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アミノレブリンさん

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
アミノレブリンさん
IUPAC命名めいめいほうによる物質ぶっしつめい
識別しきべつ
CAS番号ばんごう
106-60-5
ATCコード L01XD04 (WHO)
PubChem CID: 137
DrugBank APRD00793
KEGG C00430
化学かがくてきデータ
化学かがくしきC5H9NO3
分子ぶんしりょう131.13 g/mol
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5-アミノレブリンさん(5-aminolevulinic acid、5-ALA)またはδでるた-アミノレブリンさん(dALA, δでるたALA)は、ポルフィリン合成ごうせい経路けいろ最初さいしょ生成せいせいぶつである。

生物せいぶつしゅによってことなる合成ごうせい経路けいろ

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ポルフィリン合成ごうせい経路けいろ出発しゅっぱつ物質ぶっしつであるアミノレブリンさん合成ごうせい経路けいろには2種類しゅるいがあり、生物せいぶつ系統けいとうによってどちらをもちいているかはことなる。

Shemin経路けいろ
グリシンスクシニルCoAちぢみあわさせて合成ごうせいする。αあるふぁプロテオバクテリアと、かく生物せいぶつミトコンドリア利用りようされている。
C5経路けいろ
tRNAにチャージされているグルタミン酸ぐるたみんさん還元かんげんてきはなし、アミノもと転移てんい合成ごうせいする。だい部分ぶぶん原核げんかく生物せいぶつと、かく生物せいぶつ色素しきそたい利用りようされている。

2種類しゅるい経路けいろ両方りょうほうもつ生物せいぶつまれである。色素しきそたいかく生物せいぶつミトコンドリアっているが、通常つうじょうどちらか一方いっぽうのみがもちいられる。たとえば緑色みどりいろ植物しょくぶつべに珪藻けいそうでは色素しきそたいのC5経路けいろのみが利用りようされShemin経路けいろはそもそも存在そんざいしない。両方りょうほう経路けいろ利用りようしている生物せいぶつとしてはミドリムシげられる。

動物どうぶつにおける合成ごうせい経路けいろ

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動物どうぶつにおいてはグリシンおよびスクシニルCoAからアミノレブリンさん合成ごうせい酵素こうそEC 2.3.1.37)の作用さよう合成ごうせいされる。

5-アミノレブリンさんは、動物どうぶつにおいてはポルフォビリノーゲンシンターゼによってポルフォビリノーゲンEC 4.2.1.24)に代謝たいしゃされ、さらにヒドロキシメチルビランウロポルフィリノーゲンIIIコプロポルフィリノーゲンIIIプロトポルフィリノーゲンIXプロトポルフィリンIXとなる。プロトポルフィリンはてつイオンをはいくらいすることで、血液けつえきなかヘモグロビン薬物やくぶつ代謝たいしゃ酵素こうそであるP450構成こうせいするヘムとなる。

δでるた-アミノレブリンさんからプロトポルフィリンIXまでのなま合成ごうせい経路けいろ

合成ごうせい阻害そがい

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無機むきなまりは、SHもと結合けつごうすることにより、5-アミノレブリンさん脱水だっすい酵素こうそと、ヘム合成ごうせい酵素こうそ阻害そがいするため、尿にょうちゅうには5-アミノレブリンさんコプロポルフィリン排泄はいせつされる。これらの異常いじょう症状しょうじょうくてもみとめられるため、なまり曝露ばくろ指標しひょうとして有用ゆうようである。さらに、なまりのヘムの分解ぶんかい促進そくしん合成ごうせい阻害そがいにより、ヘムのりょういちじるしく減少げんしょうし、ヘモグロビンだけでなく、ヘム蛋白質たんぱくしつであるP450減少げんしょうする。症状しょうじょうとしては、貧血ひんけつなまりせんつうげられる。

用途ようと

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医薬いやく

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医療いりょう分野ぶんやにおいてはひかりぞうかんざいとして、光線こうせんせいかくしょうニキビ治療ちりょうやく(光線こうせん力学りきがくてき療法りょうほう、PDT)にもちいられており、近年きんねんではレーザー照射しょうしゃわせて脳腫瘍のうしゅよう術中じゅっちゅう診断しんだん(光線こうせん力学りきがくてき診断しんだんほう、PDD)にもちいられる。また、皮膚ひふがんひとしがん治療ちりょうこころみられている[1]。また、2018ねんには、京都きょうと大学だいがく和田わだたかしじんじゅん教授きょうじゅらが、難病なんびょうひとATR-X症候群しょうこうぐん治療ちりょうやくとしての可能かのうせい示唆しさする論文ろんぶん発表はっぴょうしている[2]

2021ねん2がつ9にち長崎大学ながさきだいがくきたきよし教授きょうじゅによると、5-アミノレブリンさん試験しけん管内かんない一定いっていりょう以上いじょう投与とうよすると、SARS CoV-2増殖ぞうしょく阻害そがい抑制よくせいすることが確認かくにんされた[4][5]。2月4にちからヒトへの臨床りんしょう試験しけん開始かいしされている。

