霊れい視し

ポータルスピリチュアリティ

霊れい視し（れいし）とは、霊的れいてきに見みること、つまり肉体にくたい的てきな感覚かんかく器きは用もちいずに見みること、あるいは霊的れいてきな存在そんざいを見みることである。見み鬼おにとも言いう。

こうしたことに特とくに秀ひいでた人ひとは霊れい能のう者しゃまたは霊れい能力のうりょく者しゃと呼よばれている。

概説がいせつ

美輪みわ明宏あきひろが自著じちょでこれについて説明せつめいしている。美輪みわ明宏あきひろは、霊れい能のう者しゃが「霊れいを見みる」と表現ひょうげんすることについて、以下いかのように説明せつめいした ^[1]。

「霊れいを見みる」というのはどこで見みるかというと、大脳だいのうのスクリーンで見みているとし^[1]、ちょうど、夢ゆめというのが肉眼にくがんを用もちいずともはっきりと映像えいぞうとして見みえるのと同おなじことだという^[1]。

霊れい能のう者しゃによって見みえ方かたというのは様々さまざまであり、異ことなっているという^[1]。霊れい能のう者しゃといわれる人ひとたちの多おおくは、目めを半眼はんがんにする（少すこしだけ開あける）かあるいは閉とじると、大脳だいのうのスクリーンに映うつった映像えいぞうを読よむことができる^[1]という。そうしておいて、そのスクリーンに映うつった映像えいぞうで判断はんだんをする^[1]という^[2]。これが顕著けんちょにわかる人ひとを我々われわれは霊れい能のう者しゃと言いっているのだという^[1]。

夢ゆめを見みることができるということは、すでに霊的れいてきな能力のうりょくを持もっているということだ、と美輪みわ明宏あきひろは説明せつめいした。ただし、それを信しんじることができるかできないかが問題もんだいなのだという。ほとんどの人ひとは「夢ゆめだから信しんじない」と思おもってしまったり、「変へんな夢ゆめを見みたわ、正夢まさゆめかしら」と思おもう程度ていどでそれを忘わすれてしまう^[1]。そのようにして人々ひとびとは自分じぶんたちの能力のうりょくを見過みすごしてしまっている、というのである。

目めの開ひらきかたについて、美輪みわ明宏あきひろは次つぎのように説明せつめいした^[1]。仏像ぶつぞうを例れいに挙あげ、目めを開ひらいているのはお不動ふどう様さまか仁王におう様さまくらいのもので、「他たの仏様ほとけさまというのはほとんど半眼はんがんで、目めを半分はんぶんだけ開ひらいています」と示唆しさした^[1]。（ちなみに霊れい視ししようという時ときには半眼はんがんにするのがコツだということについては、美輪みわ明宏あきひろはテレビ番組ばんぐみ『オーラの泉いずみ』に出演しゅつえん中ちゅうにも述のべたことがある。半眼はんがんにして25メートルほど先さきをぼーっと見みているとやがてそうした映像えいぞうが見みえてくる、といった主旨しゅしのことを視聴しちょう者しゃに対たいして説明せつめいした。）

霊れい視しに様々さまざまな見みえ方かたがあるということに関かんしては、まるで実際じっさいの肉眼にくがんで見みえるような見みえ方かたをする霊れい能のう者しゃもいれば、まぼろし（イリュージョン）として見みえる霊れい能のう者しゃもいるという^[1]。

美輪みわ明宏あきひろ自身じしんの見みえ方かたに関かんして言いえば、ちょど普通ふつうの人ひとが《思おもい出だす能力のうりょく》を持もっているように、思おもい出だしている時ときと同おなじような見みえ方かたがしているという^[1]。例たとえば読者どくしゃがパソコンの画面がめんを見みている時とき、肉眼にくがんは画面がめんを見みているわけだが、それでも「小学校しょうがっこうの時ときの音楽おんがくの授業じゅぎょう風景ふうけいを思おもい出だしましょう」と言いわれれば、肉眼にくがんではなく脳のうのスクリーンに音楽おんがくの授業じゅぎょうを受うけていた時ときの教室きょうしつの風景ふうけいがはっきりと映うつる^[1]。「霊れいを見みる」とはそのようなものだという^[1]。

