オオイタサンショウウオ

オオイタサンショウウオ
	オオイタサンショウウオ Hynobius dunni
保全ほぜん状じょう況きょう評価ひょうか
	VULNERABLE; (IUCN Red List Ver.3.1 (2001));
分類ぶんるい
学名がくめい
	Hynobius dunni Tago, 1931
和名わみょう
	オオイタサンショウウオ
英名えいめい
	Dunn's oriental salamander; Oita salamander

オオイタサンショウウオ (Hynobius dunni) は、両生りょうせい綱つな有尾ありお目めサンショウウオ科かサンショウウオ属ぞくに分類ぶんるいされる有尾ありお類るい。

分布ぶんぷ

日本にっぽん（大分おおいた県けん、熊本くまもと県けん、宮崎みやざき県けんの一部いちぶ）固有こゆう種しゅ^[4]

模も式しき標本ひょうほんの産地さんち（基準きじゅん産地さんち・タイプ産地さんち・模も式しき産地さんち）は、城山しろやま（現げん佐伯さいき市し）^[2]。

形態けいたい

オス15.7センチメートル、メス13.7センチメートル^[3]^[5]。体側たいそく面めんに入はいる皺しわ（肋あばら条じょう）は左右さゆうに11-13本ほんずつ^[3]^[5]。背面はいめんの色彩しきさいは黄き褐色かっしょくで、黒くろい斑点はんてんが入はいる^[3]^[5]。

上顎じょうがく中央ちゅうおう部ぶに並ならぶ歯はの列れつ（鋤すき骨こつ歯は列れつ）は、アルファベットの「U」字じに近ちかい「V」字じ状じょう^[3]^[5]。四肢ししや指ゆび趾は長ながい^[5]。胴体どうたいに沿そって前肢ぜんし（および指ゆび）を後方こうほうへ後肢あとあし（および趾）を前方ぜんぽうに伸のばすと、肋あばら条じょう2 - 3本ほんぶん重複じゅうふくする^[3]。後肢あとあしの趾は5本ほん^[3]。

卵嚢らんのうの表面ひょうめんには、明瞭めいりょうな筋すじが入はいらない^[3]^[5]。メスは体側たいそく面めんから腹はら面めんに銀ぎん白色はくしょくの斑点はんてんが入はいる^[3]。

分類ぶんるい

以前いぜんは四国しこくの一部いちぶにも分布ぶんぷするとされていた。2018年ねんに形態けいたいやミトコンドリアDNAの16S rRNAおよびシトクロムbの分子ぶんし系統けいとう解析かいせきから、土佐清水とさしみず市しの個体こたい群ぐんをトサシミズサンショウウオHynobius tosashimizuensisとして新種しんしゅ記載きさい・分割ぶんかつする説せつが提唱ていしょうされた^[6]。

生態せいたい

丘陵きゅうりょうや低てい山地さんちにある二に次じ林りんや竹林ちくりん・水田すいでんなどに生息せいそくする^[3]。林はやし床ゆかの石いしや落おち葉ば・倒木とうぼくの下したなどで生活せいかつする^[3]^[4]。

昆虫こんちゅう、トビムシ、クモ、ワラジムシ、ミミズなどを食たべる^[3]。幼生ようせいはカ・ユスリカ・カゲロウなどの昆虫こんちゅうの幼虫ようちゅう、ミズムシ、ミジンコなどの甲殻こうかく類るい、カエルの幼生ようせいなどを食たべ、共食ともぐいも行おこなう^[3]。

繁殖はんしょく様式ようしきは卵生らんせい。12月下旬げじゅんから翌よく3月がつ下旬げじゅんに、森林しんりんの周囲しゅういにある池沼ちしょうや小しょう河川かせん・溝みぞなどに87 - 143個こ（平均へいきん106個こ）の卵たまごを1対ついの卵嚢らんのうに包つつんで産うむ^[3]^[4]^[5]。卵たまごは3月がつ以降いこうに孵化ふかする^[3]^[5]。5- 9月に変態へんたいし幼体ようたいになる^[3]^[4]^[5]。飼育しいく下かでは生後せいご3年ねんで性せい成熟せいじゅくした例れいや、生後せいご16年ねん以上いじょうの生存せいぞん例れいがある^[3]。

