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アリアケスミレ (有明 ありあけ 菫 すみれ 、学名 がくめい :Viola betonicifolia var. albescens )は、スミレ属 ぞく の植物 しょくぶつ のひとつ。スミレ によく似 に たものだが、白 しろ い花 はな をつける。ただし花色 はないろ には変異 へんい が多 おお い。
アリアケスミレ は、根 ね 出 で 葉 は だけを出 だ し、立 た ち上 あ がる茎 くき を持 も たないスミレで、その姿 すがた 、葉 は の形 かたち 、花 はな の形 かたち など、非常 ひじょう にスミレに似 に ている。ただし花色 はないろ が白 しろ っぽく、その点 てん でスミレとははっきり区別 くべつ できる。同様 どうよう に白 しろ い花 はな を着 つ けるものにシロスミレ があるが、本 ほん 種 しゅ の方 ほう が人里 ひとざと 近 ちか くによく見 み られ、はるかに普通 ふつう である。
名前 なまえ は有明 ありあけ に由来 ゆらい し、花 はな の色 いろ の変異 へんい にちなむといわれる[2] 。
常緑 じょうりょく 性 せい の多年生 たねんせい 草本 そうほん [3] 。地下茎 ちかけい は短 みじか く、白 しろ くて太 ふと い根 ね を少数 しょうすう 下 お ろす。地上 ちじょう に茎 くき を伸 の ばさない。
葉 は は数個 すうこ を根 ね 出 で 状 じょう に束 たばね 生 せい する。長 なが さは5.5-8cm、幅 はば は2cm、先端 せんたん は丸 まる く、基部 きぶ は断 た ち切 き られたような形 かたち か、わずかにくぼんで心 しん 形 がた になり、縁 えん は基部 きぶ 側 がわ では鈍 にぶ い鋸歯 きょし があって、先端 せんたん に向 む かって次第 しだい に間 あいだ の広 ひろ がった鈍 にぶ い鋸歯 きょし となる。葉柄 ようへい は葉 は 身 み より短 みじか い程度 ていど で、上部 じょうぶ では両側 りょうがわ に狭 せま い翼 つばさ がある。托 たく 葉 ば の先端 せんたん は鈍 にぶ く、基部 きぶ 側 がわ では葉柄 ようへい と癒合 ゆごう する。ただし花 はな 後 ご の葉 は は長 なが い三角形 さんかっけい になり、側面 そくめん の縁 えん は少 すこ しくぼんだ曲線 きょくせん を描 えが き、基部 きぶ 両端 りょうたん が耳 みみ 状 じょう に突 つ き出 で る。
花茎 かけい は高 たか さ9-12cmで、葉 は より高 たか く抜 ぬ け出 で ることはない。花 はな は長 なが さ2.5cmで白 しろ を基調 きちょう とするが、唇 くちびる 弁 べん と側 がわ 弁 べん には紫 むらさき の筋 すじ 紋 もん が入 はい る。萼 がく は披針形 ひしんけい 。花弁 はなびら は倒卵形 とうらんけい で先端 せんたん が丸 まる 区 く 、唇 くちびる 弁 べん と上 うえ 弁 べん には毛 け がある。距は太 ふと くて短 みじか く、長 なが さ4mm。
花色 はないろ は白 しろ に少 すこ し筋 すじ が入 はい るものから、紫 むらさき の筋 すじ の目立 めだ つもの、弁 べん そのものに紫 むらさき を帯 お びるものまでの変異 へんい がある。花期 かき は4月 がつ 上旬 じょうじゅん から5月 がつ で、スミレと同 どう 程度 ていど か、やや遅 おそ めに咲 さ く[2] 。
生育 せいいく 環境 かんきょう [ 編集 へんしゅう ]
