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ゴムタイヤトラム

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トランスロールから転送てんそう

ゴムタイヤトラムとは、ゴムタイヤで走行そうこうし、中央ちゅうおう一本いっぽん案内あんない軌条きじょう誘導ゆうどうされ走行そうこうするなかりょう輸送ゆそう機関きかん。いくつかの方式ほうしきおもフランス開発かいはつ実用じつようされている。

基本きほんてき架線かせんからの電源でんげん供給きょうきゅう必要ひつようとし、3りょう程度ていど連結れんけつして走行そうこうする。「トラム」は英語えいご路面ろめん電車でんしゃ意味いみし、路面ろめん電車でんしゃトロリーバス長所ちょうしょあわつ。 案内あんない軌条きじょうわりに道路どうろじょう塗装とそう磁気じきマーカ誘導ゆうどうされ走行そうこうするものも開発かいはつされている。

トランスロール[編集へんしゅう]

トランスロール(クレルモン=フェラン)
トランスロールの案内あんない車輪しゃりん案内あんない軌条きじょう

ロール・インダストリーフランス語ふらんすごばん開発かいはつした方式ほうしき

概要がいよう[編集へんしゅう]

案内あんない車輪しゃりん鉄製てつせいななめにかたむいており、底部ていぶにフランジがある。1つのレールに2車輪しゃりん案内あんない軌条きじょうをVがたはさむようになっている。蓄電池ちくでんち搭載とうさいし、短距離たんきょりならば案内あんない軌条きじょう架線かせんのない場所ばしょしゅとして車庫しゃこない)を走行そうこうすることも可能かのうシーメンスしゃていゆかがた路面ろめん電車でんしゃ コンビーノ同様どうようのモジュール構造こうぞうなので、必要ひつようおうじて編成へんせいながさを調節ちょうせつできる。運転うんてんせき両側りょうがわにあり、より鉄道てつどうちかいデザインとなっている。


のちにロールインダストリーは経営けいえいなんおちいったため、トランスロールの技術ぎじゅつをアルストムに売却ばいきゃくしている。

メリット・デメリット[編集へんしゅう]

  • ゴムタイヤを使用しようしているため坂道さかみちつよく、さいきゅう勾配こうばいは13%(130‰)である[1]
  • 通常つうじょう路面ろめん電車でんしゃよりもきゅうなカーブを走行そうこうでき、最小さいしょう曲線きょくせん半径はんけいは10.5m
  • レールの建設けんせつコストがやす
  • 路面ろめん電車でんしゃとのシステムの共用きょうようができないため長期ちょうきてき車両しゃりょう他社たしゃへの譲渡じょうととうむずかしい
  • タイヤの磨耗まもうなどのコストめん環境かんきょうめんでの問題もんだいがある

上記じょうきのデメリットをまえたうえでの条件じょうけんによっては、後述こうじゅつするTVRより技術ぎじゅつてきにも安定あんていしており、今後こんご展開てんかいのぞめるタイプのシステムといえる。

トランスロールが存在そんざいするおも都市とし[編集へんしゅう]

日本にっぽんうご[編集へんしゅう]

日本にっぽんでも三井物産みついぶっさん中心ちゅうしんとなって車両しゃりょう輸入ゆにゅうし、2005ねん6がつから大阪おおさかさかいしん日本にっぽん製鐵せいてつさかい製鐵せいてつしょ構内こうないに500m程度ていど実験じっけんせんもうけ、走行そうこう試験しけんおよ自治体じちたい運輸うんゆ事業じぎょうしゃとう技術ぎじゅつみをおこなっていたが、結局けっきょく導入どうにゅうけて名乗なのりをげる自治体じちたい事業じぎょうしゃいまま2009ねん試験しけん走行そうこう終了しゅうりょう車両しゃりょうはロール・インダストリーに返却へんきゃくされ、実験じっけんせん施設しせつ撤去てっきょされた。


TVR[編集へんしゅう]

TVR

ドイツのベルリン本社ほんしゃボンバルディア・トランスポーテーション開発かいはつした方式ほうしき。フランスの都市としナンシーカーン営業えいぎょう運転うんてんしていた。

概要がいよう[編集へんしゅう]

