阿川あがわ尚之なおゆき

阿川あがわ 尚之なおゆき（あがわ なおゆき、1951年ねん（昭和しょうわ26年ねん）4月がつ14日にち - ）は、日本にっぽんのエッセイスト。ニューヨーク州しゅう及およびコロンビア特別とくべつ区く弁護士べんごし。

慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく名誉めいよ教授きょうじゅ、前まえ同志社大学どうししゃだいがく法学部ほうがくぶ特別とくべつ客員きゃくいん教授きょうじゅ。専せん門もんは米国べいこく憲法けんぽう史し、日米にちべい関係かんけい史し。

父ちちは小説しょうせつ家かの阿川あがわ弘之ひろゆき。妹いもうとはエッセイストの阿川あがわ佐和子さわこ。父方ちちかたの祖父そふは実業じつぎょう家かの阿川あがわ甲かぶと一いち。母方ははかたの祖父そふは建築けんちく家かの増田ますだ清きよし。

人物じんぶつ

中学生ちゅうがくせい時代じだい、腎臓じんぞう病びょうで4年間ねんかんほどを病床びょうしょうで過すごした。年代ねんだい的てきには全共闘ぜんきょうとう世代せだいであるが、病気びょうきのため学園がくえん紛争ふんそうに遭遇そうぐうすることはなかった。「左翼さよく運動うんどうに熱中ねっちゅうすることもない。何なにか、いつも〈外はずれてる〉という感かんじがありました」（ここまでは父ちち・弘之ひろゆきの著あらわした小説しょうせつ「犬いぬと麻あさちゃん」にも反映はんえいされている。野村のむら耕平こうへいの長男ちょうなん・誠まことのモデル）。遅おくれてきた学生がくせいは、アメリカの大学だいがくを卒業そつぎょう後ご、就職しゅうしょくしたソニーで通商つうしょう問題もんだいを担当たんとう。その縁えんでロースクール（アメリカの法科ほうか大学院だいがくいん）に留学りゅうがくし、そして法曹界ほうそうかいへ転身てんしんする。親米しんべい派は論客ろんかくの一人ひとり。2002年ねんにはスキャンダルの相次あいついだ外務省がいむしょうの改革かいかくを検討けんとうするために設置せっちされた川口かわぐち順子じゅんこ外務がいむ大臣だいじんの諮問しもん機関きかん「外務省がいむしょうを変かえる会かい（外務省がいむしょう改革かいかくに関かんする「変かえる会かい」）」有識者ゆうしきしゃ委員いいんを務つとめた。また同どう会かいの答申とうしんで出だされた外部がいぶ人材じんざいの登用とうよう推進すいしんを受うけて、2002年ねんから2005年ねんまで駐米ちゅうべい大使館たいしかんの広報こうほう担当たんとう公使こうしを務つとめた。

略歴りゃくれき

1951年ねん、東京とうきょう都と港みなと区く青山あおやまに生うまれた。4歳さいの間あいだは広島ひろしま市しに住すむ伯父おじ・伯母おばの家いえで育そだつ。のち、神奈川かながわ県けん二宮にのみや町まち、東京とうきょう都と中野なかの区く鷺宮わしのみや、新宿しんじゅく区く四谷よつやへと移うつる。

麻布あざぶ中学校ちゅうがっこうに入学にゅうがくするも、中ちゅう2の5月がつに腎臓じんぞう病びょう（ネフローゼ）を患わずらい休学きゅうがく。3年間ねんかんの療養りょうよう生活せいかつを経へて、中ちゅう3の4月がつから復学ふくがく。慶應義塾けいおうぎじゅく普通ふつう部ぶに進学しんがくした小学校しょうがっこう時代じだいの同級生どうきゅうせいから「進学校しんがくこうみたいなところにいると身体しんたいが持もたないだろう、お前まえ慶應けいおうに来きたら？」と勧すすめられる。「病やみ上あがりでもあり、厳きびしい大学だいがく受験じゅけん戦争せんそうに参戦さんせんするよりは高校こうこうから慶應けいおうに入はいった方ほうが安心あんしんだろう」との理由りゆうから、慶應義塾けいおうぎじゅく高等こうとう学校がっこうの受験じゅけんを決きめた。

