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赤 - Wikipedia

あか

基本きほんしょくめいのひとつ


あか(あか、べにしゅ)はいろのひとつで、じゅくしたトマト血液けつえきのようないろ総称そうしょう暖色だんしょくのひとつ。JIS規格きかくでは基本きほんしょくめいひとつ。国際こくさい照明しょうめい委員いいんかい (CIE) は700 nm の波長はちょうをRGBひょうしょくけいにおいてR(あか)と規定きていしている。あかより波長はちょうながひかり赤外線せきがいせんぶが、様々さまざまひょうしょくけいなどにおけるあか波長はちょうとは間接かんせつてきにしか関係かんけいない。語源ごげんは「あきら(アカ)るい」につうじるとされる。「しゅ(あけ)」の表記ひょうきもちいられることもある。赤色あかいろ(セキショク、あかいろ)はあか同義語どうぎご。JIS規格きかくにおいては、あかとレッドはややことなるいろである。

あか状態じょうたいトマト
あか
あか
 
16しん表記ひょうき #ED1A3D
RGB (237, 26, 61)
CMYK (0, 100, 78, 0)
HSV (350°, 89%, 93%)
マンセル 5R 4/14
表示ひょうじされているいろいちれいです
レッド
red
 
16しん表記ひょうき #F15B5B
RGB (241, 91, 91)
CMYK (0, 80, 60, 0)
HSV (0°, 62%, 95%)
マンセル 5R 5/14
表示ひょうじされているいろいちれいです

基本きほんしょくめいとしてのあか

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しゅべに

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(タン)いろ名指なざすときは赭土しゃど(シャド)、赤土あかつちいろ意味いみである。赭土しゃどしゅたる発色はっしょく成分せいぶんさん酸化さんかてつである。黄土おうど緑土りょくど焼成しょうせいすれば丹色にいろになる。づる一種いっしゅタンチョウ和名わみょうは、頭頂とうちょうあかいことに由来ゆらいする。

しゅ(シュ)は、硫化りゅうか水銀すいぎんによる赤色あかいろ顔料がんりょうたつすな意味いみつ。オレンジがかったあか硫化りゅうか水銀すいぎんによるしゅには、たとえば「こう」や「あおこう」があり、いろりょうとしてのしゅ範囲はんい比較的ひかくてきはばがあるとかんがえてよい。

(ヒ)は、あかるい赤色あかいろす。緋色ひいろける染料せんりょうのみではなく、緋色ひいろけられたいときぬいろすことがしばしば強調きょうちょうされることからもかるように、染色せんしょくともつよかかわる。英語えいごやくとして使つかわれるスカーレットにも同様どうよう傾向けいこうがある。

べに(コウ)は、わずかにむらさきがかったあかす。キク紅花べにばなしるめたいろで、その発色はっしょく成分せいぶんカルタミンである。藻類そうるいがくでは英語えいごred および学名がくめいRhodo-訳語やくごとして使つかわれるが、細菌さいきんがくでは英語えいごpurpleむらさき)の訳語やくごとして使つかわれる。

それぞれのニュアンスはことなるものの、これらも、固有こゆうしょくめい比較ひかくすると普遍ふへんてきな「あか」を意味いみするかたりである。

光源こうげんしょくとしてのあか

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Red (webcolor)
  16しん表記ひょうき #ff0000
 
ひかり三原色さんげんしょくみぎえんあか(レッド)

あか (Red) はひかり三原色さんげんしょくのひとつで、カラーモニターやウェブサイトうえもちいられ、みどり (Green)・あお (Blue) ととも使つかわれるためRGBばれる。この場合ばあいあかはRGBあらわすと

(R, G, B) = (255, 0, 0)

あらわされ、

なお、ウェブカラーRed指定していしたときは、#FF0000として定義ていぎされる(みぎ)。色合いろあいとしては日常にちじょうてき想起そうきされるあかよりもあかるくあざやかでいろであると判断はんだんするひとおおい。そのほか、ウェブブラウザではDarkRed以下いかのように定義ていぎされている。

DarkRed (webcolor)
  16しん表記ひょうき #800000

物体ぶったいしょくとしてのあか

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印刷いんさつ技術ぎじゅつにおけるあか

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きむあか
きんあか
 
16しん表記ひょうき #EF4123
RGB (239, 65, 35)
CMYK (0, 90, 100, 0)
HSV (9°, 85%, 94%)
マンセル 9R 5.5/14
表示ひょうじされているいろいちれいです

