足羽川あすわがわ

足羽川あすわがわ
	福井ふくい市し美山みやま地区ちく付近ふきん
水系すいけい	一級いっきゅう水系すいけい九頭竜川くずりゅうがわ
種別しゅべつ	一級いっきゅう河川かせん
延長えんちょう	61.7 km
平均へいきん流量りゅうりょう	-- m³/s
流域りゅういき面積めんせき	415 km²
水源すいげん	冠山かんざん（今立いまだち郡ぐん池田いけだ町まち）
水源すいげんの標高ひょうこう	1,257 m
河口かこう・合流ごうりゅう先さき	日野川ひのかわ（福井ふくい市し）
流域りゅういき	日本にっぽん福井ふくい県けん
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足羽川あすわがわ（あすわがわ）は、福井ふくい県けんを流ながれる河川かせん。九頭竜川くずりゅうがわ水系すいけい日野川ひのかわの支流しりゅうである。

地理ちり

福井ふくい県けん今立いまだち郡ぐん池田いけだ町まちの冠山かんざんを源みなもとに発はっして北きた流ながし、福井ふくい市しに入はいると国道こくどう158号ごうに沿そって西にしに向むきを変かえる。福井ふくい市しの中心ちゅうしん部ぶを流ながれ、福井ふくい市し大瀬おおぜ町まち付近ふきんで日野川ひのかわに合流ごうりゅうする。

福井ふくい市街地しがいちの堤防ていぼうに並ならぶ日本一にっぽんいちの桜さくら並木なみきは、「さくら名所めいしょ100選せん」にも選えらばれている。

度々どど水害すいがいが起おきているが、最近さいきんでは2004年ねん（平成へいせい16年ねん）7月がつ18日にちに梅雨つゆ前線ぜんせんによる洪水こうずいで多大ただいな被害ひがいを与あたえた。水害すいがいが起おきる原因げんいんとして、福井ふくい市しの市街地しがいちに入はいると急きゅうに川幅かわはばが狭せばまって蛇行だこうすること、足羽川あすわがわにかかる橋はしが古ふるいために橋脚きょうきゃくが多おおく、川かわの流ながれを妨さまたげてしまうということが挙あげられる。事実じじつ、2004年ねんの水害すいがいはカーブ外側そとがわの堤防ていぼうが水圧すいあつによって破やぶ堤つつみした。

かつて日野川ひのかわへの合流ごうりゅう点てんは約やく1 km上流じょうりゅうの福井ふくい市し東下野ひがししもの町まち付近ふきんであったが、1963年ねん（昭和しょうわ38年ねん）度どの足羽川あすわがわ放水ほうすい路ろ完工かんこうにより旧きゅう川かわは締しめ切きられ同市どうし水越みずこし付近ふきんより狐きつね川かわ合流ごうりゅう点てん（同市どうし狐橋きつねばし付近ふきん）までの河かわ道どうが埋うめ立たてられ可か住じゅう地ち化かし、渡わたし町まちという新しん地名ちめいが与あたえられた。それより下流かりゅう側がわは都市とし河川かせん的てきな狐きつね川かわへ編入へんにゅうとなったため狐きつね川かわの河川かせん幅はばがここで急激きゅうげきに広ひろがるが、この区間くかんの左岸さがん堤防ていぼうにも桜さくら並木なみきがある。

流域りゅういきの自治体じちたい

福井ふくい県けん: 今立いまだち郡ぐん池田いけだ町まち、福井ふくい市し

水運すいうん

戦国せんごく時代じだいには、朝倉あさくら氏しの本拠地ほんきょちの一いち乗じょう谷たに（いちじょうだに)から九頭竜川くずりゅうがわ河口かこうの三国港みくにみなとへの水運すいうんが盛さかんに行おこなわれていた。江戸えど時代じだいには福井ふくいの城下じょうかから三国港みくにみなとへの水運すいうんが行おこなわれ、特とくに足羽山あすわやまの特産とくさんである笏しゃく谷たに石せきは主おもに、この川かわ運うんを利用りようし三さん国こくから移出いしゅつされた。

支流しりゅう

(池田いけだ町まち内うち) 楢なら股また川がわ - 割わり谷川たにがわ - 魚見うおみ川がわ - 水海川みずうみがわ - 部ぶ子こ川かわ(福井ふくい市し内うち) 上じょう味見あじみ川がわ - 羽生はぶ川がわ - 芦見川あしみがわ-足羽川あすわがわ頭首とうしゅ工こう - 一いち乗じょう谷川たにがわ - 荒川あらかわ (福井ふくい県けん)