また、霊れいの声こえが聞きこえるという場合ばあいでも、その声こえというのは（肉にくの）耳みみで聴きくのではないという。上うえの音楽おんがくの授業じゅぎょうの例れいで言いえば、授業じゅぎょうを思おもい出だせば、学校がっこうの好すきだった先生せんせい、嫌きらいだった先生せんせいや、子供こどもたちの声こえがしっかりと聞きこえることに言及げんきゅうしつつ、「それはどこで聴きいているのでしょう」、と美輪みわは読者どくしゃに熟考じゅっこうを促うながしている^[1]。

さらに、こうした説明せつめいをしても理解りかいできない読者どくしゃの理解りかいを促うながすため、美輪みわ明宏あきひろは霊れいを見みることを《タイムスリップする》とも表現ひょうげんしていると述のべた。ちょうど《思おもい出だす》行為こういが時間じかんを超こえて大脳だいのうのスクリーン上じょうに現出げんしゅつさせるように、霊れいの世界せかいには時間じかんと空間くうかんが無ないから、霊れいを見みることはいわば時空じくうを超こえるということであり、霊れいを見みることというのは、肉体にくたいはここにあるけれども瞬時しゅんじにして時間じかんを超こえて思おもい出だすということ、と説明せつめいした^[1]。

なお、実じつは人間にんげんにはそういう能力のうりょくがあるというのに、人間にんげんというのはそうした能力のうりょくのことは何なんとなくボンヤリと、ただいい加減かげんに思おもっているだけだし、科学かがく者しゃもしっかりと研究けんきゅうしようとも思おもっていない、と美輪みわ明宏あきひろは指摘してきした^[1]。

霊れい視しの事例じれい

スウェーデンボルグ

エマニュエル・スウェーデンボルグが、1759 年ねん7月がつ19日にちにエーテボリの友人ゆうじんの家いえにおいて500km離はなれたストックホルムの火事かじを霊れい視しした話はなしは有名ゆうめいである^[3]。

