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アカヒゲ

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アカヒゲ
亜種ホントウアカヒゲのオス
アカヒゲ(オス) Larvivora komadori
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : とりつな Aves
: スズメ Passeriformes
: ヒタキ Muscicapidae
ぞく : Larvivora
たね : アカヒゲ L. komadori
学名がくめい
Larvivora komadori (Temminck, 1835)[1]
和名わみょう
アカヒゲ[2][3]
英名えいめい
Ryukyu robin[1][2]

アカヒゲあかひげ[4]Larvivora komadori)は、とりつなスズメヒタキLarvivoraぞく分類ぶんるいされる鳥類ちょうるい

分布ぶんぷ

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日本にっぽん南西諸島なんせいしょとう男女群島だんじょぐんとう

けいりょうあいだ諸島しょとうでも2れい確認かくにんれいがあるが、亜種あしゅ不明ふめいとされる[5]

分類ぶんるい

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たね小名しょうみょうkomadoriは、ほんたねコマドリちがえて記載きさいされたとかんがえられている[4]和名わみょうは「あか」がちがえられたことが由来ゆらいとされる[4]

コマドリときんえんで、ほんたねとコマドリの2しゅミトコンドリアDNA分子ぶんし系統けいとう推定すいていではコルリシマゴマなどにきんえんという解析かいせき結果けっかられている[6]以前いぜんきゅうコマドリぞくErithacusげんヨーロッパコマドリぞく)に分類ぶんるいされていた[3]改訂かいてい日本にっぽんさん鳥類ちょうるい目録もくろく だい7はんなどではノゴマぞくLuscinia分類ぶんるいされている[2]。2019ねん現在げんざいIOC World Bird Listなどでは、コマドリ・コルリ・シマゴマなどとLarvivoraぞく構成こうせいするせつ採用さいようしている[1]

形態けいたい・ミトコンドリアDNAの分子ぶんし系統けいとうがくてき解析かいせきからおおきくもと亜種あしゅ亜種あしゅホントウアカヒゲの2つの系統けいとうかれるとされ、系統けいとう地理ちりがくてき解析かいせきから更新こうしん中期ちゅうき琉球りゅうきゅう諸島しょとう分岐ぶんきしたと推定すいていされている[6]のち北部ほくぶ系統けいとうぐんわたりをおこなうようになったか(現在げんざいもと亜種あしゅ)、南部なんぶ系統けいとうぐんわたりをおこなわなくなった(現在げんざい亜種あしゅホントウコマドリ)と推定すいていされている[6]男女群島だんじょぐんとう個体こたいぐん個体こたいぐんくらべて隔離かくり分布ぶんぷしているものの、形態けいたいとミトコンドリアDNAの分子ぶんし系統けいとうがくてき解析かいせきどももと亜種あしゅふくまれ遺伝いでんてき距離きょりちいさいとされる[6]

以下いか分類ぶんるいはIOC World Bird List (v 9.1)に、和名わみょう日本にっぽん鳥類ちょうるい目録もくろく 改訂かいていだい7はんしたが[1][2]後述こうじゅつのようにBirdLife InternationalおよびそれにしたがっているIUCNレッドリストでは2017ねん現在げんざい以下いかの2亜種あしゅ独立どくりつしゅとしてあつかっている。

Larvivora komadori komadori (Temminck, 1835) アカヒゲ
奄美あまみ大島おおしま徳之島とくのしま男女群島だんじょぐんとうトカラ列島れっとう繁殖はんしょくする(なつとり[7][8]冬季とうきになるとさきとう諸島しょとう移動いどうする(ふゆとり[7]奄美あまみ大島おおしま徳之島とくのしまではしゅうねん生息せいそくする個体こたいもいる(留鳥りゅうちょう[7]夏季かきから秋季しゅうきにかけて大隅半島おおすみはんとう薩南諸島しょとうでもられ、薩南諸島しょとうでは繁殖はんしょく記録きろくがあるが確実かくじつ繁殖はんしょくれいはない[7]
全長ぜんちょう14センチメートル[7][9]上面うわつら羽衣はごろもつばさ赤褐色せきかっしょく[7]からだ下面かめん羽衣はごろもしろ[7]
がく黒色こくしょくまだら大型おおがた[7]。オスはかおから胸部きょうぶにかけてくろ[7]。オスの体側たいそくめん黒色こくしょくまだらはい[7]。メスは体側たいそくめん羽毛うもう外縁がいえんはねえん)が灰色はいいろで、鱗状りんじょう斑紋はんもんえる[7]
Larvivora komadori namiyei (Stejneger, 1887) ホントウアカヒゲ
日本にっぽん沖縄おきなわとう北部ほくぶ固有こゆう亜種あしゅ[5]和名わみょう沖縄おきなわとう沖縄おきなわ本島ほんとう)に分布ぶんぷすることに由来ゆらいする[4]
全長ぜんちょう14センチメートル[5][10]もと亜種あしゅ比較ひかくするとつばさ先端せんたんまるみをおびる[5][10]上面うわつらつばさだいだい褐色かっしょく[5]からだ下面かめん灰色はいいろ[5]
がく黒色こくしょくまだら小型こがた[5]。オスはかおから胸部きょうぶにかけてくろ[5]。オスの体側たいそくめん黒色こくしょくまだらはいらない[3]