用水ようすい

足羽川あすわがわを水源すいげんとする足羽川あすわがわ用水ようすいは、平安へいあん時代じだいに荘園しょうえんでの稲作いなさくのために開削かいさくされた灌漑かんがい水路すいろで、南北なんぼく朝あさ時代じだいに朝倉あさくら氏しによって拡張かくちょうされ、江戸えど時代じだいに福井ふくい藩はんが改修かいしゅうし現在げんざいに至いたり、福井ふくい市し南東なんとう部ぶ一いち円えん約やく800ha、別べつ流りゅうの徳光とくみつ下江しもえ用水ようすいも約やく400haの農地のうちを潤うるおしている。2006年ねん（平成へいせい18年ねん）に疎水そすい百ひゃく選せんに選定せんていされ^[1]、2016年ねん（平成へいせい28年ねん）には国際こくさいかんがい排水はいすい委員いいん会かいのかんがい施設しせつ遺産いさんに登録とうろくされた^[2]。

橋梁きょうりょう

福井ふくい豪雨ごううと足羽川あすわがわ治水ちすい対策たいさく

2004年ねん（平成へいせい16年ねん）7月がつ18日にちの平成へいせい16年ねん7月がつ福井ふくい豪雨ごうう（足羽川あすわがわ水害すいがい）は、特定とくてい箇所かしょへの異常いじょう集中しゅうちゅう豪雨ごううが最大さいだいの原因げんいんであった。福井ふくい市しの市街地しがいちに入はいると蛇行だこうが多おおくなる上うえに急きゅうに川幅かわはばが狭せばまること、市街地しがいちで橋梁きょうりょうが多おおく橋桁はしげたで水みずがせき止とめられ、仮設かせつ道路どうろや矢板やいたの影響えいきょうも多少たしょうあって堤防ていぼうからの越えつ流りゅうに至いたった。堤防ていぼう天てん端はしが舗装ほそうされていない越えつ流りゅうに弱よわい箇所かしょで、破やぶ堤つつみに至いたった。中小ちゅうしょう河川かせんでは越こし流ながしても数時間すうじかんの越えつ流りゅうであることから、その時間じかんだけ破やぶ堤つつみせずに持もちこたえられるように民地みんち側がわ堤防ていぼうののり面めんを補強ほきょうすること等とうの対策たいさくがハード面めんの短期たんき的てき視野しやでの治水ちすい対策たいさくとして国土こくど交通省こうつうしょうの緊急きんきゅうアクションプランに挙あげられた。土木どぼく学会がっかいや国土こくど問題もんだい研究けんきゅう会かいなどの足羽川あすわがわ豪雨ごうう調査ちょうさでも、越こし流ながしても破やぶ堤つつみしない堤防ていぼう補強ほきょうが対策たいさくと第だい一いちに挙あげられている

これと並行へいこうして、長期ちょうき的てき視野しやでの治水ちすい対策たいさくとしてダムによる洪水こうずい調節ちょうせつも再さい検討けんとうされるに至いたった。足羽川あすわがわには国土こくど交通こうつう省しょうによって多目的たもくてきダムである足羽川あすわがわダムが1983年ねん（昭和しょうわ58年ねん）より計画けいかくされていたが、水没すいぼつ世帯せたい188戸こに上のぼるため猛烈もうれつな反対はんたい運動うんどうが起おこっていた。全国ぜんこくでダム建設けんせつの是非ぜひを巡めぐる論争ろんそうが繰くり広ひろげられた1990年代ねんだい、特とくに賛否さんぴが紛糾ふんきゅうしているダムの1つとして足羽川あすわがわダムは「足羽川あすわがわダム建設けんせつ事業じぎょう審査しんさ委員いいん会かい」や「九頭竜川くずりゅうがわ流域りゅういき委員いいん会かい」といった外部がいぶ識者しきしゃによる諮問しもん機関きかんにその建設けんせつの可否かひを探さぐらせた。結果けっか『現行げんこうのダム計画けいかくは住民じゅうみんの犠牲ぎせいが大おおきく、容認ようにん出来できない』との理由りゆうで1995年ねん（平成へいせい7年ねん）凍結とうけつされた。この間あいだ国土こくど交通省こうつうしょうは「九頭竜川くずりゅうがわ流域りゅういき委員いいん会かい」や福井ふくい市し等ひとしの足羽川あすわがわ流域りゅういき自治体じちたい等とうにダムの代替だいたい案あんを提示ていじし、様々さまざまな選択肢せんたくしでの治水ちすい対策たいさくを検討けんとうしていたがその矢先やさきに平成へいせい16年ねん7月がつ福井ふくい豪雨ごううが発生はっせいした。

