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セクシー・セディー

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ビートルズ > 曲名きょくめいリスト > セクシー・セディー
セクシー・セディー
ビートルズ楽曲がっきょく
収録しゅうろくアルバムザ・ビートルズ
英語えいごめいSexy Sadie
リリース1968ねん11月22にち
録音ろくおん
ジャンルフォークロック
時間じかん3ふん17びょう
レーベルアップル・レコード
作詞さくししゃレノン=マッカートニー
作曲さっきょくしゃレノン=マッカートニー
プロデュースジョージ・マーティン
ザ・ビートルズ 収録しゅうろくきょく
エブリボディーズ・ゴット・サムシング・トゥ・ハイド・エクセプト・ミー・アンド・マイ・モンキー
(DISC 2 A-4)
セクシー・セディー
(DISC 2 A-5)
ヘルター・スケルター
(DISC 2 A-6)

セクシー・セディー」(Sexy Sadie)は、ビートルズ楽曲がっきょくである。1968ねん発売はつばいされた9さくのイギリスばん公式こうしきオリジナル・アルバム『ザ・ビートルズ』に収録しゅうろくされた。名義めいぎじょうレノン=マッカートニー作品さくひんとなっているが、実質じっしつてきにはジョン・レノンいた楽曲がっきょくで、インドに滞在たいざいしていた時期じきミア・ファローをそそのかしたというマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーたいするいかりと失望しつぼう表現ひょうげんした楽曲がっきょくとなっている。このような内容ないようから、ほんさくディスリスペクト先駆さきがけとされるれいの1つとなった[1]

背景はいけい

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マハリシ・マヘーシュ・ヨーギー(2007ねん

レノンは当初とうしょほんさくのタイトルを "Maharishi" にして発表はっぴょうしようとかんがえていた[2]。しかし、ハリスンがレノンに「そんなことをってはダメだ。はなしにならない」とつたえ、「セクシー・セディ」というタイトルを考案こうあんして現行げんこうのタイトルとなった[3]。ビートルズは一時期いちじき、インドじん導師どうしでアメリカで超越ちょうえつ瞑想めいそう布教ふきょうしていたマハリシ・マヘーシュ・ヨーギー傾倒けいとうし、1968ねんジョージ・ハリスン要望ようぼうでメンバー全員ぜんいんでインド・リシケーシュを訪問ほうもんし、マハリシ・アシュラムに滞在たいざいした[4]。そのなかでレノンが、マハリシがおなじく瞑想めいそう修行しゅぎょうをしていたミア・ファロー誘惑ゆうわくしていたといううわさいてつよ反感はんかんったことが、ほんさくのインスピレーションとなったとされている[5]。レノンは「マハリシに触発しょくはつされたきょく荷物にもつめて、旅立たびだとうとしていたときにいたんだ。インドを旅立たびだまえいた最後さいごきょくだった。『Maharishi, what have you done? / You made a fool of ev'ryone.(マハリシ、なんてことをしたんだ。 / おまえはみんなをこけにした)』とするわりに『Sexy Sadie(セクシー・セディー)』とうたったんだ。ぼく計算けいさんたかく、そのうえかんじたことを表現ひょうげんするために、この状況じょうきょう利用りようしてきょくいた」とかたっている[6]

ただし、このエピソードはアップル・コアのサウンド・エンジニアで、マハリシがメンバーにもたらす影響えいきょうりょくうとましくおもっていたとされるアレックス・マーダス英語えいごばんのでっちあげであるというせつ存在そんざい[7][8][9][10][11]、ビートルズとマハリシが決裂けつれつした原因げんいんについても「マハリシがわからの資金しきん提供ていきょう要請ようせいにビートルズがわなかった」「ビートルズいちぎょう道場どうじょうさけ薬物やくぶつをたしなんでいたことにヨーギーがおこった」など諸説しょせつがある[5]。『ザ・ビートルズ・アンソロジー』で、ハリスンは「マハリシにかんするうわさ全部ぜんぶまるごとつくものだった。あの場所ばしょ全体ぜんたいわりものだらけで、その何人なんにんかがぼくらだった。あのはなしはそんな状況じょうきょうっかきまわした。理由りゆうはどうであれ、ジョンはかえりたがっていたから、そういうはなしくとついつい『よし、かえ口実こうじつができた』とかんがえてしまった。でも、かれぼくらが理由りゆうなんてわからなかったから、『どうしたんだ?』といた。すると間髪かんぱつれずにジョンは『あんたには神秘しんぴてきちからがあるんだからわかってるんだろう?』とかえした」とかえっている[12][3]

1961ねんスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ英語えいごばん発売はつばいした「アイヴ・ビーン・グッド・トゥ・ユー英語えいごばん」と雰囲気ふんいきっており[3]、この楽曲がっきょくには「Look what you've done / You made a fool out of someone」というフレーズがふくまれている[13]。1968ねんの『ローリング・ストーンのインタビューで、レノンはこの楽曲がっきょく称賛しょうさんしている[14]

