マッカーサー草案そうあん

マッカーサー草案そうあん（マッカーサーそうあん）またはGHQ草案そうあん（ジーエイチキューそうあん）は、1946年ねん（昭和しょうわ21年ねん）2月がつ12日にち、連合れんごう国軍こくぐん最高さいこう司令しれい官かん総そう司令しれい部ぶ (GHQ)により作成さくせいされた日本国にっぽんこく憲法けんぽう草案そうあんである。

起草きそうにあたってアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく憲法けんぽうほか世界せかい各国かっこくの憲法けんぽうが参考さんこうにされたとされる。

背景はいけい

マッカーサー三さん原則げんそく

ダグラス・マッカーサー

2月がつ3日にち、連合れんごう国軍こくぐん最高さいこう司令しれい官かんダグラス・マッカーサーは、憲法けんぽう改正かいせい作業さぎょうを日本にっぽん政府せいふに任まかせておいては、2月がつ26日にち以降いこう、マッカーサーを連合れんごう国軍こくぐん最高さいこう司令しれい官かんに任命にんめい（昭和しょうわ20年ねん8月がつ15日にち）した極東きょくとう委員いいん会かいの国際こくさい世論せろん（特とくにソ連それん、オーストラリア）から、天皇てんのう制せいの廃止はいしを要求ようきゅうされるおそれがあるとして、総そう司令しれい部ぶが憲法けんぽう草案そうあんを起草きそうすることを判断はんだんした。

このとき日本にっぽんの憲法けんぽう改正かいせいに際さいして守まもるべき三さん原則げんそく（マッカーサー・ノート）を、憲法けんぽう草案そうあん起草きそうの責任せきにん者しゃコートニー・ホイットニー民政みんせい局長きょくちょうに示しめした。

1.天皇てんのうは国家こっかの元首げんしゅの地位ちいにある。皇位こういは世襲せしゅうされる。天皇てんのうの職務しょくむおよび権能けんのうは、憲法けんぽうに基もとづき行使こうしされ、憲法けんぽうに表明ひょうめいされた国民こくみんの基本きほん的てき意思いしに応こたえるものとする。

2.国権こっけんの発動はつどうたる戦争せんそうは、廃止はいしする。日本にっぽんは、紛争ふんそう解決かいけつのための手段しゅだんとしての戦争せんそう、さらに自己じこの安全あんぜんを保持ほじするための手段しゅだんとしての戦争せんそうをも、放棄ほうきする。日本にっぽんはその防衛ぼうえいと保護ほごを、今いまや世界せかいを動うごかしつつある崇高すうこうな理想りそうに委ゆだねる。日本にっぽんが陸海空りくかいくう軍ぐんを持もつ権能けんのうは、将来しょうらいも与あたえられることはなく、交戦こうせん権けんが日本にっぽん軍ぐんに与あたえられることもない。

3.日本にっぽんの封建ほうけん制度せいどは廃止はいしされる。貴族きぞくの権利けんりは、皇族こうぞくを除のぞき、現在げんざい生存せいぞんする者もの一いち代だい以上いじょうには及およばない。華族かぞくの地位ちいは、今後こんごどのような国民こくみん的てきまたは市民しみん的てきな政治せいじ権力けんりょくを伴ともなうものではない。予算よさんの型かたは、イギリスの制度せいどに倣ならうこと。

この三さん原則げんそくを受うけ、総そう司令しれい部民ぶみん政局せいきょくには、憲法けんぽう草案そうあん作成さくせいのため、立法りっぽう権けん、行政ぎょうせい権けんなどの分野ぶんやごとに、条文じょうぶんの起草きそうを担当たんとうする8つの委員いいん会かいと全体ぜんたいの監督かんとくと調整ちょうせいを担当たんとうする運営うんえい委員いいん会かいが設置せっちされた。

起草きそうにあたったホイットニー局長きょくちょう以下いか25人にんのうち、ホイットニーを含ふくむ4人にんには弁護士べんごし経験けいけんがあった。しかし、憲法けんぽう学がくを専攻せんこうした者ものは一人ひとりもいなかったため、日本にっぽんの民間みんかん憲法けんぽう草案そうあん（特とくに憲法けんぽう研究けんきゅう会かいの「憲法けんぽう草案そうあん要綱ようこう」）や、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく憲法けんぽうほか世界せかい各国かっこくの憲法けんぽうが参考さんこうにされた。

