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養蜂 - Wikipedia

養蜂ようほう

蜂蜜はちみつ蜜蝋みつろう花粉かふん採取さいしゅするために蜜蜂みつばち飼育しいくすること

養蜂ようほう(ようほう)とは、蜂蜜はちみつあるいは蜜蝋みつろう花粉かふんをとるためにミツバチ飼育しいくすることである。また、むしなかだちにより、農作物のうさくもつ受粉じゅふん確実かくじつにするためにも使つかわれる。

みつ採取さいしゅした様子ようすえがいたアラニア洞窟どうくつ洞窟どうくつ壁画へきが紀元前きげんぜん15000ねんごろ

従事じゅうじする人間にんげん養蜂ようほうぶ。

国際こくさい連合れんごうは、18世紀せいきスロベニア養蜂ようほうアントン・ヤンシャ英語えいごばん誕生たんじょうわせて、5月20にち世界せかいミツバチの英語えいごばん(World Bee Day)としている[1]

先史せんし古代こだい

編集へんしゅう

ローマ神話しんわによれば、人間にんげん養蜂ようほうおしえたのはアリスタイオスである。蜂蜜はちみつ人類じんるいかかわりはふるく、はち歴史れきし研究けんきゅうしているエバ・クレーン英語えいごばん研究けんきゅうによれば、1まんねんまえにはすでみつはじまっていた[2]。その証拠しょうこスペインアラニア洞窟どうくつ発見はっけんされた紀元前きげんぜん1まん5せんねんごろ洞窟どうくつ壁画へきがはちからみつ女性じょせい姿すがたえがかれている[3]壁画へきがからはいぶしけむり使つかってはち活性かっせいする方法ほうほう使つかっていたこともうかがわれる[4]メソポタミア文明ぶんめい楔形文字くさびがたもじにも蜂蜜はちみつかんすることがらが記載きさいされ[3][5]古代こだいエジプト壁画へきが養蜂ようほう様子ようすえがかれている[3]ミケーネ文明ぶんめい遺跡いせきから出土しゅつどした粘土ねんどばんきざまれたミケーネ文字もじにもはちいにかんする記述きじゅつられる[6]

古代こだいギリシア哲学てつがくしゃアリストテレス著書ちょしょ動物どうぶつ』にて、養蜂ようほうについて記述きじゅつしている。そこでは、ミツバチがあつめるみつはな分泌ぶんぴつぶつではなく、はななかにたまったあらわであるとべている。当時とうじ養蜂ようほうは、うろに野生やせいはちつくられているつけ、うろの部分ぶぶんちかくにかえり、なつはじめとわりに蜂蜜はちみつ収穫しゅうかくするというものだった。はちねむらせるにはぬのれをくゆらせたり、漏斗ろうと(じょうご)がたつぼからうし陰嚢ふぐり樹脂じゅしこうくさくゆらせたけむりきかけたりした。

ローマ時代じだいにははちせま場所ばしょつく習慣しゅうかん利用りようし、天然てんねん環境かんきょうした巣箱すばこ養蜂ようほうばこ)が使つかわれるようになった。各地かくち色々いろいろ素材そざい巣箱すばこ使つかわれたが、ステップ地方ちほう遊牧民ゆうぼくみん考案こうあんしたはこびに便利べんりわらせい巣箱すばこ西にしヨーロッパにまでひろまった。

民族みんぞくだい移動いどう以後いご養蜂ようほう一時いちじてき途絶とだえてしまったが、カール大帝たいてい農家のうか養蜂ようほう奨励しょうれいし、同時どうじ養蜂ようほうによる産物さんぶつ蜂蜜はちみつぜいとして物納ぶつのうさせた。

