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グライダー - Wikipedia

グライダー

滑空かっくうのみが可能かのう航空機こうくうき

グライダーえい: glidersailplane)または滑空かっくうかっくうきは、滑空かっくうのみが可能かのう航空機こうくうき日本にっぽんにおける航空こうくうほう航空機こうくうきとしては「滑空かっくう」に分類ぶんるいされる。

グライダー (大阪おおさか市立しりつ科学かがくかん)
高性能こうせいのうふくグライダーDG1000

飛行機ひこうきのように離陸りりくさい上昇じょうしょう可能かのうモーターグライダー登場とうじょう以降いこうは、区別くべつのためピュアグライダーともばれる(レトロニム)。またハンググライダーパラグライダーりゃくしてグライダーとぶことがある。英語えいごのgliderは日本語にほんごのグライダーをふくみ、かみ飛行機ひこうきなど大小だいしょう形状けいじょうわず滑空かっくうする物体ぶったいすべす。

概要がいよう

編集へんしゅう
 
高性能こうせいのう単座たんざグライダー(Discus b)、(群馬ぐんまけん板倉いたくら滑空かっくうじょうにて撮影さつえい)

2008ねん現在げんざいひと搭乗とうじょうするもの(実機じっき)、ならびにF.A.I.スポーティングコードふくまれる一定いってい規格きかく模型もけいがある。

グライダーの国際こくさい競技きょうぎ規定きていしているF.A.I.スポーティングコードのセクション4C-模型もけい航空機こうくうきには、以下いかのカテゴリーに模型もけいグライダーならびに模型もけいモーターグライダー13機種きしゅふくまれている。

  • カテゴリーF1-フリーフライト(3機種きしゅ
  • カテゴリーF3-ラジオコントロール飛行ひこう(7機種きしゅ
  • カテゴリーF5-ラジオコントロール電動でんどう飛行ひこう(3機種きしゅ

模型もけいグライダーは、F.A.Iの模型もけい航空こうくう競技きょうぎなかでもスポーツせいたかいものであるが、機体きたい選手せんしゅ自作じさくすることがおおく、ホビー(設計せっけい製作せいさく)とスポーツ(飛行ひこう操作そうさ)がふくあわした競技きょうぎ活動かつどうであるてん実機じっきことなる。F.A.I.が制定せいていした国際こくさいきゅう模型もけいグライダーのほかに、各国かっこく模型もけい航空こうくう統括とうかつ団体だんたいなどが独自どくじ制定せいていした国内こくないきゅうやクラブ規格きかくもある。これらはおおきさや形式けいしき様々さまざまであり、スポーツせい趣味しゅみせい玩具おもちゃせいなどの要素ようそ混在こんざいしており、一概いちがい区分くぶんできない。

動力どうりょくがなくとも、上昇じょうしょう気流きりゅうをとらえる技術ぎじゅつのあるパイロットならばたかなが飛行ひこうすることができる。このような飛行ひこうをソアリング(soaring)とぶ。日射にっしゃによるねつ上昇じょうしょうふう(サーマル)をとらえるのがもっと一般いっぱんてきで、やま斜面しゃめん上昇じょうしょうふう使つか地域ちいきもある。おおきな山岳さんがくだい平原へいげん気象きしょう条件じょうけん有利ゆうりなため日本にっぽん記録きろく国外こくがい記録きろくされることがほとんどであるが、500km往復おうふく日本にっぽん速度そくど記録きろく189km/hは日本にっぽん国内こくない達成たっせいされた。日本にっぽん国内こくないでも2003ねん群馬ぐんまけんから岩手いわてけんにわたる地域ちいきで6,000m程度ていど高度こうど使つかい、8あいだで1,038kmがばれている。那須なす山岳さんがくやまなどの風下かざしも発生はっせいするだい規模きぼ大気たいきのスタンディングウェーブ)を利用りようしてチョモランマ(エベレスト)やま高度こうどえる、当時とうじ日本にっぽん記録きろくつくられた実績じっせきもある。日本人にっぽんじんつくった世界せかい記録きろく数多かずおおい。世界せかい記録きろく技能ぎのう向上こうじょうたのしみのための認定にんてい記章きしょうはジュネーブの世界せかい航空こうくう連盟れんめい(Fédération Aéronautique Internationale, FAI)が管理かんりしている。距離きょり世界せかい記録きろくアンデス山脈あんですさんみゃくでの3,000kmちょういたっている。

