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トゥイードルダムとトゥイードルディー

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
トゥイードルダムとトゥイードルディー
Roud #19800
かがみくにのアリス』におけるトゥイードルダムとトゥイードルディー(ジョン・テニエル
楽曲がっきょく
英語えいごめいTweedledum and Tweedledee
発祥はっしょうイギリスの旗 イギリス
形式けいしき童謡どうよう
言語げんご英語えいご

トゥイードルダムとトゥイードルディー」(Tweedledum and Tweedledee)は、マザー・グースひとつとしてもられているイギリス童謡どうよう。このうたおそくとも19世紀せいきのはじめには存在そんざいしていたことが確認かくにんされているが、ルイス・キャロルが『かがみくにのアリス』(1871ねん)のなか使用しようしたことによってひろられるようになった[1][2]兄弟きょうだいらしき二人ふたり人物じんぶつがおもちゃのがらがらをめぐってあらそうという滑稽こっけい内容ないようみじかうたで、今日きょうでも「トゥイードルダムとトゥイードルディー」はたがいにあいあらそいながらも実際じっさいにはよくている二人ふたり人物じんぶつ言葉ことばとしてもちいられている[2][3]

歌詞かし[編集へんしゅう]

今日きょうよくられているものは以下いかかたちである[2]

Tweedledum and Tweedledee

    Agreed to have a battle;
For Tweedledum said Tweedledee

    Had spoiled his nice new rattle.
Just then flew down a monstrous crow,

    As big as a tar-barrel;
Which frightened both the heroes so,

    They quite forgot their quarrel.

わけ

トゥイードルダムとトゥイードルディー
決闘けっとうをすることになった
トゥイードルダムがうことには、トゥイードルディーが
かれ素敵すてき新品しんぴんのがらがらをこわした

ちょうどそのとき、巨大きょだいからすんできた
そのおおきさときたら まるでタールのたるのようだった
二人ふたり英雄えいゆうはおそれをなして

決闘けっとうのことはまったくわすれてしまった

後述こうじゅつする『かがみくにのアリス』では、「そのおおきさときたら」(As big as ...) の部分ぶぶんは「そのくろさときたら」 (As black as ...) となっている。しかしカラスくろいのはたりまえなので、巨大きょだいさを強調きょうちょうする言葉ことばふくかたちのほうがひろ流布るふするようになったものとおもわれる[2]

来歴らいれき[編集へんしゅう]

童謡どうよう編纂へんさんしゃのオーピー夫妻ふさいによれば、このうた文献ぶんけん初出しょしゅつは1805ねんであるが、「トゥイードルダムとトゥイードルディー」という言葉ことば自体じたいは1720年代ねんだい文献ぶんけんにすでにあらわれている。当時とうじドイツ出身しゅっしん作曲さっきょくヘンデルと、イタリアじん作曲さっきょくジョヴァンニ・バッティスタ・ボノンチーニあいだ苛烈かれつあらそいがあり、さん美歌みか作者さくしゃジョン・バイラム(1692ねん-1763ねん)はこれをあてこすって以下いかのようなエピグラムいた。

Some say, compar'd to Bononcini
That Mynheer Handel's but a Ninny
Others aver, that he to Handel
Is scarcely fit to hold a Candle
Strange all this Difference should be

'Twixt Tweedle-dum and Tweedle-dee![4]

わけ

あるものう、ボノンチーニにくらべれば
ヘンデルなどはただの間抜まぬけだと
ひとだんずる、ヘンデルにくらべれば
やつなどは燭台しょくだいちがせいぜいだと
おかしなことだ、こんないいはすべて

トゥイードルダムとトゥイードルディーのあらそいだろうに!

しかし、このバイラムのから童謡どうよう派生はせいしたのか、それともすでにられていた童謡どうようをもとにバイラムが使用しようしたのかは不明ふめいである[1][3]。なお音楽おんがく用語ようごでは「トゥイードル」はヴァイオリン、「ダム」は低音ていおん、「ディー」は高音こうおん意味いみする[5]

かがみくにのアリス』[編集へんしゅう]

