スルホンさん

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スルホンさん 構造こうぞうしき
メタンスルホンさんたまぼうモデル

スルホンさん(スルホンさん、英語えいご: Sulfonic acid)はスルホもと別名べつめい、スルホンもと、スルホンさんもと (-SO3H, sulfo group) が置換ちかんした化合かごうぶつ総称そうしょうである。一般いっぱんてきには炭素たんそ骨格こっかくにスルホもと置換ちかんした有機ゆうき化合かごうぶつをさす。一方いっぽう、スルホンさん置換ちかんもと (R-) が炭素たんそ骨格こっかくふくまない無機むきのスルホンさんはハロゲンと置換ちかんした塩化えんかスルホンさん(クロロ硫酸りゅうさん)、フルオロスルホンさん存在そんざいするが、水素すいそ置換ちかんした置換ちかん無機むきスルホンさん存在そんざいしない(その硫黄いおうふくむオキソさんについては硫黄いおうのオキソさん参照さんしょう)。

スルホもと硫酸りゅうさん同様どうよう強酸きょうさんせいしめし、そのかげイオンはみずみずするので、染料せんりょう界面かいめん活性かっせいざいはじおおくの有機ゆうき化合かごうぶつ導入どうにゅうされ利用りようされている。

スルホンさん化合かごうぶつ合成ごうせいするには、大別たいべつして

  1. 相当そうとうするチオールジスルフィドあるいはスルフィンさん化合かごうぶつマンガンさんしおなどで完全かんぜん酸化さんかする。
  2. 芳香ほうこうぞく化合かごうぶつたいして、発煙はつえん硫酸りゅうさんあるいはクロロ硫酸りゅうさんなどをもちいてしん電子でんし置換ちかん反応はんのうでスルホもと導入どうにゅうする。

などの方法ほうほうられる。通常つうじょう後者こうしゃ芳香ほうこうぞく化合かごうぶつたいしん電子でんし置換ちかん反応はんのうでスルホもと導入どうにゅうする反応はんのうスルホン反応はんのうぶ。れいとしてベンゼンのスルホン反応はんのうしきしめす。

ベンゼンのスルホン化反応
ベンゼンのスルホン反応はんのう

芳香ほうこうぞくスルホンさんとくニトロもとなどが存在そんざいし、電子でんし欠乏けつぼうせい芳香ほうこうぞく化合かごうぶつ)はイプソがたちゅうあいだたい経由けいゆするとかんがえられるもとめかく置換ちかん反応はんのうける。代表だいひょうてきれいとしては芳香ほうこうぞくスルホンさんしお水酸化すいさんかナトリウムちゅう溶融ようゆうフェノール化合かごうぶつへとみちび反応はんのうげられる。

あるいは発色はっしょくだんである芳香ほうこうぞくアゾ化合かごうぶつにスルホもと導入どうにゅうした酸性さんせい染料せんりょうみずたいする溶解ようかいせいく、そのうえきぬ羊毛ようもうやナイロンなどのアミド結合けつごう窒素ちっそ原子げんしとスルホもととが結合けつごう水素すいそ結合けつごう)するので染色せんしょくせい格段かくだんすぐれている。

あるいは、スルホもと導入どうにゅうした界面かいめん活性かっせいざい強酸きょうさんしおため溶液ようえきアルカリ性あるかりせいしめさず(中性ちゅうせい洗剤せんざい)、硬水こうすいちゅうでも不溶性ふようせいしお(スカム)を発生はっせいしないので、洗剤せんざいとして多用たようされている。また人体じんたいたいする毒性どくせいひくいものがおおいため、塩基えんきせい医薬いやくには溶解ようかいせいげる目的もくてきでスルホンさんしおとして供給きょうきゅうされるものがある。

N-ヒドロキシスルホスクシンイミド(Sulfo-NHS)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベリンさんエステル英語えいごばん(BS3)、N-[(4-マレイミドメチル)シクロヘキシルカルボニルオキシ]スルホスクシンイミド(Sulfo-SMCC)などのタンパク質たんぱくしつ架橋かきょうざいは、水溶すいようせいげるため分子ぶんしないにスルホもとまれている[1]

スルホもと[編集へんしゅう]

スルホンさんつ -SO3H の官能かんのうもとスルホもと (sulfo group) とばれる。強酸きょうさんせいつよ電子でんしもとめ引性をしめす。

代表だいひょうてきなスルホンさん化合かごうぶつ[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Mattson, G., et al. (1993). “A practical approach to crosslinking”. Molecular biology reports 17 (3): 167-183. doi:10.1007/BF00986726.