ひと搭乗とうじょうする実機じっきグライダーは、日本にっぽんでは航空こうくうほう規定きていされた航空機こうくうきであり、自家用じかよう操縦そうじゅう事業じぎょうよう操縦そうじゅう技能ぎのう証明しょうめい動力どうりょく上級じょうきゅう初級しょきゅう中級ちゅうきゅう技能ぎのう証明しょうめい不要ふよう。)がある。練習れんしゅう飛行ひこうはじめるには航空こうくう身体しんたい検査けんさのみで操縦そうじゅう練習れんしゅう許可きょかしょう発行はっこうされる(自動車じどうしゃにおける仮免許かりめんきょただ検定けんてい受検じゅけん不要ふようでいきなり取得しゅとく出来できる)。最低さいてい年齢ねんれい飛行機ひこうきよりわかく16さい(ただし操縦そうじゅう練習れんしゅう許可きょかしょうは14さいから発行はっこうでき、練習れんしゅう出来できる)。

飛行機ひこうきくら費用ひようほう制度せいどのハードルがひくいため大学だいがくのクラブでもさかんに利用りようされている。またパイロットを目指めざもの将来しょうらいけてグライダーから開始かいしすることもあるなど、初等しょとう練習れんしゅうとしての利用りようおおい。

事業じぎょうよう操縦そうじゅう規定きていはあるが、乗員じょういんは2めいまでで輸送ゆそう業務ぎょうむなども許可きょかされないため、現代げんだいではスカイスポーツ (競技きょうぎ)のみに利用りようされている。

世界せかいはじめてグライダーを構想こうそう製作せいさくしたものジョージ・ケイリーであり、1853ねんのある自分じぶんいえ御者ぎょしゃせてはつ飛行ひこうおこなった。御者ぎょしゃ名前なまえのこされていない[1]日本にっぽんでは1909ねん12月9にち相原あいはら四郎しろうたけせい複葉ふくようしきグライダーで飛行ひこう成功せいこうしている。これは自動車じどうしゃ牽引けんいんしたものであった[2]が、発動はつどうたよらないものとしては1925ねん3月21にち群馬ぐんまけん佐野さのむら米穀べいこくしょう馬場ばばみなもと八郎はちろう手製てせいのグライダーにより、発動はつどうによる飛行ひこうおこなった[3]

だい世界せかい大戦たいせんでは、前線ぜんせんパラシュート降下こうか訓練くんれんけていない兵士へいし車両しゃりょう対戦たいせんしゃほうなどを輸送ゆそうするために飛行機ひこうき曳航えいこうする軍用ぐんようグライダー各国かっこく使用しようされた。 日本にっぽんでも 1944ねん茨城いばらきけん男子だんし中等ちゅうとう学校がっこう(29こう)の正課せいか教科きょうか)のひとつに「滑空かっくう」が位置いちづけられ[4]搭乗とうじょういん養成ようせいおこなわれた。

 
曲技きょくぎ世界せかい選手権せんしゅけんでも使つかわれている、あらゆる曲技きょくぎ可能かのうふくグライダー(Fox)

かるくて丈夫じょうぶ製造せいぞうしやすく、成形せいけいしやすい繊維せんい強化きょうかプラスチック(FRP)せいモノコック構造こうぞうのものが主流しゅりゅうである。FRP以前いぜん合板ごうはん加工かこうして機体きたいかたちづくる木製もくせい構造こうぞうや、鋼管こうかん羽布はぶりとばれるてつパイプの骨格こっかくぬのおおうことで機体きたいかたちづくる構造こうぞう主流しゅりゅうであった。だい世界せかい大戦たいせんでも日本にっぽん文部省もんぶしょうがグライダーを奨励しょうれいした時期じきもあり、日本にっぽん国産こくさん国内こくない主要しゅようだった時代じだいもあるが、1980年代ねんだい以降いこう日本にっぽん国内こくない生産せいさんがない。現在げんざい[いつ?]生産せいさんしているのはおもにドイツと東欧とうおうである。ドイツでグライダーがさかんになったきっかけはだいいち世界せかい大戦たいせんのち軍用ぐんよう制限せいげんくわえられたためという(空軍くうぐんパイロットの初期しょき訓練くんれんによく使つかわれた)。