民政みんせい局きょくでの昼夜ちゅうやを徹てっした作業さぎょうにより、各かく委員いいん会かいの試案しあんは、2月がつ7日にち以降いこう、次々つぎつぎと出来上できあがった。これらの試案しあんをもとに、運営うんえい委員いいん会かいとの協議きょうぎに付ふされた上うえで原案げんあんが作成さくせいされ、さらに修正しゅうせいの手てが加くわえられた。2月がつ10日とおか、最終さいしゅう的てきに九きゅう十じゅう二に箇条かじょうの草案そうあんにまとめられ、マッカーサーに提出ていしゅつされた。マッカーサーは、一部いちぶ修正しゅうせいを指示しじした上うえでこの草案そうあんを了承りょうしょうし、最終さいしゅう的てきな調整ちょうせい作業さぎょうを経へた上うえで、2月がつ12日にちに草案そうあんは完成かんせいした。

マッカーサーの承認しょうにんを経へて、2月がつ13日にち、「マッカーサー草案そうあん」（GHQ草案そうあん）が日本にっぽん政府せいふに提示ていじされた。

日本にっぽん政府せいふは「マッカーサー草案そうあん」（GHQ草案そうあん）に基もとづき総そう司令しれい部ぶとの折衝せっしょうの、4月がつ17日にち、口語こうご化かと修正しゅうせいを加くわえ、外国がいこく人じんの権利けんりおよび「家庭かていは、人間にんげん社会しゃかいの基礎きそであり、その伝統でんとうは、よきにつけ、悪あしきにつけ、民族みんぞくにしみこんでいる。」という文句もんくなどを削除さくじょし、「憲法けんぽう改正かいせい草案そうあん」を発表はっぴょう。6月8日にち、昭和しょうわ天皇てんのう臨席りんせきの下した、枢密院すうみついんはこれを可決かけつ、また8月がつ24日にち、衆議院しゅうぎいんにおいて若干じゃっかんの修正しゅうせいを加くわえ圧倒的あっとうてき多数たすうで可決かけつ、10月6日にち、貴族きぞく院いんは、若干じゃっかんの修正しゅうせいを加くわえ可決かけつした。翌よく7日にち、衆議院しゅうぎいんは貴族きぞく院いん回付かいふ案あんを可決かけつし、帝国ていこく議会ぎかいにおける憲法けんぽう改正かいせい手続てつづきはすべて終了しゅうりょうした。

憲法けんぽう研究けんきゅう会かいの「憲法けんぽう草案そうあん要綱ようこう」

1945年ねん（昭和しょうわ20年ねん）12月26日にち、日本にっぽんの民間みんかん憲法けんぽう草案そうあんである憲法けんぽう研究けんきゅう会かいの「憲法けんぽう草案そうあん要綱ようこう」が首相しゅしょう官邸かんていに提出ていしゅつされ、（検閲けんえつにより遅おくれて）12月28日にちに新聞しんぶん報道ほうどうされた。連合れんごう国軍こくぐん総そう司令しれい部ぶ（GHQ）で直ただちに英訳えいやくされ、GHQのラウエル法規ほうき課長かちょうは、「この憲法けんぽう草案そうあんに盛もられている諸しょ条項じょうこうは、民主みんしゅ主義しゅぎ的てきで、賛成さんせいできるものである」とし、米国べいこくにない国民こくみん主権しゅけん主義しゅぎや国民こくみん投票とうひょう制度せいどなどの規定きていについては「いちじるしく自由じゆう主義しゅぎ的まと」と評価ひょうかしている。

翌よく1946年ねん1月がつ11日にちに同案どうあんをベースにして、欠かけていた、憲法けんぽうの最高さいこう法規ほうき性せい、違憲いけん法令ほうれい（立法りっぽう）審査しんさ権けん、最高裁さいこうさい裁判官さいばんかんの選任せんにん方法ほうほう、刑事けいじ裁判さいばんにおける人権じんけん保障ほしょう（人身じんしんの自由じゆう規定きてい）、地方ちほう公務員こうむいんの選挙せんきょ規定きてい等とう10項目こうもくの原則げんそくを追加ついかし、憲法けんぽう草案そうあんに対たいする所見しょけんとして「ラウエル文書ぶんしょ」が作成さくせいされた。

現行げんこう日本国にっぽんこく憲法けんぽうとの相違そうい点てん

マッカーサー草案そうあん

「マッカーサー草案そうあん」（GHQ草案そうあん）の原文げんぶんは英語えいごであるが、以下いかは昭和しょうわ21年ねん2月がつ25日にちの閣議かくぎに提出ていしゅつされた外務省がいむしょうによる仮かり訳やくを元もとにしている。マッカーサー草案そうあんはアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく憲法けんぽうを基調きちょうとするため人民じんみん中心ちゅうしん的てき文体ぶんたいであるが、最終さいしゅう的てきに決きまった日本国にっぽんこく憲法けんぽうは大日本帝国だいにっぽんていこく憲法けんぽうからの文体ぶんたいを引ひき継つぐため、体制たいせい的てき・保守ほしゅ的てき文体ぶんたいである。

