(Translated by https://www.hiragana.jp/)
AMD K6-III - Wikipedia

AMD K6-IIIは、AMD開発かいはつしたx86互換ごかんマイクロプロセッサである。

K6-III / K6-III+
K6-III 400 MHz
生産せいさん時期じき 1999ねん2がつ22にち(米国べいこく時間じかん)から2003ねんまつ(米国べいこく時間じかん)まで
販売はんばいしゃ AMD
設計せっけいしゃ AMD
生産せいさんしゃ AMD
CPU周波数しゅうはすう 333 MHz から 550 MHz
FSB周波数しゅうはすう 66 MHz から 100 MHz
プロセスルール 0.25 μみゅーm から 0.18 μみゅーm
マイクロアーキテクチャ K6
命令めいれいセット x86
拡張かくちょう命令めいれい

MMX/3DNow! (K6-2+, K6-III+のみEnhanced 3DNow!

, PowerNow!)
コアすう 1
ソケット Super 7
コードネーム Sharptooth
ぜん世代せだいプロセッサ K6-2
次世代じせだいプロセッサ Athlon(K7)
トランジスタ 2130まん
L1キャッシュ 64KB
(データ32KB + 命令めいれい32KB)
L2キャッシュ 256KB
テンプレートを表示ひょうじ

概要がいよう

編集へんしゅう

K6-IIIAMD-K6-2プロセッサをベースに2キャッシュ実装じっそうしたプロセッサ。3DNow!対応たいおう、1キャッシュはデータ32KB、命令めいれい32KBの合計ごうけい64KB、Super Socket 7Socket 7 のFSB 100MHzばん)というてんはK6-2にじゅんじている。

Socket 7としてははじめて2キャッシュを実装じっそうし、その容量ようりょうは256Kバイト。またCPUコアの動作どうさ周波数しゅうはすうおな周波数しゅうはすう動作どうさする。競合きょうごうする当時とうじPentium IIPentium IIIの2キャッシュは512KバイトであったがCPUコアの動作どうさ周波数しゅうはすう半分はんぶんであり、またCeleronはコアとひとしそくではあったが128Kバイトだった。2キャッシュの実装じっそうにより、従来じゅうらいマザーボードうえのキャッシュメモリは3キャッシュとして利用りようできる。その機能きのうをAMDはマーケティングじょう理由りゆうからTriLevelCacheと命名めいめいし、3キャッシュとしてサポートされる外部がいぶSRAM容量ようりょう最大さいだい2Mバイトとなったが、当時とうじ市販しはんされていたK6-III対応たいおうマザーボードおよびそのチップセットで2MBのキャッシュメモリを実装じっそうあるいはサポートしたものはほぼ皆無かいむで、大半たいはんは512KBあるいは1MB搭載とうさいであった。

K6-IIIは、AMDおよびSocket 7のプロセッサのなかもっと高速こうそくなプロセッサとなった。「パフォーマンスはPentium IIIの1つうえのクロック周波数しゅうはすう製品せいひん同等どうとう実現じつげんしている」とAMDは主張しゅちょうしている。その根拠こんきょは、AMDの調査ちょうさではPentium IIIにくらべWinstone 99を使用しようしたベンチマークでWindows 98うえで6%、Windows NTうえで4%高速こうそく、CPUMark 32ではインテルPentium IIIよりK6-IIIは30%高速こうそくであるとしている。実際じっさいどういちクロックのPentium IIIを上回うわまわった程度ていどだとの見方みかたつよい。これは、K6-IIIでは浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざん性能せいのうよりも整数せいすう演算えんざん性能せいのう向上こうじょう重視じゅうしした実装じっそうおこなわれた結果けっかベンチマークテストにおいて浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざん能力のうりょくがPentium IIIよりおとると判断はんだんされたためである。

しかし、パーソナルコンピュータ (PC) じょうでもっともおお使用しようされているアプリケーションソフトウェアであるワープロおもて計算けいさんメーラーなどのオフィスけいソフトでは浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざん性能せいのう使用しようかん向上こうじょうにはほとんど寄与きよせず、整数せいすう演算えんざん性能せいのうやクロックの向上こうじょう、それにメモリアクセス性能せいのう改善かいぜん体感たいかん性能せいのう直接的ちょくせつてき影響えいきょうおよぼす。このため、だい容量ようりょうの2キャッシュを実装じっそう浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざん能力のうりょく重視じゅうしよりも使用しよう頻度ひんどたかいオフィスけいソフトの使用しようかん向上こうじょうさせることを念頭ねんとういたこのプロセッサは、とくにSocket 7マシンのままで実用じつようてき性能せいのう向上こうじょうもとめるユーザーそうつよ支持しじされた。

