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アラン＝ルネ・ルサージュ

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　アラン＝ルネ・ルサージュ

Alain-René Lesage
生誕せいたん (1668-05-06) 1668年ねん5月6日にち
フランスの旗 フランス
死没しぼつ (1747-11-17) 1747年ねん11月17日にち（79歳さい没ぼつ）
フランスの旗 フランス
国籍こくせき フランスの旗 フランス
職業しょくぎょう 劇げき作家さっか、小説しょうせつ家か、スペイン語ご翻訳ほんやく家か
代表だいひょう作さく 『ジル・ブラース物語ものがたり』、『跛ちんばの悪魔あくま』、『チュルカレ』
影響えいきょうを受うけたもの フランシスコ・デ・ロハス・ソリーリャ
影響えいきょうを与あたえたもの トバイアス・スモレット、チャールズ・ディケンズ
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アラン＝ルネ・ルサージュ(Alain-René Lesage 1668年ねん5月6日にち - 1747年ねん11月17日にち)は、フランスの劇げき作家さっか、小説しょうせつ家か、スペイン語ご翻訳ほんやく家かであり[1]、フランシスコ・デ・ロハス・ソリーリャの影響えいきょうが強つよい。代表だいひょう作さくは長編ちょうへん小説しょうせつ『ジル・ブラース物語ものがたり』。フランス初はつの職業しょくぎょう作家さっかといわれる[2]。

生涯しょうがい[編集へんしゅう]

アラン＝ルネ・ルサージュはフランスのブルターニュのモルビアン県けんサルゾーで誕生たんじょうした[3][4]。父ちちのクロード・ルサージュは知識ちしき人じん、著作ちょさく家かであった。早期そうきに両親りょうしんと死別しべつした上うえ、後見人こうけんにんに財産ざいさんを浪費ろうひされる[4]。そのため貧まずしい暮くらしを余儀よぎなくされたが、叔父おじのもとを出でたあとイエズス会かいの学校がっこうに通かよう。25歳さいの頃ころにパリに上京じょうきょう。法律ほうりつ家かになるべく法学ほうがくを学まなぶ。1694年ねんに木工もっこうの娘むすめマリーと結婚けっこん。3人にんの子宝こだからに恵めぐまれ、息子むすこはのちに役者やくしゃになった。最終さいしゅう的てきに法律ほうりつ家かの道みちを諦あきらめた。この頃ころ、スペイン語ごを学まなび、スペインの書物しょもつに昼夜ちゅうやひたすら没頭ぼっとうした。とくにフランシスコ・デ・ロハス・ソリーリャ、ロペ・デ・ヴェガに感銘かんめいを受うけた。またミゲル・デ・セルバンテスやペドロ・カルデロン・デ・ラ・バルカの影響えいきょうも強つよく受うけた。生活せいかつ費ひを稼かせぐため数すう多おおくのスペイン文学ぶんがくの書物しょもつをフランス語ふらんすごに訳やくして刊行かんこうした。それから翻案ほんあんも担当たんとうした。やがて翻案ほんあんが評判ひょうばんを呼よんだことから様々さまざまな作品さくひんの発表はっぴょうを始はじめた[5]。

1707年ねんにベレス・デ・ゲバラの同名どうめいの長編ちょうへん小説しょうせつを改作かいさくした処女しょじょ長編ちょうへん作さく『跛ちんばの悪魔あくま (Le Diable boiteux)』を発表はっぴょうしてパリ社会しゃかいを風刺ふうしした。さらに同年どうねんに『Don César Ursin』、『Les Étrennes』、『主人しゅじんと張合はりあうクリスパン (Crispin rival de son maître)』といった風刺ふうし戯曲ぎきょく三さん作さくの発表はっぴょうにより文名ぶんめいを確立かくりつした[4]。とくにウルタド・デ・メンドーサの著作ちょさくを翻案ほんあんした『主人しゅじんと張合はりあうクリスパン (Crispin rival de son maître)』はフランスの人々ひとびとから絶賛ぜっさんされた。次ついで1709年ねんに戯曲ぎきょく『チュルカレ (Turcaret ou le Financier)』を発表はっぴょうして名声めいせいを確固かっこたるものにした。チュルカレは傑作けっさくと評価ひょうかされたが、作中さくちゅうで悪あくの権化ごんげとされた金融きんゆう資本しほん家か達たちから上演じょうえんを妨害ぼうがいする工作こうさくを受うけた。これによりルサージュは喜劇きげきの創作そうさくを中止ちゅうしし、オペラ・コミックの執筆しっぴつ等とうをする流行りゅうこう劇げき作家さっかとなった[4]。戯曲ぎきょくの多おおくはテアトル・フランセで上演じょうえんされている。