以下いか亜種あしゅみとめるせつもあるが、採集さいしゅうれいが1れいしかないこと・繁殖はんしょく不明ふめいなこと、八重山列島やえやまれっとうもと亜種あしゅ越冬えっとうしていること、もと亜種あしゅ形態けいたい差異さいがほとんどないことから亜種あしゅ有効ゆうこうせい疑問ぎもんするせつもある[11][12]。1989ねんには以下いか亜種あしゅを、もと亜種あしゅのシノニムとするせつ提唱ていしょうされている[12]

Larvivora komadori subrufus (Kuroda, 1923) ウスアカヒゲ
日本にっぽん与那国島よなぐにじま固有こゆう亜種あしゅ[11]さきとう諸島しょとう分布ぶんぷしていたとするせつもあるが、確実かくじつ根拠こんきょはない[5]
上面うわつら羽衣はごろもつばさあかり赤褐色せきかっしょく[11][12]亜種あしゅ小名しょうみょうsubrufusは「ややあかい」の
がく黒色こくしょくまだら大型おおがた[11][12]
1921ねん10がつ与那国島よなぐにじまでオス1採集さいしゅうされたのみ[12]

生態せいたい

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常緑じょうりょく広葉樹こうようじゅりん生息せいそくするが、りんにも生息せいそくする[5][7]もと亜種あしゅのトカラ列島れっとう個体こたいぐんはリュウキュウチクりん生息せいそくすることもある[7]

ゴキブリそうはん翅目などの昆虫こんちゅう、クモ、ムカデるい・ヤスデるいといったあしるい、ミミズなどをひな給餌きゅうじしたれいがある[3]捕獲ほかくした成鳥せいちょう口角こうかく果汁かじゅう付着ふちゃくしているれいもあることから、果実かじつべるとかんがえられている[3]

もと亜種あしゅじょうほらなどの様々さまざま場所ばしょに、枯葉かれはづる樹皮じゅひなどをわせたおわんじょうをつくる[7]亜種あしゅホントウアカヒゲはほらやヘゴなどの根元ねもと倒木とうぼくなどに、枯葉かれはなどをわせたおわんじょうつく[5]もと亜種あしゅ亜種あしゅホントウアカヒゲども巣箱すばこ民家みんかなどの人為じんいてき環境かんきょうにも営巣えいそうする[5][7]もと亜種あしゅは1 - 5おもに4)のたまご[7]亜種あしゅホントウアカヒゲはおもに2〜5おもに4)のたまご[5]

人間にんげんとの関係かんけい

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日本にっぽんでは1970ねんたねとしてくに天然記念物てんねんきねんぶつ指定していされている[8]1993ねんぜん亜種あしゅしゅ保存法ほぞんほう施行しこうともな国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ指定していされている[13]

この記事きじでは亜種あしゅとしてあつかうが、IUCNレッドリストではもと亜種あしゅ亜種あしゅホントウアカヒゲをそれぞれ独立どくりつしゅとして分類ぶんるい判定はんていしている[10][9]

L. k. komadori アカヒゲ
人為じんいてき移入いにゅうされたフイリマングース奄美あまみ大島おおしま)やニホンイタチ(トカラ列島れっとう)による捕食ほしょくなどによる生息せいそくすう減少げんしょうし、森林しんりん伐採ばっさい開発かいはつ人為じんいてき移入いにゅうされたヤギによる生息せいそく破壊はかい懸念けねんされている[7]
NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[14]
絶滅ぜつめつ危惧きぐIIるい (VU)環境省かんきょうしょうレッドリスト[7]
L. k. namiyei ホントウアカヒゲ
人為じんいてき移入いにゅうされたフイリマングースやノイヌ・ノネコによる捕食ほしょくなどによる生息せいそくすう減少げんしょうし、森林しんりん伐採ばっさい開発かいはつによる生息せいそく破壊はかい懸念けねんされている[5]。フイリマングースの分布ぶんぷ拡大かくだいともない、沖縄おきなわとう中部ちゅうぶではほとんど繁殖はんしょく確認かくにんされなくなった[5]。1980ねんにおける生息せいそくすうさえずりや生息せいそく面積めんせきから沖縄おきなわとう北部ほくぶに25,900 - 36,000沖縄おきなわとう中部ちゅうぶに2,000 - 3,450推定すいていされているが、過大かだい評価ひょうかとするせつもある[5]
NEAR THREATENED (IUCN Red List Ver. 3.1 (2001))[15]
絶滅ぜつめつ危惧きぐIBるい (EN)環境省かんきょうしょうレッドリスト[5]
L. k. subrufus ウスアカヒゲ
絶滅ぜつめつ環境省かんきょうしょうレッドリスト[12]