 
曲技きょくぎ可能かのうふくグライダー(Twin III Acro)。訓練くんれんにも使つかわれている。群馬ぐんまけん板倉いたくら滑空かっくうじょうにて撮影さつえい

外見がいけん飛行機ひこうきたいしてもっと際立きわだった特徴とくちょうとなっているのがほそくてなが主翼しゅよくであり、あげこうおおきくする形状けいじょうとなっている。アスペクト縦横じゅうおう)は非常ひじょうおおきく、旅客機りょかくきが6~7程度ていどであるのにたいしてグライダーは15~22程度ていどとなっている。このおおきなアスペクトによってつばさ発生はっせいする誘導ゆうどう抵抗ていこうちいさくなることにより、最新さいしん[いつ?]旅客機りょかくきあげこう滑空かっくう)が20程度ていどであるのにたいし、日本にっぽん国内こくない使用しようされているグライダーでは28から60程度ていど滑空かっくう実現じつげんしている。これはつまり高度こうど1,000mから飛行ひこう開始かいし高度こうど0mになるまで無風むふうで28kmから60kmの距離きょり滑空かっくうすることができるということである。滑空かっくう訓練くんれんよう2人ふたりりのもの(ASK 13ASK 21など)で28~38、1人ひとりりのもので35~50程度ていどつばさはば26mというような高性能こうせいのうでは2人ふたりりでも60にたっする。

 
単座たんざグライダーの計器けいきばんれいさい上部じょうぶにコンパス。まるがたふた横並よこならびは2しゅ昇降しょうこうけい(バリオメータ)。まるがたみっ横並よこならびは速度そくどけい(km/h表示ひょうじもあるがこれはノットけい)、中央ちゅうおう滑空かっくう計算けいさんコンピュータと音響おんきょう表示ひょうじバリオメータのふくあい装置そうちみぎ高度こうどけい。メートル表示ひょうじもあるがこれはフィートけい。そのみぎ四角よつかどはGPS経路けいろ記録きろく表示ひょうじひだりおおきなPDA表示ひょうじはGPS経路けいろ記録きろく接続せつぞくしてグラフィックディスプレイとするもの。そのすぐみぎしろわく時計とけいさいみぎにあるのはハンドヘルドGPS。操縦そうじゅう桿にかくれてVHF無線むせん

フラップによりつばさがた変化へんかさせ高速こうそく性能せいのうげる機種きしゅおおい。ただしつばさがた設計せっけい進歩しんぽともない1990ねん以降いこうにはフラップのない機体きたい競技きょうぎかい活躍かつやくしたことから、自重じちょうおも低速ていそく飛行ひこうのためフラップが安全あんぜんじょう必要ひつようなエンジンきの機体きたい以外いがいではフラップなしの設計せっけいさい評価ひょうかされている。

高性能こうせいのうのグライダーではつばさないに200L程度ていどみずタンクをそなえ、上昇じょうしょう気流きりゅうつよ場合ばあい平均へいきん飛行ひこう速度そくどはやくする機構きこう装備そうびしているのが一般いっぱんてきである。みず着陸ちゃくりくまえ放出ほうしゅつする。自重じちょう1人ひとりりで260kg、2人ふたりりで380kgが代表だいひょうてきなところ。エンジンはすうじゅうkgの加算かさんとなる。