中世ちゅうせいヨーロッパでは、照明しょうめいようロウソク原料げんりょうである蜜蝋みつろうをとるために、キリスト教きりすときょう修道院しゅうどういんなどで養蜂ようほうさかんにおこなわれた。蜂蜜はちみつぜいによる養蜂ようほう統制とうせい封建ほうけんせい特権とっけんひとつとなった。養蜂ようほう主従しゅうじゅうちかいをてた「アヴィレオール」「ビグル」などとばれるもりばんおこない、密猟みつりょうきびしくばっせられた[7]

日本にっぽん養蜂ようほう

編集へんしゅう

日本にっぽんにおける養蜂ようほうについての記述きじゅつはじまりは、『日本書紀にほんしょき』『だい日本にっぽんのうとうによればすめらぎごく天皇てんのう2ねん643ねん)である[8]。「これさい百済くだら太子たいしあまりゆたか蜜蜂みつばちぼうよんまいもって、三輪山みわやまはなやしなえふ。しかしてついしげるいきらず。」(倭国わのくに人質ひとじちとして百済くだら王子おうじゆたかあきらが、三輪山みわやま蜜蜂みつばちはなして養蜂ようほうこころみたが、失敗しっぱいしたという記述きじゅつである)[8]平安へいあん時代じだいには宮中きゅうちゅうへの献上けんじょうひんなか蜂蜜はちみつ記録きろくがある。その末期まっきには『こんかがみ』『今昔こんじゃく物語ものがたり』でハチがわれている記述きじゅつがされており、それをニホンミツバチとするせつもあるが、さだかではない[8][9]江戸えど時代じだいには巣箱すばこもちいた養蜂ようほうはじまったとされる。明治めいじ時代じだいはいり、西洋せいようしゅのミツバチ輸入ゆにゅうされ近代きんだいてき養蜂ようほう器具きぐ使つかわれるようになり、養蜂ようほうさかんになった。ちなみに、日本にっぽんはつ西洋せいようしゅ飼養しようは1877ねん東京とうきょう新宿しんじゅく試験場しけんじょう現在げんざい新宿しんじゅく御苑ぎょえん)でおこなわれたとされている[10]

太平洋戦争たいへいようせんそう終戦しゅうせんは、高度こうど成長せいちょう郊外こうがい開発かいはつすすんだ影響えいきょうや、養蜂ようほう高齢こうれいともない、1979ねんをピークに都市とし周辺しゅうへん農家のうか廃業はいぎょう転業てんぎょう相次あいついだ。また、関税かんぜい大幅おおはばげられたり、2003ねん合意ごういしたたいメキシコ自由じゆう貿易ぼうえき協定きょうてい(FTA)にて蜂蜜はちみつ関税かんぜい撤廃てっぱいされ安価あんか輸入ゆにゅうひん急増きゅうぞうしたため、日本にっぽん国内こくない養蜂ようほう産業さんぎょう1980年代ねんだいから2000年代ねんだいにかけて次第しだいおとろえた。だが、天敵てんてきすくない都心としんのビル屋上おくじょうなどに巣箱すばこき、公園こうえん皇居こうきょはなからみつあつめて蜂蜜はちみつをつくる「都市とし養蜂ようほう」が東京とうきょうなどでおこなわれはじめた[1]ことや、国産こくさんはちみつが見直みなおされ、国民こくみん養蜂ようほうへの関心かんしんふたたたかまりはじめたことから、ミツバチの飼育しいく戸数こすうは、2010年代ねんだい以降いこうふたたびぶりかえし、1970年代ねんだい水準すいじゅんまでV回復かいふくげている[11]

 
ミツバチの飼育しいく戸数こすう推移すいい[11]

近代きんだい養蜂ようほう

編集へんしゅう
 
ミツバチを採集さいしゅうする養蜂ようほう

古代こだいから中世ちゅうせいにかけての養蜂ようほうでは、蜂蜜はちみつるにははちこわしてばん一部いちぶすしかなく、それによって飼育しいくコロニーは壊滅かいめつする可能かのうせいがあった。1669ねん以前いぜんから使つかわれていたとかんがえられるギリシャの伝統でんとうてき巣箱すばこでは、ミツバチをころすことを回避かいひできるようになっていた[12]。1768/1770ねんにThomas Wildman は可動かどうしきわく説明せつめいしており、ミツバチをころさず管理かんりできる手法しゅほう予見よけんしている[13]