レコーディング

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「セクシー・セディ」のレコーディングは、1968ねん7がつ19にちEMIレコーディング・スタジオのスタジオ2で開始かいしされた。当時とうじのアレンジは、5月にハリスンの自宅じたく録音ろくおんされたデモ音源おんげん(イーシャー・デモ)よりも、テンポがおそ物憂ものう印象いんしょうのあるアレンジだった[3]最初さいしょのバージョンは、トラック1にスターのドラム、トラック2にレノンのアコースティック・ギターとハリスンのエレクトリック・ギター、トラック3にマッカートニーのオルガン、トラック4にレノンのボーカルという編成へんせいで21テイク録音ろくおんされた[15][3]。アレンジは試行錯誤しこうさくごかさね、テイク6ではハリスンが演奏えんそうするジャズのテイストをたせた下降かこうコードからはじまるアレンジで、テイク11ではマッカートニーが交互こうごくオルガンとピアノ主体しゅたいとしたアレンジとなっていて、テイク9からはきょくながさが8ふんえた[3][注釈ちゅうしゃく 1]

1968ねん7がつ24にちにリメイクが開始かいしされ、テイク25からのスタートとなった。ハリスンによるジャズ調ちょうのイントロはのこされ、23かい累計るいけい48テイク)録音ろくおんされたが、ここでも完成かんせいはしなかった[3]。こののセッション終了しゅうりょうにレノンは「ダメだ」とくちにし、マッカートニーも「たしかにあまりよくない」と同調どうちょう。そこでレノンは「それはおれたちがしんじる気持きもちをなくしたからだ」とかえした。その、3しゅうにわたってほんさくつかずの状態じょうたいにあった[3]

1968ねん8がつ13にちふたたびリメイクが開始かいしされ、便宜上べんぎじょうテイク番号ばんごうは100とけられた[16]。このバージョンのテープには、トラック1にスターのドラムとハリスンのタンバリン、トラック2にマッカートニーのピアノ、のこる2つのトラックにスピーカー・キャビネットからはなれた場所ばしょにセットした2ほんのマイクでろくられたレノンのエレクトリック・ギターが録音ろくおんされた[注釈ちゅうしゃく 2][3]。この録音ろくおんされたテイクのうち、テイク107に満足まんぞくしたレノンは、録音ろくおんしたギターを1つ消去しょうきょし、トラック4にボーカルを録音ろくおんした。その、エレクトリック・ギターはトラック2のピアノとともにミックスされ、これがテイク108となった[3]。そのもテイクはかさなり、最終さいしゅうてきには「テイク112」とアナウンスされた[3]

1968ねん8がつ21にちのセッションでは、2かいトラックをまとめて最終さいしゅうてき仕上しあげにはいり、テイク117が完成かんせい[3]。このテイクでは、トラック1にオーバーダビングされたベース、トラック2にドラム、トラック3にエレクトリック・ギター、ピアノ、バッキング・ボーカル[注釈ちゅうしゃく 3]、2番目ばんめのピアノ、トラック4にリード・ボーカル、オルガン、タンバリンという編成へんせいだった[3]。この段階だんかいでエンディング部分ぶぶん編集へんしゅうされ、3ふん55びょうもあったきょくながさが3ふん15びょう短縮たんしゅくされた[3]同日どうじつにモノラル・ミックスが作成さくせいされ、ステレオ・ミックスは10月14にち作成さくせいされた[16][3]

クレジット

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出典しゅってん[3]

評価ひょうか文化ぶんかてき影響えいきょう

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2018ねんに『インデペンデントのジェイコブ・ストルワーシーは、アルバム『ザ・ビートルズ』収録しゅうろくきょく対象たいしょうとしたランキングでほんさくを6げ、「今日きょうまで、『セクシー・セディ』はほろにが軽蔑けいべつねんただよわせており、そのムーディーな最後さいご部分ぶぶんは、レディオヘッドの『カーマ・ポリス[注釈ちゅうしゃく 4]アークティック・モンキーズの『フォー・アウト・オブ・ファイヴ』を彷彿ほうふつ(ほうふつ)とさせ、なんいても興奮こうふんさせてくれる」とひょうしている[18]。また、『タイムアウト・ロンドン発表はっぴょうした「The 50 Best Beatles songs」ではだい14にランクインしている[19]

ハリスンが1974ねん発売はつばいしたソロ・アルバム『ダーク・ホース』に収録しゅうろくの「シンプリー・シェイディ」のタイトルは、ほんさく由来ゆらいしている[20][21]

脚注きゃくちゅう

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注釈ちゅうしゃく

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  1. ^ このうちテイク6は1996ねん発売はつばいの『ザ・ビートルズ・アンソロジー3』、テイク11は『ザ・ビートルズ (ホワイト・アルバム) 〈スーパー・デラックス・エディション〉』のCD5に収録しゅうろくされている。
  2. ^ この時点じてんではレノンのボーカルは録音ろくおんされていないが、ガイド・ボーカルははいっていた。
  3. ^ これよりまえのテープのトラック3からうつされるさいに、ADTがかけられた[3]
  4. ^ レディオヘッドの「カーマ・ポリス」のメインのピアノのリフは、ほんさくのピアノのパートに影響えいきょうけている[17]

