Vorbis
Xiph.orgが開発 した非 可逆 圧縮 音声 ファイルフォーマット
(Ogg Vorbisから転送 )
Vorbis(ヴォルビス、ヴォービス)は、Xiph.orgが
.ogg | |
MIMEタイプ | application/ogg audio/ogg audio/vorbis audio/vorbis-config |
Xiph.Org Foundation | |
2000 | |
Ogg、Matroska、WebM | |
Vorbis I specification | |
オープン フォーマット | Yes |
ウェブサイト | Vorbis audio compression |
Xiph.Org Foundation | |
1.3.7
/ 2020 | |
1.2-alpha
/ 2016 | |
プログラミング | C89 |
クロスプラットフォーム | |
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サポート |
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| |
ライセンス |
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Oregon State University Open Source Lab |
概要
Vorbisは
2010
要項
仕様
- アルゴリズム
- MDCT(Modified Discrete Cosine Transform:
修正 離散 コサイン変換 ) - サンプリング
周波数 - 8
kHz - 192kHz (Typical rate) - チャンネル
数 - 1ch(mono), 2ch(stereo), 4ch, 5.1ch, 6.1ch(
最大 255ch) - ビットレート
平均 32kbps(aoTuV Q-2 mode),平均 45kbps(Q-1)~平均 500kbps(Q10) (44.1kHz ステレオソース時 )- チャンネルカップリング
- ステレオモード
時 のみ対応 (それ以上 のモードに対応 したエンコーダが現状 無 い) - ビットレート
制限 - エンコーダに
依存 - MIME Type
- application/ogg, application/x-ogg, application/x-vorbis
- ストリーミング
対応 (プレイヤー側 の対応 が必要 )- チェックサム
対応 (デフォルトで有効 )- コピーガード
未 対応 - タグ
情報 - Vorbis Comment (UTF-8)(
一般 的 なID3タグには未 対応 ) - コンテナ
対応 - Matroska (WebM), MOV, MP4, Ogg, OGM (AVI, WAVは
互換 性 に難 有 り) - ギャップレスデコード
対応 (プレイヤー側 の対応 が必要 )- ギャップレス
再生 対応 (プレイヤー側 の対応 が必要 )
特徴
長所
- Vorbisは
全 てのビットレート域 で既存 コーデック(MP3)を超 えるべく設計 されている。現状 の実装 では、同 レートのMP3より音質 が良 く、LC-AACと同列 もしくはそれ以上 とされる。HE-AACやHE+PS-AACが得意 とする32-48kbps周辺 の低 ビットレート域 では、特許 が使用 できないために高 域 疑似 補完 技術 (Spectral Band Replication)やステレオ疑似 補完 技術 (Parametric Stereo)の実装 ができないVorbisは、善戦 しつつも不利 とされる。標準 ビットレートは112kbpsで、この時 の音質 は、多 くの人 がCDもしくは圧縮 前 の音源 とほとんどき分 けがつかないとされる。圧縮 率 の指定 は通常 、クオリティレベルと呼 ばれる数値 で指定 し、範囲 は-1から10までの範囲 である。44.1kHz Stereo(2ch)のソースの場合 、標準 はQ3(112kbps)となっており、最大 ではQ10(500kbps)、最低 のQ-1では48kbpsとなる(aoTuVエンコーダーではそれ以下 のQ-2を指定 でき、32kbpsでエンコードできる)。 - かつてはエンコード
速度 の遅 さが指摘 されていたが、Ogg Vorbis高速 化 プロジェクトにより大 きく改善 されている。音質 の点 では、拡張 性 の高 さを生 かして幾重 にもチューニングを施 したaoTuV[注釈 1]が長 きにわたって高 い評価 を得 ており[2]、オフィシャルエンコーダのlibvorbisにも一部 組 み込 まれた。Xiph.orgのVorbis開発 の歩 みが緩 やかになっている現状 において、Vorbisが企業 の開発 するLC-AAC等 のコーデックに伍 する品質 を保 つことができているのは、こうしたXiph以外 の開発 者 の努力 に負 うところも大 きい。サラウンド(マルチチャンネル)に関 しては比較的 使 われていないこともあり、Vorbisにおいて注力 されてこなかった分野 だが、libvorbis 1.3.1ではサラウンド・チャンネルカップリングが実装 され、5.1chの品質 が向上 したとされる。 - Vorbisは