戦争せんそうの放棄ほうき

［マッカーサー草案そうあん（GHQ草案そうあん）］

第だい八はち条じょう 国民こくみんノ一いち主権しゅけんトシテノ戦争せんそうハ之のヲ廃止はいしス他ほかノ国民こくみんトノ紛争ふんそう解決かいけつノ手段しゅだんトシテノ武力ぶりょくノ威嚇いかく又またハ使用しようハ永久えいきゅうニ之のヲ廃棄はいきス

陸軍りくぐん、海軍かいぐん、空軍くうぐん又またハ其ノ他ほかノ戦力せんりょくハ決けつシテ許諾きょだくセラルルコト無むカルヘク又また交戦こうせん状態じょうたいノ権利けんりハ決けつシテ国家こっかニ授与じゅよセラルルコト無むカルヘシ

［日本国にっぽんこく憲法けんぽう］

第だい9条じょう 日本にっぽん国民こくみんは、正義せいぎと秩序ちつじょを基調きちょうとする国際こくさい平和へいわを誠実せいじつに希求ききゅうし、国権こっけんの発動はつどうたる戦争せんそうと、武力ぶりょくによる威嚇いかく又または武力ぶりょくの行使こうしは、国際こくさい紛争ふんそうを解決かいけつする手段しゅだんとしては、永久えいきゅうにこれを放棄ほうきする。

2 前項ぜんこうの目的もくてきを達たっするため、陸海空りくかいくう軍ぐんその他たの戦力せんりょくは、これを保持ほじしない。国くにの交戦こうせん権けんは、これを認みとめない。

日本国にっぽんこく憲法けんぽう第だい9条じょう第だい2項こう冒頭ぼうとうに「前項ぜんこうの目的もくてきを達たっするため」という文言もんごんが挿入そうにゅうされたことで（芦田あしだ修正しゅうせい）、「戦力せんりょく」を「保持ほじしない」規定きていが第だい1項こうの指さす侵略しんりゃく戦争せんそうを否定ひていするためのものであって、自衛じえい戦争せんそうおよび自衛じえいのための戦力せんりょく保持ほじまでは否定ひていしないとの解釈かいしゃくが可能かのうになった。このためGHQは極東きょくとう委員いいん会かいからの要請ようせいとして「国務大臣こくむだいじんはすべてcivilians（文民ぶんみん）たることを要ようする」と日本にっぽん政府せいふに指示しじした。これによって憲法けんぽう第だい66条じょうに文民ぶんみん規定きていが置おかれることになり、文民ぶんみん統制とうせいによって軍部ぐんぶや防衛ぼうえい官僚かんりょうなどの暴走ぼうそうを民主みんしゅ主義しゅぎ的てき政治せいじ体制たいせいによってコントロールするよう努つとめることが目標もくひょうとされた。

人権じんけん規定きてい

［マッカーサー草案そうあん（GHQ草案そうあん）］

第だい9条じょう
日本にっぽん国こくの人民じんみんは何なに等とうの干渉かんしょうを受うけることなく一切いっさいの基本きほん的てき人権じんけんを享有きょうゆうする権利けんりを有ゆうする。

［日本国にっぽんこく憲法けんぽう］

第だい11条じょう
国民こくみんは、すべての基本きほん的てき人権じんけんの享有きょうゆうを妨さまたげられない。この憲法けんぽうが国民こくみんに保障ほしょうする基本きほん的てき人権じんけんは、侵おかすことのできない永久えいきゅうの権利けんりとして、現在げんざい及および将来しょうらいの国民こくみんに与あずかへられる。

［マッカーサー草案そうあん（GHQ草案そうあん）］

第だい11条じょう
この憲法けんぽうにより宣言せんげんされる自由じゆう、権利けんり及および機会きかいは人民じんみんの不断ふだんの監視かんしにより確保かくほされるものにして、人民じんみんはその濫用らんようを防ふせぎ、常つねにこれを共同きょうどうの福祉ふくしの為ために行使こうしする義務ぎむを有ゆうする。

