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シメオン (ヤコブの)

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ポルトガルのスケッチ、シメオンかれている

シメオンは、創世そうせいによるとヤコブレアだい2であり、イスラエルじゅう支族しぞくのうちシメオンぞくとされる人物じんぶつである。しかし、一部いちぶ聖書せいしょ学者がくしゃはこれをポストディクション、すなわちイスラエル連合れんごうかく部族ぶぞく関連かんれんせい起源きげん提供ていきょうするためのエポニムメタファーであるとしてている[1]聖書せいしょ学者がくしゃは、シメオンぞく初期しょきのイスラエル連合れんごう一部いちぶであると聖書せいしょ著者ちょしゃしんじられていたと主張しゅちょうしている[1]。しかしながら、そのシメオンぞく旧約きゅうやく聖書せいしょ一部いちぶにはかれておらず(たとえば、さるいのちだい31しょうにおけるモーセまえにイスラエルの人々ひとびと祝福しゅくふくした言葉ことばでは、イスラエルのかく部族ぶぞくたいしてそれぞれ祝福しゅくふく言葉ことばがかけられるが、シメオンの名前なまえてこない[2])、本文ほんぶん批評ひひょう学者がくしゃたとえばデボラうたのようにもっとふるいものであると主張しゅちょうし、また、一部いちぶ学者がくしゃはシメオンがはじめは個別こべつ部族ぶぞくとはかんがえられていなかったと主張しゅちょうしている[3]

名称めいしょう[編集へんしゅう]

トーラーのテキストでは、シメオンの名前なまえは、レアがヤコブに(ラケルほどかれていないという意味いみにおいて)きらわれているのをかみみみにしたためにかみさづけてくれたであるとのレアの確信かくしんによりけられた[4]ヘブライで「かれわたし苦労くろうみみにした」という意味いみ言葉ことばである「shama on」の語源ごげんともなっており、トーラーがテオフォリックネーム (en)をあたえたイシュマエルかみがあなたのくるしみをいた)と類似るいじした語源ごげんである[5]。これは、シメオンぞく当初とうしょイシュマエルぞくのグループであった可能かのうせい示唆しさしている[6]古典こてんてきラビ文献ぶんけんにおいて、この言葉ことば時々ときどきかみ言葉ことばくもの」を意味いみすると解釈かいしゃくされる[7]。そしてそれは「つみ」という意味いみである「sham 'in」に由来ゆらいしているとかんがえられる。それはシメオンぞくつかさであるジムリがミデヤンじん女性じょせいまじわったこと[8]への預言よげんてき言及げんきゅうであることをしめしている(ラビの教義きょうぎでは民族みんぞくとの交配こうはい罪深つみぶかいことであるとかんがえられている)[3]

シケムでのシメオン[編集へんしゅう]

シェケムでのシメオンとレビによる虐殺ぎゃくさつ

トーラーによると、シケムというカナンひとによってシメオンのいもうとディナ強姦ごうかんされた(のバージョンではたん誘惑ゆうわくされた)さい、シメオンとかれ兄弟きょうだいレビまち住人じゅうにんだまして割礼かつれいさせ、割礼かつれいきずよわっているあいだまち男性だんせい全員ぜんいんけん殺害さつがいするというはげしい報復ほうふくおこなった[9]のちにヤコブの祝福しゅくふく (en)において、以下いかのようにヤコブはきびしくシメオンとレビを批難ひなんした[10]

シメオンとレビとは兄弟きょうだいかれらのつるぎは暴虐ぼうぎゃく武器ぶき。わがたましいよ、かれらの会議かいぎのぞむな。わがさかえよ、かれらのつどいにつらなるな。かれらはいかりにまかせてひところし、ほしいままにうしあしすじった。かれらのいかりは、はげしいゆえにのろわれ、かれらのいきどおりは、はなはだしいゆえにのろわれる。わたしはかれらをヤコブのうちにけ、イスラエルのうちにらそう。
日本にっぽん聖書せいしょ協会きょうかい、『聖書せいしょ 口語こうご』(1955ねん

一部いちぶ聖書せいしょ学者がくしゃは、ディナの強姦ごうかん記述きじゅつ原因げんいんろんてき神話しんわであり、シケムの聖地せいち存在そんざい正当せいとうするためにヤハウィストによってつくられたとかんがえている[1][11]。シケムの聖地せいちかんしてエロヒスト記述きじゅつでは、単純たんじゅんにヤコブが土地とち購入こうにゅうしたとされている[12]。ヤハウィストの記述きじゅつ聖地せいちたいするおおかくされた軽視けいしだとられている[11]聖書せいしょ学者がくしゃはシメオンの報復ほうふくとヤコブの祝福しゅくふくにおけるばっは、紀元前きげんぜん900ねんから700ねん聖書せいしょ著者ちょしゃきた時代じだいに、なぜシメオンぞく存在そんざいおとろえていたのかを説明せつめいするように設計せっけいされた、原因げんいんろんてきなポストディクションであるとている[1][11]ミドラーシュひとつであるセーフェル・ハイ=ヤーシャール (en)では、割礼かつれいをする必要ひつようがあるとってシケムのちちハモルをだましたのはシメオンであるとし、つづいて、シメオンがわずか13さいにもかかわらず非常ひじょうつよく、兄弟きょうだいのレビの協力きょうりょくけつつも独力どくりょくでシケムのまち男性だんせいすべてを虐殺ぎゃくさつすることができ、85にんわか女性じょせいらえ、ボナという女性じょせい結婚けっこんしたと主張しゅちょうしている[11]

