ひげのサムエルのおはなし

『ひげのサムエルのおはなし』（The Tale of Samuel Whiskers or, The Roly-Poly Pudding ;1908）は、ビアトリクス・ポター作さくの絵本えほんである。

あらすじ

猫ねこのタビタ・トウィチットがパンを焼やく間あいだ悪戯いたずらされないように三さん匹ひきの子供こどもたちを押入おしいれに入いれる事ことにした。しかしトムを捜さがしている内うちにモペットとミトンが鍵かぎの掛かかっていなかった押入おしいれから出でてきて台所だいどころの練ねり粉こをいじり始はじめる。

そこにタビタのいとこのリビーが玄関げんかんのドアを叩たたく音おとが聞きこえてきたので、驚おどろいた二人ふたりは小麦粉こむぎこの樽たると牛乳ぎゅうにゅう置おき場ばにあった空そらの壺つぼの中なかに隠かくれた。事情じじょうを話はなしたタビタとリビーは一緒いっしょにトムを捜さがし始はじめる。その途中とちゅうでモペットとミトンを見みつけると、子供こどもたちは年寄としよりのねずみが練ねり粉こ・バター・麺棒めんぼうを盗ぬすんでいったと話はなす。屋根裏やねうら部屋へやを捜さがした時ときに床下ゆかしたから何なにかを転ころがしているような音おとがしていたのを思おもい出だしたタビタとリビーは犬いぬの大工だいくのジョンを呼よぶことにした。

トムに何なにがあったかというと、押入おしいれに入はいるのを嫌いやがって逃にげ出だしたトムは隠かくれ場所ばしょを探さがして暖炉だんろから煙突えんとつを登のぼっていき、その途中とちゅうで屋根裏やねうら部屋へやの床下ゆかしたに迷まよい込こむ。そしてそこに住すんでいたねずみの夫婦ふうふのひげのサムエルとアナ・マライアに捕つかまり、猫ねこまき団子だんごにされることになった。

道具どうぐと材料ざいりょうを盗ぬすんできたねずみ達たちが麺棒めんぼうを使つかってトムを包つつんだ練ねり粉この形かたちを整ととのえているところで大工だいくのジョンが床板とこいたを鋸のこで切きり始はじめたので、ねずみ達たちはトムを置おいて逃にげ出だし、以前いぜん盗ぬすんだものをまとめて引ひっ越こしていった。その日ひタビタはトムを包つつんでいた煤すすだらけ（トムが煙突えんとつを通とおっていたため）の練ねり粉こで干ほし葡萄ぶどう入いりの茹ゆで団子だんごを作つくり、昼食ちゅうしょくに出だした。

サムエルとアナ・マライアの引越ひっこし先さきは農家のうかの納屋なやで、その後ごこの納屋なやはサムエル夫婦ふうふの子孫しそんたちによってひどく荒あらされるようになる。成長せいちょうした三さん匹ひきの子供こどもたちの内うち、モペットとミトンはねずみを捕とるのがとても上手うまくなり、ネズミ捕ねずみとりで生計せいけいを立たてるようになった。しかしトムは「余程よほど小ちいさなものでもなければ」いつまで経たってもねずみを怖こわがった（原文げんぶんでは"never durst face anything bigger than - A Mouse"。翻訳ほんやくの際さい日本語にほんごにmouseとratの区別くべつがないためにこう訳やくされた）。