［日本国にっぽんこく憲法けんぽう］

第だい12条じょう
この憲法けんぽうが国民こくみんに保障ほしょうする自由じゆう及および権利けんりは、国民こくみんの不断ふだんの努力どりょくによつて、これを保持ほじしなければならない。又また、国民こくみんは、これを濫用らんようしてはならないのであつて、常つねに公共こうきょうの福祉ふくしのためにこれを利用りようする責任せきにんを負ふふ。

［マッカーサー草案そうあん（GHQ草案そうあん）］

第だい13条じょう
一切いっさいの自然人しぜんじんは法律ほうりつ上じょう平等びょうどうである。政治せいじ的てき、経済けいざい的てき又または社会しゃかい的てき関係かんけいに於おいて人種じんしゅ、信条しんじょう、性別せいべつ、社会しゃかい的てき身分みぶん、階級かいきゅう又または国籍こくせき起源きげんの如何いかに依より如何いかなる差別さべつ的てき待遇たいぐうも許容きょよう又または黙認もくにんされることはない。

［日本国にっぽんこく憲法けんぽう］

第だい14条じょう
すべて国民こくみんは、法ほうの下したに平等びょうどうであつて、人種じんしゅ、信条しんじょう、性別せいべつ、社会しゃかい的てき身分みぶん又または門地もんちにより、政治せいじ的てき、経済けいざい的てき又または社会しゃかい的てき関係かんけいにおいて、差別さべつされない。

［マッカーサー草案そうあん（GHQ草案そうあん）］

第だい14条じょう
人民じんみんはその政府せいふ及および皇位こういの終局しゅうきょく的てき決定けってい者しゃである。彼等かれらはその公務員こうむいんを選定せんてい及および罷免ひめんする不可ふか譲ゆずるの権利けんりを有ゆうする。

一切いっさいの公務員こうむいんは全ぜん社会しゃかいの奴僕どぼくにして如何いかなる団体だんたいの奴僕どぼくでもない。

［日本国にっぽんこく憲法けんぽう］

第だい15条じょう
1.公務員こうむいんを選定せんていし、及およびこれを罷免ひめんすることは、国民こくみん固有こゆうの権利けんりである。

2.すべて公務員こうむいんは、全体ぜんたいの奉仕ほうし者しゃであつて、一部いちぶの奉仕ほうし者しゃではない。

3.公務員こうむいんの選挙せんきょについては、成年せいねん者しゃによる普通ふつう選挙せんきょを保障ほしょうする。

4.すべて選挙せんきょにおける投票とうひょうの秘密ひみつは、これを侵おかしてはならない。選挙せんきょ人じんは、その選択せんたくに関かんし公的こうてきにも私的してきにも責任せきにんを問といはれない。

［マッカーサー草案そうあん（GHQ草案そうあん）］

第だい16条じょう
外国がいこく人じんは平等びょうどうは法律ほうりつの保護ほごを受うける権利けんりを有ゆうする。

この条文じょうぶんと同様どうようの規定きていは、日本国にっぽんこく憲法けんぽうに存在そんざいしない。

マッカーサー草案そうあん（GHQ草案そうあん）は、主語しゅごに「人民じんみん/何人なんにん/自然人しぜんじん」という語かたりを用もちい、また「外国がいこく人じんに対たいする法ほうの平等びょうどうな保護ほご」を定さだめる条文じょうぶんを設もうけていた。日本国にっぽんこく憲法けんぽうでは「人民じんみん/何人なんにん/自然人しぜんじん」は「何人なんにん」を除のぞいて「国民こくみん」と書かき換かえられ、「外国がいこく人じんに対たいする法ほうの平等びょうどうな保護ほご」を直接ちょくせつ訴うったえる条文じょうぶんは無なくなっている。たとえば第だい13条じょうでは「自然人しぜんじん（natural person）」を「国民こくみん（person）」に改あらため、英文えいぶんの変更へんこうを最小限さいしょうげんに留とめながら、実際じっさいには外国がいこく人じんを対象たいしょうから外はずすというテクニックを使つかっている。

第だい13条じょう「法律ほうりつ上じょう平等びょうどう」が第だい14条じょう「法ほうの下したの平等びょうどう」に改あらためられた。

第だい14条じょう「人民じんみん」が第だい15条じょう「国民こくみん固有こゆう」に改あらためられた。また、天皇てんのうに対たいする法的ほうてき優位ゆういを明記めいきした「其ノ政府せいふ及皇位いノ終局しゅうきょく的てき決定けってい者しゃ」の部分ぶぶんが無なくなった。

