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サトウヤシ

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サトウヤシ
分類ぶんるいAPG III
さかい : 植物しょくぶつかい Plantae
階級かいきゅうなし : 被子植物ひししょくぶつ angiosperms
階級かいきゅうなし : たん子葉しようるい monocots
階級かいきゅうなし : ツユクサるい commelinids
: ヤシ Arecales
: ヤシ Arecaceae
ぞく : クロツグぞく Arenga
たね : サトウヤシ A. pinnata
学名がくめい
Arenga pinnata
和名わみょう
サトウヤシ
英名えいめい
Suger Palm
Arenga Palm

サトウヤシ学名がくめい: Arenga pinnata、またはシノニムとしてArenga saccharifera)は、インド東部とうぶからマレーシアインドネシアフィリピン東部とうぶまでの熱帯ねったいアジアを原産地げんさんちとするヤシクロツグぞくヤシで、経済けいざいてき重要じゅうよう作物さくもつとなっている[1]。サトウヤシのほかアレン・パーム、カオン・パームなどともばれる[2][3]

中型ちゅうがたのヤシで、樹高きだかは20メートルほどになる。みきふる葉柄ようへいおおわれる。ながさ6 - 12メートル、はば1.5メートルのはねじょうで、はねへんは1 - 6れつながさ40 - 70センチメートル、はば5センチメートルほどである。果実かじつるい球形きゅうけい直径ちょっけい7センチメートルほど。未熟みじゅくはてでは緑色みどりいろだが、じゅくすにつれてくろとなる[4]

絶滅ぜつめつ危惧きぐしゅにはなっていないが、分布ぶんぷいき一部いちぶではまれにしかられなくなっているところもある。クモネズミ英語えいごばんなど、絶滅ぜつめつ危惧きぐしゅとなっている動物どうぶつなかにはサトウヤシをおも食餌しょくじとしているものもある。

フランシスコ・マヌエル・ブランコによるサトウヤシのスケッチ。Flora de Filipinas (1880-1883) より。

利用りよう[編集へんしゅう]

樹液じゅえき[編集へんしゅう]

東南とうなんアジアでは砂糖さとうるために商業しょうぎょうてき栽培さいばいされ、サトウヤシからつくった砂糖さとうはインドではグル (gur)、インドネシアではグラ・アレン (gula aren) とばれる。インドネシアでは樹液じゅえき使つかったラハン英語えいごばんというつめたい甘味あまみ飲料いんりょうまれているほか樹液じゅえき発酵はっこうさせて(フィリピンのスカン・カオン英語えいごばん)やヤシしゅ(フィリピンのトゥバ、マレーシアおよびインドネシアのトゥアク)をつく[3][5][6]

新鮮しんせん樹液じゅえきから砂糖さとうあかとう)をさいには、発酵はっこうふせぐためにくだいた唐辛子とうがらしあるいはショウガ採集さいしゅう容器ようきれる。採集さいしゅうした樹液じゅえき煮詰につめて濃厚のうこうなシロップをつくり、乾燥かんそうして黒糖こくとうる。タラバヤシ英語えいごばんなどのヤシからもおな方法ほうほう砂糖さとうられる[3]

なま果汁かじゅう果肉かにくには腐食ふしょくせいがある。樹液じゅえき糖分とうぶん豊富ほうふ一方いっぽう地中ちちゅうふかくにるため急斜面きゅうしゃめんにもえることができるうえかんばつにもえ、肥料ひりょう不要ふようなことから、樹液じゅえきバイオエタノール原料げんりょうとすることで森林しんりん保護ほご燃料ねんりょう生産せいさん両立りょうりつできる作物さくもつとして有望ゆうぼうされている[7]

果実かじつ[編集へんしゅう]

未熟みじゅく果物くだものはフィリピンやインドネシアで食用しょくようとされ、それぞれカオン (kaong) およびブア・コラン・カリン (buah kolang-kaling) またはブア・タップ (buah tap) とばれる。砂糖さとうシロップでたものを缶詰かんづめとする[3]