 
エンジン・プロペラを展開てんかいした状態じょうたいのエンジン格納かくのうがたグライダー

尾翼びよく可変かへんつばさのグライダーも試作しさくされている。米国べいこくでは個人こじん製作せいさく機体きたい一時いちじさかんであった。日本にっぽん国内こくないでも東北大学とうほくだいがくのクラブなどで製作せいさくされたものがある。 計器けいき速度そくど高度こうど、コンパスにくわえてすべり(機体きたい気流きりゅう相対そうたいする方向ほうこうと、機首きしゅ方向ほうこう一致いっちしていないこと。こうなると抵抗ていこうおおきくなる)をるための毛糸けいとをキャノピーにるのが基礎きそである(この毛糸けいとつね機体きたいじくせん一致いっちするように操縦そうじゅうすればすべりがないということになる)。これにくわえて周辺しゅうへん大気たいき上下動じょうげどうるために飛行機ひこうきのものよりも複雑ふくざつ昇降しょうこうけい装備そうびされる。また初期しょき訓練くんれん以外いがい記録きろく飛行ひこう競技きょうぎのためにグライダー専用せんようのGPS表示ひょうじ経路けいろ記録きろく装置そうち滑空かっくう距離きょり計算けいさんコンピューターを装備そうびしている場合ばあいおおい。無線むせんとしては従来じゅうらい短波たんぱのグライダー周波数しゅうはすう無線むせんもちいられてきたが、現在げんざい[いつ?]航空こうくうようVHF無線むせんほとんどとなった。3,000m以上いじょうこう高度こうど飛行ひこうのためトランスポンダーや、酸素さんそ供給きょうきゅう装置そうち装備そうびした機体きたいえてきて[いつ?]いる。

滑空かっくうはかつてゴムによるカタパルトしき初級しょきゅう滑空かっくう(プライマリー)、ウィンチ使用しよう中級ちゅうきゅう滑空かっくう(セカンダリー)、ウィンチにくわえて飛行機ひこうき曳航えいこうのできる上級じょうきゅう滑空かっくう(ソアラー)にけられた時代じだいもあったが、日本にっぽん国内こくないでは1980年代ねんだい以降いこう初級しょきゅう中級ちゅうきゅう日常にちじょうてき運航うんこうおこなわれなくなり、21世紀せいき日本にっぽんでは法規ほうきじょう滑空かっくう機体きたい検査けんさたいそら証明しょうめい)について曲技きょくぎA、実用じつようUの区別くべつがあるのみである。動力どうりょく滑空かっくう曳航えいこう装置そうちありとなしの2しゅ)についても曲技きょくぎA、実用じつようUがある。

グライダーは一般いっぱんてき飛行機ひこうきより強度きょうどたかく、1人ひとりりで荷重におも倍数ばいすう+5G、-2.5G程度ていど典型てんけいてきである。

 
グライダーをトレーラーからしてつばさ胴体どうたいけているところ(板倉いたくら滑空かっくうじょう
 
グライダーをれたトレーラーを自動車じどうしゃ移動いどう

曲技きょくぎよう機体きたいは+7G~+10G程度ていど強度きょうどがあり曲技きょくぎ飛行機ひこうきくらべて同等どうとう以上いじょうこう強度きょうどである。専用せんようでは超過ちょうか禁止きんし速度そくどが300km/h程度ていど一般いっぱんてき機体きたいの250~280km/hよりもはやくなっている。日本にっぽん国内こくないでは日本にっぽん飛行機ひこうき/Pilatus B4金属きんぞくが(本来ほんらい距離きょり飛行ひこうようであるが)普及ふきゅうしている。

ヨーロッパでは草地くさち格納庫かくのうこててグライダーをてた状態じょうたい保管ほかんしている場合ばあいおおいが、米国べいこく日本にっぽんではつばさいてライトトレーラー格納かくのうしている場合ばあいおおい。じゅん滑空かっくう毎日まいにちて・分解ぶんかい可能かのう設計せっけいとなっているものがほとんどである。1人ひとりりでは2人ふたりで15ふん程度ていど作業さぎょうができる。距離きょり飛行ひこう野外やがい着陸ちゃくりくしたさいに、その場所ばしょから飛行機ひこうき曳航えいこうでの離陸りりくができない場合ばあいはトレーラーをいたくるま回収かいしゅうする。

操縦そうじゅう

編集へんしゅう

グライダーには飛行機ひこうき同様どうよう一般いっぱん補助ほじょつばさ方向ほうこうかじ昇降しょうこうかじの3かじがあり、操縦そうじゅう桿とペダルの操作そうさにより姿勢しせいえる。操縦そうじゅう桿を前後ぜんごうごかすことで昇降しょうこうかじにより機首きしゅげ(ピッチング)を、左右さゆううごかすことで補助ほじょつばさにより機体きたい左右さゆうかたむき(ローリング)を、2つのペダルのけることで方向ほうこうかじにより機首きしゅ左右さゆうり(ヨーイング)をコントロールする。速度そくどはピッチによってまる。着陸ちゃくりくさい一定いってい速度そくどたもちつつ着陸ちゃくりくてんねら必要ひつようがあるため、ダイブブレーキ(またはスポイラー、エアーブレーキ)を使用しようして着陸ちゃくりくてんへの降下こうかかく調整ちょうせいする。