1853ねんアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくラングストロス英語えいごばん (L. L. Langstroth) が自著じちょとミツバチ』"The Hive and the Honey Bee"において、継続けいぞくてきにミツバチを飼育しいくする技術ぎじゅつである近代きんだい養蜂ようほう開発かいはつした。可動かどうしきわくそなえた巣箱すばこや、みつしぼるための遠心えんしん分離ぶんり発明はつめいにより、近代きんだいてき養蜂ようほうぎょう確立かくりつした。現在げんざいいたるまで養蜂ようほう基本きほんてき手法しゅほうはラングストロスの方法ほうほう変化へんかしていない。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、虫媒花ちゅうばいかである農作物のうさくもつ受粉じゅふんだい規模きぼ養蜂ようほう企業きぎょうもあり、はち状態じょうたいみつ管理かんりセンサー人工じんこう知能ちのう(AI)も導入どうにゅうされている[14]

2015ねんオーストラリアあなうしろに採取さいしゅようかんいて継続けいぞくてき蜂蜜はちみつながすよう設計せっけいされたプラスチックせい巣箱すばこ(Flow Hive)が開発かいはつされた[15]

近代きんだい養蜂ようほう貢献こうけんした人物じんぶつ
19世紀せいきになると、養蜂ようほう発展はってんさせる人間にんげん爆発ばくはつてき増加ぞうかした。
  • アントン・ヤンシャ英語えいごばん - スロベニアにんでいた近代きんだい養蜂ようほう先駆せんくしゃ功績こうせきから、誕生たんじょうである5がつ20日はつか世界せかいミツバチの英語えいごばんとなっている[16]
  • フランソワ・ユーベル - 盲目もうもくでありながら、助手じょしゅ協力きょうりょくした、ミツバチの生態せいたい記録きろくけ、ライフサイクルとコミュニケーション方法ほうほうについての記録きろくのこした。
  • Johann Dzierzon - 数々かずかず実験じっけんてき巣箱すばこ設計せっけいし、近代きんだい使つかわれる巣箱すばこ原型げんけいつくった。
  • Moses Quinby - 1873ねんはちけのいぶしけむり発明はつめいした[17][18]

養蜂ようほう方法ほうほう

編集へんしゅう

養蜂ようほうでは、いしずえばれるあついた直方体ちょくほうたいはこに8 - 10まいならべる。自然しぜんをまねて、いしずえ鉛直えんちょくめん平行へいこうならんでいる。いしずえはミツバチがばん形成けいせいする土台どだいとなる。形状けいじょう縦横じゅうおうが1たい2程度ていど長方形ちょうほうけい中空なかぞらわくにすぎないが、壁面へきめんひとつには、蜜蝋みつろうパラフィンもちいた厚紙あつがみじょう土台どだいっておく。土台どだいにはあらかじめ六角形ろっかっけいかたきざまれているため、ミツバチがつくあしがかりとしててきしている。

蜂蜜はちみつ貯蔵ちょぞうするのは自然しぜん状態じょうたいでも養蜂ようほうにおいてもばん上部じょうぶかぎられており、下部かぶにはたまごかえし、幼虫ようちゅうそだてるための領域りょういき存在そんざいする。下部かぶには花粉かふんめる領域りょういき存在そんざいする。ミツバチは、ろく角柱かくちゅう蜂蜜はちみつめたのち蜜蝋みつろうぶたる。

いち種類しゅるいはな開花かいか時期じきのピークはそれほどながくなく、セイヨウミツバチは1かしょ集中しゅうちゅうしてみつあつめる習性しゅうせいがあるため、特定とくていはなみつだけをあつめ、「xxxはな蜂蜜はちみつ」とうものをることが出来できる(アカシア蜂蜜はちみつレンゲみつなど)。