ベザントとレッドビーターによる原子げんしの霊れい視し

ベザントとレッドビーターの原子げんしの霊れい視しについては、向山むかいやま毅あつしが論文ろんぶんにおいて紹介しょうかいしている。レッドビーター（日本にっぽんでは「リードビーター」とも呼よばれる。1854-1934）は英国えいこく国教こっきょう会かいの牧師ぼくし補ほであったが、1885年ねんにブラヴァツキー夫人ふじんと出会であい神かみ智学ちがく協会きょうかいの会員かいいんとなった人物じんぶつで、霊れい視しの達人たつじんだったと言いわれているのだという^[4] 1895年ねん夏なつのことだが、ベザントとレッドビーターは神かみ智学ちがく的てきな方法ほうほうを用もちいて、当時とうじの物理ぶつり学がくでは扱あつかえなかった自然しぜん現象げんしょうに挑いどもうとしたという^[4]。彼かれらは東洋とうようのグルによって訓練くんれんされた透視とうし術じゅつの達人たつじんだったといい、霊れい視し(en:astral　vision アストラル・ビジョン)の手法しゅほうを用もちいて、原子げんしの大おおきく拡大かくだいした像ぞうを得えようとしたという。彼かれらのやり方かたでは霊れい視し（アストラルビジョン）を行おこなう時とき特とくにトランス状態じょうたいになる必要ひつようはなく、覚醒かくせいした状態じょうたいで観察かんさつしたものを紙かみに描えがくことが可能かのうであったといい、作業さぎょうは彼かれらが「見みた」“原子げんし”の様子ようすを口述こうじゅつし、それを他たの男おとこが図ずに描えがく、という分担ぶんたんで行おこなわれたという^[4]。最初さいしょは水素すいそ、酸素さんそ、窒素ちっそを見みて、また原子げんし量りょうが3である「第だい4の気体きたい」についても原子げんしの内部ないぶを霊れい視ししたという^[4]。その結果けっか、原子げんしというのは、さらに小ちいさな構成こうせい要素ようそからできており、その要素ようその数かずは水素すいそで18、窒素ちっそで261、酸素さんそで290あると見みえたという^[4]。第だい4の気体きたいには54ケの要素ようそが見みえた^[4]。そして彼かれらはこの要素ようそ（構成こうせい要素ようそ）のことを「ultimate　physical　atom(究極きゅうきょく物理ぶつり的てき原子げんし)」と呼よんだ。そして後のちにはサンスクリット語ごで「続つづく」という意味いみの「ANU(アヌ)」という言葉ことばでそれを呼よぶようになったという^[4]。水素すいそ中ちゅうのアヌ数すう18を単位たんいとすると、彼かれらが示しめした窒素ちっそと酸素さんそのアヌの数かずは、化学かがくの教科書きょうかしょに示しめされている原子げんし量りょうとほぼ等ひとしくなっている、と向山むかいやまは指摘してきしている^[4]。また2人ふたりは水素すいそ原子げんし中ちゅうには6ケの卵たまご形がたをした物体ぶったいがある、と霊れい視しし、回転かいてんや振動しんどうをしている、と見みたという。これら6個この物体ぶったいの中なかにはそれぞれ3個こずつ“アヌ”が入はいっている、と見みた^[4]。この霊れい視しの結果けっかは神智しんち学がくの雑誌ざっしLucifer（「ルシファー」）の1895年ねん11月がつ号ごうに発表はっぴょうされた。そこには原子げんしの形状けいじょう図ずやその中なかのアヌの配置はいち図ずを添そえられている。そして1908年ねんにはふたりは著書ちょしょ『オカルト化学かがく』を出版しゅっぱんした。これはそれまでの彼かれらの研究けんきゅう成果せいかをまとめあげたものであり、新あらたに59種類しゅるいの元素げんそが追加ついかされていたという^[4]。（新あらたな元素げんその試料しりょうの中なかにはウィリアム・クルックスに依頼いらいして得えられたものもあったという。）この書しょ『オカルト化学かがく』は、1919年ねんに第だい二に版はん、1946年ねんにその復刻ふっこく版ばん、1951年ねんに第だい三さん版はんが出版しゅっぱんされ、版はんを重かさねるごとに掲載けいさいする原子げんし・分子ぶんしの数かずが増加ぞうかした^[4]。この本ほんには様々さまざまな元素げんその原子げんし構造こうぞうや分子ぶんし構造こうぞうの奇き怪かいな図ずを掲載けいさいしており、それらの原子げんし量りょうや化学かがく的てき性質せいしつについての記述きじゅつを掲載けいさいしている。第だい二に版はんとその復刻ふっこく版ばん以降いこうにはアヌ数すうで分類ぶんるいした元素げんその周期しゅうき表ひょうも含ふくまれている。また、この本ほんには、通常つうじょうの科学かがくでは「まだ発見はっけんされていない」と2人ふたりが記述きじゅつした元素げんそが掲載けいさいされており、つまり新あたらしい元素げんそを発見はっけんした、と述のべているのである。上うえで述のべた第だい4の気体きたいに相当そうとうする原子げんし量りょう3の気体きたいがそれで、「Occultum(オカルタム)」と名付なづけられていた。彼かれらの原子げんし量りょうについての表ひょうには、希まれガスの近ちかくにそれに関連かんれんした新しん元素げんそ「メタネオン(Meta-Neon)」、「プロトアルゴン(Proto-Argon)]、「メタアルゴン (Meta-Argon)」なども記載きさいされている^[4]。また希土類きどるい元素げんその近ちかくにまったく新あたらしい希まれガスである「カロン(Kalon)」および「メタカロン(Meta-Kalon)」も発見はっけんしているという。彼かれらの書しょにある「Masurium,　Ma(マスリウム)」は、現代げんだいの科学かがくで言いう「テクネチウム」(Tc,1932年ねんに発見はっけんされたもの）に相当そうとうするであろう、と向山むかいやまは指摘してきし、「I1linium,　Il(イリニウム)」は現在げんざいの科学かがくの「プロメチウム(Pm,1945年ねんに発見はっけんされたもの」に相当そうとうするだろう、と向山むかいやまは指摘してきしている^[4]。このベザントとレッドビーターの『オカルト化学かがく』は当時とうじそれなりの影響えいきょう力りょくを持もっていたようで、この書しょに関かんして次つぎのようなエピソードが伝つたわっている。フランシス・ウィリアム・アストン(Francis　William　Aston、1877-1945)は、1919年ねんに質量しつりょう分析ぶんせき法ほうを発明はつめいし、多数たすうの元素げんその同位どうい体たいを発見はっけんし、その成果せいかにより1922年ねんにノーベル化学かがく賞しょうを受賞じゅしょうした人物じんぶつであるが、1912年ねんにネオンには二に種類しゅるいの原子げんし量りょうの異ことなった同位どうい体たいがあることを発見はっけんした時とき、原子げんし量りょうが20である通常つうじょうのネオンに対たいして、原子げんし量りょうが22であるネオンの同位どうい体たいのことを、アストンはベザントとレッドビーターの『オカルト化学かがく』を引用いんようしつつ「メタネオン」と呼よんだという。（なお『オカルト化学かがく』によると「メタネオン」の原子げんし量りょうは22.33とされている）。ただし、アストンのノーベル賞しょう授賞じゅしょう式しきでの講演こうえん原稿げんこうやその後ごに書かいた教科書きょうかしょなどでは「メタネオン」という用語ようごは使つかわれなくなっていたという^[4]。その後ごの『オカルト化学かがく』の評価ひょうかについて言いえば、1911年ねんにラザフォードが原子核げんしかくの存在そんざいを確認かくにんし、1912年ねんニールス・ボーアが、正せいの電荷でんかを有ゆうする原子核げんしかくの周まわりを負ふ電荷でんかをもった小ちいさな電子でんしが回転かいてんしている、とするボーアモデルを提唱ていしょうした。これはベザントとレッドビーターが霊れい視しによって描えがいた図ずとはまったく異ことなっていたうえに、1925年ねんの量子力学りょうしりきがくの誕生たんじょうによって原子げんし内ないの電子でんしの位置いちは古典こてん的てきな点てんや線せんでは表あらわせない、とされるようになり、ベザントとレッドビーターが霊れい視しして描えがかせたと述のべた原子げんしの図面ずめんは、やがて忘わすれら去さられてしまったという。しかし1980年代ねんだい以降いこうになり、素粒子そりゅうし物理ぶつり学がくが進歩しんぽして以降いこう、ベザントとレッドビーターの図ずはクォークやサブクォークレベルで見みた原子核げんしかくの構造こうぞうとよく似にている、との指摘してきもあるようだという^[4]。

