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延縄はえなわ

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はえなわりょうから転送てんそう
多数たすう延縄はえなわようはり整頓せいとんしてある様子ようす。(スペイン、リャンサ漁港ぎょこうにて)
延縄はえなわ漁具ぎょぐ積載せきさいした漁船ぎょせん。(スペイン、ビベイロにて)
延縄はえなわりょうをしている漁船ぎょせんのまわりにあつまってきた海鳥うみどり
延縄はえなわはりにひっかかってしまったアホウドリ

延縄はえなわ(はえなわ)は、漁業ぎょぎょう使つかわれる漁具ぎょぐ一種いっしゅ。1ほんみきなわ多数たすうえだなわ(これを延縄はえなわぶ)をつけ、えだなわ先端せんたんばりをつけた構成こうせいとなっている。また延縄はえなわもちいた漁法ぎょほうを「延縄はえなわりょう」とぶ。

延縄はえなわりょうふるくからもちいられた漁法ぎょほうで、延縄はえなわ漁場ぎょじょう仕掛しかけたのち、しばらく放置ほうちしてふたた延縄はえなわ回収かいしゅうしておさむる。あみ使つかった漁法ぎょほうくらべて、時間じかんかり漁師りょうし作業さぎょうりょうおお効率こうりつてんおとる。ねらったさかなだけを獲得かくとくするのが比較的ひかくてき可能かのうであるため漁業ぎょぎょう資源しげんたいしてやさしい漁法ぎょほうだという利点りてん主張しゅちょうするこえがある一方いっぽうで、ウミガメや海鳥うみどりはりにかかり死亡しぼうするケースがおおいためにこの漁法ぎょほう問題もんだいするこえもある。

延縄はえなわ構造こうぞう種類しゅるい[編集へんしゅう]

延縄はえなわ構造こうぞうは、みきなわ(みきなわ)にのれんのように、えだなわ(えだなわ)をなんほん一定いってい間隔かんかくにたらすようになっている。えだなわさきにはばり、または疑似ぎじえさがつく。また、みきなわささえるためのきをけるうわなわもある。

みきなわながさはすう10mからすう1000m、マグロ延縄はえなわなどでは10kmから100kmをえるものもある。延縄はえなわあつかいやすくするため、みきなわ比較的ひかくてきみじか分割ぶんかつできるようになっている。この分割ぶんかつ単位たんいのことを「はち」とよぶ。はちは、延縄はえなわ保管ほかんするためのはちから語源ごげんがきている。

延縄はえなわ仕掛しかけを設置せっちすることを「とうなわ(なげなわ)」、回収かいしゅうすることを「あげなわ(あげなわ)」とぶ。現在げんざいではほぼ機械きかいにより、えだなわけ、捕獲ほかくしたさかな回収かいしゅうなども自動じどうされている。

延縄はえなわは、さらに延縄はえなわふかさによって、浮延縄はえなわそこ延縄はえなわの2つにけることができる。

延縄はえなわ[編集へんしゅう]

延縄はえなわ水面すいめんちかくにり、水面すいめんちかくを回遊かいゆうする大型おおがたぎょねら方法ほうほうである。おもマグロサケマスなどをりょう対象たいしょうとしており、マグロ延縄はえなわはこれにあたる。

そこ延縄はえなわ[編集へんしゅう]

そこ延縄はえなわは、延縄はえなわいちはち間隔かんかく沈子ちんしとよばれるおもりをつけて、そこちかくに延縄はえなわり、そこ付近ふきん生息せいそくしているさかなねら方法ほうほうである。おもタラカレイヒラメタイなどをねら仕掛しかけである。

日本にっぽん延縄はえなわりょう[編集へんしゅう]

