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キャッシュ・フロー計算けいさんしょ

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会計かいけい
主要しゅよう概念がいねん
簿記ぼき - 時価じか会計かいけい
現金げんきん主義しゅぎ - 発生はっせい主義しゅぎ
環境かんきょう会計かいけい
売上うりあげ原価げんか - 借方かりかた / 貸方かしかた
複式ふくしき簿記ぼき - 単式たんしき簿記ぼき
後入先出あといれさきだしほう - 先入せんにゅうさきほう
GAAP / US-GAAP
概念がいねんフレームワーク
国際こくさい財務ざいむ報告ほうこく基準きじゅん
そう勘定かんじょう元帳もとちょう - 取得しゅとく原価げんか主義しゅぎ
費用ひよう収益しゅうえき対応たいおう原則げんそく
収益しゅうえき認識にんしき - 試算しさんひょう
会計かいけい分野ぶんや
原価げんか - 財務ざいむ - 法定ほうてい
基金ききん - 管理かんり - ぜい
財務諸表ざいむしょひょう
貸借たいしゃく対照たいしょうひょう
損益そんえき計算けいさんしょ
キャッシュ・フロー計算けいさんしょ
持分もちぶん変動へんどう計算けいさんしょ
包括ほうかつ利益りえき計算けいさんしょ
注記ちゅうき - MD&A
監査かんさ
監査かんさ報告ほうこくしょ - 会計かいけい監査かんさ
GAAS / ISA - 内部ないぶ監査かんさ
SOXほう / 日本にっぽんばんSOXほう
会計かいけい資格しかく
JPCPA - ACCA - CA - CGA
CIMA - CMA - CPA - Bcom
税理士ぜいりし - 簿記ぼき検定けんてい
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キャッシュ・フロー計算けいさんしょ(きゃっしゅふろーけいさんしょ、えい: cash flow statementC/F)は会計かいけい期間きかんにおけるキャッシュ現金げんきんおよ現金げんきん同等どうとうぶつ)の増減ぞうげんフロー)を活動かつどう区分くぶんべつしるした財務諸表ざいむしょひょうである[1][2]

概要がいよう[編集へんしゅう]

キャッシュフロー計算けいさんしょ一定いってい期間きかんにおける現金げんきん相当そうとう資金しきん増減ぞうげんキャッシュ・フロー)を営業えいぎょう活動かつどう投資とうし活動かつどう財務ざいむ活動かつどうごとに区分くぶんしてしるした財務諸表ざいむしょひょうである。

損益そんえき計算けいさんしょをはじめとする財務ざいむ会計かいけい発生はっせい主義しゅぎもとづいて収益しゅうえき認識にんしきをおこなう。この手法しゅほう企業きぎょう収益しゅうえきせい評価ひょうか期間きかん損益そんえき計算けいさん)を正確せいかくにおこなえる一方いっぽう手元てもと資金しきん現金げんきん)の認識にんしき正確せいかくにおこなえない。ゆえにP/Lうえじゅん損益そんえきかならずしも現金げんきんとう収支しゅうし一致いっちせずに現金げんきん払底ふってい企業きぎょう倒産とうさん (黒字くろじ倒産とうさん) にまれる場合ばあいがある。また金融きんゆう機関きかんからのれは現金げんきん増加ぞうか、つまり収入しゅうにゅうとなるが、損益そんえき計算けいさんにおける収益しゅうえきではない。さらに減価げんか償却しょうきゃく損益そんえき計算けいさんじょう費用ひようとなるが、同一どういつ会計かいけい期間きかんにおける現金げんきん支出ししゅつとは一致いっちしない。

この収益しゅうえき発生はっせい資金しきん移動いどう分離ぶんり認識にんしき発生はっせい主義しゅぎ本質ほんしつてき特徴とくちょうでありそのズレはけることができない。一方いっぽうP/Lでは採用さいようされていない現金げんきん主義しゅぎ資金しきんでもって収益しゅうえき認識にんしきするため、ズレが一切いっさい発生はっせいしない[3]

