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ディアマンロケット

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
ディアマン
基本きほんデータ
運用うんようこく フランスの旗 フランス
開発かいはつしゃ SEREB, DMA, CNES
運用うんよう機関きかん CNES
使用しよう期間きかん 1965ねん - 1975ねん
射場いば アマギール射場しゃじょう
ギアナ宇宙うちゅうセンター
すう 12かい成功せいこう9かい
費用ひよう $ 5.7 million(ディアマンA)
公式こうしきページ Le lanceur Diamant
物理ぶつりてき特徴とくちょう
軌道きどう投入とうにゅう能力のうりょく
脚注きゃくちゅう
物理ぶつりてき特徴とくちょうおよ軌道きどう投入とうにゅう能力のうりょくについては構成こうせいしょもと参照さんしょう
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ディアマンロケット (フランス語ふらんすご: Diamant) とはフランスミサイル開発かいはつ管理かんり機関きかん (SEREB) とフランス国立こくりつ宇宙うちゅう研究けんきゅうセンター (CNES) が開発かいはつした人工じんこう衛星えいせいようロケットである。名称めいしょう英語えいごダイヤモンド相当そうとうする。

概要がいよう

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ディアマンの開発かいはつ

1958ねん前年ぜんねんソビエト連邦れんぽうスプートニク1ごうげたことをけ、シャルル・ド・ゴール大統領だいとうりょう当時とうじ)はフランスが独自どくじかく抑止よくしりょくおよ大陸たいりくあいだ弾道だんどうミサイル (ICBM) を見据みすえた人工じんこう衛星えいせい能力のうりょく保持ほじすることを決定けっていした。

1959ねんSEREB宝石ほうせき (Pierres Précieuses) 計画けいかく名付なづけられた技術ぎじゅつ実証じっしょう計画けいかく開始かいしした。この計画けいかくにおいてSEREBはアゲートトパーズエムロードリュビサフィールといった弾道だんどう飛行ひこうロケットをもちいて飛翔ひしょう試験しけんおこない、てい軌道きどうに50kgの人工じんこう衛星えいせい投入とうにゅうするロケットの開発かいはつ可能かのうであるとの報告ほうこくしょよく1960ねんすえフランス国防省こくぼうしょう提出ていしゅつした。

宇宙うちゅう開発かいはつ推進すいしん方法ほうほうについては広範こうはん議論ぎろんおこなわれ、1961ねん12月19にち国家こっか宇宙うちゅう機関きかんとしてCNESが発足ほっそくした。CNESは1962ねんにフランス国防省こくぼうしょう装備そうびちょう (DMA) と合意ごうい形成けいせいし、3ねんげを目指めざしてディアマンの開発かいはつ開始かいしされた。ロケットおよ衛星えいせい研究けんきゅう開発かいはつはDMAがおこない、CNESは研究けんきゅう開発かいはつ資金しきん提供ていきょうおこなった。SEREBは計画けいかくしゅ契約けいやくしゃであった。

開発かいはつちゅうにはすくなくとも38弾道だんどう飛行ひこうロケットによる試験しけんおこなわれた。ディアマンAは予定よていどおり3ねん1965ねん11月26にちアマギール射場しゃじょうからフランスはつ人工じんこう衛星えいせいアステリックスげ、この成功せいこうによってフランスは人工じんこう衛星えいせい独自どくじげた3番目ばんめくにとなった。

その1967ねんにアマギール射場しゃじょうアルジェリア政府せいふとの協定きょうてい期限きげんれによって使用しよう継続けいぞく困難こんなんとなり、ギアナ宇宙うちゅうセンターへと移行いこうした。ディアマンは欧州おうしゅうロケット開発かいはつ機構きこう (ELDO) の開発かいはつしていたヨーロッパ失敗しっぱい背景はいけいとして1974ねんまで運用うんようされ、フランス主導しゅどうアリアン計画けいかくへとがれた。

構成こうせいしょもと

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部分ぶぶんべつ改良かいりょう継続けいぞくしておこなわれ、初期しょきがたの「ディアマンA」と後期こうきがたの「ディアマンB P4」ではおおきくことなるものとなっているが、共通きょうつうして液体えきたい燃料ねんりょうだい1だん固体こたい燃料ねんりょうの2,3だんという構成こうせいをもつ3段式だんしきロケットである。

ディアマンA

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ディアマンAだい1だんエムロードのVexinエンジン外観がいかん
ディアマンAだい2だんトパーズP2モータノズルえき噴射ふんしゃ推力すいりょく偏向へんこう (LITVC) 装置そうち