自然しぜん状態じょうたいでは、あきわりからはるにかけて、はながほとんど存在そんざいしない時期じきには貯蔵ちょぞうした蜂蜜はちみつ消費しょうひする。はるはじめは幼虫ようちゅう孵化ふかする時期じきであるため、蜂蜜はちみつりょうもっと時期じきである。その開花かいかはじまり貯蔵ちょぞうりょう回復かいふくしていく。夏季かきにおいても、一時いちじてきはなすくない時期じきがあるため、蜂蜜はちみつりょう減少げんしょうする。ニホンミツバチいちかいかえ蜂蜜はちみつりょうは20mg程度ていどである。冬季とうきにはなかえさ蜂蜜はちみつ)が不足ふそくしミツバチが餓死がしすることを防止ぼうしするため、えさとして夏季かき採集さいしゅうしておいた蜂蜜はちみつ異性いせいとうなどの糖類とうるいあたえることがる。ただし、日本にっぽん養蜂ようほうはちみつ協会きょうかいでは蜂蜜はちみつではなく砂糖さとうすいえさとしてあたえることをすすめている[19]。ミツバチははなから採集さいしゅうしたはなみつあたえられたえさおなじくめるため、活動かつどう再開さいかいするはるまでにのこったえさ異性いせいとう蜂蜜はちみつ混入こんにゅうすることとなる。

移動いどう養蜂ようほう定置ていち養蜂ようほう

編集へんしゅう

養蜂ようほうには移動いどう養蜂ようほう定置ていち養蜂ようほうの2種類しゅるいがある。定置ていち養蜂ようほうではおな場所ばしょ次々つぎつぎことなる種類しゅるいはなみつあつめる。果樹かじゅ受粉じゅふん目的もくてき定置ていち養蜂ようほうおこなわれることもある。これにたいし、移動いどう養蜂ようほう特定とくていはな開花かいか時期じきわせて国内こくない各地かくち移動いどうする。しかし、生産せいさんコストの増大ぞうだい養蜂ようほう業者ぎょうしゃ高齢こうれいなどの問題もんだいにより移動いどう養蜂ようほうりつつあるのが現状げんじょうである。

移動いどう養蜂ようほうでは、たとえば本州ほんしゅうで、レンゲソウリンゴ、アカシア(ニセアカシア)、トチノキ北海道ほっかいどうクローバー、アカシア(ニセアカシア)のようにはないかけ1カ所かしょ15にち目安めやす点々てんてん長距離ちょうきょり移動いどうをする。

みつ時期じき

編集へんしゅう
 
はちかせるために使用しようするいぶしけむり

定置ていち養蜂ようほうでは、年間ねんかんスケジュールが自然しぜん状態じょうたいている。ただし、養蜂ようほういとな地域ちいき蜂蜜はちみつ対象たいしょうとなるはな種類しゅるいによって時期じき前後ぜんごする。以下いかでは、日本にっぽん国内こくない太平洋たいへいよう沿岸えんがん地域ちいきれいにとる。

11月から3がつあいだ巣箱すばこ回収かいしゅうし、室内しつない越冬えっとう)に保管ほかんする。ミツバチが活動かつどう再開さいかいしないように温度おんど光量ひかりりょう管理かんりする必要ひつようがある。4月から5がつにかけては女王蜂じょおうばちたまごみ、3週間しゅうかんはたらばち作業さぎょう開始かいしする。養蜂ようほうには巣箱すばこたり2 - 3まんひきはたらばち必要ひつようである。
5月から6がつにかけて、巣箱すばこ屋外おくがい配置はいちし、みつ作業さぎょうおこなう。