印刷いんさつ技術ぎじゅつ用語ようごとして、マゼンタアカ場合ばあいもある。そのため、ひかり三原色さんげんしょくあかちか標準ひょうじゅんてき赤色あかいろオレンジレッドなどとぶ。同様どうよういろに、きむあか(きんあか)がある。これは、イエローマゼンタをほぼ一対一いちたいいち割合わりあい混合こんごうしたものとさだめられている。したがって、RGBでは直接ちょくせつには定義ていぎされない。しかし、RGBとの対応たいおう関係かんけいをある程度ていどあきらかにすることは不可能ふかのうではない。

CMYKもちいて C=0 M=100 Y=100 K=0

となる。ただしこれは仮構かこうてきともえるものであって、印刷いんさつ塗料とりょう現場げんばではだいなりしょうなり差異さい存在そんざいする。きむあかとして表現ひょうげんされるあかは、一般いっぱんてきにイメージされるあかよりも黄色おうしょくびたあかである。また、RGBをもちいて印象いんしょう色彩しきさい指示しじできる。このいろ英語えいごではブロンズレッド (bronze red) ともいう。

JIS規格きかくにおけるあか

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あかJIS慣用かんようしょくめい
  マンセル 5R 4/14
レッドJIS慣用かんようしょくめい
  マンセル 5R 5/14
べにあかJIS慣用かんようしょくめい
  マンセル 3.5R 4/13
きむあかJIS慣用かんようしょくめい
  マンセル 9R 5.5/14
あかJIS慣用かんようしょくめい
  マンセル 2.5YR 5.5/13

"あか"(red)は日本工業規格にほんこうぎょうきかく(JIS)における基本きほんしょくめいのひとつとして定義ていぎされている[1]JIS慣用かんようしょくめいではあか色相しきそう5R、明度めいど4/いろどり14)とレッド(red、色相しきそう5R、明度めいど5/いろどり14)は例示れいじされるいろ記号きごうのうち、明度めいどことなる[2]。また、べにあかおよびかねあかもJIS慣用かんようしょくめい規定きていされている[2]

あかいろりょう

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あか太古たいこよりいろなどと関連かんれんさせられ、ひと高揚こうようさせるいろとしておおくの人間にんげん認識にんしきされていた。当然とうぜんであるがかくいろ物理ぶつりてき顕示けんじかくいろしめ物体ぶったいによってされる。赤色あかいろ気味ぎみいろりょう入手にゅうしゅ比較的ひかくてき容易よういであったため、あか殊更ことさら使つかわれていろとなった。ただし、赤色あかいろ我々われわれ緊密きんみつせいはこれにのみるものであるのではない。また、あかいろりょう一般いっぱんたいこうせいたかくなかったが、近年きんねんたかたいこうせい顔料がんりょう開発かいはつされ、自動車じどうしゃひとしにも使つかわれている。

赤色あかいろ無機むき顔料がんりょう

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しゅ (vermilion, cinnabar)

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ドロマイトうえたつすな

赤色あかいろなか特筆とくひつすべきなのは、朱色しゅいろ([えいvermilion,vermillion)である。朱色しゅいろしゅいろのことである。朱色しゅいろあらわしょくは、たつすな(しんしゃ)、しゅすな(しゅしゃ、すさ)、たつしゅ(しんしゅ)、すな(たんさ)とばれる硫化りゅうかだい水銀すいぎん硫化りゅうか水銀すいぎん)をもちいる。赭土しゃど焼成しょうせいべんがら合成ごうせいべんさん酸化さんかてつ)、なまり光明こうみょうまことよん酸化さんかさんなまり)、鶏冠けいかんせき(リサージ、硫化りゅうか砒素ひそ)をもちいるか、あるいはそれ以外いがい顔料がんりょう染料せんりょう単独たんどくによって、もしくはこれらの混合こんごうもとづいて、あるいは朱色しゅいろ発光はっこうぶつによっても実現じつげんできる。