上昇じょうしょう気流きりゅうとらえることができないと1かい飛行ひこう時間じかんはウィンチ曳航えいこうすう分間ふんかん飛行機ひこうき曳航えいこうで15分間ふんかんほどである。初期しょき練習れんしゅうでは学習がくしゅう効果こうかとう考慮こうりょして、1あいだえるような長時間ちょうじかん飛行ひこうおこなわれないこともあるが、はつ単独たんどく飛行ひこう以後いごは、上昇じょうしょう気流きりゅうをとらえる技術ぎじゅつみがきながら長時間ちょうじかん滞空たいくうするようになってくる。一定いってい技量ぎりょう目安めやすとしてのFAI技能ぎのうしょうぎんあきら滞空たいくう5あいだ高度こうど獲得かくとく1,000m、クロスカントリー飛行ひこう距離きょり飛行ひこう直線ちょくせん50kmが基準きじゅんである。

 
ウインチ曳航えいこうによるはつこう
長野ながの滑空かっくうじょう
 
ウインチ曳航えいこうちゅうのグライダー
長野ながの滑空かっくうじょう
 
飛行機ひこうき曳航えいこうによるはつこう群馬ぐんまけん板倉いたくら滑空かっくうじょう
 
グライダーへの飛行機ひこうき曳航えいこうさく
 
曳航えいこうへの飛行機ひこうき曳航えいこうさく

じゅんグライダーは動力どうりょくがなく自力じりきでは離陸りりくできないため、ウインチ曳航えいこう飛行機ひこうき曳航えいこうにより離陸りりくする。日本にっぽん国内こくないでも以前いぜん[いつ?]自動車じどうしゃ曳航えいこうおこなわれていた。

ウインチ曳航えいこうは、グライダーに800~1,500mほどばした金属きんぞくまたは化学かがく繊維せんいせいのワイヤーロープをけ、これをエンジンまたは電動でんどうモーターによりうごかされるウインチを使用しようして高速こうそくる。それによりグライダーは急激きゅうげき加速かそく上昇じょうしょうしていく。最高さいこう高度こうど(300~600mほど)にたっしたらグライダーがわでフックを操作そうさしロープをはずす。

飛行機ひこうき曳航えいこうは、グライダーにロープをけ、これを飛行機ひこうきにより牽引けんいんすることで、飛行機ひこうき上昇じょうしょうとともにグライダーも上昇じょうしょうしていく。一定いってい高度こうど(600~900mほど)になった時点じてんで、グライダーがわでフックを操作そうさしロープをはずす。

着陸ちゃくりく

編集へんしゅう

グライダーにおいて着陸ちゃくりくは、その航空機こうくうき同様どうようもっと危険きけんときである。ぜん事故じこの80%が着陸ちゃくりくっている。ただし重大じゅうだい事故じこ低空ていくうでの失速しっそくによるものがおもである。着陸ちゃくりくには都合つごう位置いち高度こうど適正てきせい速度そくどもどってこなければならないため、操縦そうじゅうじょう降下こうかかくじくせん速度そくどわせるという操作そうさ必要ひつようになる。高度こうどが30m程度ていどよりひくくなると地面じめんとの摩擦まさつふうよわくなるため失速しっそく注意ちゅういする必要ひつようがあり、さらにひくくなってつばさはばくらいのたかさになるとつばさ地面じめん効果こうかにより空気くうき抵抗ていこうって滑空かっくうおおきくなる。接地せっちするさいには失速しっそくぎりぎりのところ接地せっちするとがったり着陸ちゃくりく滑走かっそうながくなったりしないが、タイミングをあやまるとすうメートルのたかさから落着らくちゃくすることになる。