ともいしずえ蜂蜜はちみつでいっぱいになったら、巣箱すばこけむりとおしてミツバチの活動かつどうさえ、遠心分離機えんしんぶんりきもちいて蜂蜜はちみつ回収かいしゅうする。6月から11月は休閑きゅうかん相当そうとうし、ミツバチが回収かいしゅうした蜂蜜はちみつみつせず、ミツバチ自身じしん利用りようにまかせる。

ハチにされないため

編集へんしゅう

10世紀せいきごろかれたビザンツ帝国ていこくでの農業のうぎょうをまとめたゲオポニカには、牛糞ぎゅうふんけむりはち巣箱すばこからし、ノビルかぶえきからだるといとされていた。ふいごがいたいぶしけむり開発かいはつされたのは19世紀せいきになってからである。

はちされるのをふせぐため、かおふくめた全身ぜんしんみの厚手あつでぬのおおうなどの保護ほごふく現代げんだいでもられる。中世ちゅうせいでは、かお部分ぶぶん円形えんけいさらのようなマスクをけた頭巾ずきん作業さぎょうをしている様子ようすられる。

くまなどのからだしょくのような黒色こくしょくしろなどのあわいろほうがよいとかんがえるひともいる。いろとともに芳香ほうこうざいなどのにおいにも誘因ゆういんされる傾向けいこうがある[20]

養蜂ようほうようとスズメバチなどの駆除くじょようがあり、駆除くじょよう生地きじ厚手あつでとなる。駆除くじょよう防護ぼうごふく駆除くじょ機材きざいおおくの自治体じちたい無料むりょうしがおこなわれており、しのさい注意ちゅういてん説明せつめいされる[21][22]。また、自治体じちたいによってはスズメバチとう駆除くじょ補助ほじょきん制度せいどおこなわれている場合ばあいがあり、駆除くじょにかかった費用ひよう補助ほじょする制度せいどがある[23]

ニセアカシア問題もんだい

編集へんしゅう

国内産こくないさんハチミツの半分はんぶんニセアカシア由来ゆらいである[24][25]従来じゅうらいレンゲソウみつげん植物しょくぶつとして利用りようされてきたが、レンゲの作付さくづけが減少げんしょうしニセアカシアへの依存いぞんたかまっている。しかしながら、ニセアカシアが外来がいらい生物せいぶつほう生態せいたいけい被害ひがい防止ぼうし外来がいらいしゅ[26]げられ、全国ぜんこく養蜂ようほう業者ぎょうしゃによる「日本にっぽん養蜂ようほうはちみつ協会きょうかい」は「アカシアをまもかい」を結成けっせいしリスト指定してい反対はんたいをしている。

ミツバチの不足ふそく

編集へんしゅう

ミツバチが突然とつぜんからいなくなったり、大量たいりょうんだりするはちぐん崩壊ほうかい症候群しょうこうぐんきている。一方いっぽうアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、健康けんこう志向しこう需要じゅよう拡大かくだいするアーモンド栽培さいばい農家のうかから虫媒花ちゅうばいかとしてのミツバチの利用りよう発注はっちゅう旺盛おうせいで、おうじきれない養蜂ようほうからぬす事例じれいもある[14]。このため巣箱すばこぜん地球ちきゅう測位そくいシステム(GPS)をけて追跡ついせきできるようにしている養蜂ようほうもある[14]