このような背景はいけいから、発生はっせい主義しゅぎではなく現金げんきん主義しゅぎてきに、一定いってい期間きかんにおける資金しきん増減ぞうげん記録きろくしたものがキャッシュ・フロー計算けいさんしょである。

キャッシュ・フロー計算けいさんしょ作成さくせい目的もくてきは、企業きぎょう資金しきん状況じょうきょう開示かいじすなわち企業きぎょう現金げんきん創出そうしゅつ能力のうりょく支払しはら能力のうりょく査定さていするのに役立やくだ情報じょうほう提供ていきょうすることと、利益りえきしつ評価ひょうかするのに役立やくだ情報じょうほう提供ていきょうすることにあるとされる。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくイギリスひとし欧米おうべい諸国しょこくでは1980年代ねんだい後半こうはんから1990年代ねんだい初頭しょとうにかけてその作成さくせい制度せいどされた。日本にっぽんでも国際こくさい会計かいけい基準きじゅん一元化いちげんかながれの1つとして「連結れんけつキャッシュ・フロー計算けいさんしょとう作成さくせい基準きじゅん」の導入どうにゅうともない、上場じょうじょう企業きぎょうでは2000ねん3がつから作成さくせい義務ぎむづけられた。21世紀せいき初頭しょとう現在げんざいでは、主要しゅよう先進せんしんこく企業きぎょう会計かいけい制度せいどにおいて、貸借たいしゃく対照たいしょうひょう損益そんえき計算けいさんしょだい3の財務諸表ざいむしょひょうとして位置付いちづけられている。

評価ひょうか[編集へんしゅう]

債券さいけん評価ひょうか確立かくりつしたDCFほうひとし金融きんゆう工学こうがく成果せいか企業きぎょう評価ひょうか事業じぎょう評価ひょうか応用おうようしようとする機関きかん投資とうしひとしは、「Cash is king」の標語ひょうご代表だいひょうされるように、企業きぎょう事業じぎょう評価ひょうか会計かいけいじょう利益りえきから現金げんきん創出そうしゅつりょくとくにいわゆる「フリー・キャッシュ・フロー(FCF)」)におもきをくようになり、その前提ぜんていとして、キャッシュ・フロー計算けいさんしょ作成さくせいもとめるようになった。ただし、近年きんねんはさらに研究けんきゅうすすみ、企業きぎょう価値かち評価ひょうかにFCFの直接的ちょくせつてき使用しよう適当てきとうであるかの評価ひょうかさだまっていない[4]

このひょうによって企業きぎょう財務ざいむ状態じょうたい以下いかてん評価ひょうかするのに役立やくだつ。

  • 企業きぎょう将来しょうらい資金しきん流入りゅうにゅう能力のうりょくがあるか
  • 企業きぎょう債務さいむ配当はいとうきん支払しはら能力のうりょくがあるか
  • 利益りえきやそれにともな現金げんきんりや支払しはらいのちがいの理由りゆう
  • 企業きぎょう投資とうし財務ざいむ取引とりひき現金げんきんおよ現金げんきん以外いがい側面そくめん

資金しきん範囲はんい[編集へんしゅう]

キャッシュ・フロー計算けいさんしょにおいて、資金しきんとは現金げんきんおよび現金げんきん同等どうとうぶつをいう。現金げんきん(Cash)とは、手許てもと現金げんきんおよび要求ようきゅうはらい預金よきん普通ふつう預金よきん当座とうざ預金よきんなど)をいう。また、現金げんきん同等どうとうぶつ(Cash equivalents)とは、容易ようい換金かんきん可能かのうであり、かつ価値かち変動へんどうについて僅少きんしょうなリスクしかわない短期たんき投資とうしす。具体ぐたいてきには、定期ていき預金よきん(3ヶ月かげつ以内いないのもの)、譲渡じょうとせい預金よきんコマーシャル・ペーパーなどがこれにふくまれる。現金げんきん現金げんきん同等どうとうぶつあいだでの取引とりひきはC/Fには表示ひょうじされない。

