金子かねこ大栄おおえ

金子かねこ 大榮おおえ

人物じんぶつ情報じょうほう
生誕せいたん	(1881-05-03) 1881年ねん5月3日にち 日本にっぽん新潟にいがた県けん
死没しぼつ	1976年ねん10月22日にち(1976-10-22)（95歳さい没ぼつ）
出身しゅっしん校こう	真宗しんしゅう大学だいがく
学問がくもん
研究けんきゅう分野ぶんや	仏教ぶっきょう
研究けんきゅう機関きかん	大谷大学おおたにだいがく

金子かねこ 大榮おおえ（かねこ だいえい、1881年ねん〈明治めいじ14年ねん〉5月3日にち - 1976年ねん〈昭和しょうわ51年ねん〉10月がつ20日はつか）は、日本にっぽんの明治めいじ～昭和しょうわ期きに活躍かつやくした真宗しんしゅう大谷おおや派は僧侶そうりょ、仏教ぶっきょう思想家しそうか。前ぜん近代きんだいにおける仏教ぶっきょう・浄土真宗じょうどしんしゅうの伝統でんとう的てきな教学きょうがく・信仰しんこうを、広範こうはんな学識がくしきと深ふかい自己じこ省察せいさつにもとづく信仰しんこうとによって受うけ止とめ直なおし、近代きんだい思想しそう界かい・信仰しんこう界かいに開放かいほうした。

経歴けいれき

1881年ねん、新潟にいがた県けん高田たかだの真宗しんしゅう大谷おおや派は最さい賢けん寺てらに生うまれる。1899年ねん、真宗しんしゅう京都きょうと中学ちゅうがく（現げん、大谷おおや高等こうとう学校がっこう）を卒業そつぎょう。1901年ねん、京都きょうとより東京とうきょうに移転いてん開校かいこうした真宗しんしゅう大学だいがく（現げん、大谷大学おおたにだいがく）予よ科かに入学にゅうがく、初代しょだい学長がくちょうであった清沢きよさわ満之まんしの影響えいきょうを受うける。1904年ねん、同どう卒業そつぎょう。以後いご、新潟にいがたに帰郷ききょうし、寺務じむに従事じゅうじしつつ処女しょじょ作さく『真宗しんしゅうの教義きょうぎと其その歴史れきし』を執筆しっぴつ。1911年ねん以後いご、真宗しんしゅう大学だいがくの京都きょうと移転いてんに反対はんたいして辞職じしょく・帰郷ききょうしていた同郷どうきょうの曽我そが量りょう深ふかと親交しんこうを深ふかめた。

1915年ねん、上京じょうきょうし清沢きよさわ満之まんしが創刊そうかんした仏教ぶっきょう普及ふきゅう誌し『精神せいしん界かい』の編集へんしゅう責任せきにん者しゃとなり、暁烏敏あけがらすはや・佐々木ささき月がつ樵きこりに代かわり主筆しゅひつを務つとめた。1916年ねん東洋大学とうようだいがく教授きょうじゅとなる。翌年よくねん、大谷大学おおたにだいがく教授きょうじゅに任にんじられ京都きょうとに移うつるが、1925年ねん、著書ちょしょ『浄土じょうどの観念かんねん』の内容ないようが異い安心あんしんとされ、1928年ねん、同どう大学だいがく教授きょうじゅを辞任じにんした。

その後ごも自説じせつを堅持けんじし、1930年ねんから3年間ねんかん、広島ひろしま文理ぶんり科か大学だいがく（現げん、広島大学ひろしまだいがく）専任せんにん講師こうしを務つとめた後のち、1933年ねん、左京さきょう区く鹿しかケ谷だにに、教おしえ子ごである安田やすだ理り深ふか・松原まつばら祐ゆう善ぜん・山崎やまざき俊英としひでらと興きょう法ほう学園がくえんを開設かいせつした。1942年ねん、大谷大学おおたにだいがく教授きょうじゅに復職ふくしょく。1944年ねんには、 真宗しんしゅう大谷おおや派は最高さいこうの学がく階かいである講師こうしを授与じゅよされた。 1951年ねん、同どう大学だいがく名誉めいよ教授きょうじゅ。1963年ねん、真宗しんしゅう大谷おおや派は宗務しゅうむ顧問こもんとなる。1967年ねん、勲くん三さん等とう瑞宝章ずいほうしょう受章じゅしょう。

法語ほうご集しゅう

• 自じの喜よろこびの深ふかさは、他たの喜よろこびとなれることを知しるところにあるようである。随喜ずいきされない喜よろこびは眞しんの喜よろこびではない。(『口語こうご譯やく・教行信証きょうぎょうしんしょう』信しんの巻まき　領解りょうかい)
• 悲かなしみは悲かなしみを知しる悲かなしみに救すくわれ、涙なみだは涙なみだにそそがれる涙なみだにたすけらる。(『歎異抄しょう領解りょうかい』)
• やり直なおしのきかぬ人生じんせいであるが、見直みなおすことができる。
• 花はなびらは散ちっても花はなは散ちらない　形かたちは滅ほろびても人ひとは死しなぬ。
• お念仏ねんぶつとは自分じぶんを発見はっけんする場所ばしょである。
• わが日本人にっぽんじんにおいては、陛下へいかの御名ぎょめいにおいて、その実みの御ご徳とくが全ぜん現あらわしておるのであります。それ故ゆえに国民こくみんは、陛下へいかの御名ぎょめいにおいて生いき、陛下へいかの御名ぎょめいにおいて死しすることができるのであります。（『正法しょうぼうの顕現けんげん』）