18歳さいで慶應義塾けいおうぎじゅく高等こうとう学校がっこうに進学しんがく。高こう2の時ときには、ハワイ州しゅうホノルルにあるプナホウ・スクールに6週間しゅうかん留学りゅうがくした。高校こうこう卒業そつぎょう後ご、慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく法学部ほうがくぶ政治せいじ学科がっかに進学しんがく。大学だいがく在学ざいがく中ちゅう、米国べいこくジョじょージタウン大学じたうんだいがく外交がいこう学部がくぶに留学りゅうがく。 単位たんい互換ごかん（留学りゅうがく先さきの大学だいがくで取得しゅとくした単位たんいを日本にっぽんの大学だいがくの単位たんいとしてみなす制度せいど）が認可にんかされず、慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがくの学位がくいを取得しゅとくするためには更さらに2年ねん在籍ざいせきしなければならなかった。すでに3年ねん遅おくれで25歳さいになっていたことも相俟あいまって、慶應けいおうは中退ちゅうたいした（日本にっぽんの大学だいがくの学位がくいは持もっていない）。「愛着あいちゃくを感かんじる慶應けいおう、特とくに慶應けいおうの友人ゆうじんたちと縁えんが切きれ、自分じぶんの帰かえるべき場所ばしょがなくなると思おもい、非常ひじょうにショックを受うけた」という。

1977年ねん、ジョじょージタウン大学じたうんだいがく外交がいこう政策せいさく学部がくぶ卒業そつぎょう。ソニー株式会社かぶしきがいしゃに入社にゅうしゃ。

1984年ねん、ジョじょージタウン大学じたうんだいがくロースクール卒業そつぎょう。ソニーに戻もどり法務ほうむ部ぶで勤務きんむする。

1985年ねん、ニューヨーク州しゅう弁護士べんごし資格しかく取得しゅとく。

1986年ねんコロンビア特別とくべつ区く弁護士べんごし資格しかく取得しゅとく。

1987年ねん、ソニーを退社たいしゃしロサンゼルスのギブソン・ダン＆クラッチャー法律ほうりつ事務所じむしょ入所にゅうしょ。

1995年ねんから1年間ねんかん、ヴァージニア大学だいがくロースクール客員きゃくいん研究けんきゅう員いん。

1996年ねん、帰国きこくし西村にしむら総合そうごう法律ほうりつ事務所じむしょ（現げん西村にしむらあさひ法律ほうりつ事務所じむしょ）勤務きんむ。

1999年ねん、慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく総合そうごう政策せいさく学部がくぶ教授きょうじゅ（西村にしむら総合そうごう法律ほうりつ事務所じむしょ顧問こもん）。

2002年ねん、アメリカの日本にっぽん大使館たいしかん広報こうほう文化ぶんかセンター所長しょちょう兼けん公使こうし。

2005年ねん、在ざい米べい日本にっぽん大使館たいしかん広報こうほう文化ぶんかセンター所長しょちょう及および日本にっぽん公使こうしを退任たいにんし慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく復職ふくしょく。東京大学とうきょうだいがく先端せんたん科学かがく技術ぎじゅつ研究けんきゅうセンター特とく任にん教授きょうじゅ。

2007年ねん、慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく総合そうごう政策せいさく学がく部長ぶちょう。

2009年ねん、慶應義塾けいおうぎじゅく常任じょうにん理事りじ。

2016年ねん、同志社大学どうししゃだいがく法学部ほうがくぶ・法学ほうがく研究けんきゅう科か特別とくべつ客員きゃくいん教授きょうじゅ。慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく名誉めいよ教授きょうじゅ。