処女しょじょ長編ちょうへん作さくを経へて1715年ねんにスペインを舞台ぶたいにした長編ちょうへん作さく『ジル・ブラース物語ものがたり (Histoire de Gil Blas de Santillane)』シリーズの1巻かんを発表はっぴょう、瞬またたく間まに評判ひょうばんを呼よびそれから1724年ねんに2巻かん、1735年ねんに3巻かん、そして最終巻さいしゅうかんを1747年ねんに順次じゅんじ刊行かんこうされた。挿絵さしえは画家がかジャン・ジグーが担当たんとうしている。

フランスのブローニュ＝シュル＝メールで死去しきょした。

評価ひょうか・影響えいきょう[編集へんしゅう]

『テレマック (Télémaque, 1715年ねん)』は最初さいしょのオペラ・コミックとされる[6]。

ルサージュはフランス文学ぶんがく者しゃとしては傍流ぼうりゅうで、スペイン文学ぶんがくの影響えいきょうを受うけ、イギリス文学ぶんがくに影響えいきょうを与あたえたと見みなされている[1]。ルサージュの代表だいひょう作さくは長編ちょうへん小説しょうせつ『ジル・ブラース物語ものがたり』である。ジル・ブラースはアンシャンレジーム下した18世紀せいきフランスの風俗ふうぞくを描写びょうしゃした資料しりょうともなっている[4]。英国えいこくの小説しょうせつ家かトバイアス・スモレットは『ジル・ブラース物語ものがたり』にならったピカレスク小説しょうせつ『ロデリック・ランダムの冒険ぼうけん』を刊行かんこうし、また『ジル・ブラース物語ものがたり』の英訳えいやくを行おこなっている[7]。チャールズ・ディケンズはスモレットの作品さくひんやスモレットが英訳えいやくしたルサージュの『跛ちんばの悪魔あくま』や『ジル・ブラース物語ものがたり』を愛読あいどくしており、『ジル・ブラース物語ものがたり』をドン・キホーテ以来いらい、最高さいこうのフィクションと評ひょうしている[7]。ディケンズの『クリスマス・キャロル』は発表はっぴょう当時とうじより『跛ちんばの悪魔あくま』の影響えいきょうが指摘してきされている。また『骨董こっとう屋や』『ドンビー父子ふし』の作中さくちゅうで『跛ちんばの悪魔あくま』に言及げんきゅうする等とう複数ふくすうの作品さくひんに影響えいきょうが見みられる[7][8][9]。

著作ちょさく[編集へんしゅう]

翻訳ほんやく・翻案ほんあん[編集へんしゅう]

  • Le Traître puni, 1700年ねん
  • Don Félix de Mendoce, 1700年ねん
  • Point d'honneur, 1702年ねん
  • Second Book of the Ingenious Knight Don Quixote of La Mancha (ドン・キホーテ後編こうへん), 1704年ねん
  • Orlando innamorato (恋こいするオルランド), 1721年ねん
  • Guzman d'Alfarache (グスマン・デ・アルファラチェ), 1732年ねん

戯曲ぎきょく[編集へんしゅう]

  • Don César Ursin, 1707年ねん[1]
  • Les Étrennes, 1707年ねん[1]
  • 『主人しゅじんと張合はりあうクリスパン』Crispin rival de son maître, 1707年ねん[4]
  • 『チュルカレ』Turcaret, 1709年ねん[10][6]
  • 『セレンディブの王おう，アルルカン』Arlequin roi de Serendib, 三さん幕まく劇げき,1713年ねん[6]
  • 『テティスに扮ふんするアルルカン』Arlequin Thétis, 一幕ひとまく劇げき ,1713年ねん[6]
  • 『目めに見みえないアルルカン』Arlequin invisible, 一幕ひとまく劇げき ,1713年ねん[6]
  • La Foire de Guibray, 1714年ねん
  • Arlequin Mahomet, 1714年ねん
  • 『テレマック』 Télémaque, 1715年ねん
  • La Statue merveilleuse (fair play, with d'Orneval), 1720年ねん
  • La Boîte de Pandore 1721年ねん, comedy in 1 act.