たつすなによるしゅ(≠朱色しゅいろ)は壮美そうび発色はっしょくをするので、紀元前きげんぜんから利用りようされた。合成ごうせいほうふるくからられ、その歴史れきし古代こだいにさかのぼる。合成ごうせいされたものは銀朱ぎんしゅともばれ、現在げんざいしゅ(≠朱色しゅいろ)のおおくをまかなう。現在げんざいでもしゅすな山口やまぐちけんはぎなどで採掘さいくつされる。あかいろりょうなかでも、太古たいこから使つかわれているしゅすなは、東洋とうようでは寿ことぶき(ほぎ)のいろざい呪術じゅじゅつてき意味いみ付与ふよされたいろざいとして重用じゅうようされていた。たとえば平等院びょうどういん鳳凰堂ほうおうどう中堂なかどう四面しめんとびらにはしゅ(≠朱色しゅいろ)がられた[3]。またしゅうるしとしてももちいられた。これはしゅすなっている色彩しきさい自体じたい印象いんしょう以外いがいに、硫化りゅうか水銀すいぎん水銀すいぎんそのものの毒性どくせい依存いぞん依拠いきょするものともかんがえられている。そして、乾性かんせいげられたしゅは、今日きょう台頭たいとうしているジスアゾちぢみあい顔料がんりょうやジケトピロロピロール、カドミウムあかを以ってしても代替だいたい不可能ふかのうな、油絵具あぶらえのぐうち最高さいこう透明とうめいせいほこ類例るいれいのないいろざいである。ただし、いろざいとしての硫化りゅうか水銀すいぎん運用うんようにあっては、硫化りゅうか水銀すいぎんくろへん回避かいひしつつ目的もくてき色彩しきさい定着ていちゃくさせる高次こうじ技術ぎじゅつ要請ようせいされる。Colour Index Generic NameはPigment Red 106である[4]

たん (light red, hematite)

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合成ごうせい赤色あかいろ酸化さんかてつ
Pigment Red 101

死者ししゃほうむさい祭祀さいし魔除まよけけの意味いみしゅりをほどこしたれいられている。古代こだい日本にっぽんぐんじょう(いくさば)ではかお代表だいひょうする身体しんたいかく部位ぶい丹色にいろ(にいろ)を塗布とふ武運ぶうん安全あんぜん祈願きがんしたという。また、べんがらはしばしばしゅうるし代用だいようとなったべんがらうるしとして器物きぶつわせられたりしてきた。

さん酸化さんかてつ鉱物こうぶつとしては、あか鉄鉱てっこう(セキテッコウ)としてさんする。現在げんざいさん酸化さんかてつは「マルスレッド」としても流通りゅうつうしている。この「マルス (mars)」は、ギリシャ神話しんわにおけるアレース相当そうとうするローマ神話しんわ軍神ぐんしんMars意味いみつ。これは先述せんじゅつ事態じたい関連かんれんするものとして看取かんしゅしてよい。さん酸化さんかてつこういろどりではないものの安価あんかにして比類ひるいないたいこうせいそなえたいろりょうである。そして、さん酸化さんかてつ発色はっしょく成分せいぶんしゅたるものであって、いにしえ土器どきられる赤褐色せきかっしょく発色はっしょく成分せいぶん大半たいはんさん酸化さんかてつである。黄土おうどつよねっすると酸素さんそれて酸化さんかてつとなり、赤色あかいろていする。これはとくにレッドオーカーとするならわしがある。ただし現代げんだいでは、これ以外いがいのレッドオーカーもある。Colour Index Generic Nameは天然てんねん赤色あかいろ酸化さんかてつがPigment Red 102で[4]合成ごうせい赤色あかいろ酸化さんかてつがPigment Red 101である[4]

なまり (red lead, minium)

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なまり
Pigment Red 105

なまり紀元前きげんぜんから使用しようされたといわれるが、硫化りゅうか水銀すいぎんとの混同こんどうともかんがえられる。しゅどうだかいろどり赤色あかいろ顔料がんりょうとしてられているが、硫黄いおう反応はんのうくろへんするため、一般いっぱん絵具えのぐなどにはもちいられない。もっとおおきい用途ようとてつ錆止さびど塗料とりょう着色ちゃくしょくざいである。Colour Index Generic NameはPigment Red 105である[4]

赤色あかいろ有機ゆうき顔料がんりょう

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ブラジリン (en)
あわ赤色あかいろていするブラジルレーキの主成分しゅせいぶんとなる