日本にっぽんでの延縄はえなわりょう起源きげんははっきりしていないが、ふるくからおこなわれており、『古事記こじき』や『古今ここんしゅう』にもその記載きさいがある。ふるくは、千尋ちひろなわともよばれた。しかし、室町むろまち時代じだい以降いこうは、漁網ぎょもう発達はったつし、小型こがたぎょたいするそこ延縄はえなわによるりょう次第しだい衰退すいたいし、マグロなどの大型おおがたぎょねらりょうのぞいては、あみることがむずかしい岩礁がんしょうたい使つかわれることにかぎられていた。

しかし、あみによるりょうはその効率こうりつさや、ねらったさかな以外いがいげてしまうため、漁業ぎょぎょう資源しげん枯渇こかつ問題もんだいとなっている。スケソウダラなどでは延縄はえなわによるりょうかぎるなど、延縄はえなわ漁法ぎょほうへの見直みなおしがおこなわれてもいる。

マグロ延縄はえなわりょう[編集へんしゅう]

マグロ延縄はえなわりょうは、江戸えど時代じだいの18世紀せいきちゅうごろに紀伊きい半島はんとうから房総半島ぼうそうはんとう南端なんたんうつんだ漁民ぎょみんたちのにより、現在げんざい館山たてやまにあたる布良めらみなとはじまったといわれている。布良めらには記念きねん建立こんりゅうしている。

延縄はえなわによるマグロりょう日本にっぽん各地かくちひろまり、もっと有力ゆうりょく漁法ぎょほうとなっている。太平洋戦争たいへいようせんそうこうは、日本にっぽん近海きんかいのマグロ漁獲ぎょかくだか減少げんしょうがすすみ、またマグロ需要じゅよう増加ぞうかけて、日本にっぽん延縄はえなわせんインド洋いんどようオーストラリア南方なんぽうから大西おおにしひろしまで進出しんしゅつした。欧米おうべい各国かっこくはマグロの激減げきげん延縄はえなわりょう原因げんいんもとめており、マグロりょうぜん世界せかいてき禁止きんし提案ていあんしている。

だこばこ延縄はえなわりょう[編集へんしゅう]

タコ岩礁がんしょうなどのせま場所ばしょこのむが、この性質せいしつ利用りようしてだこつぼだこばこ使つかったりょう日本にっぽん各地かくちにみることができる。新潟にいがたけんでは、このだこばこ延縄はえなわえだなわさきすうじゅうとりつけただこばこ延縄はえなわをつかっておもミズダコりょうおこなわれている。

世界せかい延縄はえなわりょう[編集へんしゅう]

アメリカのカニ延縄はえなわ[編集へんしゅう]

アメリカのチェサピークわんカニりょうさかんであるが、そこではトロットライン(trotline)とばれるが、えだなわさきはりではなくえさをつけてカニを漁法ぎょほうである。

ひがしヨーロッパのチョウザメ延縄はえなわ[編集へんしゅう]

カスピ海かすぴかい黒海こっかいでは、みじか間隔かんかくえさをつけない延縄はえなわをつかって、通過つうかするチョウザメける方法ほうほうりょうおこなう。一時期いちじきは、どう地域ちいきひろおこなわれていたがチョウザメの激減げきげん原因げんいんとされ、現在げんざいでは、このような漁法ぎょほうはほぼ禁止きんし状態じょうたいである。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 金田かねだただし和文わぶん英文えいぶん 日本にっぽん漁業ぎょぎょう漁法ぎょほう』、成山なりやまどう書店しょてん、1995ねんISBN 4-425-81091-0
  • 野村のむら正恒まさつね最新さいしん 漁業ぎょぎょう技術ぎじゅつ一般いっぱん』、成山なりやまどう書店しょてん、2000ねん (ISBN 4-425-81064-3)
  • 田辺たなべさとるあみ(あみ)』(ものと人間にんげん文化ぶんか 106)、法政大学ほうせいだいがく出版しゅっぱんきょく、2002ねんISBN 4-588-21061-0
  • 金田かねだただし日本にっぽん漁具ぎょぐ漁法ぎょほう図説ずせつ』(増補ぞうほていばん)、成山なりやまどう書店しょてん、2005ねんISBN 4-425-81005-8