小説しょうせつ[編集へんしゅう]

  • 『跛ちんばの悪魔あくま』Le Diable boiteux, 1707年ねん (英えい題だい "The Devil on Two Sticks")（邦題ほうだい『悪魔あくまアスモデ』）[11]
  • 『ジル・ブラース物語ものがたり』Histoire de Gil Blas de Santillane, 1715-1735年ねん[12]
    • Histoire de Gil Blas de Santillane, (Livres I–VI), 1715年ねん
    • Histoire de Gil Blas de Santillane, (Livres VII–IX), 1724年ねん
    • Histoire de Gil Blas de Santillane, (Livres X–XII), 1735年ねん
    • Histoire de Gil Blas de Santillane, 1747年ねん
  • Les avantures de monsieur Robert Chevalier, dit de Beauchêne, capitaine de flibustiers dans la Nouvelle-France, 1732年ねん
  • 『サラマンカの学士がくし』Le Bachelier de Salamanque, 1736年ねん
  • Estevanille Gonzalez, 1732年ねん
  • La Valise trouvée, 1740年ねん
  • Mélange amusant de saillies d'esprit et de traits historiques les plus frappants, 1743年ねん
  • 『マドリッドの煙突えんとつのかたる悲劇ひげき喜劇きげき』Entretiens serieux et comiques des cheminees de Madrid[13]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d “Le Sage, Alain René”. Encyclopædia Britannica. 16 (11 ed.). Cambridge University Press. (1911). p. 486-487. https://en.wikisource.org/wiki/1911_Encyclop%C3%A6dia_Britannica/Le_Sage,_Alain_Ren%C3%A9 
  2. ^ “ルサージュとは”. コトバンク. 2020年ねん9月がつ9日にち閲覧えつらん。
  3. ^ LESAGE, Alain-RenéTreccani
  4. ^ a b c d e f クールティヨン P、金きむ柿かき宏典ひろのり「パリ : 誕生たんじょうから現代げんだいまで(XIII)」『福岡大学ふくおかだいがく人文じんぶん論叢ろんそう』第だい35巻かん第だい3号ごう、福岡大学ふくおかだいがく研究けんきゅう推進すいしん部ぶ、2003年ねん12月、1329-1348頁ぺーじ、CRID 1050282677531746048、ISSN 0285-2764。 
  5. ^ People Cesar
  6. ^ a b c d e 奥おく 香織かおり「ルサージュの初期しょき作品さくひんにみるアルルカンの表象ひょうしょう」『西洋せいよう比較ひかく演劇えんげき研究けんきゅう』第だい14巻かん第だい2号ごう、2015年ねん、doi:10.7141/ctr.14.29、ISSN 1347-2720。 
  7. ^ a b c 青木あおき健けん「ディケンズとピカレスク遺産いさん (森田もりた孟はじめ教授きょうじゅ退職たいしょく記念きねん号ごう)」『Seijo English monographs』第だい42号ごう、Seijo University、2010年ねん2月がつ、277-297頁ぺーじ、CRID 1050282677566228224。 
  8. ^ 木原きはら泰紀やすのり「ディケンズと跛ちんばの悪魔あくま」『福井大学ふくいだいがく教育きょういく・人文じんぶん社会しゃかい系けい部門ぶもん紀要きよう』第だい3巻かん、2019年ねん1月がつ、15-29頁ぺーじ、CRID 1050001337845877504、hdl:10098/10541、ISSN 2434-1827。 
  9. ^ 道家みちや英えい穂ほ「『クリスマス・キャロル』の生なまと死し」『専修せんしゅう人文じんぶん論集ろんしゅう』第だい87巻かん、専修大学せんしゅうだいがく学会がっかい、2010年ねん10月がつ、1-24頁ぺーじ、CRID 1390853649755513728、doi:10.34360/00002382、ISSN 03864367。 
  10. ^ 『世界せかい文学ぶんがく大系たいけい89 古典こてん劇げき集しゅう』筑摩書房ちくましょぼう、1963年ねん。ASIN B000JB5050。 
  11. ^ 『世界せかい文学ぶんがく全集ぜんしゅう』 6巻かん、集英社しゅうえいしゃ、1979年ねん。ISBN 978-4081680061。 
  12. ^ アラン＝ルネ・ルサージュ 著ちょ、杉すぎ捷夫かつお 訳わけ『ジル・ブラース物語ものがたり』1668-1747., 1904-1990.、岩波書店いわなみしょてん、1953(第だい 4刷さつ: 2002)1953(Nr. 4 Printing :2002)。ISBN 4-00-325201-2。OCLC 683165454。https://www.worldcat.org/oclc/683165454。 
  13. ^ 鈴木すずき信太郎しんたろう, 渡辺わたなべ一夫かずお 編へん『世界せかい短篇たんぺん文学ぶんがく全集ぜんしゅう05 フランス文学ぶんがく中世ちゅうせい18世紀せいき』集英社しゅうえいしゃ、1963年ねん。ASIN B000JAVGXQ。 

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