暖地 だんち の開 あ けたところ、やや湿 しめ ったところに生 は える。耕作 こうさく 地 ち の周辺 しゅうへん や河川敷 かせんしき などで見 み られる。水田 すいでん の畦 あぜ や畑 はたけ など、日当 ひあ たりがよくて湿 しめ ったところを好 この むが、踏 ふ みつけにも強 つよ く、児童 じどう 公園 こうえん などでも見 み かける[2] 。
日本 にっぽん では本州 ほんしゅう から九州 きゅうしゅう に分布 ぶんぷ し、国外 こくがい では朝鮮 ちょうせん から中国 ちゅうごく 東北 とうほく 部 ぶ に産 さん する。九州 きゅうしゅう 南部 なんぶ 、上甑 かみこしき 島 とう 以南 いなん の琉球 りゅうきゅう 列島 れっとう では同種 どうしゅ の別 べつ 変種 へんしゅ であるリュウキュウシロスミレ V. betonicifolia var. oblongo-sagittata が分布 ぶんぷ する。種 たね そのものの分布 ぶんぷ はさらに広 ひろ く東南 とうなん アジア南東 なんとう 部 ぶ に広 ひろ く、オーストラリアやヒマラヤまで分布 ぶんぷ があり、日本 にっぽん のスミレではもっとも分布 ぶんぷ 域 いき の広 ひろ いものの一 ひと つとなっている[2] 。
特 とく にない。
別 べつ 変種 へんしゅ のリュウキュウシロスミレとは、大抵 たいてい は分布 ぶんぷ 域 いき で区別 くべつ できる。形態 けいたい 的 てき には花茎 かけい が長 なが くて花 はな が葉 は より高 たか く抜 ぬ き出 で て咲 さ くこと、葉 は の形 かたち がやはり三角 さんかく だが、側面 そくめん のくぼんだ曲線 きょくせん の度 たび が強 つよ く、下端 かたん の両側 りょうがわ が突 つ き出 だ す程度 ていど が大 おお きいなどの差 さ がある。
白 しろ い花 はな を咲 さ かせるスミレ類 るい としては似 に たものにシロスミレ V. patrinii がある。アリアケスミレに比 くら べて葉 は 数 すう が少 すく なく、また葉柄 ようへい より葉 は 身 み が短 みじか い。それにシロスミレは本州 ほんしゅう では高地 こうち に見 み られ、平地 ひらち に出現 しゅつげん しないため、混同 こんどう することは少 すく ない。他 ほか にも白 しろ い花 はな を咲 さ かせるスミレは幾 いく つかあるが、それほど似 に ていない。
形態 けいたい 的 てき にはスミレ V. mandshurika がよく似 に ているが、花色 はないろ は全 まった く異 こと なる。もしスミレの白 しろ 花 はな が出現 しゅつげん すると困 こま ることになるが、幸 さいわ いなことに、これは滅多 めった に出現 しゅつげん しない。細部 さいぶ では形態 けいたい 的 てき にも区別 くべつ は可能 かのう である。
葉 は は数個 すうこ を根 ね 出 で 状 じょう に束 たば 生 む し、先端 せんたん は丸 まる く、基部 きぶ は切 きり 形 がた になる。花期 かき の葉柄 ようへい は葉 は 身 み より短 みじか く、上部 じょうぶ では両側 りょうがわ に狭 せま い翼 つばさ がある。
花 はな は白色 はくしょく を基調 きちょう とし、ときに淡 あわ 紫色 むらさきいろ になるものもあり、変異 へんい が多 おお い。側 がわ 弁 べん の基部 きぶ に毛 け が生 は える。
花弁 はなびら に紫色 むらさきいろ の条 じょう 線 せん が入 はい る。
距は太 ふと くて短 みじか い。萼 がく は披針形 ひしんけい になる。
^ アリアケスミレ 「BG Plants 和名 わみょう −学名 がくめい インデックス」(YList)
^ a b c d いがりまさし(2008)p.132-133
^ 以下 いか 、主 しゅ として佐竹 さたけ 他 た (1982)p.246