※末尾まつびに括弧かっこのない句くは、「しんらんWEB 法話ほうわ集しゅう」より転載てんさい

主要しゅような著書ちょしょ

• 真宗しんしゅうの教義きょうぎ及其歴史れきし（無我むが山やま房ぼう、1915年ねん）
• 仏教ぶっきょう概論がいろん（岩波書店いわなみしょてん、1919年ねん）
• 真宗しんしゅう学がく序説じょせつ（文献ぶんけん書院しょいん、1923年ねん）
• 宗教しゅうきょう生活せいかつとその純化じゅんか（広島ひろしま高等こうとう師範しはん仏教ぶっきょう青年せいねん会かい、1923年ねん）
• 浄土じょうどの観念かんねん（文栄堂ぶんえいどう、1925年ねん）
• 真宗しんしゅうに於おける如来にょらい及浄土どの観念かんねん（述じゅつ）（真宗しんしゅう学がく研究所けんきゅうじょ、1926年ねん）
• 教行信証きょうぎょうしんしょうの概要がいよう（岩波書店いわなみしょてん、1927年ねん）
• 大だい無量むりょう寿ことぶき経けいの概要がいよう（文栄堂ぶんえいどう書店しょてん、1930年ねん）
• 信しん珠たま院いん順じゅん芸げい師し宗そう典のり研究けんきゅう－称名しょうみょう信楽しがらき二に願ねがい希まれ決けつ・読言南無なむ者しゃ釈しゃく－（校訂こうてい）（興きょう法ほう学園がくえん、1932年ねん）
• 観かん無量むりょう寿ことぶき経けい阿弥陀あみだ経けい概要がいよう（文栄堂ぶんえいどう書店しょてん、1936年ねん）
• 人生じんせいのゆくへ（金子かねこ大栄たいえい師し著述ちょじゅつ刊行かんこう会かい、1936年ねん）
• 本願ほんがんの宗教しゅうきょう（信道のぶみち会館かいかん、1937年ねん）
• 日本にっぽん仏教ぶっきょう史観しかん（岩波書店いわなみしょてん、1940年ねん）
• 三さん経けい義ぎ疏と日本にっぽん仏教ぶっきょう（内閣ないかく印刷いんさつ局きょく、1940年ねん）
• 親鸞しんらん教きょうの研究けんきゅう（第だい一いち書房しょぼう、1943年ねん）
• 正信まさのぶ偈げ講話こうわ（全ぜん人ひと社しゃ、1947年ねん）
• 大だい無量むりょう寿ことぶき経けい講話こうわ（上うえ・下した）（全ぜん人ひと社しゃ、1947年ねん）
• 観かん無量むりょう寿ことぶき経けい講話こうわ（上うえ・下した）（全ぜん人ひと社しゃ、1948年ねん）
• 華厳経けごんきょう概説がいせつ（全ぜん人ひと社しゃ、1948年ねん）
• 教行信証きょうぎょうしんしょうの研究けんきゅう（岩波書店いわなみしょてん、1956年ねん）
  • 校訂こうてい 教行信証きょうぎょうしんしょう（岩波いわなみ文庫ぶんこ）、ワイド版ばん1991年ねん
  • 口語こうご訳やく 教行信証きょうぎょうしんしょう（法蔵館ほうぞうかん、1961年ねん、新装しんそう版ばん2021年ねん）
• 尊号そんごう真しん像ぞう銘文めいぶん講話こうわ（上うえ・下した）（あそか書林しょりん、1958年ねん）
• 浄土じょうど三さん部ぶ経けいと浄土じょうど論ろんの概要がいよう（文栄堂ぶんえいどう書店しょてん、1963年ねん）
• 親鸞しんらん著作ちょさく全集ぜんしゅう（編へん）（法藏館ほうぞうかん、1964年ねん）
• 教行信証きょうぎょうしんしょう総説そうせつ（百ひゃく華はな苑えん、1964年ねん）
• 晩学ばんがく聞思録ろく（在家ありいえ仏教ぶっきょう協会きょうかい、1968年ねん）
• 和讃わさん日日ひび（正ただし・続つづけ）（東本願寺ひがしほんがんじ難波なんば別院べついん、1973年ねん）
• くずかご（文栄堂ぶんえいどう書店しょてん、1978年ねん）

著作ちょさく集しゅう

• 金子かねこ大栄おおえ選集せんしゅう 20巻かん・続ぞく巻まき3巻かん（在家ありいえ仏教ぶっきょう協会きょうかい、1956～61年ねん）
• 金子かねこ大栄おおえ講話こうわ集しゅう　5巻かん（法藏館ほうぞうかん、1971～77年ねん）
• 金子かねこ大栄おおえ随想ずいそう集しゅう 10巻かん（雄渾ゆうこん社しゃ、1972～74年ねん）
• 金子かねこ大栄おおえ著作ちょさく集しゅう 12巻かん・別巻べっかん4（春秋しゅんじゅう社しゃ、1977～86年ねん）

論文ろんぶん

• CiNii>金子かねこ大栄おおえ
• INBUDS>金子かねこ大栄おおえ

関連かんれん項目こうもく

• 浩ひろし々洞ほら（私塾しじゅく）