ゲッキツ

ゲッキツ
ゲッキツ
分類ぶんるい（APG IV）
界さかい : 植物しょくぶつ界かい Plantae 階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ Angiosperms 階級かいきゅうなし : 真正しんしょう双そう子葉しよう類るい core eudicots 階級かいきゅうなし : 真正しんしょう双そう子葉しよう類るい eudicots 階級かいきゅうなし : バラ上うえ群ぐん superrosids 階級かいきゅうなし : バラ類るい rosids 階級かいきゅうなし : rosid II / Malvidae 目め : ムクロジ目め Sapindales 科か : ミカン科か Rutaceae 属ぞく : ゲッキツ属ぞく Murraya 種たね : ゲッキツ M. paniculata
学名がくめい
Murraya paniculata (L.) Jack
和名わみょう
ゲッキツ（月つき橘たちばな）
英名えいめい
Orange Jessamine

ゲッキツ（月つき橘たちばな、Murraya paniculata）はミカン科かゲッキツ属ぞくの常緑じょうりょく小しょう高木たかぎの柑橘類かんきつるい。観葉かんよう植物しょくぶつとしてよく栽培さいばいされる。

特徴とくちょう

奄美あまみ大島おおしま以南いなん、沖縄おきなわから東南とうなんアジアにかけて分布ぶんぷする。葉はは奇数きすう羽わ状じょう複葉ふくようでつやがある。幹みきや枝えだは白しろっぽく表面ひょうめんがなめらか、花はなはミカンなどに似にて白しろく、夏なつに開花かいかしジャスミンに似にた芳香ほうこうを放はなつ。果実かじつは直径ちょっけい1cmほどで赤あかく熟じゅくし食たべられる。

月つき橘たちばなの名なは花はなが月夜つきよに特とくによく香かおるためといわれる。別名べつめいとしてイヌツゲ（ただしモチノキ科かにイヌツゲという標準ひょうじゅん和名わみょうの植物しょくぶつが存在そんざいする）、九里くのり香かおり、英語えいご名めいオレンジジャスミン、シルクジャスミンなどともいう。また、コスメティックバークという異名いみょうももち、葉はと根ねは血行けっこう促進そくしん、鎮静ちんせい作用さよう、抗こう炎症えんしょう作用さようがあるとされる。ジャスミンの名ながつくが、ジャスミンティーなどに使つかわれるいわゆるジャスミンはモクセイ科かであり別種べっしゅである。

同おなじ属ぞくのオオバゲッキツはカレーリーフとも呼よばれ、葉はが南みなみインド料理りょうりの材料ざいりょうとして使つかわれる。

花はな

果実かじつ

この樹きの材ざいは、きわめて硬かたく、緻密ちみつで絹きぬ状じょうの光沢こうたくがある。この材ざいを、彫刻ちょうこくや、ステッキ、刃物はものや農具のうぐの柄え、文鎮ぶんちん、印鑑いんかん、版木はんぎ、櫛くしなどに用もちいる。

この植物しょくぶつは英名えいめいで、satinwood（サテンウッド）とも呼よばれている。本来ほんらいの satinwood は、同おなじミカン科かのインドシュスボク（Chloroxylon swietenia）を指さす。

インドシュスボクはインドからセイロンに分布ぶんぷする高木こうぼくで、その心材しんざいは、新鮮しんせんなものでは、やや芳香ほうこうがあり、淡あわ黄色きいろから淡あわ黄き褐色かっしょくの緻密ちみつで重厚じゅうこう（平均へいきん気き乾いぬい比重ひじゅう約やく0.98）なものである。その材ざいは繻子しゅす（シュス）のような光沢こうたくがあって美うつくしく、家具かぐや、細工ざいく物ぶつ、装飾そうしょく品ひん用材ようざいとして、利用りようされている。この材ざいの繻子しゅす（英語えいご で satin）のような光沢こうたくから、この植物しょくぶつは "Satinwood tree" と呼よばれている。

このことから「ゲッキツ」の材ざいも、この「インドシュスボク」と同おなじような性質せいしつをもつことがうかがえる。