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トリフルオロメタンスルホンさん

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トリフルオロメタンスルホンさん
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識別しきべつ情報じょうほう
CAS登録とうろく番号ばんごう 1493-13-6 チェック
PubChem 62406
ChemSpider 56192 チェック
特性とくせい
化学かがくしき CF3SO3H
モル質量しつりょう 150.08 g/mol
しめせせいしき CF3SO3H
外観がいかん 無色むしょく液体えきたい
密度みつど 1.696 g/mL
融点ゆうてん

-40 °C

沸点ふってん

162 °C

みずへの溶解ようかい 混和こんわせい
危険きけんせい
おも危険きけんせい 腐食ふしょくせい刺激しげきせい
特記とっきなき場合ばあい、データは常温じょうおん (25 °C)・つねあつ (100 kPa) におけるものである。

トリフルオロメタンスルホンさん(トリフルオロメタンスルホンさん、trifluoromethanesulfonic acid)は、有機ゆうき化合かごうぶつで、スルホンさん一種いっしゅフッ素ふっそたか電気でんき陰性いんせいにより、じゅん硫酸りゅうさんやく 1000 ばいという非常ひじょうつよ酸性さんせいしめす(酸度さんど関数かんすうによる比較ひかく)。英語えいごでは、triflic acid ともばれ、有機ゆうき合成ごうせいにおいて、さん触媒しょくばいとしてもちいられる[1][2]。また、構造こうぞうしきではトリフルオロメチルスルホニルもと (CF3SO2−) を Tf とりゃくすることから、トリフルオロメタンスルホンさんTfOHりゃくすることもある。毒物どくぶつおよげきぶつ取締とりしまりほうによりげきぶつ指定していされている[3]

性質せいしつ

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トリフルオロメタンスルホンさん吸湿きゅうしつせいち、常温じょうおんでは無色むしょく液体えきたいである。湿気しっけふく空気くうきちゅうすとけむり発生はっせいし、つよ刺激しげきしゅうしめす。おおくの金属きんぞくおかす。みずにははげしく発熱はつねつして溶解ようかいし、アルコールるいDMFDMSOアセトニトリルジメチルスルホンなどの極性きょくせい溶媒ようばいたいしても発熱はつねつてきける。

いちみず和物あえもの ()は融点ゆうてん34℃のイオン結晶けっしょう()であるなど塩素えんそさん類似るいじする部分ぶぶんおおいが爆発ばくはつせいはなく、またフルオロ硫酸りゅうさんのように加水かすい分解ぶんかいもしないことから安定あんていちょう強酸きょうさんとしての用途ようとひろい。

さん解離かいり定数ていすう pKa は 2.6(アセトニトリルちゅう[4]、ハメットの酸度さんど関数かんすう H0 は −14.6 である[5]。100%硫酸りゅうさん上回うわまわ非常ひじょうつよ酸性さんせいにより、ちょうさん分類ぶんるいされる。

トリフルオロメタンスルホンさん、およびその共役きょうやく塩基えんき、トリフラートアニオン、triflate anion)は化学かがくてきねつてき非常ひじょう安定あんていであるため、おおくの特長とくちょうつ。トリフルオロメタンスルホンさん酸化さんか還元かんげん反応はんのうをほとんどけず、塩素えんそさん硝酸しょうさんなどの強酸きょうさんことなり酸化さんかりょくしめさない。また、もとめかくざいたいしても安定あんていであり、のスルホンさんられるようなスルホンはんおうこさない。トリフラートアニオンも化学かがくてき安定あんてい還元かんげんせいもとめかくせいをほとんどしめさず、たいアニオンとして理想りそうてき性質せいしつつ。

歴史れきし合成ごうせいほう

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トリフルオロメタンスルホンさんは Haszeldine と Kidd により1954ねんに、二硫化炭素にりゅうかたんそトリフルオロヨードメタンからつぎのような手法しゅほうはじめて合成ごうせいされた。

メチルトリフルオロメチルスルフィドから電気でんき化学かがくてき合成ごうせいする手法しゅほうや、メタンスルホンさんフッ素ふっそによる合成ごうせいほうられる。

無機むき反応はんのう

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トリフルオロメタンスルホンさん金属きんぞく炭酸たんさんしお水酸化物すいさんかぶつ発熱はつねつてき反応はんのうして、トリフルオロメタンスルホンさんしおあたえる。トリフルオロメタンスルホンさんどう(II)合成ごうせいれいしめす。

コバルトのクロロ錯体さくたいからたいアニオンを交換こうかんするはんおうられる。この反応はんのうはトリフルオロメタンスルホンさん溶媒ようばいとしてもちい、100 ℃で進行しんこうさせる。反応はんのうジエチルエーテルくわえて生成せいせいぶつ沈降ちんこうさせる。

有機ゆうき反応はんのう

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トリフルオロメタンスルホンさんは、カルボンさんハロゲン化物ばけもの反応はんのうして混合こんごうさん水物みずものとなる。これは非常ひじょうつよいアシルざいであり、フリーデル・クラフツ反応はんのう基質きしつとしてもちいられる。


反応はんのう自己じこ触媒しょくばいてきで、けいちゅう発生はっせいするさんが、さらにべつ混合こんごうさん水物みずもの分子ぶんし活性かっせいさせて芳香ほうこうぞく化合かごうぶつとの反応はんのう進行しんこうさせる。

トリフルオロメチルスルホニルもと

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トリフルオロメタンスルホンから OH 部分ぶぶんった、化学かがくしきが CF3S(=O)2- とあらわされる1置換ちかんもとトリフルオロメチルスルホニルもと (trifluoromethylsulfonyl group) 、あるいは トリフリルもと (triflyl group) とばれる。つよ電子でんしもとめ引性をしめす。

参考さんこう文献ぶんけん

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  1. ^ 総説そうせつ: Howells, R. D.; McCown, J. D. Chem. Rev. 1977, 77, 69. (doi:10.1021/cr60305a005)
  2. ^ 総説そうせつ: Lakshminarayanapuram, R. S. "Trifluoromethanesulfonic Acid" In Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, 2001 John Wiley & Sons, Ltd.
  3. ^ 毒物どくぶつおよげきぶつ指定していれい 昭和しょうわよんじゅうねんいちがつよんにち 政令せいれいだいごう だいじょう ななじゅうよん
  4. ^ Fujinaga, T.; Sakamoto, I. J. Electroanal. Chem. 1977, 85, 185.
  5. ^ 荒牧あらまきみのるトリフルオロメタンスルホンさん」『有機ゆうき合成ごうせい化学かがく協会きょうかいだい46かんだい8ごう有機ゆうき合成ごうせい化学かがく協会きょうかい、1988ねん、821-823ぺーじdoi:10.5059/yukigoseikyokaishi.46.821ISSN 0037-9980NAID 130000931283 

関連かんれん項目こうもく

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