国会こっかいの構成こうせい

［マッカーサー草案そうあん（GHQ草案そうあん）］

第だい41条じょう
国会こっかいは、３００人にんより少すくなからず、５００人にんを超こえない範囲はんいで選挙せんきょされた議員ぎいんにより単一たんいつの院いんをもって構成こうせいする。

［日本国にっぽんこく憲法けんぽう］

第だい42条じょう
国会こっかいは、衆議院しゅうぎいん及および参議院さんぎいんの両りょう議院ぎいんでこれを構成こうせいする。

マッカーサー草案そうあんでは国会こっかいは一院制いちいんせいであった。

最高さいこう裁判所さいばんしょの違憲いけん法令ほうれい審査しんさ権けん

［マッカーサー草案そうあん（GHQ草案そうあん）］

第だい73条じょう
1.最高法院さいこうほういんは、最終さいしゅう裁判所さいばんしょである。法律ほうりつ、命令めいれい、規則きそく又または官憲かんけんの行為こういの憲法けんぽう上じょうの合憲ごうけんか否ひかを決定けっていの問題もんだいと認みとめるときは、憲法けんぽう第だい３章しょうに基もとづく又または関連かんれんするあらゆる場合ばあいにおいては、最高法院さいこうほういんの判決はんけつをもって最終さいしゅうとする。規則きそく又または官憲かんけんの行為こういの憲法けんぽう上じょうの合憲ごうけんか否ひかの決定けっていの問題もんだいと認みとめるとその他たのあらゆる場合ばあいにおいて、国会こっかいは、最高法院さいこうほういんの判決はんけつを再審さいしんすることができる。
2.再審さいしんに附ふすることができる最高法院さいこうほういんの判決はんけつは、再審さいしんに関かんする手続てつづき規則きそくを制定せいていする。

［日本国にっぽんこく憲法けんぽう］

第だい81条じょう
最高さいこう裁判所さいばんしょは、一切いっさいの法律ほうりつ、命令めいれい、規則きそく又または処分しょぶんが憲法けんぽうに適合てきごうするかしないかを決定けっていする権限けんげんを有ゆうする終審しゅうしん裁判所さいばんしょである。

国会こっかいによる「最高裁判所さいこうさいばんしょの違憲いけん判決はんけつ」への再審さいしん手続てつづきが削除さくじょされている。

地方ちほう自治じち

［マッカーサー草案そうあん（GHQ草案そうあん）］

第だい87条じょう
首都しゅと地方ちほう、市し及および町まちの住民じゅうみんは彼かれらの財産ざいさん、事務じむ及および政治せいじを処理しょりし、並ならびに国会こっかいの制定せいていする法律ほうりつの範囲はんい内ないにおいて、彼かれら自身じしんの憲章けんしょうを作成さくせいする権利けんりを奪うばわれない。

［日本国にっぽんこく憲法けんぽう］

第だい94条じょう
地方ちほう公共こうきょう団体だんたいは、その財産ざいさんを管理かんりし、事務じむを処理しょりし、及および行政ぎょうせいを執行しっこうする権能けんのうを有ゆうし、法律ほうりつの範囲はんい内ないで条例じょうれいを制定せいていすることができる。

「住民じゅうみん」が「地方ちほう公共こうきょう団体だんたい」に改あらためられている。

参考さんこう文献ぶんけん

• 宮沢みやざわ俊しゅん義よし『憲法けんぽうII』有斐閣ゆうひかく、1959年ねん。 

関連かんれん項目こうもく

• 日本国にっぽんこく憲法けんぽう改正かいせい案あん一覧いちらん
• 憲法けんぽう改正かいせい論議ろんぎ
• 憲法けんぽう無効むこう論ろん
• 八はち月がつ革命かくめい説せつ
• 押おし付つけ憲法けんぽう論ろん
• GHQ草案そうあん手交しゅこう時じの脅迫きょうはく問題もんだい

外部がいぶリンク

• マッカーサー3原則げんそく（「マッカーサーノート」） 1946年ねん2月がつ3日にち
• マッカーサー原案げんあん（GHQ原案げんあん）作成さくせい作業さぎょうの記録きろく
• マッカーサー草案そうあん（GHQ草案そうあん） 1946年ねん2月がつ13日にち
• 憲法けんぽう研究けんきゅう会かい「憲法けんぽう草案そうあん要綱ようこう」 1945年ねん12月2日にち
• ラウエル「私的してきグループによる憲法けんぽう改正かいせい草案そうあん（憲法けんぽう研究けんきゅう会かい案あん）に対たいする所見しょけん」（ラウエル文書ぶんしょ） 1946年ねん1月がつ11日にち