サフィールにだい3だんとしてリュビのだい2だんP064ロケットモータを付加ふかしたのがディアマンAである。だい1だんのエムロードには酸化さんかざいとしてあかけむり硝酸しょうさん (IRFNA)、燃料ねんりょうとしてテレビン油てれびんゆもちい、だい2だんトパーズおよだい3だんP064には固体こたい燃料ねんりょうもちいている。

4げられ、3成功せいこう、1予定よていよりひく軌道きどうへの投入とうにゅうとなった。

主要しゅようしょもと
全長ぜんちょう 18.9 m
代表だいひょうみち 1.4 m
全備ぜんび質量しつりょう 18.4 t
ペイロード 80 kg / 500km LEO
段数だんすう (Stage) だい1だん だい2だん だい3だん
名称めいしょう エムロード トパーズ -
使用しようエンジン ヴェクサン P2 P064
かくだん全長ぜんちょう 9.98 m 4.72 m 2.06 m
かくだん代表だいひょうみち 1.4 m 0.85 m 0.65 m
かくだん質量しつりょう 14.7 t 2.93 t 0.736 t
推進すいしんざい IRFNA/テレビン油てれびんゆ Isolane Isolane
推進すいしんざい質量しつりょう 12.7 t 2.28 t 0.641 t
真空しんくう平均へいきん推力すいりょく 274 kN 120 kN 38.2 kN
真空しんくう推力すいりょく 205 s 255 s 273 s
有効ゆうこう燃焼ねんしょう時間じかん 94 s 47 s 45 s

ディアマンB

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ディアマンAのだい1だんおよだい3だん増強ぞうきょうしたのがディアマンBである。だい1だんのアメティストはしん開発かいはつのものであり、推進すいしんざいをより高性能こうせいのうよん酸化さんか窒素ちっそ (NTO) と非対称ひたいしょうジメチルヒドラジン (UDMH) のわせへ変更へんこう全長ぜんちょうもエムロードの10mから14mまで延長えんちょうされている。だい3だんのP068ロケットモータはP064ロケットモータの増強ぞうきょうがたである。能力のうりょく増加ぞうかともな衛星えいせい大型おおがたしたためフェアリングの直径ちょっけい拡張かくちょうされている。

計画けいかくはスーパー・ディアマンと呼称こしょうされており、P16ロケットモータをだい1だんとして使用しようするあん検討けんとうされたが、固体こたい推進すいしんざいより液体えきたい推進すいしんざい価格かかくやすかったことからアメティストステージが採用さいようされた[1]

CNESにより5げられ、3成功せいこう、1部分ぶぶん成功せいこうし、1失敗しっぱいした。

主要しゅようしょもと
全長ぜんちょう 23.5 m
代表だいひょうみち 1.4 m
全備ぜんび質量しつりょう 24.9 t
ペイロード 160 kg / 300km LEO
115 kg / 500km LEO
25 kg / 1,000km LEO
段数だんすう (Stage) だい1だん だい2だん だい3だん
名称めいしょう アメティスト トパーズ -
使用しようエンジン ヴァロワ P2 P068
かくだん全長ぜんちょう 14.2 m 4.72 m 1.65 m
かくだん代表だいひょうみち 1.4 m 0.85 m 0.85 m
かくだん質量しつりょう 20.7 t 2.93 t 0.78 t
推進すいしんざい NTO/UDMH Isolane Isolane
推進すいしんざい質量しつりょう 18 t 2.28 t 0.685 t
真空しんくう平均へいきん推力すいりょく 349 kN 120 kN 41.2 kN
真空しんくう推力すいりょく 221 s 255 s 276 s
有効ゆうこう燃焼ねんしょう時間じかん 111 s 47 s 45 s

ディアマンB P4

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1972ねん1がつから開発かいはつすすめられたディアマンBの増強ぞうきょうがたである。従来じゅうらいのトパーズ(P2ロケットモータ)にMSBS中距離ちゅうきょり弾道だんどうミサイル (IRBM) のだい2だんとしてもちいられていたリタ(P4ロケットモータ)をだい2だんとして使用しようした。また、フェアリングにブラック・アローのものを流用りゅうようすることで衛星えいせい大型おおがた対応たいおうした。3げられすべ成功せいこうした。