繊維せんい[編集へんしゅう]

くろっぽい繊維せんいしつ樹皮じゅひはインドでドー (doh)、インドネシアでイジュク (ijuk)、フィリピンでユモット (yumot) あるいはカボ・ネグロ (Cabo negro) とばれ、ひもにしたりブラシやほうきをつくるほか、屋根やねざいなどにする[3]

ボロブドゥールなどのジャワ地方ちほうふる寺院じいんのレリーフにかんする研究けんきゅうから、古代こだいジャワの土着どちゃく建築けんちくでは屋根やねをサトウヤシの樹皮じゅひいていたことがかっている。これは現在げんざいでもバリ寺院じいんミナンカバウじん伝統でんとう家屋かおくであるルマ・ガダン、あるいはパガルユン宮殿きゅうでんにみられるゴンジョン (gonjong) という水牛すいぎゅうかくした尖塔せんとうをもつ建物たてものにみられる[よう出典しゅってん]

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ちゅうあばらへんかごなどをつくるのに使つかわれるほか家具かぐるい寄木よせぎ細工ざいくにももちいられる[3]

デンプン[編集へんしゅう]

インドネシアではサトウヤシからデンプンり、べいわりとして麺類めんるいやケーキなどの料理りょうりもちいる[3]

文化ぶんか[編集へんしゅう]

フィリピンのカヴィテしゅうインダンは同国どうこく屈指くっしのサトウヤシの産地さんちで、サトウヤシやトゥバのしゅ産地さんちになっており、毎年まいとしイロックさいおこなっている。このイロック (Irok) とは、フィリピン北西ほくせいでサトウヤシを言葉ことばである[8][9]

スンダ列島れっとう伝承でんしょうによれば、サトウヤシにはウェウェ・ゴンベル (Wewe Gombel) という妖精ようせいがおり、そこでさらってきた子供こどもたちをやしなっているのだという[10]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Uhl, Natalie W. and Dransfield, John (1987) Genera Palmarum – A classification of palms based on the work of Harold E. Moore. Lawrence, Kansas: Allen Press. ISBN 0-935868-30-5 / ISBN 978-0-935868-30-2
  2. ^ Kaong Arenga pinnata (Wurmb) Merr.”. Philippine Medicinal Plants. 2018ねん12月23にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c d e f g Florido, Helen B.; de Mes, Priscilla B. (2003). “Sugar palm [Arenga pinnata (Wurbm.) Merr.”]. Research Information Series on Ecosystems 15 (2): 1-7. http://erdb.denr.gov.ph/wp-content/uploads/2015/05/r_v15n2.pdf. 
  4. ^ Riffle, Robert L. and Craft, Paul (2003) An Encyclopedia of Cultivated Palms. Portland: Timber Press. ISBN 0-88192-558-6 / ISBN 978-0-88192-558-6
  5. ^ List of Philippine vinegars”. Glossary of Filipino Food ...and essays on the world's "original fusion cuisine" too.. 2018ねん12月23にち閲覧えつらん
  6. ^ Edgie Polistico (2017). Philippine Food, Cooking, & Dining Dictionary. Anvil Publishing, Incorporated. ISBN 9786214200870. https://books.google.com.ph/books?id=iz8_DwAAQBAJ&dq=Arroz+caldo&source=gbs_navlinks_s 
  7. ^ Marianne Lavelle (2011ねん6がつ23にち). “バイオ燃料ねんりょう生産せいさん森林しんりん保護ほご両立りょうりつ”. ナショナルジオグラフィック. 2020ねん7がつ25にち閲覧えつらん
  8. ^ Urlanda. “Irok Festival”. Cavite.info. 2018ねん12月23にち閲覧えつらん
  9. ^ The Making of Arenga Pinnata Vinegar”. FoodRecap. 2018ねん12月23にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2018ねん12月23にち閲覧えつらん
  10. ^ Wewe Gombel Archived 2012-08-23 at the Wayback Machine.

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]