競技きょうぎ

編集へんしゅう
 
日本にっぽん滑空かっくう選手権せんしゅけんはつこうぜん風景ふうけい

スカイスポーツとして欧米おうべいでは6がつ中心ちゅうしんにグライダー競技きょうぎかいさかんにひらかれる。200~1,000km程度ていど指定していコースの平均へいきん速度そくどおもきそう2ねんに1世界せかい選手権せんしゅけんには日本人にっぽんじん出場しゅつじょうしているが成績せいせき上位じょういしゃえいふつどくおおい。国際こくさい競技きょうぎかいFAI規則きそく原則げんそく適用てきようされる。競技きょうぎカテゴリーは参加さんかしゃにより一般いっぱん女子じょしのみ、ジュニアとかれ(くにによりシニアもあり)、機体きたいべつつばさはば制限せいげん(オープン)クラス、18mクラス、15mクラス、スタンダードクラス(15mクラスでかつフラップのないもの)、ワールドクラス(認定にんていはPW-5のいち機種きしゅのみ)、クラブクラス(15mクラスの機種きしゅふるいもの)にかれている。日本にっぽん選手権せんしゅけん開催かいさいされており120~280km程度ていどのコースで実施じっしされる。

高性能こうせいのう機種きしゅはまず競技きょうぎのための最新さいしんとして販売はんばいされるため規則きそく変更へんこうとも生産せいさんされる機体きたいわってゆく。距離きょり速度そくど競技きょうぎとはべつに、曲技きょくぎ飛行ひこうのカテゴリーとしてのグライダー曲技きょくぎ世界せかい選手権せんしゅけんもある。日本にっぽん国内こくないではグライダー、飛行機ひこうきとも定期ていきてき曲技きょくぎ日本にっぽん選手権せんしゅけん開催かいさいされていないが、イベントなどで時折ときおり披露ひろうされる。

どうだてせんなな大戦たいせんでもグライダー競技きょうぎおこなわれている。

飛行場ひこうじょうしょ

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日本にっぽん滑空かっくうじょう四国しこく沖縄おきなわのぞ全国ぜんこくにある。ひろ平坦へいたん用地ようち必要ひつようとするため河川敷かせんしき利用りようしている場合ばあいおおく、利根川とねがわ水系すいけいには目立めだっておおい。飛行場ひこうじょう自衛隊じえいたい基地きち利用りようしている場合ばあいもある。日本にっぽん飛行ひこう団体だんたい大学だいがくけい一般いっぱんかれて各所かくしょにある。他国たこくでも滑空かっくうじょう空港くうこうとはべつにあることがおおい。日本にっぽん地形ちけい気象きしょうとも変化へんかみソアリングには好適こうてき自然しぜん条件じょうけんである。しかしたに平地ひらち住宅じゅうたく送電そうでんせんおおく、水田すいでんみずられている時期じきには場外じょうがい着陸ちゃくりく容易よういでないことから高性能こうせいのうこまかな計画けいかく距離きょり飛行ひこう必要ひつようとされる。日本にっぽん国内こくない航空こうくうほうでもしょ外国がいこくおなじくグライダー、モーターグライダーは離着陸りちゃくりく飛行場ひこうじょうがいおこなうことができる。

日本にっぽんおも滑空かっくうじょう

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脚注きゃくちゅう

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  1. ^ ライト兄弟きょうだいより50ねんはやく「飛行ひこう機械きかい」にひとせてばした英国えいこくじんがいた”. WIRED (2002ねん12月18にち). 2023ねん7がつ24にち閲覧えつらん
  2. ^ 12月 9にち 日本にっぽんはつのグライダーがぶ(1909ねん”. ブルーバック編集へんしゅう (2019ねん12月9にち). 2023ねん7がつ24にち閲覧えつらん
  3. ^ 手製てせいのグライダーで飛行ひこう成功せいこう東京とうきょう朝日新聞あさひしんぶん大正たいしょう14ねん3がつ23にち(『大正たいしょうニュース事典じてんだい7かん 大正たいしょう14ねん-大正たいしょう15ねん本編ほんぺんp158 大正たいしょうニュース事典じてん編纂へんさん委員いいんかい 毎日まいにちコミュニケーションズかん 1994ねん
  4. ^ 石岡いしおかにわがくにはつ滑空かっくう専門せんもん学校がっこう朝日新聞あさひしんぶん昭和しょうわ19ねん1がつ15にち(『昭和しょうわニュース事典じてんだい8かん 昭和しょうわ17ねん/昭和しょうわ20ねん本編ほんぺんp8 毎日まいにちコミュニケーションズかん 1994ねん

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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