TVRの案内あんない車輪しゃりん案内あんない軌条きじょう

案内あんない車輪しゃりん鉄製てつせい両側りょうがわフランジがあり、案内あんない軌条きじょう真上まうえる。通常つうじょう架線かせんからしゅうでんしてモーターで走行そうこうするが、補助ほじょ動力どうりょくとして発電はつでんようディーゼルエンジンも搭載とうさいしているので、架線かせんのない場所ばしょはしこともできる。案内あんない車輪しゃりん格納かくのう可能かのうとなっており、架線かせんがあればガイドレールのないところでもれんぶしトロリーバス(トロリーポール装備そうび場合ばあいかぎる)として走行そうこうすることも可能かのう。さらに架線かせんがない場合ばあい完全かんぜんれんぶしバスとして走行そうこうすることになる。車体しゃたいは3れんぶし固定こていとなっており運転うんてんせき進行しんこう方向ほうこうがわにしかない。カーンではパンタグラフによるしゅうでんおこなっており、ぜん区間くかんわたって案内あんない軌条きじょうもうけられ、トロリーバスモードでの運行うんこう実施じっししていない。

問題もんだいてん露呈ろてい運行うんこう終了しゅうりょう[編集へんしゅう]

トロリーバスモードから案内あんない軌条きじょうえるさいには、連結れんけつ部分ぶぶんもうけられた3つの案内あんない車輪しゃりんを1つずつ軌条きじょうせるため、その都度つどエントランス部分ぶぶん案内あんない軌条きじょうへの導入どうにゅう部分ぶぶん)にわせて停車ていしゃしなくてはならないが、ナンシーでは営業えいぎょう開始かいし早々そうそうエントランス部分ぶぶんへの進入しんにゅう失敗しっぱいだつするトラブルが多発たはつした。その、カーブなどで案内あんない軌条きじょうからのだつ多発たはつし、架線かせんばしらたおとう事故じここしたため、走行そうこうスピードをとさざるをず、定時ていじ運行うんこう出来できなくなるなどのシステムじょう脆弱ぜいじゃくさも発生はっせいしている。さらに車両しゃりょう限界げんかい考慮こうりょせずに案内あんない軌条きじょう敷設ふせつしたため、カーブ区間くかん列車れっしゃ同士どうしがすれちがさい接触せっしょく事故じこ度々たびたびこすなど、インフラ整備せいび杜撰ずさんさからこるトラブルが度々どど発生はっせい開業かいぎょうあいだもなく改修かいしゅうのため1ねんものあいだ運転うんてん見合みあわせる事態じたいとなった。また製造せいぞうじょう欠陥けっかんられるトラブルから、走行そうこうちゅう車両しゃりょうからモーターが脱落だつらくする事故じこ発生はっせいした。度重たびかさなるトラブルによって定時ていじ運行うんこうがままならなくなる事態じたいから、乗務じょうむいんストライキこす労使ろうし紛争ふんそうにまで発展はってんしている。これらの度重たびかさなるトラブルが起因きいんして、導入どうにゅう検討けんとうしていたほか都市としがTVRの採用さいよう見送みおく事態じたいとなり、システムそのものの不安定ふあんていさと信頼しんらいせい欠如けつじょ露呈ろていしたTVRは、結局けっきょく上記じょうきの2都市としでの採用さいようわっている。なおカーンでは前述ぜんじゅつとお全線ぜんせんわたって案内あんない軌条きじょうもうけらており、だつ事故じこはほとんど発生はっせいしていない。

ナンシーでは運営うんえい会社かいしゃとナンシー当局とうきょくがボンバルディア・トランスポーテーションを相手取あいてどり、損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅうする訴訟そしょう問題もんだいにまで発展はってんし、最終さいしゅうてきにボンバルディアがわ損害そんがい賠償ばいしょうおうじるかたち和解わかい成立せいりつしたが、結局けっきょく実験じっけんてき要素ようそつよかったTVRの以後いご開発かいはつ製造せいぞうめることとなった。またフランス政府せいふがわもナンシーとカーン両市りょうしたいして車両しゃりょう耐用たいよう年数ねんすう経過けいか運用うんよう方式ほうしき変更へんこう勧告かんこくし、両市りょうしどもにTVR方式ほうしき廃止はいしちゅうりょう輸送ゆそう機関きかんへの変更へんこう表明ひょうめいしたため将来しょうらいてきにTVRは姿すがた予定よていである。カーンは2018ねんまでにTVR方式ほうしき運用うんよう廃止はいしし、路面ろめん電車でんしゃ方式ほうしき転換てんかんすることを正式せいしき表明ひょうめいした。ナンシー当初とうしょTVRの路線ろせんやす予定よていであったが、これらのトラブルのため導入どうにゅうをキャンセルし、代替だいたいとして連接れんせつバスを予定よていしていた区間くかん導入どうにゅうした。

