クッシー

屈斜路くっしゃろ湖畔こはんにあるクッシー像ぞう

クッシーは、北海道ほっかいどう屈斜路湖くっしゃろこで1973年ねんから目撃もくげき証言しょうげんのある未み確認かくにん生物せいぶつ（UMA）。有名ゆうめいなイギリスのネス湖こに生息せいそくするネッシーに倣ならって名付なづけられた。目撃もくげき証言しょうげん以外いがいにも、湖面こめんの波紋はもんなどが幾いくつかの写真しゃしんにも納おさめられているが、正体しょうたいは不明ふめいとされている。

湖面こめんの美うつくしい屈斜路湖くっしゃろこにおける神秘しんぴ性せいの高たかい話題わだいとして、地元じもとでは観光かんこう資源しげんの一ひとつともなっている。日本にっぽんの未み確認かくにん巨大きょだい水棲すいせい（すいせい）生物せいぶつでも鹿児島かごしま県けん池田いけだ湖このイッシーと並ならびかなりの知名度ちめいどを誇ほこる未み確認かくにん生物せいぶつだが、2000年代ねんだい以降いこうは目撃もくげき報告ほうこくがほぼ途絶とだえている。

目撃もくげき情報じょうほう

• 1972年ねん11月、湖畔こはんの国道こくどうを車くるまで走行そうこう中ちゅうに湖みずうみの岸きしに向むかって移動いどうしてくる、ボートを逆様さかさまにしたような物体ぶったいをドライバーが目撃もくげき（このドライバーは1974年ねんにクッシーと思おもわれる写真しゃしんを撮影さつえいしている）。それ以前いぜんにも怪物かいぶつの目撃もくげき情報じょうほうはあったが、1973年ねん8月がつ、中学生ちゅうがくせい40人にん程ほどが藻琴山もことやまへの遠足えんそく中ちゅうに目撃もくげきしたことが知しられ、全国ぜんこく的てきにクッシーの存在そんざいが知しれ渡わたることになった。
• 1974年ねん7月がつ、一家いっかが湖面こめんを移動いどうする二ふたつの黒くろい物体ぶったいを目撃もくげき。二ふたつの物体ぶったいは移動いどうした後のち、ものすごい水音みずおとと大波おおなみを立たてて水中すいちゅうに沈しずみ、その音おとは丸太まるたを10本ほんほど湖みずうみに投なげこんだようなものだったという。
• 同年どうねん9月がつ18日にち、湖面こめんに三角形さんかっけいの形かたちをした二ふたつのコブが目撃もくげきされる。コブの全長ぜんちょうは10 - 15メートルほどで、ヌメヌメと光ひかっていた。モートボート程度ていどの速はやさで移動いどうしながらやがて水中すいちゅうに没ぼっしたが、約やく15人にん程ほどがこの光景こうけいを呆然ぼうぜんと眺ながめていたという。同月どうげつ、北海道放送ほっかいどうほうそうのビデオカメラが湖面こめんに浮うかぶ丸まるい物体ぶったいを捉とらえたが、外見がいけんがわかるような資料しりょうがなく、正体しょうたいが何なにであるかの検討けんとう段階だんかいには至いたっていない。
• 1975年ねん7月がつ5日にち午前ごぜん9時半じはんごろ、林業りんぎょうを営いとなむ男性だんせいが馬うまを使つかって湖畔こはんでの木きの切きり出だし作業さぎょう中ちゅう、馬うまが急きゅうに何なにかに脅おびえ始はじめたため湖面こめんの方ほうを見みると、50メートルほど先さきに、馬うまの頭あたまよりずっと大おおきい、銀色ぎんいろの目めを光ひからせた焦こげ茶ちゃ色しょくの顔かおが顔かおを出だしているのを目撃もくげき。そのうちこの怪物かいぶつは湖みずうみに姿すがたを消けしたという。また、土産物みやげもの販売はんばい店てんの店員てんいんによる「夜中よなかに湖みずうみの方ほうから『ダッポン、ダッポン』という大おおきな音おとが聞きこえた」という証言しょうげんもある。湖みずうみにイカ、イモ、野菜やさいを仕掛しかけたところ、イカだけが何者なにものかに歯はで食くいちぎれた状態じょうたいで見みつかっており、湖みずうみにはトゲウオぐらいしか魚さかなはいないため、クッシーがイカを食たべたのではないかと推測すいそくされた。
• 1979年ねん8月がつ2日にち。屈斜路湖くっしゃろこの見物けんぶつに訪おとずれた一家いっかが、湖みずうみの中島なかじま近ちかくの水面すいめんを水みずすましのように走はしる物体ぶったいを撮影さつえい。写真しゃしんの物体ぶったいについては、当時とうじ湖こで水上すいじょうボートが走はしっていたこと、当日とうじつは多おおくの観光かんこう客きゃくがいたにもかかわらず目撃もくげき者しゃがこの一家いっかだけであることから、誤認ごにんの可能かのう性せいが濃厚のうこうとなった。その後ご、湖みずうみから首くびを出だして泳およぐクッシーと見みられる写真しゃしんが公表こうひょうされたが、その真偽しんぎは不明ふめい。
• 1988年ねんには当時とうじ地元じもとでレストランを経営けいえいする男性だんせいがモーターボートで追跡ついせきして15メートル程ほどまで近ちかづいたと主張しゅちょう。彼かれによれば、クッシーの背中せなかはイルカのような黒くろずんだものだったという。
• 1990年ねんにも美幌峠びほろとうげから写真しゃしんが撮影さつえいされている。撮影さつえい者しゃによるとヌメっとした馬うまの首くびのような物体ぶったいを見みたという。
• 1997年ねん6月がつには、弟子屈てしかがの消防署しょうぼうしょ員いんが砂湯すなゆの沖おきでクッシーを目撃もくげき。およそ100メートルほど先さきの沖おきが波立なみだち、全長ぜんちょう20メートルほどある怪獣かいじゅうが銀色ぎんいろの頭あたまを水面すいめんから出だしていたという。