2021年ねん、同志社大学どうししゃだいがく特別とくべつ客員きゃくいん教授きょうじゅを退任たいにん、非常勤ひじょうきん講師こうしになる。

発言はつげん

• 日本にっぽんがアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく51番目ばんめの州しゅうになれば、日本にっぽんが州しゅうになっても、日本国にっぽんこく憲法けんぽうは州しゅう憲法けんぽうとして存続そんぞくし、国くにの仕組しくみは基本きほん的てきに変かわらない。もっとも自衛隊じえいたいは米べい軍ぐんに編入へんにゅうされ、大蔵省おおくらしょうや通産省つうさんしょうの権限けんげんの多おおくが連邦れんぽう政府せいふに移管いかんされて官僚かんりょうが減へる。日本にっぽん文化ぶんかは政治せいじ権力けんりょくがだれの手てにあろうと天皇てんのうを中心ちゅうしんに文化ぶんかを受うけ継ついできた日本人にっぽんじんの伝統でんとうに言及げんきゅうし、「日本にっぽんが日本にっぽんであり続つづけうるかどうかは、我々われわれ日本人にっぽんじんの覚悟かくごの問題もんだいである」と強調きょうちょうする。 グローバル化かを受容じゅようしつつも、自みずからの文化ぶんかを大切たいせつに育そだてて行いく。
• 菅かん直人なおと政権せいけんについて、「新しん政権せいけんに私わたしはあまり期待きたいしていない。」菅かん氏しは左ひだりから来きた人ひとだ。私わたしの偏見へんけんかもしれないが、左ひだりから出発しゅっぱつした人ひとは左ひだりに戻もどる傾向けいこうがある。しかし、フランスのミッテラン大統領だいとうりょうは左ひだりから出でて、しっかりした同盟どうめい外交がいこうをやった。菅かん氏しも見習みならってほしい。」
• 憲法けんぽう改正かいせいについて「一気いっきに大幅おおはばな変更へんこうに踏ふみ切きることには慎重しんちょうであるべきだ。改憲かいけんもまた、目的もくてきではなく手段しゅだんだ。項目こうもくを絞しぼり込こみ、一ひとつずつ議論ぎろんを尽つくして進すすめてほしい」。

系譜けいふ

阿川あがわ家か

祖父そふ阿川あがわ甲かぶと一いち（左ひだり）と父ちち阿川あがわ弘之ひろゆき（右みぎ）

（山口やまぐち県けん美祢みね市し伊佐いさ町まち、広島ひろしま県けん広島ひろしま市し中ちゅう区く白島九軒はくしまくけん町まち、神奈川かながわ県けん横浜よこはま市し、東京とうきょう都と）