その、カーンのTVRは2017ねん10がつもっ正式せいしき営業えいぎょう運転うんてん終了しゅうりょう廃止はいしとなり、やくねんの2019ねんてつ軌道きどう方式ほうしきのLRT、「トラムウェイ・カーン」が開業かいぎょうした。運行うんこうルートはそれまでのTVR方式ほうしき路線ろせんとほぼおなじルートを採用さいようし、車両しゃりょうにはTVRより乗車じょうしゃ収容しゅうようすうおおきいアルストムしゃのLRV「シタディス」が導入どうにゅうされている。廃止はいしすで製造せいぞうられ予備よび部品ぶひん調達ちょうたつ不可能ふかのうとなっていたことから、保有ほゆうしていた車両しゃりょう部品ぶひん一部いちぶ車両しゃりょうが「部品ぶひん車両しゃりょう」としてナンシーにおくられている。

ナンシーのTVRはその運行うんこうつづけていたが、2023ねん3がつ12にちもっ運行うんこう終了しゅうりょう連接れんせつバスをもと路線ろせん投入とうにゅうしてえられ廃止はいしとなった(今後こんごはトロリーバスへの転換てんかんとインフラ整備せいびおこなわれる予定よてい)。車両しゃりょうはベルギーの収集しゅうしゅうによる保存ほぞんのためにはらげられたいち編成へんせいのぞいて、すべてスクラップ処分しょぶんされた。これによってTVRは完全かんぜん姿すがたした。

両市りょうし元々もともとトロリーバスが存在そんざいしており、架線かせんなどのインフラがととのっていたため、建設けんせつコストが通常つうじょう路面ろめん電車でんしゃくらべて大幅おおはば低減ていげんできるという目論見もくろみ導入どうにゅうされたが、結果けっかとして成熟せいじゅく技術ぎじゅつ導入どうにゅうしたことでしょうじた問題もんだいてん課題かだい次々つぎつぎあきらかとなる事例じれいとなった。

そののシステム[編集へんしゅう]

CiViS[編集へんしゅう]

CiViS(ラスベガス) 写真しゃしんはバスモード

バスメーカーのイリスバス開発かいはつした方式ほうしき案内あんないようのレールのわりに、路上ろじょうえがかれた白線はくせんデジタルカメラによって光学こうがくてきってコースを維持いじする。ホイールインモーターによる駆動くどう特徴とくちょう車体しゃたい基本きほんてき連接れんせつで、トロリーバスモードまたはバスモードが選択せんたくできる。運転うんてんせき進行しんこう方向ほうこうがわにしかなくレールもないため、トロリーバスや連接れんせつバスのようにえる。架線かせんがないところではバッテリーまたディーゼルエンジンによる運転うんてん可能かのうで、架線かせんからの給電きゅうでん・バッテリー・ディーゼルエンジンの動力どうりょくげん使つかけるハイブリッドしゃである。バスモードのときガイドウェイバス一種いっしゅといってよい。スペインカステリョン・デ・ラ・プラナ、フランスのルーアンクレルモン=フェランアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくラスベガスなどで営業えいぎょう運転うんてんしている。しかし、積雪せきせつ道路どうろじょうよごれ、降雨こうう路面ろめんかえし、路上ろじょうえがかれたせん劣化れっかとう路面ろめん状況じょうきょうによって路上ろじょうえがかれたせんりにくくなる問題もんだい表面ひょうめんしている。

フィリアス[編集へんしゅう]

フィリアス 写真しゃしんはバスモード

オランダではトロリー給電きゅうでん可能かのうハイブリッド れんぶしバスフィリアス)が開発かいはつされている。架線かせんからの給電きゅうでん案内あんない軌条きじょう必要ひつようとせず、磁気じきマーカー自動じどう走行そうこうする。オランダのアイントホーフェン、フランスのドゥエとう運行うんこうちゅう。バスモードのときガイドウェイバス一種いっしゅといってよい。


さとし軌ART

さとし[編集へんしゅう]