捕食ほしょくせい天敵てんてき

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動物どうぶつ鳥類ちょうるい

編集へんしゅう
クマ

滋養じよう蜂蜜はちみつとハチノコは、クマの活動かつどうけん養蜂ようほうじょう存在そんざいすると、クマにとって大変たいへん魅力みりょくてきえさじょうとなる。

日本にっぽん国内こくないでは、本州ほんしゅう日本海にほんかいがわ中心ちゅうしんツキノワグマが、北海道ほっかいどうにはヒグマ棲息せいそくする。 養蜂ようほうじょうにクマが侵入しんにゅうすると、巣箱すばこ破壊はかいし、分布ぶんぷいき養蜂ようほうおこな場合ばあいは、ときに養蜂ようほう人命じんめいにも危険きけんともなうため、クマ対策たいさく必要ひつようである。地元じもと自治体じちたいりょうともかいとともに捕獲ほかくようわな仕掛しかけ、養蜂ようほうじょう人間にんげん危険きけん存在そんざいであるとクマに十分じゅうぶん学習がくしゅうさせ、山奥やまおくもどすことが大切たいせつである。また、農業のうぎょうようたいしし蓄用電気でんきしがらみでガードするのも効果こうかてきである。電気でんきしがらみ設置せっちするときは、安全あんぜん対策たいさくとして、かなら注意ちゅういきの看板かんばん設置せっちする。 近年きんねんは、クマの出没しゅつぼつ箇所かしょひと活動かつどうけんまで拡大かくだいしており、2023ねん過去かこ最悪さいあくペースの被害ひがいしゃすうをもたらしている[27]。それまでクマが出没しゅつぼつしたことの地域ちいきでも、注意ちゅうい必要ひつようである[28]

ニホンザル

ニホンザルがている場所ばしょ巣箱すばこける、ハチミツやハチノコの残留ざんりゅうする無駄むだてておくなどすると、サルははち捕食ほしょくし、それを学習がくしゅうしてしまう。サルようネットと電気でんきしがらみ利用りようし、サルをはらって作業さぎょうする[28]

イノシシ

巣箱すばこ破壊はかいしハチノコを捕食ほしょくすることがある。電気でんきしがらみもしくははば2メートル以上いじょうほりつくって対策たいさくする[28]

ツバメ

飛行ひこうするミツバチを捕食ほしょくする。ぐんとば集団しゅうだん捕食ほしょくすると、大量たいりょうはたらきバチを損失そんしつする。爆音ばくおん大型おおがた風船ふうせんとう農業のうぎょうようとりけは、あまり効果こうかはない。春先はるさきは、結婚けっこん飛行ひこう女王じょおうバチをツバメが捕食ほしょくすることがある。ツバメがれる場所ばしょでは、交尾こうびおこなわせないようにする[28]

ハチクマ
 
ハチクマ

タカ仲間なかまで、東南とうなんアジアからやってわたどり。ハチノコを捕食ほしょくする。養蜂ようほうじょう周辺しゅうへんちたばんのハチノコをべることがある。そこ隙間すきまのある巣箱すばこ使用しようしている場合ばあい、まれに、巣箱すばこ頭部とうぶんで、ばん破壊はかいることがある[28]

昆虫こんちゅう

編集へんしゅう
スズメバチ

およびミツバチ自身じしん影響えいきょうする病害虫びょうがいちゅう天敵てんてきとして、スズメバチがいる。スズメバチは養蜂ようほう大敵たいてきであり、おそって成虫せいちゅう、サナギ、幼虫ようちゅうわずエサにしてかえる。とくオオスズメバチすうひき - すうじゅうひき全滅ぜんめつさせる。

スムシ

影響えいきょうする害虫がいちゅうとしてスムシがある。スムシは直接ちょくせつミツバチをおそうわけではないが、養蜂ようほうからスムシ(ちゅう)とばれきらわれるハチノスツヅリガひとし幼虫ようちゅうは、ろう蜜蝋みつろう)を原料げんりょうとしたべて成長せいちょうすることから、スムシに寄生きせいされたおおくは全滅ぜんめつすることもある[29]

ミツバチヘギイタダニ

ミツバチに影響えいきょうする害虫がいちゅうにはミツバチヘギイタダニがいる。くさうじびょうチョークびょうバロアびょうノゼマびょうなどがある。

メンガタスズメ

やハチに直接ちょくせつがいおよぼすわけではないが、スズメガの1しゅメンガタスズメはなからではなくミツバチのからみつむようにからだ構造こうぞうができているため、頻繁ひんぱん巣箱すばこたずねてくる。

