ウゴル諸語しょご

ウゴル諸語しょご
話はなされる地域ちいき	ハンガリー、西にしシベリア
言語げんご系統けいとう	ウラル語族ごぞく フィン・ウゴル語ご派は ウゴル諸語しょご
下位かい言語げんご	ハンガリー語ご オビ・ウゴル諸語しょご
Glottolog	None

ウゴル諸語しょごの地理ちり的てき分布ぶんぷ（緑色みどりいろ）

ウゴル諸語しょご（ウゴルしょご、Ugric, Ugrian languages）とは、ウラル語族ごぞくの下位かい区分くぶん、フィン・ウゴル語ご派はに属ぞくする言語げんごのグループ。「ウゴル」の名なは地名ちめいユグラに由来ゆらいする。話者わしゃの人種じんしゅ構成こうせいはコーカソイドとモンゴロイドの混合こんごう人種じんしゅに属ぞくす。

ウゴル諸語しょごには3つの言語げんごが含ふくまれる。ハンガリー語ご（Magyar）、ハンティ語ご（Khanty, 旧称きゅうしょうオスチャーク語ご）、マンシ語ご（Mansi, 旧称きゅうしょうヴォグル語ご）である。ハンティ語ご、マンシ語ごはオビ・ウゴル諸語しょごと呼よばれることもある。ウゴル諸語しょごの祖語そごは紀元前きげんぜん3世紀せいきから紀元前きげんぜん1世紀せいき前半ぜんはんの間あいだ、シベリアの西部せいぶ地域ちいきの、ウラル山脈さんみゃくの中なか南部なんぶから東側ひがしがわの草原そうげん地域ちいきで話はなされていたと伝つたわれている。

構造こうぞう的てき特徴とくちょう

• 動詞どうしの活用かつようにおいて、自動詞じどうしと他動詞たどうしで異ことなる活用かつよう体系たいけいを持もつ。前者ぜんしゃを「不定ふてい活用かつよう」、後者こうしゃを「定てい活用かつよう」と呼よぶ場合ばあいもある。すなわち、目的もくてき語ごが限定げんていされている場合ばあい、動詞どうしは「定てい活用かつよう」の変化へんか形がたに、自動詞じどうし、目的もくてき語ごが限定げんていされていない場合ばあいは「不定ふてい活用かつよう」の変化へんか形がたとなる。
• 動詞どうしに様々さまざまな意味いみ（具体ぐたい的てきまたは、抽象ちゅうしょう的てき）を付加ふかする接頭せっとう辞じの存在そんざい。

マンシ語ごの動詞どうし接頭せっとう辞じの例れい

ēl(a) - 「前まえへ、先さきへ、離はなれて」

jōm「行いく」	ēl-jōm「離はなれて行いく、先さきへ進すすむ」
tinal「売うる」	ēl-tinal「安やすく売うり払はらう」

χかいot - 「あるものから離はなれて行いく方向ほうこうや、動作どうさを強調きょうちょうするニュアンスの接頭せっとう辞じ」

min「行いく」	χかいot-min「去さる、止とまる」
roχかいt「恐おそれる」	χかいot-roχかいt「何なにかに突然とつぜん恐おそれを抱いだく」

ハンガリー語ごの動詞どうし接頭せっとう辞じの例れい

el - 「離はなれて」

ugrik 「跳とぶ」	elugrik 「跳とび退しりぞく」
mosolyog 「微笑ほほえむ」	elmosolyodik 「微笑ほほえみ始はじめる」

ki - 「外そとに」

ugrik 「跳とぶ」	kiugrik 「跳とび出だす」
olvas 「読よむ」	kiolvas 「読よみきる」

（ハンガリー語ごの例れいでは、接尾せつび辞じのつかない活用かつよう形がたである3人称にんしょう単数たんすう形がたの形かたちを挙あげている。）

関連かんれん項目こうもく

• フィン・ウゴル語ご派は
• ウラル語族ごぞく

参考さんこう文献ぶんけん

• Riese, Timothy: Vogul. Languages of the World/Materials 158, Lincom Europa, 2001. ISBN 3-89586-231-2
• Törkenczy, Miklós: Hungarian Verbs & Essentials of Grammar. Passport Books, 1997. ISBN 0-8442-8350-9