中国ちゅうごくちゅうしゃ試作しさくしたゴムタイヤトラム。路面ろめん白線はくせんってはしるため、自動じどう運転うんてんバスにちかい。[2]

類似るいじ交通こうつう機関きかんとの比較ひかく[編集へんしゅう]

鉄輪てつりんしき路面ろめん電車でんしゃとの比較ひかく

  • 長所ちょうしょ
    • ゴムタイヤで走行そうこうするため、振動しんどう騒音そうおんすくない。
    • 案内あんない軌条きじょう敷設ふせつ保守ほしゅ費用ひようが、鉄輪てつりんしき線路せんろくらやすい。
    • てつ車輪しゃりんくらべゴムタイヤは摩擦まさつ係数けいすうおおきいため、きゅう勾配こうばい対応たいおうしやすい。またきゅうカーブにも対応たいおうできる。
  • 短所たんしょ
    • タイヤの交換こうかん費用ひよう必要ひつよう
    • てつ車輪しゃりんくらべゴムタイヤは摩擦まさつ係数けいすうおおきいためエネルギー損失そんしつおお惰性だせい走行そうこうができないため、走行そうこうつねにモーターを駆動くどうさせねばならず、走行そうこうコストがたかい。
    • 車内しゃない心地ごこちは、ゴムタイヤの接地せっちめん左右さゆうされる。また走行そうこうわだちしょうじやすいため、路面ろめんのメンテナンスが必要ひつようとなる。

トロリーバスとの比較ひかく

  • 長所ちょうしょ
    • 案内あんない軌条きじょう運転うんてん補助ほじょする関係かんけいからハンドル操作そうさする必要ひつようがないぶん走行そうこう位置いちはずれることがないので、比較的ひかくてき運転うんてん容易ようい
    • 編成へんせいちょうながくしやすい。
  • 短所たんしょ
    • 案内あんない軌条きじょう敷設ふせつとその保守ほしゅ費用ひよう必要ひつよう
    • 路上ろじょう障害しょうがいぶつ回避かいひできない。

れんぶしバスとの比較ひかく

  • 長所ちょうしょ
    • ディーゼル連接れんせつバスとくらべた場合ばあい電気でんき走行そうこうするため、排気はいきガスない。
    • 走行そうこう位置いちはずれることがないので、比較的ひかくてき運転うんてん容易ようい
    • 編成へんせいちょうながくしやすい。
  • 短所たんしょ
    • 案内あんない軌条きじょうおよ給電きゅうでん設備せつび敷設ふせつとその保守ほしゅ費用ひよう必要ひつよう
    • 路上ろじょう障害しょうがいぶつ回避かいひできない。
    • 補助ほじょ動力どうりょく搭載とうさいしていなければ給電きゅうでんのないところでは走行そうこうできない。
    • 架線かせんしき場合ばあい沿線えんせん景観けいかんそこねる。
    • 案内あんない軌条きじょうによってタイヤが一定いってい位置いち往来おうらいするため、軌道きどうわだち出来できやすく、道路どうろ舗装ほそう定期ていきてきなメンテナンスが必要ひつようになる。

AGTとの比較ひかく

  • 長所ちょうしょ
    • 建設けんせつ費用ひよう廉価れんか
    • 道路どうろよりすぐにれるため利便りべんせいたかい。
    • 運転うんてんしゅかならずいるので乗客じょうきゃく安全あんぜん確保かくほ容易ようい
  • 短所たんしょ
    • AGTより編成へんせいちょう車両しゃりょう限界げんかい制約せいやくおおい。
    • 交通こうつう渋滞じゅうたい影響えいきょうされ、定時ていじ運転うんてんむずかしい。
    • くるま優先ゆうせんすることから、交通こうつうりょうおおいところでは交通こうつうさまたげとなる。
    • 停留所ていりゅうじょ道路どうろ中央ちゅうおう付近ふきんにあるので、乗客じょうきゃく交通こうつう事故じこ危険きけんせいたかい。
    • 無人むじん運転うんてん困難こんなんなので人件じんけんがかさむ。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ フランス ロールしゃによって開発かいはつされたゴムタイヤしきLRT トランスロール”. 東京とうきょう海洋かいよう大学だいがく. 2024ねん2がつ5にち閲覧えつらん
  2. ^ 走行そうこう試験しけん動画どうが - YouTube

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]