もっとも、K6-IIIはK6-2のコアにSRAM付加ふかした設計せっけいとなったためにトランジスタかずは2130まんだい規模きぼし、当時とうじAMDのチップ製造せいぞうラインで使用しよう可能かのうであった製造せいぞうプロセスの制約せいやくから、そのシリコンダイのサイズをK6-2の81mm2から118mm2[1]へと巨大きょだいせざるをなかった。それゆえ、このチップは量産りょうさん製造せいぞう歩留ぶどまり改善かいぜん困難こんなんであったとつたえられている。その結果けっか価格かかくもK6-2とは比較ひかくにならないほど高価こうか設定せっていされており、既存きそんSocket 7けいマシンのアップグレード手段しゅだんとしては歓迎かんげいされたものの、メーカーせいPCにおいてはこのCPUを採用さいようするれいはほぼ皆無かいむであった。

K6-2およびK6-IIIは、AMDが独自どくじ定義ていぎしたマルチメディア拡張かくちょう命令めいれいセットである3DNow!を使用しようすることでどうクロックのPentium IIIを凌駕りょうがする浮動ふどう小数点しょうすうてん演算えんざん能力のうりょく発揮はっきする。だが、この3DNow!を利用りようするためのソフトウェア開発かいはつ環境かんきょう整備せいびされておらず、AMDによる支援しえんさくライブラリ提供ていきょうにとどまったため、この命令めいれいセットを利用りようするソフトウェアはあまり普及ふきゅうしなかった。もっとも、グラフィックカードなどのドライバではこのしん命令めいれいセットを積極せっきょくてき活用かつようするれいられ、当時とうじ3Dグラフィックチップのゆうとしてられた3dfxしゃのVoodooシリーズようドライバがこの命令めいれいへの対応たいおう明言めいげんしていたことがられている。

このCPUは、次世代じせだいCPU (K7) であるAthlon発売はつばいされたことで、Athlonの性能せいのうK6-2価格かかくとの狭間はざま存在そんざい意義いぎうすれ、より収益しゅうえきおおきいAthlonの製造せいぞうすう確保かくほするためにメインストリームけの生産せいさんられた。ただし、製造せいぞうプロセスを縮小しゅくしょうして歩留ぶどまりの問題もんだい改善かいぜんしたK6-III+(0.18μみゅーmばんK6-III)やK6-III+の内蔵ないぞう2キャッシュ容量ようりょう半減はんげんしたK6-2+といった同系どうけい後継こうけい製品せいひんおもにモバイルけとして出荷しゅっかされた。

これらについてはK6-IIIにして内蔵ないぞう2キャッシュのレイテンシ若干じゃっかんやされており、このためK6-III+はどういちクロックのK6-IIIと比較ひかくすると処理しょり速度そくどがややおとる。ただし、製造せいぞうプロセスのシュリンクによって動作どうさクロック周波数しゅうはすうがK6-IIIの最大さいだい450MHzから最大さいだい550MHz(公称こうしょう[注釈ちゅうしゃく 1]げられ、3DNow!命令めいれいもAthlonけの改良かいりょう反映はんえいして多少たしょう修正しゅうせいくわわったEnhanced 3DNow!となっており、また製造せいぞうプロセス変更へんこうによるてい発熱はつねつ実現じつげんされているため、総合そうごうてきには改良かいりょうあるいは改善かいぜんされていることになる。

かく世代せだいについての詳細しょうさい

編集へんしゅう
"Sharptooth"(K6-3D+) K6-III+(モバイルのみ)
製造せいぞうプロセス(µm) 0.25 0.18
トランジスタすう() 2130まん
L1キャッシュ(KB) 32+32(命令めいれい+データ)=64
L2キャッシュ(KB) 256
拡張かくちょう命令めいれい MMX, 3DNow! MMX, Enhanced 3DNow!
バス Socket 7 (Super 7)
FSB(MHz) 100
クロック(MHz) 400/450 450/475/500/550
電圧でんあつ(V) 2.2/2.4 2.0
リリース時期じき 1999ねん2がつ22にち 2000ねん4がつ18にち

脚注きゃくちゅう

編集へんしゅう

注釈ちゅうしゃく

編集へんしゅう
  1. ^ K7けい製品せいひんとの競合きょうごうけるマーケティング戦略せんりゃくじょう配慮はいりょから、公称こうしょう動作どうさクロック周波数しゅうはすうは550MHzにおさえられた。ただし、バッファロー限定げんていてき販売はんばいしたCPUアクセラレータでは選別せんべつひん搭載とうさいしたと公表こうひょうし、600MHz駆動くどう製品せいひんレベルのていかくとしてっている。

出典しゅってん

編集へんしゅう
  1. ^ “AMD、L2キャッシュ内蔵ないぞう、L3キャッシュまで対応たいおうしたK6-III”. PC Watch (インプレス). (1999ねん2がつ23にち). https://pc.watch.impress.co.jp/docs/article/990223/amd.htm 2020ねん3がつ1にち閲覧えつらん 

外部がいぶリンク

編集へんしゅう