耐久たいきゅうせいたか赤色あかいろ有機ゆうき顔料がんりょう生産せいさんされる以前いぜんには、自然しぜん由来ゆらい赤色あかいろ染料せんりょう不溶化ふようかさせて、顔料がんりょうとしてもちいることもさかんであった。

アントラキノン

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アリザリンレーキの原料げんりょうとなるアリザリン
Pigment Red 83

赤色あかいろのレーキ顔料がんりょうしゅとしてもちいられたのは、アントラキノン染料せんりょう主成分しゅせいぶんとする赤色あかいろ染料せんりょうであった。具体ぐたいてきには、ケルメスさんカルミンさんラックさんアリザリンプルプリンである。とくにアリザリンは、その特異とくい色相しきそう際立きわだった透明とうめいせいたか耐久たいきゅうせい着眼ちゃくがんされ、現代げんだいでも工業こうぎょう生産せいさんされており、たとえば美術家びじゅつかようとして人気にんきがある。

アカネ色素しきそをレーキしたマダーレーキ(真正しんしょうローズマダー、真正しんしょうピンクマダーとう)は天然てんねんレーキちゅうもっと安定あんていしたいろざいのひとつである。カイガラムシエンジムシ色素しきそをレーキしたものはコチニールレーキである。これらは最大さいだいあらわしょく成分せいぶん同一どういつ化学かがく組成そせいゆうする合成ごうせいひんのレーキ顔料がんりょうであるアリザリンレーキ類似るいじした色相しきそう有機ゆうき顔料がんりょう存在そんざいするため、真正しんせいひん使用しようされることはまれである。

顔料がんりょう色素しきそがた赤色あかいろアントラキノン顔料がんりょうとしては、Pigment Red 168とPigment Red 177がある[4]。Pigment Red 177はアリザリンレーキと比較ひかくすると幾分いくぶん不透明ふとうめいである透明とうめい顔料がんりょうで、耐久たいきゅうせいたか鮮明せんめいで、たい水性すいせいにも問題もんだいがない。Pigment Red 168はPigment Red 177より随分ずいぶんあじ[4]

 
あおあじあかていするモノアゾ顔料がんりょう
Pigment Red 170

アゾもとゆうする化合かごうぶつで、顔料がんりょうとしては顔料がんりょう色素しきそがたとレーキ顔料がんりょうがたがある。顔料がんりょう色素しきそがたのモノアゾあか種類しゅるい膨大ぼうだいであるががいしてたい溶剤ようざいせいおとる。ただし高分子こうぶんしするにつれたい溶剤ようざいせいたかまる。レーキ顔料がんりょうがた鮮明せんめい色相しきそうゆうたい溶剤ようざいせいゆうする。

ジスアゾちぢみあい顔料がんりょう従来じゅうらい不溶性ふようせいアゾ顔料がんりょうくらべ、たいこうせいたい溶剤ようざいせいなどはたかまっているが、製造せいぞうコストがたかい。Colour IndexにはPigment Red 48、Pigment Red 57、Pigment Red 170、Pigment Red 188、Pigment Red 221、Pigment Red 242とう記載きさいされている[4]。Pigment Red 188やPigment Red 242はあじあか、PigmentRed 221はあおあじあかといった色合いろあいである[4]

キナクリドン

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置換ちかんキナクリドン
Pigment Violet 19

キナクリドンは、対称たいしょうせいたか複素ふくそたまき顔料がんりょうである。この名称めいしょうは1896ねんNimerovskyが、キノリンアクリジンわさった化合かごうぶつとしてつけたもので、置換ちかんキナクリドンのCASはquino[2,3-b] acridine-5,12-dihydro-7,14-dioneである。置換ちかんキナクリドンはPigment Violet 19ともばれる。Colour IndexにはPigment Red 122、Pigment Red 202、Pigment Red 206、Pigment Red 207、Pigment Red 209、Pigment Violet 19、Pigment Violet 42とう記載きさいされている。

