5-アミノレブリン酸 さん (5-aminolevulinic acid、5-ALA)またはδ でるた -アミノレブリン酸 さん (dALA, δ でるた ALA)は、ポルフィリン 合成 ごうせい 経路 けいろ の最初 さいしょ の生成 せいせい 物 ぶつ である。
生物 せいぶつ 種 しゅ によって異 こと なる合成 ごうせい 経路 けいろ [ 編集 へんしゅう ]
ポルフィリン合成 ごうせい 経路 けいろ の出発 しゅっぱつ 物質 ぶっしつ であるアミノレブリン酸 さん の合成 ごうせい 経路 けいろ には2種類 しゅるい があり、生物 せいぶつ の系統 けいとう によってどちらを用 もち いているかは異 こと なる。
Shemin経路 けいろ
グリシン とスクシニルCoA を縮 ちぢみ 合 あわ させて合成 ごうせい する。α あるふぁ プロテオバクテリア と、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ のミトコンドリア で利用 りよう されている。
C5経路 けいろ
tRNA にチャージされているグルタミン酸 ぐるたみんさん を還元 かんげん 的 てき に切 き り離 はな し、アミノ基 もと 転移 てんい を経 へ て合成 ごうせい する。大 だい 部分 ぶぶん の原核 げんかく 生物 せいぶつ と、真 ま 核 かく 生物 せいぶつ の色素 しきそ 体 たい で利用 りよう されている。
2種類 しゅるい の経路 けいろ を両方 りょうほう もつ生物 せいぶつ は稀 まれ である。色素 しきそ 体 たい を持 も つ真 ま 核 かく 生物 せいぶつ はミトコンドリア も持 も っているが、通常 つうじょう どちらか一方 いっぽう のみが用 もち いられる。例 たと えば緑色 みどりいろ 植物 しょくぶつ ・紅 べに 藻 も ・珪藻 けいそう では色素 しきそ 体 たい のC5経路 けいろ のみが利用 りよう されShemin経路 けいろ はそもそも存在 そんざい しない。両方 りょうほう の経路 けいろ を利用 りよう している生物 せいぶつ としてはミドリムシ が挙 あ げられる。
動物 どうぶつ においてはグリシン およびスクシニルCoA からアミノレブリン酸 さん 合成 ごうせい 酵素 こうそ (EC 2.3.1.37 )の作用 さよう で合成 ごうせい される。
5-アミノレブリン酸 さん は、動物 どうぶつ においてはポルフォビリノーゲンシンターゼ によってポルフォビリノーゲン (EC 4.2.1.24 )に代謝 たいしゃ され、さらにヒドロキシメチルビラン →ウロポルフィリノーゲンIII →コプロポルフィリノーゲンIII →プロトポルフィリノーゲンIX →プロトポルフィリンIX となる。プロトポルフィリンは鉄 てつ イオンを配 はい 位 くらい することで、血液 けつえき 中 なか のヘモグロビン や薬物 やくぶつ 代謝 たいしゃ 酵素 こうそ であるP450 を構成 こうせい するヘム となる。
δ でるた -アミノレブリン酸 さん からプロトポルフィリンIX までの生 なま 合成 ごうせい 経路 けいろ
無機 むき 鉛 なまり は、SH基 もと と結合 けつごう することにより、5-アミノレブリン酸 さん 脱水 だっすい 酵素 こうそ と、ヘム合成 ごうせい 酵素 こうそ を阻害 そがい するため、尿 にょう 中 ちゅう には5-アミノレブリン酸 さん とコプロポルフィリン が排泄 はいせつ される。これらの異常 いじょう 値 ち は症状 しょうじょう が無 な くても認 みと められるため、鉛 なまり 曝露 ばくろ の指標 しひょう として有用 ゆうよう である。さらに、鉛 なまり のヘムの分解 ぶんかい の促進 そくしん と合成 ごうせい の阻害 そがい により、ヘムの量 りょう は著 いちじる しく減少 げんしょう し、ヘモグロビンだけでなく、ヘム蛋白質 たんぱくしつ であるP450 も減少 げんしょう する。症状 しょうじょう としては、貧血 ひんけつ と鉛 なまり 仙 せん 痛 つう が挙 あ げられる。
医療 いりょう 分野 ぶんや においては光 ひかり 増 ぞう 感 かん 剤 ざい として、光線 こうせん 性 せい 角 かく 化 か 症 しょう やニキビ の治療 ちりょう 薬 やく (光線 こうせん 力学 りきがく 的 てき 療法 りょうほう 、PDT)に用 もち いられており、近年 きんねん ではレーザー 照射 しょうしゃ と組 く み合 あ わせて脳腫瘍 のうしゅよう の術中 じゅっちゅう 診断 しんだん (光線 こうせん 力学 りきがく 的 てき 診断 しんだん 法 ほう 、PDD)に用 もち いられる。また、皮膚 ひふ 癌 がん 等 ひとし の癌 がん の治療 ちりょう も試 こころ みられている[1] 。また、2018年 ねん には、京都 きょうと 大学 だいがく の和田 わだ 敬 たかし 仁 じん 准 じゅん 教授 きょうじゅ らが、難病 なんびょう の一 ひと つATR-X症候群 しょうこうぐん の治療 ちりょう 薬 やく としての可能 かのう 性 せい を示唆 しさ する論文 ろんぶん を発表 はっぴょう している[2] 。