足羽川あすわがわは福井ふくい市内しないを貫流かんりゅうしている事ことから、堤防ていぼう補強ほきょうが第だい1の対策たいさくとして挙あげられているものの実際じっさいには鉄道てつどう・橋梁きょうりょうの架かけ替がえや多大ただいな住居じゅうきょ移転いてんが伴ともなう為ために補償ほしょう額がくは莫大ばくだいなものになる事ことが既すでに足羽川あすわがわダム代替だいたい案あんで示しめされていた。この為ため支流しりゅうの部ぶ子こ川かわに高たかさ130.0m、総そう貯水ちょすい容量ようりょう70,000,000tの治水ちすいダムを建設けんせつする計画けいかくを国土こくど交通省こうつうしょうは示しめした。これが新しん・足羽川あすわがわダム計画けいかくであり普段ふだんは貯水ちょすいせず洪水こうずい時じには足羽川あすわがわ等とうから導水どうすいし洪水こうずいを貯留ちょりゅうする事ことで洪水こうずい調節ちょうせつを行おこなおうとしている。国土こくど交通省こうつうしょう試算しさんでは、堤防ていぼう補強ほきょうや放水ほうすい路ろ・遊水地ゆうすいちよりもコストを圧縮あっしゅく出来できるとして福井ふくい県けんや福井ふくい市し、流域りゅういき住民じゅうみん等とうに理解りかいを求もとめた。一方いっぽう、元来がんらいダム事業じぎょう等とうの公共こうきょう事業じぎょうに批判ひはん的てきな日本にっぽん共産党きょうさんとうの県議けんぎ等とうで作つくる「国土こくど問題もんだい研究けんきゅう会かい」は足羽川あすわがわダム計画けいかくに対たいし『十分じゅうぶん議論ぎろんされていない内うちに、集あつまり水面すいめん積せきが極きわめて小ちいさくなり効果こうかが疑問ぎもん視しされ、その上うえ建設けんせつ費ひが高たかくなったダムでの対応たいおうを進すすめようとしている』としてダム建設けんせつには反対はんたいの姿勢しせいを見みせている。

福井ふくい豪雨ごううにおいては、同おなじ九頭竜川くずりゅうがわ支流しりゅうの真名まんな川がわにおいて足羽川あすわがわ流域りゅういきを上回うわまわる豪雨ごううとなったが、真名まんな川がわダムや笹ささ生川おいかわダムといった多目的たもくてきダムの洪水こうずい調節ちょうせつによって下流かりゅうの大野おおの市し等ひとしでは堤防ていぼう越えつ流りゅうや決壊けっかいによる浸水しんすい被害ひがいが殆ほとんど見みられなかったという事実じじつもある。豪雨ごうう被害ひがいの当事とうじ者しゃである福井ふくい市しや流域りゅういきの住民じゅうみんは概おおむねダム建設けんせつに理解りかいを示しめしていると言いわれ、2006年ねん（平成へいせい18年ねん）1月がつに国土こくど交通省こうつうしょうはダム建設けんせつ計画けいかくを正式せいしきに発表はっぴょう。福井ふくい県けんや福井ふくい市しもこれを認みとめる方針ほうしんを出だした。しかしながら一部いちぶからはダムという選択肢せんたくし自体じたいを認みとめない姿勢しせいを持もつ意見いけんもある事ことから、流域りゅういきに全まったく関係かんけいないダム反対はんたい活動かつどう家か等とうが参加さんかし紛糾ふんきゅうする事ことが予想よそうされる。こうした治水ちすい計画けいかくにおいて大事だいじなのは、観念論かんねんろんを排除はいじょし総すべての選択肢せんたくしをオープンに議論ぎろんする事ことであり、密室みっしつでの議論ぎろんや感情かんじょう論ろんは排はいさなければならない事ことであると言いわれている^[誰だれ?]。

ギャラリー

夜桜よざくら足羽あすわ川がわ福井ふくい市し
夜桜よざくら足羽あすわ川がわ福井ふくい市し02
夜桜よざくら足羽あすわ川がわ福井ふくい市し03
夜桜よざくら足羽あすわ川がわ福井ふくい市し04