3つの表示ひょうじ区分くぶん[編集へんしゅう]

営業えいぎょう活動かつどう[編集へんしゅう]

直接ちょくせつほう、または間接かんせつほうにより作成さくせいすることが選択せんたくでき、どちらの方法ほうほう作成さくせいしても結果けっかおな金額きんがくとなる。企業きぎょう活動かつどうとの関係かんけいせいあきらかにするため、支払しはらい利息りそく支払しはらいがくは「財務ざいむ活動かつどう」に、受取うけとり利息りそく受取うけとり配当はいとうきん受取うけとりがくは「投資とうし活動かつどう」にそれぞれ記載きさいすることも出来できる。したがって、「小計しょうけいらん純粋じゅんすい営業えいぎょう活動かつどうによるキャッシュ・フローである。

投資とうし活動かつどう[編集へんしゅう]

投資とうし活動かつどうによるキャッシュ・フローえい: Cash flows from investing activities投資とうしCF)は直接ちょくせつほうにより作成さくせいする。営業えいぎょう活動かつどう以外いがいでの資産しさんかかわるすべての資金しきんうごきをしめす。設備せつび投資とうし固定こてい資産しさん取得しゅとく資金しきん貸付かしつけによる資金しきん増減ぞうげん他社たしゃへの資本しほん投資とうしかんして記載きさいする。

ひょう. 投資とうしCF内訳うちわけ
キャッシュ増減ぞうげん れい
- +
区分くぶん 固定こてい資産しさん 取得しゅとく 売却ばいきゃく 製造せいぞう装置そうち取得しゅとく土地とち売却ばいきゃく
有価ゆうか証券しょうけん 取得しゅとく 売却ばいきゃく
投資とうし有価ゆうか証券しょうけん 取得しゅとく 売却ばいきゃく 日本にっぽん10ねん国債こくさい取得しゅとく
貸付かしつけ 実行じっこう 回収かいしゅう 役員やくいん貸付かしつけ実行じっこう協力きょうりょく会社かいしゃ貸付かしつけ回収かいしゅう
子会社こがいしゃ 取得しゅとく 売却ばいきゃく

財務ざいむ活動かつどう[編集へんしゅう]

直接ちょくせつほうにより作成さくせいする。営業えいぎょう活動かつどう以外いがいでの負債ふさい純資産じゅんしさんかかわるすべての資金しきんうごきをしめす。おも借入金かりいれきんによる調達ちょうたつ返済へんさい増減ぞうげんや、自社じしゃかぶ債権さいけんかんする発行はっこうえき配当はいとうきん支払しはらいかいもど返済へんさいなどを記載きさいする。

直接ちょくせつほう間接かんせつほう[編集へんしゅう]