出典しゅってん

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  1. ^ The 10 most vicious songs about real people”. BBC Music. BBC (2016ねん4がつ28にち). 2016ねん4がつ30にち時点じてんオリジナルよりアーカイブ。2020ねん9がつ14にち閲覧えつらん
  2. ^ Harry 1985, p. 969.
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q White Album 2018, p. 26.
  4. ^ カルトとしん宗教しゅうきょう 2010.
  5. ^ a b “ザ・ビートルズが68ねんおとずれたインドの瞑想めいそう道場どうじょう現在げんざい草深くさぶか巡礼じゅんれいに”. rockin'on.com (ロッキング・オン). (2015ねん5がつ19にち). https://rockinon.com/news/detail/124185 2020ねん4がつ14にち閲覧えつらん 
  6. ^ Sheff 2000, p. 191.
  7. ^ Brown & Gaines 2002, p. 264.
  8. ^ Spitz 2005, pp. 755–757.
  9. ^ Lennon 1978, pp. 174–176.
  10. ^ The Beatles 2000, pp. 285–286.
  11. ^ Miles 1997, p. 429.
  12. ^ The Beatles 2000, p. 285.
  13. ^ Cott 2013, p. 45.
  14. ^ Cott, Jonathan (23 November 1968). “The Rolling Stone Interview: John Lennon”. Rolling Stone (San Francisco: Straight Arrow Publishers). https://www.rollingstone.com/music/news/john-lennon-the-rolling-stone-interview-19681123. 
  15. ^ Margotin & Guesdon 2014, pp. 616–617.
  16. ^ a b Margotin & Guesdon 2014, p. 617.
  17. ^ Webb, Robert (2006ねん9がつ15にち). “Story of the Song: 'Karma Police' Radiohead (1997)”. The Independent. https://www.independent.co.uk/arts-entertainment/music/features/muse-we-blew-them-all-off-the-stage-415987.html 2020ねん4がつ14にち閲覧えつらん 
  18. ^ Stolworthy, Jacob (2018ねん11月22にち). “The Beatles' White Album tracks, ranked - from Blackbird to While My Guitar Gently Weeps”. The Independent (Independent News & Media). https://www.independent.co.uk/arts-entertainment/music/features/the-beatles-white-album-tracks-ranked-paul-mccartney-john-lennon-george-harrison-50-anniversary-a8643431.html 2021ねん5がつ19にち閲覧えつらん 
  19. ^ Time Out London Music (2018ねん5がつ24にち). “The 50 Best Beatles songs”. Time Out London. 2021ねん5がつ19にち閲覧えつらん
  20. ^ Inglis 2010, p. 45.
  21. ^ Leng 2006, p. 151.

参考さんこう文献ぶんけん

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  • The Beatles (2000). The Beatles Anthology. San Francisco: Chronicle Books. ISBN 0-8118-2684-8 
  • Brown, Peter; Gaines, Steven (2002). The Love You Make: An Insider's Story of The Beatles. New York: New American Library. ISBN 0-451-20735-1 
  • Cott, Jonathan (2013). Days That I'll Remember: Spending Time with John Lennon & Yoko Ono. Omnibus Press. ISBN 1-7832-3048-7 
  • コーワン, ダグラス・E、ブロムリー, デイヴィッド・G『カルトとしん宗教しゅうきょう アメリカの8つの集団しゅうだん運動うんどう村瀬むらせ義史よしふみわけ)、キリスト新聞しんぶんしゃ、2010ねんISBN 978-4873955674 
  • Harry, Bill (1985). The Book of Beatle Lists. Javelin. ISBN 0-7137-1521-9 
  • Inglis, Ian (2010). The Words and Music of George Harrison. Santa Barbara, CA: Praeger. ISBN 978-0-313-37532-3 
  • Margotin, Phillipe; Guesdon, Jean-Michel (2014). All the Songs: The Story Behind Every Beatles Release. Running Press. ISBN 1-6037-6371-6 
  • Sheff, David (2000) [1981]. All We Are Saying: The Last Major Interview with John Lennon and Yoko Ono. Macmillan. ISBN 0-3122-5464-4 
  • Leng, Simon (2006). While My Guitar Gently Weeps: The Music of George Harrison. Milwaukee, WI: Hal Leonard. ISBN 1-4234-0609-5 
  • Lennon, Cynthia (1978). A Twist of Lennon. Avon. ISBN 978-0380454501 
  • ハウレット, ケヴィン (2018). ザ・ビートルズ (ホワイト・アルバム) 〈スーパー・デラックス・エディション〉 (ブックレット). ビートルズ. アップル・レコード.
  • Miles, Barry (1997). Paul McCartney: Many Years From Now. New York: Henry Holt and Company. ISBN 0-8050-5249-6 
  • Spitz, Bob (2005). The Beatles: The Biography. Boston: Little, Brown. ISBN 0-316-80352-9 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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