詳細しょうさいは「阿川あがわ弘之ひろゆき」を参照さんしょう

略りゃく系図けいず

阿川あがわ甲かぶと一いち

阿川あがわ幸寿ゆきとし

阿川あがわ弘之ひろゆき

阿川あがわ尚之なおゆき

阿川あがわ佐和子さわこ

阿川あがわ知之ともゆき

阿川あがわ淳あつし之これ

受賞じゅしょう歴れき

第だい6回かい読売よみうり・吉野よしの作造さくぞう賞しょう（2005年ねん）『憲法けんぽうで読よむアメリカ史し（上うえ・下巻げかん）』

著書ちょしょ

単たん著ちょ

• 『アメリカン・ロイヤーの誕生たんじょう――ジョージタウン・ロー・スクール留学りゅうがく記き』（中公新書ちゅうこうしんしょ、1986年ねん）
• 『アメリカが嫌きらいですか』（新潮社しんちょうしゃ、1993年ねん／新潮しんちょう文庫ぶんこ、1996年ねん）
• 『大統領だいとうりょうを訴うったえますか――アメリカという国くにのかたち』（PHP研究所けんきゅうじょ、1994年ねん／徳間とくま教養きょうよう文庫ぶんこ、1998年ねん）
• 『トクヴィルとアメリカへ』（新潮社しんちょうしゃ、1997年ねん）
• 『変かわらぬアメリカを探さがして』（文藝春秋ぶんげいしゅんじゅう、1997年ねん）
• 『わが英語えいご今いまも旅たびの途中とちゅう』（講談社こうだんしゃ、1998年ねん）
• 『アメリカが見みつかりましたか――戦前せんぜん篇へん』（都市とし出版しゅっぱん、1998年ねん）
• 『北極星ほっきょくせい号ごう航海こうかい記き』（講談社こうだんしゃ、2000年ねん）
• 『アメリカが見みつかりましたか――戦後せんご篇へん』（都市とし出版しゅっぱん、2001年ねん）
• 『海うみの友情ゆうじょう――米国べいこく海軍かいぐんと海上かいじょう自衛隊じえいたい』（中公新書ちゅうこうしんしょ、2001年ねん）／英文えいぶん版ばん『Friendship across the Seas:The US Navy and the Japan Maritime Self-Defense Force』（出版しゅっぱん文化ぶんか産業さんぎょう振興しんこう財団ざいだん、2019年ねん）訳やく：矢吹やぶき啓あきら
• 『それでも私わたしは親米しんべいを貫つらぬく』（勁草書房しょぼう、2003年ねん）
• 『憲法けんぽうで読よむアメリカ史し』（PHP新書しんしょ（上うえ・下した）、2004年ねん／ちくま学芸がくげい文庫ぶんこ、2013年ねん）　
• 『マサチューセッツ通どおり2520番地ばんち』（講談社こうだんしゃBIZ文庫ぶんこ、2006年ねん）
• 『横浜よこはまの波止場はとばから はるかな海うみ、遠とおいアメリカ』（NTT出版しゅっぱん、2010年ねん）
• 『憲法けんぽう改正かいせいとは何なにか――アメリカ改憲かいけん史しから考かんがえる』（新潮しんちょう選書せんしょ、2016年ねん）
• 『憲法けんぽうで読よむアメリカ現代げんだい史し』（NTT出版しゅっぱん、2017年ねん）

共著きょうちょ

• （竹中たけなか平蔵へいぞう）『世界せかい標準ひょうじゅんで生いきられますか』（徳間書店とくましょてん、1999年ねん）
• （川澄かわすみ哲夫てつお・小沢おざわ一郎いちろう）『ジョン万次郎じょんまんじろうとその時代じだい』（広済堂こうさいどう出版しゅっぱん、2001年ねん）
• （岡崎おかざき久ひさ彦）『対論たいろん・日本にっぽんとアメリカ』（広済堂こうさいどう出版しゅっぱん、2002年ねん）

訳書やくしょ

• ポール・ジョンソン『ユダヤ人じんの歴史れきし（上うえ・下した）』（徳間書店とくましょてん、1999年ねん）
• ジーン・フリッツ、トミー・デ・パオラ『合衆国がっしゅうこく憲法けんぽうのできるまで』（あすなろ書房しょぼう、2002年ねん）

外部がいぶリンク

• 阿川あがわ尚之なおゆき「在米ざいべい大使館たいしかんから見みた日米にちべい関係かんけい」（SFC FORUM フォーラム．ニュース No. 70）
• SFC慶應義塾大学けいおうぎじゅくだいがく湘南しょうなん藤沢ふじさわキャンパスーおかしら日記にっきー 「おかしら心しんのふるさと」阿川あがわ尚之なおゆき（総合そうごう政策せいさく学がく部長ぶちょう）
• 第だい2回かい『私わたしの哲学てつがく』阿川あがわ尚之なおゆき氏し
• 阿川あがわ尚之なおゆき「方法ほうほう論ろんとしての日本にっぽん」