がんリスク評価ひょうか《Noah》

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尿にょうちゅうのがん細胞さいぼう由来ゆらい代謝たいしゃぶつ酸化さんか物質ぶっしつ調しらべることで、がんのリスク評価ひょうかおこなうものである。注射ちゅうしゃいたみをともなわないおかせかさねせい評価ひょうか方法ほうほうとなっている。リスク評価ひょうかには健康けんこう食品しょくひん区分くぶんのALAカプセルを利用りようする。 米国べいこく(シカゴ)にて開催かいさいされたASCO 2020、米国べいこくがん治療ちりょうがく会議かいぎ(American Society of Clinical Oncology Annual Meeting)において、ALA-PDSのはいがん患者かんじゃ対象たいしょうとした解析かいせき研究けんきゅう結果けっかが、帝京大学ていきょうだいがく医学部いがくぶ附属ふぞく病院びょういん山内やまうち良兼りょうけん医師いしらにより報告ほうこくされている。 成果せいかは、5-アミノレブリンさんもちいた簡易かんいてきがんリスク評価ひょうかほう検討けんとう試験しけん倫理りんり審査しんさ委員いいんかい承認しょうにん番号ばんごう:17-138、研究けんきゅう実施じっし責任せきにんしゃ山内やまうち良兼りょうけん医師いし)としておこなわれた医師いし主導しゅどう臨床りんしょう研究けんきゅう成果せいか一部いちぶである[6]どう報告ほうこくにおいて、はいがん患者かんじゃぐんでは健常けんじょうボランティアぐんくらべ、尿にょうちゅうポルフィリン代謝たいしゃぶつ有意ゆうい上昇じょうしょうしていること、ステージ0またはステージIの早期そうきはいがん患者かんじゃぐんにおいても上昇じょうしょうすることがしめされたこと、PET-CTが陰性いんせいであったはいがん患者かんじゃぐんでも上昇じょうしょう確認かくにんされたことから、おかせかさねせい簡便かんべんなリスク評価ひょうか指標しひょう、あるいは診断しんだん補助ほじょ指標しひょうとしてどう手法しゅほうすぐれていることをしめすエビデンスとなっている。

肥料ひりょう

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ひかりぞうかんざい作用さようによる除草じょそうざいとしてかんがえられていたが大量たいりょう使つかわないと効果こうかがなく、ぎゃく成長せいちょう促進そくしんする現象げんしょうられて断念だんねん肥料ひりょうとして使用しようする研究けんきゅうがされた。てい濃度のうどのアミノレブリンさん微量びりょうのミネラルを配合はいごうした水溶液すいようえき植物しょくぶつ散布さんぷすると、葉緑素ようりょくそえて成長せいちょう促進そくしんさせることが発見はっけんされ、これを添加てんかした液体えきたい肥料ひりょう販売はんばいされるなど、農業のうぎょう分野ぶんやにおいても応用おうようされている。[7][8]

製造せいぞうほう

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協和醗酵工業きょうわはっこうこうぎょうコスモ石油こすもせきゆにおいて光合成こうごうせい細菌さいきん由来ゆらいするDNAを導入どうにゅうしたコリネバクテリウムによる大量たいりょう生産せいさんほう確立かくりつされている。[9]また、コスモ石油こすもせきゆロドバクターぞくきんたいしてひかり照射しょうしゃ必要ひつようとしない条件下じょうけんかでの5-アミノレブリンさん製造せいぞうにも成功せいこうしている。[10]

社会しゃかい問題もんだい

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2022ねん2がつ18にち消費しょうひしゃちょう表示ひょうじ根拠こんきょがなく景品けいひん表示法ひょうじほう健康けんこう増進ぞうしんほう違反いはんするおそれがあるとして、健康けんこう食品しょくひんで「コロナ対策たいさく免疫めんえきりょくアップ」と表示ひょうじされた「5―ALA」のサプリメントについて改善かいぜん要請ようせいした[11]

脚注きゃくちゅう

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  1. ^ 404 Page Not Found.[リンク]
  2. ^ 難治なんじせい疾患しっかん「ATR-X症候群しょうこうぐん」の治療ちりょうあらたなひかり”. 京都大きょうとだいがく (2018ねん5がつ22にち). 2022ねん4がつ1にち閲覧えつらん
  3. ^ 医療いりょうよう医薬品いやくひん : アラグリオ KEGG
  4. ^ 新型しんがたコロナ増殖ぞうしょく100%阻害そがい長崎大ながさきだい研究けんきゅう結果けっか発表はっぴょう【Nスタ】”. TBS NEWS (2021ねん2がつ9にち). 2021ねん2がつ14にち閲覧えつらん
  5. ^ 5-amino levulinic acid inhibits SARS-CoV-2 infection in vitro”. きたきよし,長崎大学ながさきだいがく (2021ねん2がつ9にち). 2021ねん2がつ14にち閲覧えつらん
  6. ^ 演題えんだい番号ばんごう:e21027,演題えんだいタイトル:The validity of 5-aminorevrinic acid as a biomarker for risk screening and supportive diagnostic parameters in lung cancer patients.  発表はっぴょうしゃ:Yoshikane Yamauchi et al.
  7. ^ 植物しょくぶつ成長せいちょう促進そくしんざい株式会社かぶしきがいしゃコスモ総合そうごう研究所けんきゅうじょとく開平かいへい4-338305
  8. ^ 5-アミノレブリンさん含有がんゆう固形こけい肥料ひりょうおよびその製造せいぞう方法ほうほうコスモ石油こすもせきゆ株式会社かぶしきがいしゃ特許とっきょだい5213293ごう
  9. ^ 5-アミノレブリンさん製造せいぞうほうコスモ石油こすもせきゆ株式会社かぶしきがいしゃとくひらけ2005-333907
  10. ^ 5-アミノレブリンまたはそのしお製造せいぞう方法ほうほうコスモ石油こすもせきゆ株式会社かぶしきがいしゃとくひらけ2015-181459
  11. ^ 新型しんがたコロナウイルスにたいする予防よぼう効果こうかひょうぼうする商品しょうひんとう表示ひょうじかんする改善かいぜん要請ようせいおよ一般いっぱん消費しょうひしゃとうへの注意ちゅうい喚起かんきについて (PDF) 消費しょうひしゃちょう れい4ねん2がつ18にち

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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