ゴング

ゴング
各かく言語げんごでの名称めいしょう
英えい Gong
インドネシアのガムランで用もちいられるゴングのセット
分類ぶんるい
体からだ鳴な楽器がっき

クメール式しきのゴング。ベトナム、チャーヴィンのクメール民族みんぞく文化ぶんか博物館はくぶつかんにて。中央ちゅうおうに演者えんじゃが座すわって演奏えんそうする。

ゴング（gong）は、体からだ鳴な楽器がっきに分類ぶんるいされる打楽器だがっきの一ひとつ。音程おんていのある銅鑼どら。

タムタムとの違ちがい

タムタムとの大おおきな違ちがいは、音程おんていがあるという点てんであり、これは、中央ちゅうおうにある丸まるみをおびた凸とつ部ぶによる。ただし、金属きんぞく製せいで鉢はち状じょうの物ものもここに分類ぶんるいされるため、全すべてに当あてはまるというわけではない。

作曲さっきょく者しゃによってはタムタムと混同こんどうしている場合ばあいがある。区別くべつする方法ほうほうとして、具体ぐたい的てきな音程おんていの指定していがない場合ばあいには、ゴングではなくタムタムを使用しようすると考かんがえてよい。

マーラーの交響こうきょう曲きょく第だい2番ばんにおいて、高たかい音おとと低ひくい音おとの指定していがあるタムタムが出でてくるが、具体ぐたい的てきな音程おんていの指定していがないので、この場合ばあいは、サイズの違ちがうタムタムを使用しようする。

ゴングの発祥はっしょう地ちは東南とうなんアジアといわれている。ここでも中国ちゅうごくが由来ゆらいのタムタムとは異ことなる。

種類しゅるい

• ゴン・グデ（gong gedé）：インドネシアのガムランで使用しようされる大型おおがたの物もの。
• クンプル（Kempur）：インドネシアのガムランで使用しようされる中型ちゅうがたの物もの。
• ボナン、ボナン・バルン：インドネシアのガムランで使用しようされる。小型こがたのゴングを並ならべたもので、主要しゅよう旋律せんりつまたは旋律せんりつ装飾そうしょくを担になう。
• コーン・ウォン・レク（gong wong lek）、コーン・ウォン・ヤイ（gong wong yai）：タイの組くみゴング。音域おんいきが高たかい方ほうがレク、低ひくいのがヤイ。
• 御ご鈴すず（おりん）：日本にっぽんの仏教ぶっきょうで使用しようされる。
• 当あたり鉦かね（あたりがね）：日本にっぽんの歌舞伎かぶきや祭まつりで使用しようされる。詳細しょうさいはリンク先さき参照さんしょう
• クロマチック・ゴング：半音はんおんを奏かなでられるように組くみ合あわされたもの。
• 銅鑼どら：英語えいご圏けんではこれもゴングと呼よばれる。

奏法そうほう

通常つうじょうは中心ちゅうしんの突起とっきの部分ぶぶんを撥ばちで叩たたく。これにより、明瞭めいりょうな音程おんていを持もった音響おんきょうを得えることが出来できる。

中心ちゅうしんより離はなれた平面へいめんを叩たたいても音おとは鳴なるが、はっきりした音色ねいろは得えられない。これは通常つうじょうの奏法そうほうではない。

撥ばちは通常つうじょうの打楽器だがっき用ようのマレットの他ほか、大おおきめのゴングには専用せんようの太ふとい撥ばちを用もちいる。

使用しよう楽曲がっきょく

• プッチーニ：オペラ『蝶々夫人ちょうちょうふじん』（gong giapponese（日本にっぽんのゴング）という名称めいしょうで使用しよう）
• プッチーニ：オペラ『トゥーランドット』
• リヒャルト・シュトラウス：皇紀こうき2600年ねん祝典しゅくてん音楽おんがく（皇紀こうき2600年ねん奉祝ほうしゅく曲きょくとして作曲さっきょく、初演しょえんの際さいには、近郊きんこうの寺てらから音程おんていがあう御ご鈴すずを集あつめて演奏えんそう）
• リヒャルト・シュトラウス：オペラ『影かげのない女おんな』
• 真島まじま俊夫としお：鳳凰ほうおうが舞まう～印象いんしょう：京都きょうと、石庭いしにわ、金閣寺きんかくじ～

利用りよう

格闘技かくとうぎ

新しん木場きば1stRINGのゴング

ボクシングやプロレス等ひとし、格闘技かくとうぎ系けいの試合しあいの際さいに各かくラウンドや試合しあいの開始かいし・終了しゅうりょうなどを知しらせるために用もちいられる。また、引退いんたい試合しあい、物故ぶっこ者しゃに対たいする追悼ついとう式しきでは「テンカウントゴング」としてクライマックスに10回かい鳴ならす。ボクシングで“ノックダウンされてから10数かぞえる間あいだに立たち上あがれないと負まけで試合しあい終了しゅうりょう”にちなむ。

使用しようされるゴングは直径ちょっけい30cm前後ぜんこうの真鍮しんちゅう製せいの深ふか皿さらを伏ふせた形状けいじょうで、木き槌づちで叩たたいて鳴ならす。

ヨーロッパではゴングではなく鐘かねを使用しようする場合ばあいもある。

また、資金しきんが限かぎられている零細れいさいインディー団体だんたいでは日にち用品ようひんを改良かいりょうしてゴング代かわりに使用しようする場合ばあいもある。一方いっぽう、新しん北京ぺきんプロレスでは興行こうぎょうの演出えんしゅつとしてゴングの代かわりに銅鑼どらを使用しようしていた。

UFCではラウンド終了しゅうりょうはゴングではなくブザーで知しらせる。また、プロフェッショナル修おさむ斗とやパンクラスではラウンド開始かいし・終了しゅうりょうともホーンを使用しようする。

船舶せんぱく

船舶せんぱくでは船員せんいん等とうの食事しょくじや集合しゅうごう、出港しゅっこう時じの見送みおくりの人々ひとびとの退すさ船ふね喚起かんきなどの合図あいずに使つかわれた。

鉄道てつどう車両しゃりょう

鉄道てつどう車両しゃりょうでは路面ろめん電車でんしゃで警音器きとして足踏あしぶみ式しきのゴングが装備そうびされていたことがある。

詳細しょうさいは「フートゴング」を参照さんしょう

関連かんれん項目こうもく

• ベトナム中央ちゅうおう高原こうげんにおけるゴングの文化ぶんか的てき空間くうかん - ユネスコ無形むけい文化ぶんか遺産いさん

参考さんこう文献ぶんけん

• 網代あじろ啓介けいすけ、岡田おかだ知之ともゆき著ちょ 『新版しんぱん 打楽器だがっき事典じてん』 音楽之友社おんがくのともしゃ、1994年ねん