これ以後いご目撃もくげき証言しょうげんがピタリと止やんでいる。

正体しょうたい

• 首長しゅちょう竜りゅう生いき残のこり説せつ、イトウ説せつ、アメマス説せつなどがある。

• 否定ひてい派ははクッシーの存在そんざいしない根拠こんきょとして、屈斜路湖くっしゃろこには大型おおがたの生物せいぶつが住すむには餌えさとなる魚さかなが不足ふそくしていることを挙あげている。屈斜路湖くっしゃろこがカルデラ湖みずうみであり、1938年ねんの屈斜路くっしゃろ地震じしんで湖底こていから硫黄いおうが噴出ふんしゅつし、pH4前後ぜんこうまで酸性さんせいに傾かたむき魚類ぎょるいはほぼ全滅ぜんめつしたことなどをあげ、近代きんだいになってマスが放流ほうりゅうされたとは言いえ、とても大型おおがた生物せいぶつが住すめる環境かんきょうではないとしている。

い伝いつたえ

• アイヌの伝説でんせつにも湖みずうみに住すむ巨大きょだいなヘビの話はなし（「鹿しかがこのヘビに丸呑まるのみされた」など）や湖みずうみに住すむ巨大きょだいなアメマスやイトウ（オビラメ）の伝承でんしょうがあり、これらに関連かんれんがあるのではないかとも指摘してきされている。また、明治めいじに本土ほんどからこの地ちへとやってきた開拓かいたく民みんも、現地げんちのアイヌから湖みずうみの主あるじのことを聞きかされ、「湖みずうみを見みても誰だれにも話はなしてはならない。話はなすと災わざわいが起おこる」と言いわれたという。そのため、開拓かいたく民みんも屈斜路湖くっしゃろこで「主あるじ」を目撃もくげきしても、見みて見みぬふりをしてきたとされ、地震じしんが起おこる度たびに湖みずうみの主あるじのたたりと恐おそれたという話はなしがある。このため、湖みずうみの怪物かいぶつの存在そんざいはあまり外部がいぶに広ひろまらなかったとされる。もちろん、これがクッシーのことを指さしているとは限かぎらない。

• 湖みずうみが凍こおると湖面こめんが割われる現象げんしょうがあり、クッシーの仕業しわざではないかと地元じもとでは言いわれている。これは、「御ご神かみ渡わたり」現象げんしょうと言いわれる。同様どうようの現象げんしょうは諏訪湖すわこでも観察かんさつされており、神かみが通とおった跡あとと説明せつめいされている。湖面こめんにできた氷こおりが収縮しゅうしゅくと膨張ぼうちょうを繰くり返かえすと、湖面こめんに氷こおりの山やまができあがり、一見いっけんするとヘビのような形かたちになって湖面こめんを縦断じゅうだんする。屈斜路湖くっしゃろこでも、砂湯すなゆから10キロメートルに及およぶ長ながい「御ご神かみ渡わたり」が観測かんそくされたこともある。アイヌの湖みずうみのヘビの伝説でんせつもこれから連想れんそうされたのではという見方みかたもある。

ネッシーとクッシーの歌うた

• ネッシーとクッシー（1976年ねん ビクター KV-543、作詞さくし 前川まえかわ市治いちじ郎ろう、作曲さっきょく 牧野まきの民治たみじ、編曲へんきょく 前田まえだ俊明としあき、歌手かしゅ 田中たなか星ほし児じ）

参考さんこう文献ぶんけん

• 宇留島しま進すすむ『日本にっぽんの怪獣かいじゅう・幻まぼろし獣じゅうを探さがせ!』広済堂こうさいどう出版しゅっぱん、1993年ねん、182頁ぺーじ。ISBN 9784331651827。 
• 学研がっけん教育きょういく出版しゅっぱん 編へん『未知みち動物どうぶつの大だい百科ひゃっか』学研がっけん教育きょういく出版しゅっぱん〈学研がっけんミステリー百科ひゃっか 1〉、2013年ねん、129頁ぺーじ。ISBN 9784059147695。 

関連かんれん項目こうもく

• 未み確認かくにん動物どうぶつ
• 未み確認かくにん動物どうぶつ一覧いちらん

外部がいぶリンク

• クッシーとネッシー物語ものがたり