標準 でギャップレスデコードに対応 している。ライブやダンスミュージック等 といった、曲 間 のギャップが問題 になるソースにおいて利点 がある他 、動画 の音声 として利用 した場合 でも映像 と音声 の同期 ズレの原因 とならない等 の利点 がある。Vorbisはプログラムからはサンプル単位 で位置 を指定 して正確 にデコードできるため、ライセンス料 フリーであることもあって、パソコンゲームなどで多数 採用 されている実績 がある[3]。
ちなみに主要 な音声 非 可逆 圧縮 で、ギャップレスデコードにフォーマットレベルで対応 しているのは、Vorbisのみである。MP3とAACとMusepackはエンコーダーの独自 拡張 によってギャップレス情報 を埋 めこむことで擬似 的 に対応 しているため、デコーダーも各 独自 拡張 に対応 している必要 がある。ただし、Vorbisにおいても携帯 プレイヤーなどではデコーダ側 の実装 問題 でギャップレス再生 できないことも多 い。
短所
- Vorbisは
可変 ビットレートが基本 のため、AVIなどのVBR音声 コーデックを想定 していないコンテナでの使用 は、音 がずれるなどの問題 が生 じる場合 があり、OggコンテナやMatroskaコンテナなどを使用 する必要 がある。 - VorbisはMP3より
複雑 な処理 をする必要 があるため、オフィシャルエンコーダの速度 は比較的 遅 い傾向 にある。- Ogg Vorbis
高速 化 プロジェクトのライブラリを使用 することで、環境 によってはオフィシャルより2~3倍 、又 はそれ以上 速 くなる[4]。 - ただし、
現状 のリファレンスエンコーダではABRエンコード(ビットレート指定 エンコード)の際 には、クオリティ指定 エンコードの2倍 以上 の時間 がかかる。これは、現状 のABRエンコーディングの実装 に由来 するものである。 近年 のハードウェアの進歩 により、昔 に比 べるとエンコードの速度 は問題 とされなくなってきている。
- Ogg Vorbis
対応 プレイヤーが少 ない- Vorbisに
対応 している携帯 プレイヤーはiriverやCowonなどの韓国 メーカーのものがほとんどで、全体 のシェアからすれば数 は少 なく、その点 ではデファクトスタンダードであるMP3や、大 企業 の後押 しのあるWindows Media Audio、AACに大 きく及 ばない。この状況 はハイレゾ対応 携帯 プレイヤーでも変 わらない。ただし、Rockboxを対応 している携帯 プレイヤーに導入 すれば、Vorbisを再生 することは可能 となる。 - Android OSはVorbisのデコーダを
内蔵 しており[5]、その端末 の急速 な拡大 によって再生 環境 の普及 という面 は改善 されつつある。一方 、iOSはOgg Vorbisには対応 していないので、対応 するソフトウェアをインストールする必要 がある。
- Vorbisに
- ユーザが
自発 的 にエンコード環境 を構築 する必要 がある圧倒的 な普及 率 を誇 るMP3以外 の非 可逆 圧縮 音声 フォーマットで、Ogg Vorbisと比較 されるものは、プロプライエタリであるWMAとAACである。WMAはWindows OSがエンコーダを内蔵 するWindows Media Playerをバンドルしている。AACはMac OS Xがエンコーダを内蔵 するiTunesをバンドルしている。また、Windows用 iTunesもAppleが無料 配布 している。iPod又 はiPhoneを所持 する場合 、iTunesは事実 上 必須 である。すなわち、パソコンを所持 していればWMAとAACは比較的 容易 にCDリッピングによるエンコードが可能 になる。一方 、Ogg Vorbisの場合 、ユーザが自発 的 にエンコーダをネットで探 してパソコンにインストールする必要 がある。このようにエンコード環境 と再生 環境 が比較的 整 っているWMAとAACに比 べると、Ogg Vorbisはエンコード環境 と再生 環境 が整 っているとは言 い難 い。- このため、エンコード
環境 を構築 してまでOgg Vorbisを選択 して利用 するユーザは、Ogg Vorbisの存在 を知 り、かつOgg Vorbisを自発 的 に使用 したいという拘 りを持 つユーザに限 られる。その拘 りとは、プロプライエタリでなくパテントフリーであること等 イデオロギーの次元 に至 る。音質 に拘 りを持 つユーザは可逆 圧縮 のFLACを採用 する傾向 がある。非 可逆 圧縮 音声 フォーマット同士 での音質 比較 は、サンプリングレートを上 げれば殆 ど目立 たなくなるのであまり意味 はない。
- デコードはMP3に
比 べ多 くのメモリを必要 とする(目安 はWMA(多 )とAAC(少 )の中 間 )ため、メモリシステムが貧弱 な環境 ほど負荷 が高 くなりがちである。このことは現在 のPCでは全 く問題 とならないが、携帯 プレイヤーでは電池 を多 く消費 してしまう原因 となると言 われている。 - Vorbisはパテントフリーを
謳 っているが、現存 する特許 を全 て調査 することは事実 上 不可能 であることから、いわゆるサブマリン特許 や休眠 特許 の類 いが現 れる可能 性 を完全 に否定 することはできないのではないか、といった声 もある。ただし、公開 から10年 以上 が経過 しているが、現在 のところ特許 問題 が顕在 化 したことはない。
リスニングテスト
- 2005
