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カエスーラ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
現代げんだい西洋せいよう音楽おんがく表記ひょうきほうのカエスーラ

韻律いんりつにおいて、カエスーラ中間ちゅうかん休止きゅうし休止きゅうし句切くぎcaesura or cesura, 複数ふくすうがたcaesurae)は、ぎょう中間ちゅうかんにある、みみでききとれる休止きゅうしのこと。ほとんどの場合ばあい、カエスーラは朗読ろうどくなか休止きゅうしこすやくもの(コンマ「,」、セミコロン「;」、句点くてん「.」、ダッシュ「-」など)によってしめされる。しかし、カエスーラをこすのにかならずしも句読点くとうてん必要ひつようではない。

カエスーラには2種類しゅるいある。男性だんせい休止きゅうしmasculine caesura)と女性じょせい休止きゅうしfeminine caesura)である。近代きんだいにおいて男性だんせい休止きゅうしつよいアクセント(つよしぜいのある)の音節おんせつうしろにあるカエスーラで、一方いっぽう女性じょせい休止きゅうしよわいアクセント(つよしぜいのない)音節おんせつうしろにあるカエスーラである。

それとはべつに、くだりのどの位置いちにカエスーラがあるかによるかたもある。Initial caesuraこうはじまりちかくにあるカエスーラで、medial caesuraこう中央ちゅうおうにあるカエスーラ、terminal caesuraこうわりちかくのカエスーラである。Initial caesuraとterminal caesuraは、medial caesuraをこのむロマンス(en:Romance (genre))やしん古典こてん主義しゅぎではまれにしか使つかわれなかった。

韻律いんりつ分析ぶんせきにおいて、「||(double pipe, train tracks)」はこうなかのカエスーラの位置いちしめす。

カエスーラは古代こだいギリシアラテン語らてんご古典こてんの、とくに英雄えいゆう詩形しけいダクテュロスヘクサメトロス長短ちょうたんたんろくかく)で顕著けんちょもちいられた。近代きんだい場合ばあいとはちがい、古典こてんでは男性だんせい休止きゅうしいちぎょうはじめから3番目ばんめ韻脚いんきゃく中間ちゅうかんにあるカエスーラをし、女性じょせい休止きゅうしは4番目ばんめ韻脚いんきゃく中間ちゅうかんのカエスーラを意味いみする。

音楽おんがくほうでの、カエスーラは音楽おんがくてき時間じかん(musical time)の完全かんぜん休止きゅうし停止ていし中断ちゅうだん)を意味いみする。

れい[編集へんしゅう]

(「||」は、オリジナルのにはふくまれない)

ホメーロス[編集へんしゅう]

カエスーラは古代こだいギリシアのひろ使つかわれた。

μみゅーνにゅーιいおたνにゅー ἄειδε θしーたεいぷしろん || Πηληϊάδεω Ἀχιλῆος οおみくろんὐλομένην
Mēnin aeide theā || Pēlēiadeō Achilēos ūlomenēn
-- ホメーロスイーリアス』の冒頭ぼうとう大意たいいいかりをうたえ、女神めがみよ || ペーレウスのアキレウスの(いかりを)」。

このくだりでは、「θしーたεいぷしろん」ののち男性だんせい休止きゅうしがあり、2つの論理ろんりじょう部分ぶぶんくだりける自然しぜん休止きゅうしである。もっとも、後世こうせい作家さっかちがって、ホメーロス時代じだいぎょう女性じょせい休止きゅうし使つかうのが一般いっぱんてきだった。

ラテン語らてんご[編集へんしゅう]

カエスーラはラテン語らてんごでもひろ使つかわれた。

Arma virumque cano, || Trojae qui primus ab oris
-- ウェルギリウスアエネイス』の冒頭ぼうとう大意たいいわたし武器ぶきおとこについてうたう、 || おとこ最初さいしょトロイア岸辺きしべから……」。

このくだり中間ちゅうかんに「,」をいて、はっきりとカエスーラをしめしている。ダクテュロス・ヘクサメトロスでは、言葉ことばわりが韻脚いんきゃく最初さいしょ最後さいご一致いっちしない場合ばあいでもカエスーラがしょうじる。しかし、現代げんだい韻律いんりつがくでは、わりがぎょうなかみみでききとれる休止きゅうし一致いっちするときのみ、カエスーラとぶ。古典こてんのエレゲイオン(Elegiac couplet)形式けいしきはダクテュロス・ヘクサメトロスぎょうのちにダクテュロス・ペンタメトロスがつくが(「エレジー#古典こてん参照さんしょう)、ペンタメトロスはしばしばよりはっきりとカエスーラをあらわす。

Cynthia prima fuit; || Cynthia finis erit.
-- セクストゥス・プロペルティウス『Cynthia was the first; Cynthia will be the last』。大意たいい「キュンティアは最初さいしょ; || キュンティアは最後さいご」。

英語えいご[編集へんしゅう]

カエスーラは、古典こてん以上いじょうに、英語えいご重要じゅうようなものだった。古典こてんでは、カエスーラは効果こうかねらって、どのくだりでもきなようにおさえることができた。最古さいこゲルマンのほとんどが共有きょうゆうする頭韻とういんen:Alliterative verse)では、カエスーラは詩形しけい自体じたいつね存在そんざいする必須ひっす部分ぶぶんであった。

Hwæt! we Gar-Dena || on geardagum
-- 『ベーオウルフ』の冒頭ぼうとう大意たいいよ! われらがやりのデーンじん || むかし……」。

ちゅう英語えいご[編集へんしゅう]

I loked on my left half || as þe lady me taughte
And was war of a womman || worþeli ycloþed.
-- ウィリアム・ラングランドen:William Langland)『農夫のうふピアズのゆめ』(en:Piers Plowman)。大意たいいひだりいた || 淑女しゅくじょこえをかけたので/高価こうかふく女性じょせいだ || とわたしみとめた」。

そのれい[編集へんしゅう]

以降いこう詩形しけいでもカエスーラはこりるが、それは普通ふつう任意にんいである。バラッドばれる韻律いんりつや、賛美さんび頌歌詩人しじん(odist)の賛美さんび調ちょう普通ふつうりつ)では普通ふつうじゃくきょうよんかくくだりつぎさんかくくだりつづくとかんがえられるが、それは4番目ばんめ韻脚いんきゃくのところにカエスーラをいたななかくかんがえることもできる。

休止きゅうしを、あたらしいくだりのはじまりというより、詩形しけいなかのカエスーラとかんがえれば、どうして時々ときどき複数ふくすうのカエスーラを詩形しけいなか見付みつけることができるのかを説明せつめいできる。

From the hag and hungry goblin || that into rags would rend ye,
And the spirits that stand || by the naked man || in the Book of Moons, defend ye!
-- リメリック『ベドレムのトム』(en:Tom o' Bedlam)。大意たいい魔女まじょはらかせたゴブリン || あんたをずたずたにきたい、/そいつらと || はだかおとこのそばにつ || つきほんなかれいから、あんたをまもってくれ!」

以降いこうのより自由じゆう詩形しけいでは、カエスーラは任意にんいである。しかし、それは修辞しゅうじてき効果こうかとして使つかうことができる。

To err is human; || to forgive, divine.
-- アレキサンダー・ポープ大意たいいあやまるのは人間にんげん; || ゆるすのは、かみ」。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • [1]caesura” Encyclopædia Britannica. 2007. Encyclopædia Britannica Online. 3 March 2007