スズメバチ対策たいさく

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スズメバチによる被害ひがい防止ぼうしするため、周辺しゅうへんつぎのような対策たいさくをとっている。

  • ペットボトル改造かいぞうし、なかにスズメバチを誘引ゆういんする液体えきたいれ、このなかにスズメバチをおびきせる[30]
  • ねずみ捕獲ほかくよう粘着ねんちゃくシートを設置せっちする[28]
  • むしもう捕獲ほかくし、蜂蜜はちみつけ・スズメバチしゅ原料げんりょうにする[31]

などがあげられる。

日本にっぽん法令ほうれい

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日本にっぽんでは、養蜂ようほう振興しんこうほう昭和しょうわ30ねん法律ほうりつだい180ごう)の規定きていにより、ごうとして蜜蜂みつばち飼育しいくおこなものは、毎年まいとし、その住所じゅうしょ管轄かんかつする都道府県とどうふけん知事ちじに、氏名しめい住所じゅうしょはちぐんすう飼育しいく場所ばしょ飼育しいく期間きかんなどをとど必要ひつようがある[32]さらに、おおくの都道府県とどうふけんで、施行しこう細則さいそくさだめられている。

趣味しゅみとしての養蜂ようほう

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近年きんねんでは定年ていねん退職たいしょくもとサラリーマンなど養蜂ようほうぎょうえんのなかった個人こじん自宅じたくにわベランダ設置せっちした巣箱すばこ飼育しいくし、蜂蜜はちみつ自家じか消費しょうひするぶんだけるといった「趣味しゅみ養蜂ようほう」がえている。

しかし、2006ねん以降いこう養蜂ようほう愛好あいこう増加ぞうかしたことにともない、本職ほんしょく養蜂ようほう業者ぎょうしゃ愛好あいこうとのあいだ巣箱すばこ設置せっちめぐるトラブルが続出ぞくしゅつしたり、愛好あいこうっているミツバチから業者ぎょうしゃのミツバチに病気びょうき伝染でんせんしたりするなどするケースが相次あいつぐようになった。そのため、2013ねん1がつ振興しんこうほう改正かいせいされ、届出とどけで義務ぎむ愛好あいこうにも拡大かくだいされた。業者ぎょうしゃがわ改正かいせい歓迎かんげいしているが、一部いちぶ専門せんもんからは「自治体じちたい匙加減さじかげんひとつで規制きせいされるのはこのましくない」との意見いけんもある[33]

無形むけい文化ぶんか遺産いさん

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2020ねんポーランドベラルーシの「利用りようする養蜂ようほう文化ぶんか[34]、2022ねんに「スロベニア養蜂ようほう[35]UNESCO無形むけい文化ぶんか遺産いさん登録とうろくされる。