年 7月 の比較 - AAC vs MP3 vs Vorbis vs WMA の 80 kbpsでの比較 。Vorbis aoTuV beta 4がクラシックやさまざまな音楽 で最 も良 いエンコーダという結果 となった。また128 kbpsでの LAME ABR MP3 と同 じ品質 という結果 になった[6]。 - 2005
年 8月 の比較 - AAC vs MP3 vs Vorbis vs WMA の 96 kbpsでの比較 。クラシック音楽 においてVorbis aoTuV beta 4とAACが並 んで最 も良 いエンコーダという結果 となった。またaoTuV beta 4は ポップミュージックにおいて128 kbpsのLAMEよりも良 い結果 であった[7]。 - 2005
年 8月 の比較 - オーディオマニアによる MPC vs Vorbis vs MP3 vs AAC の 180 kbpsでの比較 。リスニングテストでクラシック音楽 においてVorbis aoTuV beta 4がMPCと並 んで最 も良 いエンコーダという結果 になった。LAMEが続 いて2位 となった[8]。 - 2011
年 4月 の比較 - Hydrogenaudioによる Vorbis vs HE-AAC vs Opus の 64 kbpsでの比較 。 VorbisはローアンカーのLC-AACとNero HE-AACとの中 間 ほどの結果 となり、Vorbisと同 じ開発 元 のXiph.orgによるOpus が最良 という結果 となった[9]。
ソフトウェア
- Audacity - クロスプラットフォームな
音声 録音 ・編集 プログラム Wikipedia用 音声 作成 用 にWikipediaヘルプで推奨 - Songbird
- Winamp
- Zoom player
- Foobar2000
- jetAudio
- Media Player Classic
- MediaFrame[10]
- MPlayer
- Spotify
- VLC media player
- Xbmc
- Kaffeine
- xine
- QuickTime、iTunes - QuickTimeコンポーネント[11]の
追加 により再生 可能 - Windows Media Player - DirectShowフィルタ(ffdshow、
公式 配布 のフィルタ[12]等 の追加 により再生 可能
- その
他 多数
脚注
注釈
- ^ ただし、aoTuVのチューニングはモノラルとステレオに
限 られる。
出典
- ^ S. Pfeiffer (CSIRO). “RFC3533 RfC The Ogg Encapsulation Format Version 0” (
英語 ). 2008年 11月28日 閲覧 。 - ^ “Hydrogenaudio Listening Tests” (
英語 ). hydrogenaudio.org. 2015年 9月 6日 閲覧 。 - ^ “Games that use Vorbis (Vorbis を
採用 するゲーム)” (英語 ). xiph.org. 2008年 11月28日 閲覧 。 - ^ “Speed benchmark of audio encoders (2006
年 10月 /11月の試験 結果 )” (英語 ). 2012年 10月 28日 時点 のオリジナルよりアーカイブ。2008年 11月28日 閲覧 。 - ^ “Supported Media Formats Android Developers” (
英語 ). Google ( http://developer.android.com/legal.html ). 2015年 3月 5日 閲覧 。 - ^ “80 kbps personal listening test (summer 2005) - Hydrogenaudio Forums” (
英語 ). 2008年 1月 12日 閲覧 。 - ^ “MP3, WMA, AAC, OGG qualité à 96 kbps (évaluation) - Traitement Audio - Video & Son - FORUM HardWare.fr” (
フランス語 ). 2008年 1月 12日 閲覧 。 - ^ “MPC vs VORBIS vs MP3 vs AAC at 180 kbit/s - Hydrogenaudio Forums” (
英語 ). June 9, 2014時 点 のオリジナルよりアーカイブ。2008年 1月 12日 閲覧 。 - ^ “64kbit/sec stereo multiformat listening test” (
英語 ). 2011年 5月 10日 閲覧 。 - ^ “Storyboards, Pitch Visuals, Concept, Animation and more....” (
英語 ). mediaframestudios.com. 2019年 5月 15日 閲覧 。 - ^ “XiphQT” (
英語 ). xiph.org. 2008年 1月 12日 閲覧 。 - ^ “Version 0.85.17777, Directshow Filters for Ogg Vorbis, Speex, Theora, FLAC, and WebM” (
英語 ). xiph.org (12 January, 2011). 2011年 5月 10日 閲覧 。