主要しゅようしょもと
全長ぜんちょう 21.6 m
代表だいひょうみち 1.5 m
全備ぜんび質量しつりょう 26.4 t
ペイロード 200 kg / 300km LEO
153 kg / 500km LEO
45 kg / 1,000km LEO
段数だんすう (Stage) だい1だん だい2だん だい3だん
名称めいしょう アメティスト リタ -
使用しようエンジン ヴァロワ P4 P068
かくだん全長ぜんちょう 14.2 m 2.28 m 1.65 m
かくだん代表だいひょうみち 1.4 m 1.5 m 0.85 m
かくだん質量しつりょう 20.7 t 4.4 t 0.78 t
推進すいしんざい NTO/UDMH Isolane Isolane
推進すいしんざい質量しつりょう 18 t 3.62 t 0.685 t
真空しんくう平均へいきん推力すいりょく 349 kN 176 kN 41.2 kN
真空しんくう推力すいりょく 221 s 273 s 276 s
有効ゆうこう燃焼ねんしょう時間じかん 111 s 62 s 45 s

実績じっせき

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# 日時にちじ (UTC) 場所ばしょ 構成こうせい ペイロード 成否せいひ 備考びこう
1 1965ねん11月26にち14:47 アマギール射場しゃじょう ディアマンA アステリックス 成功せいこう
2 1966ねん2がつ17にち08:33 アマギール射場しゃじょう ディアマンA Diapason 成功せいこう
3 1967ねん2がつ8にち09:39 アマギール射場しゃじょう ディアマンA Diadème 1 成功せいこう
4 1967ねん2がつ15にち10:06 アマギール射場しゃじょう ディアマンA Diadème 2 部分ぶぶん失敗しっぱい 予定よていよりひく軌道きどう投入とうにゅう
5 1970ねん3がつ10日とおか12:20 ギアナ宇宙うちゅうセンター ディアマンB Wika, Mika 成功せいこう
6 1970ねん12月12にち13:04 ギアナ宇宙うちゅうセンター ディアマンB Péole 成功せいこう
7 1971ねん4がつ15にち09:19 ギアナ宇宙うちゅうセンター ディアマンB Tournesol 成功せいこう
8 1971ねん12月5にち16:20 ギアナ宇宙うちゅうセンター ディアマンB D2 Polaire 失敗しっぱい だい2だん異常いじょう発生はっせい
9 1972ねん5月22にち ギアナ宇宙うちゅうセンター ディアマンB Castor, Pollux 失敗しっぱい フェアリング分離ぶんり失敗しっぱい
10 1975ねん2がつ6にち16:35 ギアナ宇宙うちゅうセンター ディアマンB P4 Starlette 成功せいこう
11 1975ねん5月17にち10:32 ギアナ宇宙うちゅうセンター ディアマンB P4 Castor, Pollux 成功せいこう
12 1975ねん9月27にち08:37 ギアナ宇宙うちゅうセンター ディアマンB P4 Aura 成功せいこう

発展はってんがた構想こうそう

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様々さまざま構想こうそう発案はつあんされたが、いずれもヨーロッパやアリアンの開発かいはつへと発展はってんてき解消かいしょうされた。

ディオジェーヌ

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ディアマンのだい2だんとして液体えきたい酸素さんそ液体えきたい水素すいそ推進すいしんざいとするHM-4エンジンをもちいたオニキス(H3.5)を使用しようする構想こうそう[2]。1962ねん構想こうそうされたが、1960年代ねんだい後半こうはんにELDO-C(のヨーロッパ3)へと発展はってんてき解消かいしょうされた。名称めいしょうの "Diogéne" は "Diamant-Hydrogéne" のりゃく

スーパー・ディアマン(固体こたいあん

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P16ロケットモータ、P2ロケットモータ、P1ロケットモータの3だんからなる全段ぜんだん固体こたい燃料ねんりょうロケットの構想こうそう全長ぜんちょう17m、全備ぜんび質量しつりょう22.5t、軌道きどう投入とうにゅう能力のうりょく高度こうど200kmのてい軌道きどうに250kgとされ、1968ねんまたは1969ねんげを予定よていしていた。推進すいしんざい価格かかくやすさから液体えきたいあん採用さいようされ、ディアマンBとなった[1]

ハイパー・ディアマン

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P16ロケットモータ、P10ロケットモータ、P2ロケットモータ、P1ロケットモータの4だんからなる全段ぜんだん固体こたい燃料ねんりょうロケットの構想こうそう全長ぜんちょう22m、全備ぜんび質量しつりょう35t、軌道きどう投入とうにゅう能力のうりょく静止せいし軌道きどうに55kgとされ、1969ねんげを予定よていしていた。

ヴェンパ

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ヨーロッパ2のだい4だんPASの飛翔ひしょう試験しけんのため、ディアマンBのだい2だんをダミーとし、だい3だんをPASにえる構想こうそう[1]。1969ねん以降いこう4げを予定よていしていたが、ELDOの経済けいざいてき問題もんだいにより1968ねん中止ちゅうしされた。名称めいしょうの"VEMPA"は"Véhicule pour d'Essai des Moteurs de Périgée et d'Apogée"のりゃく