トゥイードルダムがいか場面ばめん左下ひだりしたちいさくこわれた「がらがら」がえがかれている。

ルイス・キャロルの『かがみくにのアリス』では、だい4しょう「トゥイードルダムとトゥイードルディー」にて、もりなかんでいるたがいにそっくりなにん小男こおとことして登場とうじょうする(かれらは外見がいけん服装ふくそうもよくているが、えり部分ぶぶんに「ダム」「ディー」と別々べつべつ刺繍ししゅうがしてあることで区別くべつができる)。もりまよんだアリスもりからみちくために二人ふたりたずねるが、アリスはかれらのふるうたをちゃんとっており、かれらにうとすぐにその歌詞かしおもかべる。アリスはみち目的もくてきをなかなかたせず、なんとなく3にんおどりだしてしまったり、トゥイードルディーから「セイウチ牡蠣かき」というながたらしい滑稽こっけいかされたりする。そのあと轟音ごうおんのいびきをててねむっている「あかおう」のところに案内あんないされたアリスは、二人ふたりから自分じぶんあかおうゆめなか人物じんぶつにすぎないのだというはなしかされる。しかしやがてトゥイードルダムは、ドゥイードルディーが自分じぶんのあたらしいがらがらをこわしてしまったことにづき、それからはうた内容ないようとおりに決闘けっとう準備じゅんびをはじめ、そしてうたとおりに巨大きょだいからす飛来ひらいしてきて決闘けっとうはうやむやになってしまう。

この場面ばめんえがいたジョン・テニエルによる挿絵さしえでは、二人ふたり当時とうじスケルトン・スーツとばれていた男子だんし小学生しょうがくせいようふくせられている。マイケル・ハンチャー『アリスとテニエル』によれば、二人ふたりのこの姿すがたはテニエルがそれ以前いぜんに『パンチえがいたジョン・ブル姿すがたとよくている[6]。またテニエルは、トゥイードルディーがこわしてしまうがらがらを、よくられている円筒えんとうがたのものではなく、土佐とさ鳴子なるこた、木片もくへんがついたかたちえがいている[1]。キャロルはのちに、ヘンリー・サヴィル・クラークにてた1886ねん書簡しょかんにおいて、これは「番人ばんにんようのがらがら」であり、テニエルはトゥイードルダムとトゥイードルディーのいさかいにあやまった解釈かいしゃくんでしまったと不平ふへいべている[7]

アリス映画えいがでのあつか[編集へんしゅう]

ディズニーのアニメ映画えいがふしぎのくにのアリス』(1951ねん)は、はなし大枠おおわくは『不思議ふしぎくにのアリス』にりながらも、作中さくちゅうにトゥイードルダムとトゥイードルディーを登場とうじょうさせている。このアニメーションでは、二人ふたりしろウサギ見失みうしなったアリスのまえ物陰ものかげから不意ふいあらわれて、一緒いっしょにゲームをやろうとせがむ。アリスがことわるとにんなみだむせびながら「セイウチと牡蠣かき」の物語ものがたりかたり、そのたがいにあそはじめたところでアリスはかれらをいてっていく。二人ふたりおおきなちょうネクタイをつけてたがいにそっくりな姿すがたえがかれており、始終しじゅう悪巧わるだくみをしているようなかおつきをし、異常いじょうたかさにがったり、あしをぐにゃぐにゃうごかしたりとえずかいうごきをせる。

ティム・バートン監督かんとくによる2010ねん映画えいがアリス・イン・ワンダーランド』では、トゥイードルダムとトゥイードルディーは「あか女王じょおう」の道化どうけとなっている。しかし実際じっさいにはしろ女王じょおうがわのレジスタンスの一員いちいんであり、物語ものがたり冒頭ぼうとうではアリスをさそすためにしろウサギをたすけ、のちには女王じょおうへいからアリスをのがすために協力きょうりょくするが、そのためにジャブジャブとりつかまえられてしまう。この映画えいがではにんマット・ルーカスによってえんじられており、デジタル技術でじたるぎじゅつによってルーカスのかおにん胴体どうたいまれるようなかたち合成ごうせいされている。

影響えいきょう[編集へんしゅう]

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

書籍しょせき、ムック
論文ろんぶん雑誌ざっし

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c たいら & ていまつ (1994, pp. 116 f)
  2. ^ a b c d 藤野ふじの & 夏目なつめ (2004, pp. 37–39)
  3. ^ a b キャロル, ガードナー & 高山たかやま (1980, p. 70)
  4. ^ Byrom(1894-1895)
  5. ^ 宝島社たからじましゃ (2012, p. 13)
  6. ^ ハンチャー & 石毛いしげ (1997, pp. 3–6)
  7. ^ キャロル, ガードナー & 高山たかやま (1994, pp. 100 f)
  8. ^ Joyce (1975, pp. 281–284)
  9. ^ “Nader assails major parties: scoffs at charge he drains liberal vote”. CBS News (Associated Press). (2000ねん4がつ6にち). オリジナルの2002ねん4がつ10日とおか時点じてんにおけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20020410071752/http://www.cbsnews.com/stories/2000/04/06/politics/main180811.shtml 2008ねん9がつ14にち閲覧えつらん. "There is a difference between Tweedledum and Tweedledee, but not that much." 
  10. ^ 夏目なつめ 康子やすこ”. researchmap. 科学かがく技術ぎじゅつ振興しんこう機構きこう (JST). 2020ねん6がつ19にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]