和田徹三

和田わだ 徹三てつぞう（わだ てつぞう、1909年ねん（明治めいじ42年ねん）8月がつ4日にち - 1999年ねん6月27日にち）は日本にっぽんの詩人しじん・英文えいぶん学者がくしゃ。北海道ほっかいどう余市よいち町まち出身しゅっしん。小樽おたる高等こうとう商業しょうぎょう学校がっこう卒そつ。龍りゅう木き煌（たつき あきら）のペンネームを持もつ。

略歴りゃくれきおよび業績ぎょうせき

北海道ほっかいどう薬科やっか大学だいがく教授きょうじゅをつとめ英語えいごを教おしえる傍かたわら、詩人しじんとして活動かつどう。1930年ねん頃ごろ伊藤いとう整せいと同時どうじに百田ひゃくだ宗治むねはる主催しゅさいの「椎しいの木ぎ」に参加さんかし、文学ぶんがく活動かつどうに専念せんねんする。英えい詩しの翻訳ほんやく（ハーバート・リードの研究けんきゅう者しゃとしての実績じっせき）からモダニズムへと変貌へんぼう。1997年ねん「湾わん」で和田わだ自身じしんが《「湾わん」を形而上けいじじょう詩しの研究けんきゅうとと実み作さくの場ばにしよう》という沢村さわむら光博みつひろの提案ていあんを受うけ、私わたしは《長編ちょうへん形而上けいじじょう詩しの実験じっけん作品さくひんを連載れんさいすることにした。》と述のべている。また1970年ねん頃ごろ《沢村さわむら光博みつひろはカソリシズムとコミュニズムの結合けつごうを企くわだてていたし、私わたしは親鸞しんらん思想しそうへ激はげしく傾斜けいしゃしていった。このことが二に人にんの間あいだに溝みぞを作つくり、沢村さわむらは「湾わん」去さって2、3年ねんで病没びょうぼつした。》とあり、《私わたしは曽我そが量りょう深ふか、金子かねこ大栄おおえ両りょう先生せんせいの著書ちょしょに学まなび、親鸞しんらんに傾倒けいとうしてきた。》とも述のべている。評論ひょうろん家かの言げんを待まつまでも無なく形而上けいじじょう詩しの作つくり手しゅであり仏教ぶっきょう詩人しじんであることを宣言せんげんしている。真宗しんしゅうの依拠いきょ経典きょうてんである『大だい無量むりょう寿ことぶき経けい』から啓示けいじを受うけたと思おもわれる「讃さん1」「讃さん2」の詩しも「湾わん」100号ごうに掲載けいさいされている。

追記ついき 曽我そが量りょう深ふか、金子かねこ大栄たいえい共どもに、1970年ねん前後ぜんこうに真宗しんしゅう大谷おおや派は北海道ほっかいどう教区きょうくの招まねきで、札幌さっぽろで講演こうえん会かいを行おこなっている。和田わだもその講演こうえん会かいを聴聞ちょうもんした可能かのう性せいがある。

※《 》は引用いんようを示しめす

日本にっぽん比較ひかく文学ぶんがく会かい、日本にっぽん英文えいぶん学会がっかいの会員かいいんでもあった。生涯しょうがい北海道ほっかいどうの地ちを離はなれることは無なかった。道内どうない文学ぶんがく者しゃのリーダー的てきな存在そんざいであった。

• 1931年ねん、小樽おたる高等こうとう商業しょうぎょう学校がっこう卒業そつぎょう。
• 1932年ねん、詩し誌し『哥』創刊そうかん。
• 1932年ねん、詩し誌し『湾わん』創刊そうかん。
• 1950年ねん、北海道ほっかいどう文化ぶんか賞しょう奨励しょうれい賞しょう受賞じゅしょう。
• 1979年ねん、『和田わだ徹三てつぞう全ぜん詩集ししゅう』が第だい12回かい「日本にっぽん詩人しじんクラブ賞しょう」受賞じゅしょう。

詩碑しひ

1994年ねん9月がつ15日にちに小樽商科大学おたるしょうかだいがく構内こうないに建立こんりゅう。高たかさ1.7メートルの白しろ御影石みかげいし製せい。碑文ひぶんは「それは 気きまぐれな荒波あらなみが」から始はじまる「亡ほろび母はは美津みつをしのぶ白しろいカンタータ」の冒頭ぼうとう部ぶである。

1988年ねん10月がつに余市よいち町まちのモイレ山やまにある水産すいさん博物館はくぶつかん構内こうないに建立こんりゅう。碑文ひぶんは「このどす黒ぐろい冬ふゆの海うみの…」から始はじまる「海うみ -古里ふるさとの海うみによせて- 」てである。

詩集ししゅうおよび詩論しろん

• 『門もん』 椎しいの木ぎ社しゃ、1935年ねん
• 『合瓣ごうべん花冠かかん』 千代田ちよだ書院しょいん、1949年ねん
• 『白しろい海藻かいそうの街まち』 日本にっぽん未来みらい派は発行はっこう所しょ、1952年ねん
• 『現代げんだい詩論しろん』 ハーバート・リード著ちょ、みすず書房しょぼう、1957年ねん
• 『金属きんぞくの下したの時間じかん』 アポロン社しゃ、1960年ねん
• 『夜よるの拒否きょひ』 ハーバート・リード著ちょ、国文こくぶん社しゃ、1962年ねん
• 『少年しょうねん詩集ししゅう緑みどりのアーチ』 国文こくぶん社しゃ、1967年ねん
• 『自然しぜん回帰かいき』 求もとむ竜りゅう堂どう、1970年ねん
• 『詩しと詩論しろん』 国文こくぶん社しゃ、1976年ねん
• 『人ひと食ぐい猫ねこ』 1978年ねん
• 『フィーニクスの変容へんよう』 ハーバート・リード著ちょ、沖積舎ちゅうせきしゃ、1980年ねん
• 『わが鎮魂ちんこんの歌うた』 1982年ねん
• 『永遠えいえん―わが唯識ゆいしき論ろん』 沖積舎ちゅうせきしゃ、1992年ねん
• 『亀かめの歌うた』 1996年ねん

参考さんこう文献ぶんけん

• 「湾わん」100号ごう