カルメン

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ディアマンBのだい1だんのタンクを拡張かくちょうし、エンジンを2クラスタしたうえだい2だんおよだい3だんにヨーロッパのだい2だんコラリーおよ西にしドイツ開発かいはつしただい3だんアストリスをもちいる3段式だんしきロケットの構想こうそう[3]そう重量じゅうりょうは65t、軌道きどう投入とうにゅう能力のうりょくてい軌道きどうに600kg、静止せいし軌道きどうに95kgとされ、1971ねんげを予定よていしていた。

ヴァルカン

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だい1だんとしてディアマンBのだい1だんであるアメティストを4たばねたカトリーヌ、だい2だんにコラリーのタンクを拡張かくちょうしエンジンを2クラスタしたステージ、だい3だんとしてヨーロッパのだい3だんよう西にしドイツが開発かいはつしたアストリスをもちいる3段式だんしきロケットの構想こうそう[3]そう重量じゅうりょうは100.5t、軌道きどう投入とうにゅう能力のうりょくてい軌道きどうに1,050kg、静止せいし軌道きどうに170kgとされ、1972ねんげを予定よていしていた。ヨーロッパ2の代替だいたいとして位置いちづけられており、だい1だんのフルスケールモックアップのみが1966ねん製作せいさくされた。

バッカス

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だい1だんとしてカルメンのだい1だんを4たばねたオクタヴィア、だい2だんおよだい3だんとして液体えきたい燃料ねんりょうのディアーヌおよびミレーユをもちいる3段式だんしきロケットの構想こうそう[3]そう重量じゅうりょうは228t、軌道きどう投入とうにゅう能力のうりょくてい軌道きどうに2,800kg、静止せいし軌道きどうに450kgとされ、1973ねんげを予定よていしていた。

スーパーヴァルカンB

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だい1だんとしてオクタヴィアのタンクを拡張かくちょうし、エンジンを強力きょうりょくなものへ変更へんこうしたステージをもちい、だい2だんだい3だんにヴァルカンのだい1だんだい2だん流用りゅうようする3段式だんしきロケットの構想こうそう[3]全長ぜんちょう44m、直径ちょっけい4m、そう重量じゅうりょう363t、軌道きどう投入とうにゅう能力のうりょくてい軌道きどう5,000kg、静止せいし軌道きどう800kgとされ、1975ねんげを予定よていしていた。ソビエト連邦れんぽうボストークロケットに対抗たいこうするものとして位置いちづけられていた。液体えきたい酸素さんそおよ液体えきたい水素すいそ推進すいしんざいとするステージの上段じょうだんへの適用てきよう検討けんとうされたが、技術ぎじゅつてき飛躍ひやくおおきく現実げんじつてきではないとされた。

ディアマンB/C

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ディアマンB P4 に上段じょうだんとして固体こたいロケットモータを追加ついかした4段式だんしきロケットの構想こうそう[4]。フェアリングはディアマンB P4 と同様どうようにブラック・アローのフェアリングをもちいる。軌道きどう投入とうにゅう能力のうりょくてい軌道きどうに240kgとされた。

ブラック・ディアマン

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ディアマンB P4 のだい2だんをブラック・アローのだい2だんえる構想こうそう[4]。フェアリングはディアマンB P4 と同様どうようにブラック・アローのフェアリングをもちいる。軌道きどう投入とうにゅう能力のうりょくてい軌道きどうに190kgとされた。

出典しゅってん脚注きゃくちゅう

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  1. ^ a b c “Diamant B Specifications” (英語えいご). Flight International: pp.197. (1967-08-03). http://www.flightglobal.com/pdfarchive/view/1967/1967%20-%201591.html 2010ねん12月12にち閲覧えつらん. 
  2. ^ Villain, Jacques (1999ねん12がつ). “Propulsion: From Viking To Vinci” (英語えいご). pp. pp.1. 2009ねん9がつ14にち閲覧えつらん
  3. ^ a b c d Gatland, Kenneth (1968-05-16). “French Booster Plans” (英語えいご). Flight International: pp.761. http://www.flightglobal.com/pdfarchive/view/1968/1968%20-%200795.html 2009ねん9がつ14にち閲覧えつらん. 
  4. ^ a b “France approves new Diamant” (英語えいご). Flight International: pp.239. (1972-02-10). http://www.flightglobal.com/pdfarchive/view/1972/1972%20-%200359.html 2009ねん9がつ14にち閲覧えつらん. 

関連かんれん項目こうもく

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外部がいぶリンク

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