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b きょう「世界せかいミツバチの」ハチミツづく都心としんで/小規模しょうきぼ飼育しいく 天敵てんてきすくなく『読売新聞よみうりしんぶん夕刊ゆうかん2022ねん5がつ20日はつか8めん
  2. ^ Eva Crane (1983). The Archaeology of Beekeeping 
  3. ^ a b c Ronan James Head (2008ねん2がつ17にち). “A Brief Survey of Ancient Near Eastern Beekeeping” (PDF). 2010ねん3がつ17にち閲覧えつらん。 “"Evidence for apiculture in Mesopotamia is scarce.""One notable problem surrounds the Mesopotamian word for “honey.” Akkadian dišpu (Sumerian làl) refers either to date syrup (Arabic dibs), or honey and it is difficult to know which one is intended in a given passage."”
  4. ^ トゥーサン=サマ 1998, p. 22.
  5. ^ Demirel, Serkan (2022-12-31). “Apiculture in Hittite cuneiform texts” (英語えいご). The European Zoological Journal 89 (1): 1215–1222. doi:10.1080/24750263.2022.2135782. ISSN 2475-0263. https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/24750263.2022.2135782. 
  6. ^ 弓削ゆげいたる地中海ちちゅうかい世界せかい 新書しんしょ西洋せいよう2』(講談社こうだんしゃ現代新書げんだいしんしょ 1973ねん)p.25
  7. ^ トゥーサン=サマ 1998, pp. 22–24.
  8. ^ a b c 『ニホンミツバチ』うみゆうしゃ、1999ねん、94ぺーじISBN 978-4-905930-57-0 
  9. ^ 岩下いわしたひとしむし曼荼羅まんだら: 古典こてん日本人にっぽんじん心象しんしょう春風しゅんぷうしゃ、2004ねんISBN 4-86110-004-6http://www.shumpu.com/portfolio/91/ 
  10. ^ 日本にっぽん西洋せいようしき養蜂ようほう 1877ねんから 発祥はっしょう新宿しんじゅく御苑ぎょえん 埼玉さいたま男性だんせいら2にん特定とくてい”. 日本農業新聞にほんのうぎょうしんぶん (2019ねん4がつ16にち). 2020ねん8がつ7にち閲覧えつらん
  11. ^ a b くに養蜂ようほうをめぐる動向どうこう” (PDF). 国立こくりつ国会図書館こっかいとしょかん (2022ねん3がつ28にち). 2024ねん2がつ3にち閲覧えつらん
  12. ^ Harissis (Χαρίσης), Haralampos (Χαράλαμπος); Mavrofridis, Georgios (2012). “A 17th Century Testimony On The Use Of Ceramic Top-bar Hives. 2012 | Haralampos (Χαράλαμπος) Harissis (Χαρίσης) and Georgios Mavrofridis”. Bee World 89 (3): 56–58. doi:10.1080/0005772X.2012.11417481. https://www.academia.edu/1929792 2016ねん3がつ12にち閲覧えつらん. 
  13. ^ Thomas Wildman, A Treatise on the Management of Bees (London, 1768, 2nd edn 1770).
  14. ^ a b c 米国べいこくはつ】テックで養蜂ようほう大量たいりょう窃盗せっとうふせぐ『日経にっけいMJ』2022ねん7がつ4にちアジア・グローバルめん
  15. ^ Hassall, Craig (12 September 2017). “Flow Hive: Cedar and Stuart Anderson talk about life one year after crowdfunding success”. 2021ねん7がつ16にち閲覧えつらん
  16. ^ きょうはなん 5がつ20日はつか 世界せかいミツバチの東京とうきょう新聞しんぶん TOKYO Web”. 東京とうきょう新聞しんぶん TOKYO Web. 2024ねん5がつ22にち閲覧えつらん
  17. ^ Bee Culture - Moses Quinby - http://www.beeculture.com/moses-quinby/
  18. ^ Thermal Beekeeping: Look Inside a Burning Bee Smoker - https://americanbeejournal.com/thermal-beekeeping-look-inside-a-burning-bee-smoker/
  19. ^ 衛生えいせい管理かんり”. 社団しゃだん法人ほうじん 日本にっぽん養蜂ようほうはちみつ協会きょうかい. 2008ねん1がつ12にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2008ねん1がつ30にち閲覧えつらん
  20. ^ おしえて『ハチ博士はかせ” (pdf). 東京とうきょう八王子はちおうじ. 2021ねん6がつ15にち閲覧えつらん
  21. ^ ハチ(スズメバチをのぞく)の駆除くじょよう防護ぼうごふく貸出かしだしをはじめました。”. 神奈川かながわけん厚木あつぎ. 2021ねん6がつ15にち閲覧えつらん
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参考さんこう文献ぶんけん

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  • マグロンヌ・トゥーサン=サマ ちょ玉村たまむらゆたかおとこ やく世界せかい食物しょくもつ百科ひゃっかはら書房しょぼう、1998ねんISBN 4562030534 

関連かんれん項目こうもく

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寄生虫きせいちゅう病気びょうき、その対策たいさく
文化ぶんか

外部がいぶリンク

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