ヨセフとの関係かんけい[編集へんしゅう]

古典こてんてきなラビ文献ぶんけんにおいては、シメオンは非常ひじょうこわいものらずであるがいちじるしくねたふかく、そしてヤコブのおりであるヨセフたいしてはつね敵対てきたいてき悪意あくいいていたとされる[3]。セーフェル・ハイ=ヤーシャールでは、創世そうせいだい37しょうでヨセフがひつじっている兄弟きょうだいたちののちってドタンのまちさいに、ヨセフをころさなければならないと主張しゅちょうしたのはシメオンであるとしている。また、古典こてんてきなラビ文献ぶんけんでは、シメオンはヨセフを荒野あらのあなとし、ユダがヨセフをころさずにイシュマエルじんしょうたいったとかったさい激怒げきどしたとしている[11]古典こてんてきなラビ文献ぶんけんによれば、シメオンはこの残忍ざんにんさにたいするかみばっによって右手みぎてえてくるしんだが、かれ後悔こうかいしたためは1週間しゅうかん回復かいふくしたとされる[11]

聖書せいしょのヨセフの物語ものがたりにおいて、ヨセフがエジプトでパロに重用じゅうようされエジプト全国ぜんこくつかさとなり、そのヨセフのまえ飢餓きがくるしんだかれ兄弟きょうだい穀物こくもつもとめてあらわれたさい、ヨセフは兄弟きょうだいたちにベニヤミンれてくるようにたのみ、兄弟きょうだいたちがベニヤミンをれてかえってくることを確実かくじつにするためにシメオンを人質ひとじちった[13]古典こてんてきなラビ文献ぶんけんによると、シメオンをレビからはなさなければ、かつてシケムのまち破壊はかいしたように、シメオンとレビが一緒いっしょになってエジプトを破壊はかいするかもしれないとかんがえたので、シメオンを人質ひとじちえらんだとしている[14]理由りゆうとして、ヨセフにたいする裏切うらぎりで顕著けんちょ役割やくわりをしたためにヨセフはシメオンをえらんだとされる[15]。セーフェル・ハイ=ヤーシャールでは、シメオンは人質ひとじちになろうとしなかったので、ヨセフはちからずくでらえるために70にん屈強くっきょうなエジプトじんおくったが、非常ひじょう力強ちからづよこえ単純たんじゅんさけんだだけでエジプトじんとおざけたとされる[3]。このとき、シメオンは結局けっきょくマナセによってさえられて投獄とうごくされたとされる[15]一方いっぽうで「シメオンの遺書いしょ」 (en)においては、シメオンは自身じしん投獄とうごくされてヨセフの虐待ぎゃくたいけることを当然とうぜんだとみとめ、よろこんで投獄とうごくされたとしている[16]

ラビ文献ぶんけんおおくは、シメオンはかれあにであるルベンぬ3ねんまえに120さいんだと主張しゅちょうしているが[3]一方いっぽうでバミドバル・ラバー (en:Numbers Rabbah)では、ルベンの死後しごシメオンが兄弟きょうだい長子ちょうしとなったとしている[17]

妻子さいし[編集へんしゅう]

ヨベルしょによると、シメオンはテベトの21のまれ[18]創世そうせいによるとかれには6にん息子むすこがいた[19]。それぞれ、エムエル、ヤミン、オハデ、ヤキン、ゾハル、シャウルというであり、そのうちシャウルのみ異母いぼ兄弟きょうだいであり母親ははおやはカナンのおんなとされている[20]。いくつかの古典こてんてきなラビ文献ぶんけんでは、シャウル以外いがい子供こどもたちの母親ははおや(すなわちシメオンのつま)はシケムでらえられた女性じょせいうち1人ひとりであるボナだと主張しゅちょうしており、古典こてんてきなラビ文献ぶんけんでは、シメオンのつまはシケムの事件じけん発端ほったんとなったかれいもうとであるディナだと主張しゅちょうした[3]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d Peake's commentary on the Bible ISBN 0415051479
  2. ^ さるいのち だい33しょう ウィキソース
  3. ^ a b c d e f Jewish Encyclopedia”. 2010ねん12月13にち閲覧えつらん
  4. ^ 創世そうせい だい29しょう33せつ ウィキソース
  5. ^ 創世そうせい だい16しょう11せつ ウィキソース
  6. ^ Cheyne and Black, Encyclopaedia Biblica (1899)
  7. ^ 創世そうせい注解ちゅうかい」 (en:Genesis Rabba) だい61しょう4せつ
  8. ^ みんすう だい25しょう1せつ - 18せつ ウィキソース
  9. ^ 創世そうせい だい34しょう ウィキソース
  10. ^ 創世そうせい だい49しょう5せつ - 7せつ ウィキソース
  11. ^ a b c d e f Friedmann, Richard (1987). Who wrote the Bible. ISBN 0-06-063035-3 
  12. ^ 創世そうせい だい33しょう19せつ ウィキソース
  13. ^ 創世そうせい だい42しょう24せつ ウィキソース
  14. ^ 創世そうせい注解ちゅうかい」 (en:Genesis Rabba) だい91しょう6せつ
  15. ^ a b Herbermann, Charles, ed. (1913). "Simeon" . Catholic Encyclopedia. New York: Robert Appleton Company.
  16. ^ Testament of Simeon 4
  17. ^ バミドバル・ラバー だい13しょう10せつ
  18. ^ ヨベルしょ だい28しょう13せつ
  19. ^ 創世そうせい だい46しょう8せつ、10せつ ウィキソース
  20. ^ 創世そうせい だい46しょう10せつ ウィキソース