注意ちゅうい点てん

本当ほんとうは霊れい視しができもしないのに霊れい視しができるなどと宣伝せんでんし、霊れい視しを受うけた人ひとに対たいして、たとえば“悪わるい霊れいにとりつかれているが、高たかい物品ぶっぴんを購入こうにゅうしたりお金かねを寄付きふすればその霊れいからのがれることができる”などと嘘うそをつき、不当ふとうに高たかい金品きんぴんを人々ひとびとから巻まき上あげるような行為こういは世よで行おこなわれており、そうした行為こういは霊れい視し商法しょうほうと呼よばれている。

美輪みわ明宏あきひろは常々つねづね、世間せけんで“霊れい能のう者しゃ”と呼よばれている人ひとの99%はニセモノ、と述のべて人々ひとびとに注意ちゅういを促うながしている。

注意ちゅうい点てん関連かんれん項目こうもく：霊れい視し商法しょうほう#明あきら覚寺かくじ（本覚寺ほんかくじ）グループによる「霊れい視し商法しょうほう」

参考さんこう文献ぶんけん

向山むかいやま毅あつし（むこやまたけし）「物理ぶつり学者がくしゃと超自然ちょうしぜん現象げんしょう」『関西外国語大学かんさいがいこくごだいがく　研究けんきゅう論集ろんしゅう』第だい84号ごう、2006年ねん9月がつ、pp. 173-187、doi:10.18956/00006251。
美輪みわ明宏あきひろ「霊れいを見みる」『霊れいナァンテコワクナイヨー』PARCO出版しゅっぱん、2004年ねん、pp.66-69頁ぺーじ。ISBN 9784891946838。

出典しゅってん・脚注きゃくちゅう

^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o ^p ^q 美輪みわ明宏あきひろ「霊れいを見みる」『霊れいナァンテコワクナイヨー』PARCO出版しゅっぱん、2004年ねん、pp.66-69頁ぺーじ。ISBN 9784891946838。
^ 《注ちゅう》もともとあちら側がわに何なんらかのメッセージがあるのだが、それを伝つたえるのに（苦肉くにくの策さくで）映像えいぞうが用もちいられており、霊れい視しする側がわはその映像えいぞうで表現ひょうげんされなければならなかった元もとのメッセージを、洞察どうさつ力りょくを用もちいて推察すいさつする必要ひつようがある、謎なぞ解ときをするような面めんがある、ということを江原えばら啓之ひろゆきは自著じちょで解説かいせつしている。
^ 羽仁はに礼あや『超ちょう常つね現象げんしょう大だい事典じてん』成なり甲かぶと書房しょぼう、2001年ねん、p.71頁ぺーじ。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o 。向山むかいやま毅あつし（むこやまたけし）「物理ぶつり学者がくしゃと超自然ちょうしぜん現象げんしょう」『関西外国語大学かんさいがいこくごだいがく　研究けんきゅう論集ろんしゅう』第だい84号ごう、2006年ねん9月がつ、pp. 173-187。