人間にんげんとの関係かんけい

開発かいはつによる生息せいそく地ちの破壊はかい、汚水おすいや農薬のうやくによる水質すいしつ汚染おせんなどにより生息せいそく数すうは減少げんしょうし^[5]、愛好あいこう家かによる乱獲らんかく・採集さいしゅうも懸念けねんされている^[3]。大分おおいた県けんでは模も式しき産地さんちの個体こたい群ぐんを県けんの、大分おおいた市しでは霊山れいざん個体こたい群ぐんを市しの天然記念物てんねんきねんぶつに指定していしている^[3]。

2022年ねん1月がつに特定とくてい第だい二に種しゅ国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつ種しゅに指定していされており、販売はんばいや頒布はんぷを目的もくてきとした捕獲ほかくや譲渡じょうとなどの行為こういが禁止きんしされている。^[7]

絶滅ぜつめつ危惧きぐII類るい (VU)（環境省かんきょうしょうレッドリスト）^[4]

出典しゅってん

[脚注きゃくちゅうの使つかい方かた]

^ ^a ^b ^c IUCN SSC Amphibian Specialist Group. 2021. Hynobius dunni. The IUCN Red List of Threatened Species 2021: e.T149673503A149673670. https://doi.org/10.2305/IUCN.UK.2021-1.RLTS.T149673503A149673670.en. Downloaded on 07 May 2021.
^ ^a ^b ^c ^d Hynobius dunni. Frost, Darrel R. 2021. Amphibian Species of the World: an Online Reference. Version 6.1 (Accessed 07 May 2021). Electronic Database accessible at https://amphibiansoftheworld.amnh.org/index.php. American Museum of Natural History, New York, USA. https://doi.org/10.5531/db.vz.0001
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l ^m ⁿ ^o ^p ^q ^r ^s ^t 松井まつい正文まさふみ「オオイタサンショウウオ」『レッドデータブック2014 日本にっぽんの絶滅ぜつめつのおそれのある野生やせい動物どうぶつ 3 爬虫類はちゅうるい・両生類りょうせいるい』環境省かんきょうしょう自然しぜん環境かんきょう局きょく野生やせい生物せいぶつ課か希少きしょう種しゅ保全ほぜん推進すいしん室しつ編へん、株式会社かぶしきがいしゃぎょうせい、2014年ねん、98 - 99頁ぺーじ。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f 松井まつい正文まさふみ「オオイタサンショウウオ」『環境省かんきょうしょうレッドリスト2020 補遺ほい資料しりょう』環境省かんきょうしょう自然しぜん環境かんきょう局きょく野生やせい生物せいぶつ課か希少きしょう種しゅ保全ほぜん推進すいしん室しつ編へん、環境省かんきょうしょう自然しぜん環境かんきょう局きょく野生やせい生物せいぶつ課か希少きしょう種しゅ保全ほぜん推進すいしん室しつ、2020年ねん、25頁ぺーじ。
^ ^a ^b ^c ^d ^e ^f ^g ^h ⁱ ^j ^k ^l 松井まつい正文まさふみ「オオイタサンショウウオ」『動物どうぶつ世界せかい遺産いさんレッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北きたアメリカ』小原おはら秀雄ひでお・浦うら本ほん昌紀まさき・太田おおた英利ひでとし・松井まつい正文まさふみ編著へんちょ、講談社こうだんしゃ、2000年ねん、230頁ぺーじ。
^ Hirotaka Sugawara, Takashi Watabe, Takaomi Yoshikawa, Masahiro Nagano, "Morphological and Molecular Analyses of Hynobius dunni Reveal a New Species from Shikoku, Japan," Herpetologica Volume 74, Issue 2, 2018, Pages 159 - 168.
^ “[env.go.jp 国内こくない希少きしょう野生やせい動植物どうしょくぶつ一覧いちらん]”. 環境省かんきょうしょう. 2024年ねん7月がつ9日にち閲覧えつらん。