キャッシュ・フロー計算けいさんしょ作成さくせいする方法ほうほうには、直接ちょくせつほう間接かんせつほうがある。

  • 直接ちょくせつほう - 直接ちょくせつほう現金げんきん収支しゅうし収益しゅうえき費用ひよう関連付かんれんづけて計算けいさんする。直接ちょくせつほう間接かんせつほうくらべてキャッシュ・フローにたいする収益しゅうえき費用ひよう関連かんれんせい表記ひょうきできる反面はんめん実務じつむ煩雑はんざつである難点なんてんつ。直接ちょくせつほう連結れんけつキャッシュ・フロー計算けいさんしょ作成さくせいするためには、通常つうじょう連結れんけつがわまれない「売上うりあげ原価げんか」の内訳うちわけ連結れんけつがわみ、内訳うちわけごと連結れんけつ消去しょうきょ必要ひつようとなる。しかし、この機能きのう実現じつげんしている連結れんけつ会計かいけいシステムはごく一部いちぶ限定げんていされている[5]。しかし、IFRSは直接ちょくせつほう一本いっぽんされる方向ほうこうであり、米国べいこく基準きじゅん直接ちょくせつほう推奨すいしょうしている[6]
  • 間接かんせつほう - 間接かんせつほう利益りえきから資金しきんせい費用ひよう加算かさんして資産しさん負債ふさい増加ぞうか減少げんしょう逆算ぎゃくさんすることにより計算けいさんする方法ほうほうである。つまり間接かんせつほうによるキャッシュフロー計算けいさんしょでは、損益そんえき計算けいさんしょ税引ぜいびきぜん当期とうきじゅん利益りえきもとにキャッシュフロー要因よういん期首きしゅとの差異さい加減かげんすることで計算けいさんする。実務じつむでは間接かんせつほうによることがおおい。これは、とく連結れんけつでの直接ちょくせつほうキャッシュ・フロー計算けいさんしょ作成さくせい困難こんなんであり、比較ひかくてき間接かんせつほうによって作成さくせいすることが簡便かんべんであることが理由りゆうひとつである。また、中国ちゅうごくの「しん企業きぎょう会計かいけい準則じゅんそく」では2012ねん1がつ1にちより、間接かんせつほう禁止きんしされている。

意義いぎ分析ぶんせき[編集へんしゅう]

キャッシュ・フロー計算けいさんしょは、様々さまざま情報じょうほう提供ていきょうする。その内容ないよう検討けんとうすることにより、企業きぎょう活動かつどうかんして以下いかのことが明確めいかくになる[7]

  1. キャッシュを現金げんきん創出そうしゅつりょく
  2. 資本しほん活用かつよう方針ほうしん企業きぎょうがどこへかっているか)。
  3. 借入金かりいれきんかか支払しはらい利息りそく負担ふたん能力のうりょく
  4. 外部がいぶからの資金しきん調達ちょうたつへの依存いぞん
  5. 収益しゅうえきりょくしつりょう企業きぎょうなにによってキャッシュをかせいでいるか)。

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ "『キャッシュ・フロー計算けいさんしょ』は、いち会計かいけい期間きかんにおけるキャッシュ・フローの状況じょうきょう一定いってい活動かつどう区分くぶんべつ表示ひょうじするものであり ... 『キャッシュ・フロー計算けいさんしょ』を導入どうにゅうするにたり、これを財務諸表ざいむしょひょうひとつとして位置付いちづけることが適当てきとうである" 企業きぎょう会計かいけい審議しんぎかい. (2008). 連結れんけつキャッシュ・フロー計算けいさんしょとう作成さくせい基準きじゅん設定せっていかんする意見いけんしょ.
  2. ^ "キャッシュ・フロ-計算けいさんしょでは ... キャッシュの増減ぞうげんから会社かいしゃ資金しきん状況じょうきょう判断はんだんします。" 中小企業庁ちゅうしょうきぎょうちょう. 中小ちゅうしょう企業きぎょう会計かいけい 31もん31とう.
  3. ^ "現金げんきん主義しゅぎでは,基本きほんてき現金げんきん勘定かんじょう残高ざんだか利益りえきしめすことになるので,利益りえきたいして資金しきんてき裏付うらづけがなされることになる." 村田むらた. (2016). 現金げんきん主義しゅぎ発生はっせい主義しゅぎ会計かいけい. 経済けいざいしゅうこころざし.
  4. ^ G.ベネット・スチュワート,Ⅲ 『EVA創造そうぞう経営けいえい』: ISBN 978-4-492520-89-5
  5. ^ http://www.sap.com/japan/campaigns/2010/ifrs/expert07.epx[リンク]
  6. ^ http://www.sap.com/japan/campaigns/2010/ifrs/expert21.epx[リンク]
  7. ^ 以下いか本節ほんぶし出典しゅってん:『キャッシュフロー分析ぶんせき企業きぎょう価値かち判断はんだん』シグマベイスキャピタル