Pigment Violet 19には色相しきそうことなるβべーたがたあかあじむらさき)やγがんまがたあおあじあか)がある。また、αあるふぁがた顔料がんりょうとして使用しようされていない。Pigment Red 122は両者りょうしゃなかあいだてき色相しきそうそなえ、印刷いんさつとうにおいてはマゼンタとしても使用しようされている。Pigment Red 202はPigment Red 122より若干じゃっかんあおあじつよいものの、その差異さい希釈きしゃくなどによって両者りょうしゃ色合いろあいをせることが出来でき程度ていど差異さいである。Pigment Violet 42はキナクリドンのこんあきらであり、ややいろどりひくく、不鮮明ふせんめい

Pigment Red 202とPigment Red 209は化学かがく組成そせいてきにはよくていて、ともにジクロロキナクリドンであるが、塩素えんそ位置いちことなる。Pigment Red 207とPigment Red 209は色相しきそうてきにはよくていて、ともあじあかであるが、Pigment Red 207はγがんまがた結晶けっしょうのPigment Violet 19とPigment Vioret 122の中間ちゅうかん色合いろあいであるが、こんあきらであり、ややいろどりひくく、不鮮明ふせんめい

これ以外いがい褐色かっしょく系統けいとうのキナクリドンもあるが、置換ちかんキナクリドンと置換ちかんキナクリドンの一部いちぶ酸素さんそ置換ちかんした化合かごうぶつこんあきらであり、いろどりひくく、不鮮明ふせんめい。Colur Indexには、Pigment Orange 48とPigment Orange 49の記載きさいがある。

 
ペリレン
 
ペリレンテトラカルボンさん水物みずもの (en)
Pigment Red 224

ペリレン顔料がんりょうは、ペリレンテトラカルボンさん水物みずものろくいんたまき構成こうせいしている酸素さんそ原子げんし2脱落だつらくさせた構造こうぞうゆうする顔料がんりょうである。あかからむらさき、そして、みどり(ただしくろみどり)といった幅広はばひろ色相しきそう顔料がんりょうグループであり、一般いっぱん着色ちゃくしょくりょく堅牢けんろうせいすぐれる。

赤色あかいろのペリレン顔料がんりょう、Pigment Red 149は、ややあおあじのある赤色あかいろだが有機ゆうき顔料がんりょうくらべて希釈きしゃくしたいろ相対そうたいてきあじ傾向けいこうがある[4]。Pigment Red 179は、アントラキノンけい高級こうきゅう顔料がんりょうであるPigment Red 216よりも、さらくらつよ色調しきちょうで、より堅牢けんろうである[4]

ジケトピロロピロール

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1980年代ねんだい初頭しょとう開発かいはつされたあたらしい、対称たいしょう発色はっしょくだん複素ふくそたまき顔料がんりょうである。粒子りゅうしみち制御せいぎょすることにより透明とうめいせい操作そうさすることが出来できる。粒子りゅうしみちちいさいものはあおあじつよく、透明とうめいせい比較的ひかくてきたかいがそれでもやや不透明ふとうめいである。Colour IndexにはPigment Red 254、Pigment Red 255、Pigment Red 264、Pigment Orange 71、Pigment Orange 73とう記載きさいされている。これらはいずれも鮮明せんめい堅牢けんろうである。キナクリドンとのかた熔体も研究けんきゅうされており、市場いちば流通りゅうつうしている。キナクリドン-ピロールは手近てぢかところでは絵具えのぐとして入手にゅうしゅできる。Pigment Red 254やPigment Red 255の色相しきそう実用じつようてきなRGBのRにもあじあかである[4]。Pigment Red 254はあかのカラーフィルターによく採用さいようされる。以前いぜんよく採用さいようされていたPigment Red 177よりもこの用途ようとにはてきする。このとき補助ほじょてきもちいられるのはPigment Orange 71やPigment Yellow 139などのよりあじ顔料がんりょうである。Pigment Red 255はPigment Red 254より相当そうとうあじつよくややいろどりひく[4]

赤色あかいろ天然てんねん染料せんりょう

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自然しぜんぶつから抽出ちゅうしゅつされる赤色あかいろ天然てんねん染料せんりょう多数たすう存在そんざいする。植物しょくぶつ由来ゆらい染料せんりょうとしてベニバナスオウアカネが、動物どうぶつ由来ゆらい染料せんりょうとしてコチニールがある。

