかざき拓生たくお海上かいじょう要員よういん3)や徳島とくしま教育きょういく航空こうくうぐん司令しれい経験けいけんした村上むらかみひろし海上かいじょう要員よういん22)などがいる。航空こうくう自衛隊じえいたいでは現役げんえきそらしょうまで昇任しょうにんしたれいがあり(だい4航空こうくうだん司令しれい菅原すがわら あつし航空こうくう要員よういん1)、また航空こうくう学生がくせい教育きょういくぐん司令しれい(1(さん))、およびその上級じょうきゅうしょくだい12飛行ひこう教育きょういくだん司令しれい(1(いち))、どうふく司令しれい(1())には現在げんざいまで何人なんにん航空こうくう学生がくせい出身しゅっしんしゃ補職ほしょくされている。
  • 空自くうじ戦闘せんとうパイロット育成いくせい主眼しゅがんとしていたため、精神せいしんてき身体しんたいてき操縦そうじゅう技量ぎりょうきびしい選抜せんばつ基準きじゅんもうけており、エリミネートりつ(パイロットになれないもの割合わりあい)は30〜40%、戦闘せんとうかないもの輸送ゆそう救難きゅうなんなどにコース変更へんこうさせていたが、現在げんざいでは初等しょとう操縦そうじゅう課程かてい適性てきせい判定はんていし、希望きぼうあわせて機種きしゅべつコースに形態けいたいえている。
  • 海自かいじでは11にん前後ぜんこう哨戒しょうかいのパイロットと戦術せんじゅつ航空こうくう育成いくせいしゅ目的もくてきであるため、視力しりょく反射はんしゃ神経しんけいよりも判断はんだん指揮しき・コミュニケーションなどの能力のうりょく重視じゅうしされる。またパイロットと戦術せんじゅつ航空こうくう両方りょうほう育成いくせいするため定員ていいんは70めいであるが、最終さいしゅうてきに50めい程度ていどまでしぼられる。ほかにも、遠泳えんえい短艇たんてい操船そうせんなど海自かいじ共通きょうつう課目かもくほか短期たんきではあるが艦艇かんてい潜水せんすいかんでの訓練くんれんなど独自どくじ訓練くんれん課目かもく存在そんざいする。
  • 航空こうくう学生がくせい課程かてい卒業そつぎょうしたのちであれば途中とちゅうリタイアしたものでも、航空機こうくうき整備せいびいんなどへコース変更へんこう可能かのうである。まただい1初級しょきゅう操縦そうじゅう課程かてい空自くうじ)、固定こていつばさ基礎きそ課程かてい海自かいじ)を修了しゅうりょうすると航空大学校こうくうだいがっこう受験じゅけん資格しかくられる。
  • 航空こうくう学生がくせい徽章きしょうつばさあいだいかり海自かいじ)やさくら空自くうじ)をはいしたワッペンがたのものでありウィングマークではない[21]
  • 空海くうかいどもにクラブ活動かつどうとしてファンシードリルさかんであり、基地きちさいなどで披露ひろうされ、海自かいじ航空こうくう学生がくせい空自くうじ航空こうくう学生がくせいのドリル交換こうかん展示てんじなどの行事ぎょうじ実施じっしされている。
  • 海自かいじ航空こうくう学生がくせいは22から男子だんしふゆ制服せいふく海軍かいぐん飛行ひこう練習れんしゅうせいおなじ「紺色こんいろ詰襟つめえりななつボタン」、なつ制服せいふくおなじデザインで白色はくしょく制服せいふく採用さいようしている。2016ねんからは女性じょせい隊員たいいんへの採用さいよう目指めざ試行しこうはじまった[22]。また学生がくせいが『わかわしうた』の歌詞かし変更へんこうした『うみわかわし』であるなど予科練よかれん影響えいきょうつよい。儀仗ぎじょうたい礼服れいふくはズボンのサイドにあかいラインがはいっているなどぼうだい空自くうじ儀仗ぎじょうたいとはデザインがことなる。
  • 給与きゅうよいち般曹候補こうほせいおなじであるが、正規せいき操縦そうじゅうおなじく航空こうくう加給かきゅうしょく支給しきゅうされ、3曹から幹部かんぶ食堂しょくどうでの食事しょくじ許可きょかされるなどの特別とくべつ待遇たいぐうがある[23]
  • パイロットには英語えいご必須ひっすであるため、英語えいご教育きょういく時間じかんかれており、英語えいごのスピーチコンテストも実施じっしされる。
  • アメリカぐんとの連携れんけい重視じゅうししているため、航空こうくう部隊ぶたいへの見学けんがく実施じっしされている[24]
  • 野戦やせん落下傘らっかさんによる降下こうかなど、一部いちぶ訓練くんれん陸自りくじ施設しせつ利用りようしておこなう。
  • 航空こうくう要員よういん戦闘せんとうパイロットとして部隊ぶたい配属はいぞくされるまでには、5年間ねんかんで5おくえんほどがかかることから、早期そうき退職たいしょくしゃ訓練くんれん費用ひよう返還へんかんもとめる償還しょうかんきん制度せいど検討けんとうされているとの時事通信社じじつうしんしゃによる報道ほうどう防衛ぼうえい内局ないきょく久沢くざわよう 人事じんじ計画けいかく補任ほにん課長かちょうのコメントきであった[25]が、別記べっきしゃから事実じじつ確認かくにんわせにたいして防衛ぼうえいしょうは「パイロットの中途ちゅうと退職たいしょくしゃ増加ぞうかたしかに問題もんだいしており、実態じったい把握はあくはじめる段階だんかいですが、記事きじちゅうにあるように教育きょういく育成いくせい費用ひよう返還へんかん義務ぎむ、『償還しょうかんきん制度せいど』は内局ないきょくとしては現時点げんじてん検討けんとうしていません」と回答かいとうしている[26]