画像がぞう

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参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ a b c d Chats, Old World flycatchers, Gill F & D Donsker (Eds). 2019. IOC World Bird List (v 9.2). doi:10.14344/IOC.ML.9.2. (Retrieved 29 June 2019)
  2. ^ a b c d 日本にっぽんとり学会がっかい「アカヒゲ」『日本にっぽん鳥類ちょうるい目録もくろく 改訂かいていだい7はん日本にっぽんとり学会がっかい目録もくろく編集へんしゅう委員いいんかいへん日本にっぽんとり学会がっかい、2012ねん、321-322ぺーじ
  3. ^ a b c d e せき伸一しんいち生態せいたい図鑑ずかん アカヒゲ」『Bird Research News』2012ねん1がつごう(Vol.9 No.1)、NPO法人ほうじん バードリサーチ、2012ねん、4-5ぺーじ
  4. ^ a b c d 安部あべ直哉なおややまけい名前なまえ図鑑ずかん 野鳥やちょう名前なまえ』、やま渓谷社けいこくしゃ、2008ねん、27、168ぺーじ
  5. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q せき伸一しんいち 「ホントウアカヒゲ」『レッドデータブック2014 -日本にっぽん絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動物どうぶつ-2 鳥類ちょうるい環境省かんきょうしょう自然しぜん環境かんきょうきょく野生やせい生物せいぶつ希少きしょうしゅ保全ほぜん推進すいしんしつへん株式会社かぶしきがいしゃぎょうせい、2014ねん、122-123ぺーじ
  6. ^ a b c d せき伸一しんいち男女だんじょ群島ぐんとうにおけるアカヒゲErithacus komadori生息せいそくじょうきょう分子ぶんし系統けいとうてき位置いち」『日本にっぽんとり学会がっかいだい58かん だい1ごう日本にっぽんとり学会がっかい、2009ねん、19-27ぺーじ
  7. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r せき伸一しんいち 「アカヒゲ」『レッドデータブック2014 -日本にっぽん絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動物どうぶつ-2 鳥類ちょうるい環境省かんきょうしょう自然しぜん環境かんきょうきょく野生やせい生物せいぶつ希少きしょうしゅ保全ほぜん推進すいしんしつへん株式会社かぶしきがいしゃぎょうせい、2014ねん、214-215ぺーじ
  8. ^ a b 加藤かとう陸奥むつつよし沼田ぬまたしん渡辺わたなべけいたかしはた正憲まさのり監修かんしゅう日本にっぽん天然記念物てんねんきねんぶつ』、講談社こうだんしゃ1995ねん、676、678ぺーじ
  9. ^ a b かさみはら建二けんじ 「アカヒゲ」『改訂かいてい沖縄おきなわけん絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい生物せいぶつ(レッドデータおきなわ)だい3はん-動物どうぶつへん』、沖縄おきなわけん文化ぶんか環境かんきょう自然しぜん保護ほごへん、2017ねん、156-157ぺーじ
  10. ^ a b c 金城きんじょう道男みちお小高おだか信彦のぶひこ 「ホントウアカヒゲ」『改訂かいてい沖縄おきなわけん絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい生物せいぶつ(レッドデータおきなわ)だい3はん-動物どうぶつへん』、沖縄おきなわけん文化ぶんか環境かんきょう自然しぜん保護ほごへん2017ねん、133-134ぺーじ
  11. ^ a b c d 梶田かじたまなぶ 「ウスアカヒゲ」『レッドデータブック2014 -日本にっぽん絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動物どうぶつ-2 鳥類ちょうるい環境省かんきょうしょう自然しぜん環境かんきょうきょく野生やせい生物せいぶつ希少きしょうしゅ保全ほぜん推進すいしんしつへん株式会社かぶしきがいしゃぎょうせい、2014ねん、240ぺーじ
  12. ^ a b c d e f 西海にしうみいさお 「ウスアカヒゲ」『環境省かんきょうしょうレッドリスト2018補遺ほい資料しりょう』、環境省かんきょうしょう自然しぜん環境かんきょうきょく野生やせい生物せいぶつ希少きしょうしゅ保全ほぜん推進すいしんしつ、2018ねん、14ぺーじ。(環境省かんきょうしょう・2019ねん6がつ29にち利用りよう
  13. ^ 国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつしゅ一覧いちらん・(環境省かんきょうしょう・2019ねん6がつ29にち利用りよう
  14. ^ BirdLife International 2017. Larvivora komadori (amended version of 2016 assessment). The IUCN Red List of Threatened Species 2017: e.T103767667A111165348. doi:10.2305/IUCN.UK.2017-1.RLTS.T103767667A111165348.en. Downloaded on 29 June 2019.
  15. ^ BirdLife International 2017. Larvivora namiyei (amended version of 2016 assessment). The IUCN Red List of Threatened Species 2017: e.T103767739A111960458. doi:10.2305/IUCN.UK.2017-1.RLTS.T103767739A111960458.en. Downloaded on 29 June 2019.

関連かんれん項目こうもく

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