桜堤さくらづつみの再生さいせい

福井ふくい市しの足羽川あすわがわの桜さくらは、明治めいじ39年ねんに福井ふくい市内しないで足羽川あすわがわ北岸ほくがんの石垣いしがき工事こうじが竣工しゅんこうした際さい、南岸なんがん堤防ていぼうに桜さくら・楓かえで千せん本ほんを植うえたもの^[3]と、昭和しょうわ27年ねん（1952年ねん）戦災せんさい復興ふっこうの記念きねんとしてに青年せいねんグループが土手どての両りょうサイドに植うえた桜さくらである。土手どてそのものはソメイヨシノの並木なみきで樹齢じゅれいは60年ねん以上いじょうになるが桜さくらが老おいているうえに堤防ていぼうが2004年ねん福井ふくい豪雨ごううの被害ひがいで崩くずれ、洪水こうずいで激げき特とく事業じぎょうが適用てきようされるほど荒あれた状態じょうたいになる。さくら百ひゃく選せんで観光かんこう客きゃくが来くる名所めいしょで、地元じもと福井ふくい市しには他たに名所めいしょがないため、県けんと国くにの事業じぎょうである激げき特とくに消極しょうきょく的てきもしくは反対はんたいであったが、ソメイヨシノはもう10年ねんほどしか持もたない老木ろうぼくであることに加くわえて、元来がんらいクローンであるソメイヨシノだけで覆おおわれている桜さくらの名所めいしょでは生態せいたい学的がくてきにも問題もんだいがあると判断はんだんされ、一斉いっせい老化ろうかのソメイヨシノだけの植うえ栽を、本多ほんだ静六せいろくの手てによる明治めいじ神宮じんぐうの森もりをモデルに、多様たよう性せい植うえ栽にきり変かえていく、堤つつみ体からだの幅員ふくいんを増ましそこに多た種類しゅるいの桜さくらを入いれ、樹齢じゅれいについてもさまざまな組くみ合あわせで植樹しょくじゅ計画けいかくを策定さくてい。こうして既存きそんの桜さくらは間まもなく寿命じゅみょうが来くるがそのうち丈夫じょうぶなものは残のこすことにしている。もともとは伐採ばっさいの了解りょうかいを得えるために提案ていあんしているが新あたらしい時代じだいの永遠えいえんに持続じぞく可能かのうな桜さくらの名所めいしょづくりをテーマに、既存きそんの元気げんきな桜さくらは移植いしょくし、新あたらしく広ひろげた堤つつみ部分ぶぶんに新あたらしく20種類しゅるい以上いじょうの桜さくらを植うえる。また一ひとつ一本いっぽんの桜さくらの高たかさを変かえている。多おおくの桜さくらの名所めいしょの問題もんだいは同どう齢よわいの苗木なえぎを一気いっきに植うえることで、生態せいたい学的がくてきにはいろいろな種類しゅるいと、いろいろな高たかさが混まざって持続じぞく的てきに安定あんていする多様たよう性せいと多層たそう性せいが基本きほんとみていた。こうして桜さくらは地元じもと協議きょうぎ会かいと専門せんもん家かを交まじえて検討けんとうし、山桜やまざくら特とくに毛虫けむしがつきにくいなど、川かわ裏うらに多種たしゅ多様たような樹き種しゅの桜さくらを植うえるが、環境かんきょうの合あわない一部いちぶの桜さくらは弱よわっている。このほか、伐採ばっさいした樹木じゅもくや枝えだは引ひき取とり手てを募集ぼしゅう、利用りよう計画けいかくや覚書おぼえがきなどを交かわして、有効ゆうこう利用りようしてもらったという^[4]^[5]。

脚注きゃくちゅう

^ “疎水そすい百ひゃく選せんのページ”. 福井ふくい県けん (2012年ねん5月がつ22日にち). 2017年ねん11月18日にち閲覧えつらん。
^ “世界せかいかんがい施設しせつ遺産いさん”. 全国ぜんこく水すい土ど里さとネット (2016年ねん3月がつ15日にち). 2017年ねん11月18日にち閲覧えつらん。
^ 平野ひらの俊幸としゆき 2009.
^ 国土こくど技術ぎじゅつ政策せいさく総合そうごう研究所けんきゅうじょ緑化りょくか生態せいたい研究けんきゅう室しつ 2016.
^ 進士しんし五ご十じゅう八はち 2013.

参考さんこう文献ぶんけん

平野ひらの俊幸としゆき「河川かせん台帳だいちょう平面へいめん図ずについて」『福井ふくい県けん文書ぶんしょ館かん研究けんきゅう紀要きよう』第だい6巻かん、2009年ねん。
国土こくど技術ぎじゅつ政策せいさく総合そうごう研究所けんきゅうじょ緑化りょくか生態せいたい研究けんきゅう室しつ『街路がいろ樹じゅ再生さいせいの手引てびき』国土こくど技術ぎじゅつ政策せいさく総合そうごう研究所けんきゅうじょ〈国土こくど技術ぎじゅつ政策せいさく総合そうごう研究所けんきゅうじょ資料しりょう 885〉、2016年ねん3月がつ。全国ぜんこく書誌しょし番号ばんごう:22785147。
進士しんし五十八いそや「ランドスケープの方法ほうほう〜土木どぼく家かへの提案ていあん〜」『JICE REPORT』第だい24巻かん、2013年ねん。