2021年 ねん 2月 がつ 9日 にち 、長崎大学 ながさきだいがく の北 きた 潔 きよし 教授 きょうじゅ によると、5-アミノレブリン酸 さん を試験 しけん 管内 かんない で一定 いってい 量 りょう 以上 いじょう 投与 とうよ すると、SARS CoV-2 の増殖 ぞうしょく を阻害 そがい ・抑制 よくせい することが確認 かくにん された[4] [5] 。2月4日 にち からヒトへの臨床 りんしょう 試験 しけん も開始 かいし されている。
尿 にょう 中 ちゅう のがん細胞 さいぼう 由来 ゆらい 代謝 たいしゃ 物 ぶつ と酸化 さんか 物質 ぶっしつ を調 しら べることで、がんのリスク評価 ひょうか を行 おこな うものである。注射 ちゅうしゃ や痛 いた みを伴 ともな わない非 ひ 侵 おかせ 襲 かさね 性 せい の評価 ひょうか 方法 ほうほう となっている。リスク評価 ひょうか には健康 けんこう 食品 しょくひん 区分 くぶん のALAカプセルを利用 りよう する。
米国 べいこく (シカゴ)にて開催 かいさい されたASCO 2020、米国 べいこく 癌 がん 治療 ちりょう 学 がく 会議 かいぎ (American Society of Clinical Oncology Annual Meeting)において、ALA-PDSの肺 はい がん患者 かんじゃ を対象 たいしょう とした解析 かいせき 研究 けんきゅう 結果 けっか が、帝京大学 ていきょうだいがく 医学部 いがくぶ 附属 ふぞく 病院 びょういん 、山内 やまうち 良兼 りょうけん 医師 いし らにより報告 ほうこく されている。
成果 せいか は、5-アミノレブリン酸 さん を用 もち いた簡易 かんい 的 てき がんリスク評価 ひょうか 法 ほう の検討 けんとう 試験 しけん (倫理 りんり 審査 しんさ 委員 いいん 会 かい 承認 しょうにん 番号 ばんごう :17-138、研究 けんきゅう 実施 じっし 責任 せきにん 者 しゃ :山内 やまうち 良兼 りょうけん 医師 いし )として行 おこな われた医師 いし 主導 しゅどう 臨床 りんしょう 研究 けんきゅう の成果 せいか の一部 いちぶ である[6] 同 どう 報告 ほうこく において、肺 はい がん患者 かんじゃ 群 ぐん では健常 けんじょう ボランティア群 ぐん に比 くら べ、尿 にょう 中 ちゅう ポルフィリン代謝 たいしゃ 物 ぶつ が有意 ゆうい に上昇 じょうしょう していること、ステージ0又 また はステージIの早期 そうき 肺 はい がん患者 かんじゃ 群 ぐん においても上昇 じょうしょう することが示 しめ されたこと、PET-CTが陰性 いんせい であった肺 はい がん患者 かんじゃ 群 ぐん でも上昇 じょうしょう が確認 かくにん されたことから、非 ひ 侵 おかせ 襲 かさね 性 せい で簡便 かんべん なリスク評価 ひょうか 指標 しひょう 、あるいは診断 しんだん 補助 ほじょ 指標 しひょう として同 どう 手法 しゅほう が優 すぐ れていることを示 しめ すエビデンスとなっている。
光 ひかり 増 ぞう 感 かん 剤 ざい の作用 さよう による除草 じょそう 剤 ざい として考 かんが えられていたが大量 たいりょう に使 つか わないと効果 こうか がなく、逆 ぎゃく に成長 せいちょう を促進 そくしん する現象 げんしょう が見 み られて断念 だんねん 、肥料 ひりょう として使用 しよう する研究 けんきゅう がされた。低 てい 濃度 のうど のアミノレブリン酸 さん と微量 びりょう のミネラルを配合 はいごう した水溶液 すいようえき を植物 しょくぶつ に散布 さんぷ すると、葉緑素 ようりょくそ が増 ふ えて成長 せいちょう を促進 そくしん させることが発見 はっけん され、これを添加 てんか した液体 えきたい 肥料 ひりょう が販売 はんばい されるなど、農業 のうぎょう 分野 ぶんや においても応用 おうよう されている。[7] [8]
協和醗酵工業 きょうわはっこうこうぎょう とコスモ石油 こすもせきゆ において光合成 こうごうせい 細菌 さいきん に由来 ゆらい するDNAを導入 どうにゅう したコリネバクテリウムによる大量 たいりょう 生産 せいさん 法 ほう が確立 かくりつ されている。[9] また、コスモ石油 こすもせきゆ はロドバクター属 ぞく の菌 きん に対 たい して光 ひかり 照射 しょうしゃ を必要 ひつよう としない条件下 じょうけんか での5-アミノレブリン酸 さん の製造 せいぞう にも成功 せいこう している。[10]
2022年 ねん 2月 がつ 18日 にち 、消費 しょうひ 者 しゃ 庁 ちょう は表示 ひょうじ の根拠 こんきょ がなく景品 けいひん 表示法 ひょうじほう や健康 けんこう 増進 ぞうしん 法 ほう に違反 いはん する恐 おそ れがあるとして、健康 けんこう 食品 しょくひん で「コロナ対策 たいさく 、免疫 めんえき 力 りょく アップ」と表示 ひょうじ された「5―ALA」のサプリメントについて改善 かいぜん を要請 ようせい した[11] 。