類似るいじ制度せいど

編集へんしゅう
 
Royal Canadian Air Cadets参加さんかしゃ行進こうしん訓練くんれん(2007ねん

現代げんだいでは士官しかん学校がっこう大学だいがくで4年間ねんかん教育きょういくけた卒業生そつぎょうせいから本人ほんにん希望きぼう適正てきせいによりけ、教育きょういく部隊ぶたい操縦そうじゅう訓練くんれん開始かいしするのが基本きほんであり、18さい前後ぜんこうからパイロット要員よういんとして直接ちょくせつ採用さいよう教育きょういくするシステムは、イスラエル空軍くうぐんイスラエル空軍くうぐん学校がっこうなどごく少数しょうすうである。

イギリス空軍くうぐんには年少ねんしょうしゃけの体験たいけんプログラムとしてイギリス空軍くうぐんエアカデッツ英語えいごばん(RAFAC)やグライダー使つかって最初さいしょとう訓練くんれんおこなボランティア・グライダー学校がっこう(VGS)が存在そんざいしている。これらの制度せいど規律きりつただしい生活せいかつ体験たいけんやグライダー操縦そうじゅうとおして空軍くうぐんへの関心かんしんってもらう広報こうほう活動かつどう一環いっかんであり、ベン・マーフィーのように入隊にゅうたいしてパイロットとなったものもいるが、強制きょうせいされないため民間みんかんのパイロットとなるものおおい。

カナダなどのえい連邦れんぽう諸国しょこくではイギリスにならい、カナダ空軍くうぐんエアカデッツ英語えいごばんのような類似るいじ制度せいど勧誘かんゆうおこなっている。

著名ちょめい卒業そつぎょうしゃ

編集へんしゅう
  • 岡崎おかざき拓生たくお - 海上かいじょう自衛隊じえいたい航空こうくう学生がくせいだい3だい201教育きょういく航空こうくうたい司令しれい
  • 村上むらかみひろし - 海上かいじょう自衛隊じえいたい航空こうくう学生がくせいだい22徳島とくしま教育きょういく航空こうくうぐん司令しれい
  • 二階堂にかいどうひろし - 海上かいじょう自衛隊じえいたい航空こうくう学生がくせいだい25
  • おもねとめあらわ - 海上かいじょう自衛隊じえいたい航空こうくう学生がくせいだい28だい205教育きょういく航空こうくうたい司令しれいおよ小月おづき教育きょういく航空こうくうたい司令しれい退職たいしょくかしわ市議会しぎかい議員ぎいん当選とうせん
  • 田中たなか光信みつのぶ - 航空こうくう自衛隊じえいたい航空こうくう学生がくせいだい24ブルーインパルス初代しょだい飛行ひこう隊長たいちょう
  • ロック岩崎いわさき - 航空こうくう自衛隊じえいたい航空こうくう学生がくせいだい26退職たいしょくエアショー出演しゅつえん
  • 塩澤しおざわ信行のぶゆき - 航空こうくう自衛隊じえいたい航空こうくう学生がくせいだい28。ブルーインパルスの3代目だいめ飛行ひこう隊長たいちょう
  • 渡邊わたなべひろし - 航空こうくう自衛隊じえいたい航空こうくう学生がくせいだい32。ブルーインパルスの4代目だいめ飛行ひこう隊長たいちょう
  • 山田やまだ堅太郎けんたろう - 航空こうくう自衛隊じえいたい航空こうくう学生がくせいだい57退職たいしょく民間みんかん曲技きょくぎ飛行ひこうチーム「TEAM GION」を結成けっせい[27]
  • 高部たかべ正樹まさき- 航空こうくう自衛隊じえいたい航空こうくう学生がくせいだい39もと傭兵ようへい

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう
  1. ^ 航空こうくう学生がくせい 顕彰けんしょうかん案内あんない防府ほうふきた基地きち - 航空こうくう自衛隊じえいたい
  2. ^ 航空こうくう自衛隊じえいたいだい12飛行ひこう教育きょういくだん
  3. ^ 平成へいせい16年版ねんばん 男女だんじょ共同きょうどう参画さんかく白書はくしょ
  4. ^ 女性じょせい戦闘せんとうパイロットに…空自くうじ登用とうよう方針ほうしん : 社会しゃかい : 読売新聞よみうりしんぶん(YOMIURI ONLINE)
  5. ^ a b c 海上かいじょう自衛隊じえいたい航空こうくう学生がくせい パイロットへのみち
  6. ^ だい69航空こうくう学生がくせい 野外やがい総合そうごう訓練くんれん防府ほうふきた基地きち - 航空こうくう自衛隊じえいたい
  7. ^ 海上かいじょう自衛隊じえいたい航空こうくう学生がくせい教育きょういく内容ないよう
  8. ^ 航空こうくう学生がくせい教育きょういくぐん JASDF Aviation Cadet 2015ねん2がつ7にち
  9. ^ 小澤おざわ のぼる - 世界一せかいいちけたい授業じゅぎょう
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関連かんれん項目こうもく

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参考さんこう文献ぶんけん

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  • 岡崎おかざき拓生たくお海上かいじょう自衛隊じえいたい航空こうくう学生がくせい―パイロット人生じんせい38ねん航跡こうせき光人みつひとしゃ2011ねんISBN 978-4769827115

外部がいぶリンク

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