紅花べにばな

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ベニバナ(紅花べにばな)は媒染剤ばいせんざい灰汁あくもちいる赤色あかいろ染料せんりょうである[5][6]繊維せんい染色せんしょくのほか口紅くちべにをはじめとする化粧けしょうひんにももちいられる[6]。ベニバナめによるあかべにふし既出きしゅつのように紅色こうしょく(べにいろ)とぶ。Colour Index Generic NameはNatural Red 26である[4]

スオウ(蘇芳すおう)は媒染剤ばいせんざい灰汁あく明礬みょうばんもちいる赤色あかいろ染料せんりょうである[5][7]媒染剤ばいせんざいとして灰汁あくもちいるとむらさきあじびたあか[5][7]明礬みょうばんもちいるとちゃ色味いろみびたあかまる[5][7]。なお媒染剤ばいせんざいとしててつもちいるとむらさきまるため[5][7]、スオウは紫色むらさきいろ染料せんりょうとしてももちいられる[5][7]。スオウめによるあか蘇芳すおうしょく(すおういろ)とぶ。Colour Index Generic NameはNatural Red 24である[4]

アカネ(あかね)は媒染剤ばいせんざい灰汁あく明礬みょうばんもちいる赤色あかいろ染料せんりょうである[5][8]おなじく植物しょくぶつ由来ゆらい赤色あかいろ染料せんりょうであるベニバナやスオウよりも堅牢けんろう染料せんりょうである[8]アントラキノンのふし既出きしゅつ赤色あかいろ有機ゆうき顔料がんりょう・マダーレーキはアカネ染料せんりょうをレーキしたものである。アカネめによるあか茜色あかねいろ(あかねいろ)とぶ。Colour Index Generic NameはNatural Red 9である[4]

コチニールはカイガラムシやエンジムシの色素しきそ染料せんりょうとしてもちいたものである[9]媒染剤ばいせんざいアルミナクロムてつとうもちいることにより鮮紅せんこうしょくからむらさきあじびたあかまで幅広はばひろ色相しきそう染色せんしょくすることが出来でき[9]アントラキノンのふし既出きしゅつ赤色あかいろ有機ゆうき顔料がんりょう・コチニールレーキはコチニール染料せんりょうをレーキしたものである。コチニールめによるあか臙脂えんじしょく(えんじいろ)とぶ。Colour Index Generic NameはNatural Red 4である[4]

赤色あかいろ合成ごうせい染料せんりょう

編集へんしゅう

化学かがくてき合成ごうせいされた赤色あかいろ合成ごうせい染料せんりょう多数たすう存在そんざいする。

生活せいかつ社会しゃかい文化ぶんかへの影響えいきょう

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人間にんげんは、あかみどりあおひかり感知かんちするきりたいによって様々さまざまいろ視覚しかく情報じょうほう知覚ちかくしているが、それらのうちLきりたいあかきりたい)の分布ぶんぷ密度みつどはMきりたいみどり)の2ばい、Sきりたいあお)の40ばいもあり、いろくらべて赤色あかいろこうたいする感度かんどたか[10]

用途ようと慣習かんしゅう

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  • 日本にっぽん消防車しょうぼうしゃ車体しゃたいしょく運輸省うんゆしょうれい道路どうろ運送うんそう車両しゃりょう保安ほあん基準きじゅん」(昭和しょうわ26ねん7がつ28にちだい67ごう)で朱色しゅいろ規定きていされており、フランス、イギリス、スイス、オーストリア、アメリカの一部いちぶしゅうとうでも消防車しょうぼうしゃいろあかもちいている[11]。ドイツではあかまたはむらさきである[11]
  • 国旗こっきにおいてあかあおとも一般いっぱんてきいろであり、それぞれぜん世界せかいの78%および71%の国家こっか国旗こっきられる[12]。また、あか社会しゃかい主義しゅぎ共産きょうさん主義しゅぎあらわ政治せいじてきなシンボルとして赤旗あかはたかかげられることもおお[13]
  • 赤恥あかはじ」、「赤裸あかはだか」(赤裸裸せきらら)などの用例ようれいのように、日本語にほんごでは「あか」は「あきらかな」、「まったくの」という意味いみ[13]
  • 古来こらい日本にっぽんでは、疱瘡ほうそう天然痘てんねんとう)をもたらす疫病神やくびょうがみである「疱瘡ほうそうしん」が赤色あかいろきらうとしんじられており、患者かんじゃ周囲しゅういあかたす風習ふうしゅうがあった[14]沖縄おきなわでは病人びょうにんあかせ、痘瘡とうそうしんよろこばせるためにうた三味線しゃみせんで、痘瘡とうそうしんをほめたたえ、夜伽よとぎをした[15]
  • 車両しゃりょう尾灯びとう赤色あかいろである。自転車じてんしゃ赤色あかいろ反射はんしゃ器材きざい代用だいようされることがおおく、鉄道てつどう車両しゃりょう赤色あかいろ反射はんしゃばん代用だいようされることがある。また、自転車じてんしゃ以外いがい道路どうろよう車両しゃりょうおよ路面ろめん電車でんしゃ尾灯びとう制動せいどうとうねている。
  • 陸上りくじょう自衛隊じえいたい普通ふつう職種しょくしゅしょく赤色あかいろである。
  • 船舶せんぱく左舷さげんとうおよ航空機こうくうき左翼さよくとう赤色あかいろである。左舷さげんとうは「紅灯こうとう」とばれている[16]
  • 自動じどう火災かさい報知ほうち設備せつび表示ひょうじとう赤色あかいろである。
  • 日本にっぽんひとしでは緊急きんきゅう自動車じどうしゃ警光とう赤色あかいろである。通常つうじょう、「赤色あかいろとう」はこの赤色あかいろの警光とうす。
  • 交通こうつう信号しんごうなどでは、赤色あかいろ停止ていし危険きけんしめ表示ひょうじとして使つかわれる[13]
  • 危険きけん意味いみするものとしてレッドカードレッドリストなどがある。

関連かんれん項目こうもく

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脚注きゃくちゅう出典しゅってん

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  1. ^ 日本工業規格にほんこうぎょうきかく物体ぶったいしょくいろめい(JIS Z 8102:2001)」p.2。
  2. ^ a b 日本工業規格にほんこうぎょうきかく物体ぶったいしょくいろめい(JIS Z 8102:2001)」p.20, 23。
  3. ^ http://www.kyoto-arc.or.jp/leaflet/222.pdf平安へいあんみやあかいろ(財)ざいだんほうじん京都きょうと埋蔵まいぞう文化財ぶんかざい研究所けんきゅうじょ京都きょうと考古こうこ資料しりょうかん
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p The Color of Art Pigment Database : Pigment Red,PR
  5. ^ a b c d e f g 日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ 7』、394ぺーじ草木染くさきぞめのひょう草木染くさきぞめの項目こうもく自体じたいは395ぺーじ掲載けいさい)より。
  6. ^ a b 日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ 21』、71ぺーじべに項目こうもくより。
  7. ^ a b c d e 日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ 12』、901ぺーじ蘇芳すおう項目こうもくより。
  8. ^ a b 日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ 1』、153ぺーじあかね項目こうもくより。
  9. ^ a b 日本にっぽんだい百科全書ひゃっかぜんしょ 9』、308ぺーじ、コチニールの項目こうもくより。
  10. ^ 井上いのうえ容子ようこゆう彩色さいしきこう照明しょうめい視認しにんせい雰囲気ふんいきおよぼす影響えいきょう』p.3。
  11. ^ a b 消防車しょうぼうしゃはなぜあか」『消防しょうぼう雑学ざつがく辞典じてん東京とうきょう消防庁しょうぼうちょう東京とうきょう連合れんごう防火ぼうか協会きょうかいしん 消防しょうぼう雑学ざつがく辞典じてんていばんより)。
  12. ^ https://flagmakers.co.uk/blog/resources/what-is-the-rarest-colour-on-national-flags/#:~:text=The%20most%20common%20colour%20used,50%25%20of%20all%20national%20flags.
  13. ^ a b c 『スーパー大辞林だいじりん三省堂さんせいどう、2013ねん
  14. ^ 疫病えきびょうから伝染でんせんびょうへ」『東西とうざい医書いしょられるやまい治療ちりょう - 附属ふぞく図書館としょかん貴重きちょうしょコレクションより』九州大学きゅうしゅうだいがく附属ふぞく図書館としょかん、2007ねん
  15. ^ 青山あおやま洋二ようじ『琉歌おもしろ読本とくほん郷土きょうど出版しゅっぱん、1998ねん、p.200。
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参考さんこう文献ぶんけん

編集へんしゅう
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